激ロック×HMV&BOOKS online vol.148

GENRE : LOUDROCK
挑戦が詰まった“夜明け”を告げるEPでついにメジャー・デビュー
欲張りセットすぎる。TRiDENTのメジャー1st EP『BLUE DAWN』は、MY FIRST STORY Nob（Ba）による書き下ろしリード・チューン「黎明ノ詩」で幕を開け、新たなるコラボレーションから生まれた音は極めて劇的で衝動的。すかんちの名曲をROLLY本人とカバーしている「恋のマジックポーション」と、NAGISAが初作曲した「MIRACRAID」は、TVアニメ“ポーション、わが身を助ける”のOP主題歌とED主題歌に抜擢されており、デビュー早々にWタイアップとは素晴らしきかな。堀江晶太（PENGUIN RESEARCH／Ba）とタッグを組んだ「NEW ERA」、メロコア風味の「カントリー・ロード」（本名陽子／John Denver）のカバーも斬新。
杉江 由紀【ライター推薦】

GENRE : SYMPHONIC METAL
天国への扉が開かれしとき
描く世界はさらなる高次元へと到達
その扉の向こうにあるのは光溢れる世界だろう。あんきもことUnlucky Morpheusの最新アルバム『Gate of Heaven』はリーダー、紫煉（Gt/Scream）いわく“思い切って幅を広げてみた”ものとのこと。たしかにダンス・ビートが躍動する「Savior After God」や、艶やかな空気感の漂うシャッフル・チューン「万華鏡」をはじめとして、今作では十八番であるメロスピ以外の要素を取り入れた楽曲たちも多々堪能できる。中でも、紫煉が虹の橋を渡った愛犬のために作ったという祈りの歌「Blink of an eye」は感動もの。ポジティヴでアッパーな「Convergent Rays」や、既存曲「世界輪廻」、「SAKURA chevalier」等も含む全10曲は濃密だ。
杉江 由紀【ライター推薦】

GENRE : SYMPHONIC METAL
和楽器バンドのヴォーカリストが
生きてきた証を刻むソロ・アルバムをドロップ！
和を重んじる日本人だからこその美徳に矜持。吟詠に始まり詩舞や剣舞の達人でもある鈴華ゆう子は、和楽器バンドの創始者であり、ヴォーカリストとして近年そのキャリアに磨きを掛けてきた御仁である。“私の人生と和の世界は切り離せないもの”と明言する彼女が、この機に発表した9年ぶりのソロ・アルバム『SAMURAI DIVA』は、タイトル通りの凛々しき侍精神を持った歌姫の描く音楽絵巻であり、そこにジャズにメタルにEDM等多彩な音楽要素が融合していくのだから実に面白い。田中公平、東儀秀樹、HIROKI（ORANGE RANGE）といったゲスト陣との大胆にして斬新なコラボぶり、リアリティと平和への願いを込めた詞世界も大変味わい深い。
杉江 由紀【ライター推薦】

GENRE : SCREAMO, NOISECORE
愛と憎しみのノイズ・ハードコア6人組 moreru
過去最高にキャッチーでエクストリームな4thアルバム
愛と憎しみのノイズ・ハードコア6人組、moreruによる、過去最高にキャッチーで過去最高にエクストリームな4thアルバム。これまで楽曲全体を覆い尽くしていた暴力的な轟音の一部を差し出して、神聖なメロディと契りを交わした。激情ハードコアやブラックゲイズのみならず、エモ・ラップ、ギター・ロック、J-POP、昭和歌謡までをも飲み込んで、自意識は際限なく肥えていく。感傷をあざとさ全開の必殺リフで切り裂く「ROCKSTAR」をはじめ、メタル・リスナーに訴求できる楽曲も。全編に漂うノスタルジアが、どんな破壊も絶叫も過去を塗りつぶすことができないと示していて、僕はそれがたまらなく悲しいけれど、聖域が守られることに安心してもいる。
サイトウ マサヒロ【ライター推薦】

