激ロック×HMV&BOOKS online vol.137

GENRE：HEAVY ROCK
長い眠りから目を覚ましたkeinの新たな1歩
彼等らしい“痛み”を伴った初のメジャー流通盤！
EPのタイトル“PARADOXON DOLORIS”を直訳するなら“矛盾した痛みや悲しみ”というような意味になるだろうか。この作品に詰め込まれたのは、現実から目を逸らさせない、心の傷を抉る曲たちであり、傷付いた心を守る歌たち。どの曲でも、相反するような思いを巡らせる言葉が綴られている。それはなぜなのか、そこを探る程に、きっと痛くて怖い現実が見えてくるはずだ。演奏陣は、各曲でヒリヒリとした痛みを与える尖った音を突き付け、トリッキーという言葉で片付けてしまっては浅はかすぎるくらい、そこには人の感情を切り刻む衝撃を伴った音が詰め込まれている。この5曲と正面から向き合ったとき、あなたの心にどんな変化が表れるのだろうか……。
長澤 智典【ライター推薦】

GENRE：METAL
ファンタジックな異世界空間とシンフォニック・メタルの音像を堪能せよ！
白い羽根をはばたかせる天使と、黒き翼で風を切る悪魔。両者の邂逅から始まった物語は、今1つの局面を迎えたようだ。バンドではないプロジェクトだからこその自由度を持つガールズ・スチーム・メタル楽団、FATE GEARは、その時々で提示するストーリーの内容と完全連動した楽曲を生み出し続けてきた経緯があり、今作『Kill the Shadow King』で描かれているのは“戦いとその後”であるという。そして、NANAと橋村 姫をヴォーカリストとして起用している表題曲は、Mina隊長（Gt/Ba/Composer）いわく“RAINBOWの「Kill The King」をオマージュしたもの”であるという点も実に興味深い。バラード「沫雪の祈り feat.KOKOMI」も秀麗だ。
杉江 由紀【ライター推薦】

GENRE：SKA PUNK
4人組スカ・アイドル NO❤︎AF
満員の名古屋 DIAMOND HALLワンマン収めたライヴDVD！
名古屋 DIAMOND HALLにて、オケスタイルとバンド・セットの2部構成で実施されたワンマン公演を収めたライヴDVD。満員の観客を前に、ポップでカラフルなNO❤︎AFの音楽の多様性を示した1部の最初の曲から、メンバーが笑顔の花を咲かせ、それぞれステージを無邪気に思い切り満喫している様子をぜひ感じてもらいたい。GELUGUGUをサポート・バンドに迎えた2部では、NO❤︎AFの顔とも言えるスカ系の楽曲を中心に披露。身体が躍動するバンド・サウンドを背にしたパワーもあり、4人とも前のめりにグイグイと観客を巻き込んで、フロアを終始跳ねさせていた。アイドルとアーティスト、2つの表情を存分に味わえる内容となっている。
長澤 智典【ライター推薦】

GENRE：ELECTRONICORE, LOUDROCK
馬力を上げて加速する4人のエネルギー
PassCodeらしい疾走感溢れる最新チューン
9月に移籍後初のシングル『WILLSHINE』（TVアニメ“SHY”OP主題歌収録）をリリースし、10月からアジア・ツアーをスタートしたPassCode。そのツアー真っ只中でのリリースとなるのが今作『SKILLAWAKE』（アニメ“転生貴族、鑑定スキルで成り上がる”第2期OP主題歌収録）となる。静と動のコントラストがあり、シンガロング・パートあり、シャウトもエモーショナルな高揚感もありとPassCodeらしくカラフルに展開していく「SKILLAWAKE」だが、キャッチーに爽快に、身体を駆け抜けていく曲となった。アニメとのタイアップ曲で作品に寄り添いながらも、こうしたシングルの連投でさらに勢いを増して前進する4人の姿が映る。
吉羽 さおり【ライター推薦】

GENRE：LOUDROCK, POST-HARDCORE
メタルコアとサブカルの融合、日本が世界に誇る
ガールズ・ラウドロック・バンドのメジャー初EP
北米＆欧州ツアー、LIMP BIZKITとの共演等、海外での活躍も光る花冷え。のメジャー・デビュー後初EP。好きなことを“私らしく”貫いたぶち上がり必至の傑作であることが冒頭の「ぶっちぎり東京」を聴いた時点で明白だ。和サウンド×マツリ（Gt/Vo）のクリーンVoの親和性に加え、強弱を付けたヘッツ（Ba/Cho）の低音が響く「GAMBLER」や、令和の流行語がテーマの歌詞も特徴的で、ユキナ（Vo）のスクリームに“それそれ！”と合いの手が入る「いとをかしMyType」等、世界に咲き誇る“HARAJUKU CORE”の進化は尽きることなく、今後も我々をワクワクさせてくれるだろう。チカ（Dr）をフィーチャーした「ボーナス☆ぎるてぃたいむ」もご一聴あれ。
中島 颯士【ライター推薦】

GENRE：MELODIC HARDCORE
横浜発4人組メロディック・ハードコア・バンド JasonAndrew
決意表明のようなタイトルから覚悟や意気込みが漲る1stフル・アルバム
横浜発の4人組メロディック・ハードコア・バンド JasonAndrewが、HAWAIIAN6やlocofrank等を擁するIKKI NOT DEADからリリースする1stフル・アルバム、その名も“STATEMENT”。決意表明のようなタイトルからその覚悟や意気込みが漲る。骨太なサウンドと力強くも伸びやかなヴォーカルで胸を熱くさせたかと思えば、強烈なブレイクダウンで無条件に聴く者の身体を揺らし、多様な魅力で翻弄。すでにライヴでのアンセムとなりつつある「Drain」や同年代の新世代メタリック・ハードコア・バンド View From The Soyuzからmasa（Vo/Composer）を迎えた「Close Your Eyes」等、彼等のルーツもふんだんに味わえる濃厚な1枚だ。
中尾 佳奈【ライター推薦】

