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Sorabji (1892-1988)

CD Sequentia Cyclica Super Dies Irae : Jonathan Powell(P)(7CD)

Sequentia Cyclica Super Dies Irae : Jonathan Powell(P)(7CD)

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    ココパナ  |  北海道  |  不明  |  04/March/2021

    カイホスルー・ソラブジ。なんとも異国情緒にあふれた名前である。ここで言う「異国情緒」というのは、クラシック音楽史における文化の主脈を演じたヨーロッパの国々とはまた異なった印象をもたらす、という意味である。いったいどこの国の作曲家なのか。イギリスである。意外にも、カイホスルー・ソラブジは英語文化の本拠地、イギリスの作曲家である。それにしても、この名前はいったい? 実はこの人物、元はレオンという名前であった。“カイホスルー”はのちに自ら改名したもの。これには、ちゃんとした謂れがある。インド系であり、ゾロアスター教の信者であった自身に相応しい名を自ら名乗ったのだ。この作曲家のイデアは、すでにその名前からしたたかに伝わってくるのである。 そして、このソラブジなる人物、世に奇妙なピアノ作品を続々と送り出した。その多くが、ちょっと他では見ないようなものだった。しかも、自分の作品を広く普及させたいという欲求とは無縁で、しばしば演奏を禁じるなどのお触れを自ら発していたらしい。なんのために作曲しているんだ?と、凡人の私にはその深慮を探ることなど到底無理である。 しかし、その奇妙な作品の代表的なものの一つが、録音された。それが当盤。イギリスのピアニスト、ジョナサン・パウエルが、CD7枚を費やして収録したソラブジの楽曲は、わずか「1曲」である。間違いなく、この7枚のCDは、収録時間を存分に使って、1曲を収録している。冗談ではない。収録されているのは、「怒りの日によるセクエンツィア・シクリカ」。グレゴリオ聖歌の「怒りの日」の旋律は超有名だ。この旋律を引用した作曲家を挙げると、ベルリオーズ、リスト、ラフマニノフなど指折れるし、他にも知らないだけで、たくさんいるだろう。 「怒りの日によるセクエンツィア・シクリカ」は、その旋律を用いた「変奏曲」。といってもただの変奏曲ではない。尋常ではない巨大な変奏曲だ。楽曲は主題と27の変奏曲からなる。変奏の数だけみれば、グルドベルク変奏曲やディアベッリ変奏曲より少ない。だが、長いものとなると、一つの変奏で、90分を越えている。その変奏だけでも、CD1枚では収録できない。 また、構造も単純ではない。「第22変奏」は、変奏主題を用いた二次的な変奏が行われるのだが、その変奏の数たるや、なんと100である。また、最後の第27変奏は、フーガの声部を2声から一つずつ増やし、最終的には6声に至る。 これを全曲演奏するという試みが、ピアニストにとっていかにハードルの高いものであるか容易に察せられるが、しかも技術的にも至難とあっては、今まで録音がなかったのも道理。作曲者が秘匿しようが、演奏を禁じようが、広まる心配がないようなたぐいのものだった。 なので、このCDが登場し、その全曲が聴けるというだけで、これは一種の軌跡のようなものだ。聴いてみると、長い。やっぱり長い。だが、面白いものが随所にある。どこか懐かしいところがあったり、意外と人の心に寄り添うものがあったりするし、スクリャービンを思わせる雰囲気が延々と持続するようなところもあって、聴き手によっては、十分に「楽しみよう」がある音楽なのだ。 とにかく、当盤を置いて、全曲聴く機会はないと思われるものであり、ソラブジの提示した秘密の一端を味わうという点で、またとない体験を得られるアルバムとなっている。

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