【全曲解説】(sic)boy『DOUKE』
2025年12月24日 (水) 19:00
|HMV&BOOKS online - Japanese Pop

1. DOUKE (Prod. KM)
ダークな幕開け。フック明けのビートスイッチから一気に畳み掛けるようにリリックを詰め込みました。
このアルバムのイントロダクションとして、間違いなく最高の一曲に仕上がったと思います。
2. Life is nightmare (Prod. KM)
1曲目の「DOUKE」とはある意味差別化を図りたかったんです。
爽快感のあるロックなんだけど、歌詞では自分の現状や、どうしても打破したい状況を歌っています。
レコーディングでは「これだ!」という歌唱表現を掴むのが本当に難しくて、かなり苦戦しました。
3. HIBANA (Prod. KM)
かなり早い段階で完成していた楽曲のひとつです。
KMさんのクールで鋭いビートがめちゃくちゃかっこいい曲。
デモのときはもっと荒々しくてワイルドな雰囲気だったんですが、
ただLAZYに歌うんじゃなくて、刹那的な空気感を壊さないよう、丁寧に仕上げました。
4. blacknails feat. MERI (Prod. KM)
擦り切れそうな世の中を生き抜く中で、剥がれていくネイルと、自分の脆さと、それでも強く立ち向かおうとする意志を重ね合わせてリリックを書きました。
MERIとは初めて一緒に曲を作ったんですが、彼女の繊細で美しい世界観が加わって、この曲が本当に特別なものになりました。
この曲名を冠したイベントも開催しました。
クールなアーティストたちと最高な一日を作れて嬉しかったです。
そういう意味でも、自分にとってすごく大事な一曲になりました。
5. Hello feat. SALU (Prod. KM)
ずっと大好きで聴き続けていたSALUさんとの共作です。
傷ついている人たちに、自分たちは何を届けられるのか。
SALUさんのバースが加わったことで、曲の深みがぐっと増して、より優しく包み込むような空気感が生まれました。
6. DISTORTED世界 (Prod. Tido)
フィンランドのプロデューサーTidoとの楽曲。
歪んだ世界で苦しみながらも、それでも戦い続けたい。そんなテーマの曲です。
自分の葛藤を、できる限りストレートにリリックに込めました。
誰かの絶望に少しでも光を灯せたら、そんな想いで作った曲です。
MVもいい感じなのでぜひ。
7. Take Me Home (Prod. Chaki Zulu)
疲れてしまった帰り道に、ぜひ聴いてほしい一曲です。
1バース目の「夢みたいな日々は/たまに僕を乱す」というリリックの通り、
(sic)boyとして歩んできた道のりの中で、数え切れないほどの幸せな瞬間を経験してきたからこそ、
今でも心を強く揺さぶるようなつらい出来事が悪目立ちしちゃう感覚があって。
(人間誰にでもあると思うんですが)
楽しかった日々に帰りたくなるような、美しい幸せな瞬間に思いを馳せながら歌いました。
Chakiさんのエモーショナルなトラックが加わって、さらにいい仕上がりになったと思います。
8. 疑心暗鬼 (Prod. Chaki Zulu)
モノや情報が溢れかえり、疑心暗鬼になってしまう現代社会で、少しずつ狂っていく様子を描きました。
ただダークなだけでは終わらせたくなくて、フック部分では乾いたギターのリフに合わせて、わざと明るく楽しく歌っています。
2バース目のカオスなエフェクト使いもかなり攻めていて、自分でもお気に入りです。ぜひそこにも注目して聴いてみてください。
この曲のコントラストが、みなさんに刺さったら嬉しいです。
9. Last Smile (Prod. Chaki Zulu)
LOVE PSYCHEDELICOさんの「Last Smile」をカバーさせていただきました。
個人的に本当に大好きな楽曲で、勝手ながら自分なりのオリジナルバースを追加してアレンジしています。
レコーディングを進めるたびに、原曲の素晴らしさと、歌う難しさを改めて実感しました。
時代を超えて愛される名曲をTRAPアレンジという大胆なアイデアで実現できたのも、Chakiさんのプロデュースのおかげです。心より感謝しています。
10. SAY GOODBYE feat. OMSB (Prod. Chaki Zulu)
ずっと一緒に作りたかったOMSBさんが、フィーチャリングで参加してくれました。
彼からデモが送られてきた瞬間、この曲の芯が一気に強くなったのを感じて、本当に感動しました。
実はこの曲のようなダンサブルなトラックにどう乗ればいいか最初は難しく感じて、正直「大丈夫かな……?」と少しひよってしまったのを覚えています。
思い返せば、今作にはChakiさんとの何気ない会話から生まれて広がっていった楽曲がたくさんあって、
今まであまりトライしてこなかったジャンルにも自然と挑戦できた気がします。
この曲で体を揺らしてくれたら嬉しいです。
11. lights on (Prod. Chaki Zulu)
かっこつけずに、半径数メートル以内の身近なことをリリックにしました。
大好きなラジオ番組「空気階段の踊り場」のこともシャウトしてみたり、
何気ない日常や、ありのままの自分を素直に言葉に落とし込んでいます。