GENRE : LOUDROCK, ELECTRONICORE
最強バンド、RAS健在！
ラスベガス提供曲第2弾も収めた新作
RAISE A SUILENらしいデジタル・ロックで疾走感を持って駆け抜ける「‘FIGHT’ ADDICT」、聴き手の脳内に宇宙を思わせる壮大な世界を描く「FIVE as ONE」。これだけですでに強力な14thシングルなのだが、3曲目にはFear, and Loathing in Las Vegasからの提供楽曲第2弾「Drown Out the Noise and Push Through the Trash」も収録された。こちらは一聴して踊り狂いたくなるラスベガス節全開の魔性のサウンドに、英詞を圧倒的な歌唱力で歌い上げるRaychell（レイヤ）の歌声、挑発的な紡木吏佐（チュチュ／DJ）のラップと、隙のない楽曲に仕上がっている。最強バンドの健在っぷりを誇示する一枚。
宮�ｱ 大樹【ライター推薦】

GENRE : METAL
ガールズ・スチーム・メタル楽団 FATE GEAR始動10周年記念
クリーンVo楽曲のみセレクトした初のベスト盤
麗しい旋律が映える、ドラマチックなシンフォニック・メタルの音像。ストーリー性と独創性の溢れる歌詞世界。Mina隊長（Gt/Ba/Composer）が率いるガールズ・スチーム・メタル楽団として、グローバル・スケールでの活躍を見せるFATE GEARがここに完成させたのは、始動10周年を記念する初のベスト盤『BEST - Angelic Melodies』だ。しかも、今作は意図して、メロディを重視したクリーンVoの楽曲のみをセレクトした内容に終始している点が特徴。5曲をドラマー Harukaがリレコーディングしているほか、一部の曲ではリマスターも施されており、サウンドがより力強くなっている点も必聴かと。長き歳月の中で醸成されてきた珠玉の名曲たちをどうぞ召しませ。
杉江 由紀【ライター推薦】

GENRE : LOUDROCK, METAL
バンドの揺るがない信念歌った「Steadfast Spirits」表題に据えた
シングルとは思えない熱量を持つ一枚
Roseliaの18thシングル『Steadfast Spirits』。表題曲は、タイトル“Steadfast Spirits（＝不屈の精神）”が表す通り、バンドの揺るがない信念を歌った一曲だ。そんな強い歌詞と、相羽あいな（湊 友希那）が持つパワフルな歌声は相性抜群。彼女たちの“不屈の精神”の背景には、これまでにバンドが越えてきた壁の数々、そしてそこで培ってきた固い絆がある――そんなことを知っているファンからすれば胸が熱くならないわけがない。カップリングの「紫炎」は、Roseliaらしいゴシック・ロックに、燃え盛る炎のような情熱的な歌唱と演奏をエッセンスとして加えた楽曲。シングルとは思えない熱量を持つ一枚に仕上がっている。
宮�ｱ 大樹【ライター推薦】

GENRE : HEAVY METAL, HARD ROCK
EPだからと侮るなかれ！
アニメ・タイアップ3曲含む全8曲にバンドの魅力が凝縮された粒揃いの出来栄え
今や世界的な人気を誇る、日本を代表するヘヴィ・メタル・バンドであり、圧倒的な実力と唯一無二のメイド服スタイルでシーンを席巻し続けているBAND-MAID。2024年に通算8枚目のアルバム『Epic Narratives』をリリースしたことも記憶に新しい彼女たちの、新たな一手となった本作『SCOOOOOP』は、EPという形態ながらアニメのタイアップ3曲を含む全8曲というボリュームだ。アグレッシヴなヘヴィ・メタルからドラマチックなハード・ロック、シンガロング必至のミディアム・バラードに、高度な演奏技術が火花を散らすインスト・ナンバーまで、どの楽曲もBAND-MAIDというバンドの魅力が凝縮された粒揃いの出来栄えである。EPだからと侮るなかれ。
井上 光一【ライター推薦】