GENRE：ELECTRO, MIXTURE
双子の2ピース・ネオ・ミクスチャー・ロック・デュオ Tyrkouaz
“ゲーム音楽の再解釈”をコンセプトとした初の全国流通盤
早耳リスナーの間で話題沸騰中の、双子の2ピース・ネオ・ミクスチャー・ロック・デュオが2023年にリリースした1stアルバムに新曲を加え、初の全国流通盤をドロップ。“ゲーム音楽の再解釈”がコンセプトの今作は、ドラムンベースを基軸にブレイクコアやシューゲイザー、ハイパーポップ、GBA等様々なデジタル・ロック・サウンドを融合した、彼等のやりたい音楽をとことん追求した作品に。Track.4、5では新進気鋭のアーティストをゲストに迎え、自分たちのスタイルを維持しながらも見事な化学反応を起こしている。今の時代の空気感をうまくパッケージングしながら、次の時代を切り拓いて今後の音楽シーンを席巻していくであろう彼等に、期待が募るばかりだ。
横山 開【ライター推薦】

GENRE：SYMPHONIC METAL
雪の異称を冠し、美しい情景と厳しい冷え込みをもたらす冬のように
繊細さと激しさを兼ね揃えたサウンドが堪能できる1枚
その結晶の多くが六角形であることに由来する雪の異称“六花（むつのはな）”を表題に冠した摩天楼オペラの新作が、そんなタイトルにぴったりの時期にリリース。その名に違わず、舞い落ちる雪や一面に広がる銀世界の煌めき、あるいは儚さ、切なさを想起させる音色が収められているのはもちろん、凍て付く寒さを吹き飛ばしてしまいそうな程、熱く生命力に満ち溢れたパワフルでテクニカルなバンド・アンサンブルも健在。美しい情景と容赦なく襲い掛かる厳しい冷え込みをもたらす冬という季節のように、繊細さと激しさを兼ね揃えた彼等らしいサウンドが存分に堪能できる1枚に仕上がった。これまで発表してきた数々のアンセムたちに名を連ねることになるラスト1曲まで全曲必聴！
内堀 文佳【ライター推薦】

GENRE：LOUDROCK, MIXTURE
あまりにも短く儚い“青春”について描いた
“第二の青春を体感できる”3rd EP
未熟で、不安定で、向こう見ず。でもあの頃は今よりみずみずしい感性を持っていた気がするし、何より無邪気に夢を見ていられた。ヒトの思春期と青年期を“青春”とするならば、それはあまりにも短く儚い季節でしかない。ただその時期に得られた縁、想い出、きっかけの類い。それが一生モノになることは多々あるはず。3rd EP『2nd teenAger』で彼等が描くのは、そんな青春というものについて。MVも制作されたリード・チューン「ガロ」に詰まった衝動は、大人になりすぎた筆者にも激しくぶっ刺さってくる。逆にメロウな「hypnotic poison」もチルくて良き。“第二の青春を体感できる作品”との触れ込みが
泣かせるぜ。
杉江 由紀【ライター推薦】

GENRE：HEAVY METAL
“フランス革命時代に斬首された者たちが現代日本に蘇った”というコンセプト掲げる
異色ガールズ・メタル・バンド 甘い断頭台の1stフル・アルバム
アントワネット断頭シーンを再現したパリ五輪演出には唖然としたが、日本人も“おフランス文化”にはそれなりの影響を受けていると言えようか。宝塚では幾度となく再演され、原作連載開始から半世紀を経て、劇場版“ベルサイユのばら”がこのたび公開となることを考えても、激動の物語は人心を魅了し続けているらしい。そして、2023年春に始動した甘い断頭台はまさに、“フランス革命時代に斬首された者達が現代の日本に蘇りガールズ・バンドを始める…!!”というコンセプトを掲げる異色メタル・バンド。“パンがなければお菓子を食べればいいじゃない”よろしく「不滅の花」で“靴がなければ／裸足で踊ればいいじゃない”と歌う様は実に気高く誇り高い。
杉江 由紀【ライター推薦】

GENRE：LOUDROCK
全身全霊の熱いライヴを届けるラウドロック・アイドル husky
個性豊かな5色の声色が輝く全5曲収録のミニ・アルバム
全身全霊の熱いライヴを届けるラウドロック・アイドル、husky。新年の幕開けを飾るミニ・アルバムには、ヘヴィなサウンドに乗せたアイドルらしいハツラツとした歌声が弾ける表題曲をはじめ、個性豊かな5色の声色が輝く全5曲が収録となる。特に「藍色」では、圧倒的な歌唱力でグループを引っ張るリーダー ちくわﾁｬﾝﾃﾞｽの魂の込もった歌声が炸裂。ライヴさながら真正面から突き刺さる気迫は圧巻だ。疾走感溢れる「僕にできること」はメロディも歌詞もグッとくる名曲だが、まっすぐに歌い上げるピュアさが楽曲をさらにエモーショナルに響かせる。神聖な空気感漂う「differentia」では、しぅくのいい意味で無機質な混じりけのない歌唱も映えている。リリース後にお披露目となるラスト1曲にも期待。
中尾 佳奈【ライター推薦】