光と闇って、今までの自分だと結構重いテーマとして扱いがちだったんですけど、
今回は部屋の照明とかスマホのライトみたいな、めちゃくちゃシンプルな表現で一曲突き進みました。
肩の力抜いて聴いてもらえたら嬉しいです。
12. Shaggy White (Prod. Chaki Zulu)
なかなかこじらせた主人公が、叶わない恋に彷徨い続ける曲です。
これまでこういったテーマで歌詞を書いたことがほとんどなかったんですが、
Chakiさんと何度もアイデアを出し合いながら、一生懸命作り上げました。
歌詞の読み方によって物語の見え方が変化してくるのでぜひいろんな解釈をしながら聴いてもらえたら嬉しいです。
この曲の切なさが、少しでも心に残ったらいいなと思っています。
13. Chrome Hearts feat. vividboooy (Prod. Chaki Zulu)
いつもお世話になっているvividboooy君との一曲です。
2人の強くリンクするテーマが「Chrome Hearts」だったので、
燻しの効いたジュエリーの雰囲気と自分たちの誇りを重ね合わせながら、ビートに乗りました。
共作の「Heaven's Drive」からちょうど5年。
その5年間で変わった心境も、ずっと変わらず持ち続けている熱い気持ちも、すべてこの曲に込めました。
聴いてくれる人にもその熱が伝わったら嬉しいです。
14. 色のない夜 (Prod. Chaki Zulu)
このアルバムの中で、最後に完成した曲です。
もともとはクリスマスっぽい雰囲気の曲を作ってみようと始めたんですが、
セッションが進むにつれてどんどん自分の世界観が侵食してきて、結果的にダークな感じになりました笑
サビの歌い上げる部分は、何度も録り直して喉が限界ギリギリのテイクが一番感情が乗っていて、それが採用されています。
この曲が完成した瞬間、「ようやくアルバムが完成したんだな」と実感して、
すごくホッとしたのを今でも覚えています。
アルバムの中でも特に存在感が強く、聴きごたえのある一曲になったと思います。
15. Tsubasa (Prod. uin)
同い年でレーベルメイトのuinと一緒に作りました。
Panasonicさんとのタイアップ楽曲で、「挑戦」をテーマに2人でアイデアを出し合い、何度も試行錯誤を重ねて完成させました。
いつも支えてくれる大切な人たちに、この曲がしっかり届くように、心を込めて歌いました。
16. Dream (Prod. uin)
15曲目の「Tsubasa」を作っているセッションで作ったデモをブラッシュアップしていく形で作りました。
あえてギターのサウンドやビートの雰囲気に部屋鳴りっぽさを残すようこだわり、温かみのある質感を目指しました。
リリックはストレートに、飾った言葉を避けて泥臭く素直に書きました。
この曲の持つ生々しい感情が、少しでも伝われば嬉しいです。
17. Drown Intro (Prod. KM)
18曲目「Drown」へと繋がるインタールードです。
KMさんと自分のレコーディング中のゆるい掛け合いがそのまま使われてます笑
18. Drown (Prod. KM)
憂鬱なんだけど、どこか少しだけ優しい気持ちになれる曲になったかなと思っています。
「悲しみにも慣れて/不器用に笑うことが増えて」
年齢を重ねるごとに、今まで書けなかった種類のリリックが生まれたりして、
表現者としてこれからもまだまだ進化していきたいと思わせてくれた一曲でもあります。
19. Hide&Seek (Prod. KM)
突き抜けてダーク。憂鬱で美しい一曲です。
見え隠れする心の邪悪な部分に自分が飲み込まれてしまいそうになる瞬間を表現しました。
酷く落ち込んでいるときに書いたリリックが誰かの心に刺さったら嬉しいです。
20. Angel!! (Prod. KM)
「くだらないこの世界じゃ/壊れてなきゃ楽しくないから。」この曲で最も伝えたい、というか吐き出したかった部分はこの1行かもしれません。
(sic)boy×KM サウンドは進化し続けているということを再確認できる一曲に仕上がってます。
このアルバムを締めくくる最高にカオスなアッパーチューンです。
(sic)boy『DOUKE』
GENRE : LOUDROCK, HIPHOP
サウンドの裾野を大きく広げた
(sic)boyの高いポップ性感じる一枚
1stアルバム『CHAOS TAPE』(2020年)から3rdアルバム『HOLLOW』(2023年)で作り上げてきた、(sic)boyサウンドの裾野を大きく広げたアルバム。長くタッグを組んできたKMや、Chaki Zulu、uin、そして海外よりTidoといったプロデューサー/ビートメイカーたちとの制作で、ロック、パンク、エモ、ヒップホップだけでなく、R&Bのような新たなサウンドにもどっぷりと浸かり、それでいて軽やかに音に乗って曲を描いている。それぞれの制作に向き合い挑戦と深化を図っていくなかで露わとなっていったのは、(sic)boyのポップ性の高さ。自らの居場所を築いてきた音楽から、誰かの拠り所となる音楽へと、そんな志が感じられるアルバムとなった。
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