【全曲解説】G-FREAK FACTORY『HAZE』
2024年08月27日 (火) 20:00
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全曲解説テキスト by 茂木 洋晃(Vo) 原田 季征(Gt)
1. YAMA
ベースを作ったのは数年前。いわゆる直線的な直球のミクスチャサウンドを作ろうから始まった曲だが、イメージ段階が見えてきたのは今回の収録曲で一番最後だった。モチーフさえ決まれば、さほど時間がかからないことが分かっていたので、スタイルや形をどう超えるかが課題で基準だと考えていた。明るくなくていい。狙ったものになるより年輪のように染み込んだものが少しでもリリックや歌で出せたらいい。良く録れたと思う。(茂木洋晃)
2. HARVEST
重く深く。そしてずしっとした基盤の上にライブを意識したダブ処理と言葉数を極限まで絞ることで得た透明感と浮遊した表現に、もの寂しげな現実から湧き上がる空間へと情緒が生まれた。弾き語りで始めた時から最後までイメージ通りの曲に仕上がった。シンプルを複雑に、複雑をシンプルに。意図したもの以上のパワーを制作しながら楽曲が勝手に次々と蓄えていった。ここに今まで世にない新鮮なG-FREAKワールドがまたできたと思う。(茂木洋晃)
3. voice
今回のアルバム新収録曲タームの中で、一番初めに着手したのが後にvoiceと命名したこの曲だった。いつかやってみたかった今の暮らしの空気を連れたアコースティックサウンドが入ったオルタネイティブ。軽さと重さを持ち合わせたトラックに対して歌は掠れと明るすぎない質感を大切に進めた。情報が交差して個人主義に寄ったガラスの壁だらけの世間で、俺はまだ時代の被害者たちの超えた声が聞こえる日を望んでいる。(茂木洋晃)
4. アメイロ
忙しさに感けて見過ごすことばかりだけど、この曲は当たり前のサイクルである朝と夜。それからそこに向かうイロを表現したかった。何気ないその景色の中に自分の状況やコンディションが計れることに気づいた。夕日に殺されそうになることも、コロナが明けるような朝日にも魅せられた。気候、情勢の変化やカラフルなのに無機質だったり、質素なのに粘着質だったりしてるものから目を離し、慣れていくこともまた悲しくもあるが人間の得意技。(茂木洋晃)
5. WHO UNCONTROL
この世は2通り。与えるものと与えられるもの。生まれるものと壊れていくもの。楽曲オケのように瞬間的に著しく変化する状況。淘汰されるスピードと慣れ。戦争や疫病などを逆手にとるビシネスが乗って、今となっては形振り構わずバランスを無視して我先にぶっちぎる者さえも出た。人間はもちろんフィジカル的なアップデートはできないが、庶民はどのように進化とやらに対応し共存していくのだろうか。ヒューマンエラーのこの先は果てしなく長い。(茂木洋晃)
6. RED EYE BLUES
決して良い時代とは誰も言えるはずがないリアリティの中をダブトラックと韻のマナーを守りながら、なるべく気だるくも高カロリーな雰囲気を淡々と表現することに専念した。このまま沈黙を続けて振り回されて終わるのはマッピラだから音楽という武器を用いて平和的暴力を詰め込もうと、触れるほどに新鮮さを増し研ぎ澄まされていく不思議な感覚が行き着いた場所。気づいたら俺にとってはぶっちぎりで次世代に伝えたい問題作が出来上がっていた。(茂木洋晃)
7. ある日の夕べ
もう人のために生きなくていいから自分のためだけに長く生きてほしいと言われたことがある。戻れない時間の中で、助け合って補い合えば一人前になれるから、ワガママを許し合ってもっとフランクに生きれたなら、少なくとも自分や周りの人の中の世界だけは如何様にも変わる。もしもの備えではなく、意図せぬ出来事に対応するべく覚悟の気持ちを綴った。『もしも?』ではなく『そうであっても』を示す曲にしたかった。(茂木洋晃)
8. STAY ON YOU
疫病も、AIも戦争も簡単に起こってしまう素晴らしき愉快な世界。皮肉は走りすぎてしまった代償に多くを失った。そしてコロナの休息は立ち返るのに十分な時間があった。片道の取捨選択。向かう先の方向性とスピード。それがゆえ、熟考の上に選んで決めて信じるという基本動作のポテンシャルを問われる。振り回されていることに気づいたことが進歩なのか。いや、それはもしかしたらとても不幸なのかもしれないとすら考える時がある。(茂木洋晃)
9. ALL FOR SMILE
自分の住むローカルが立ち向かう課題や取り組みの中で、向かい風の金融機関で働いている仲間からALL FOR SMILEという言葉をいただいた。なるほど書いてみたい。笑顔か。簡単そうで簡単ではない。何周したかは解りかねるが、彼らは金融機関に従事しながらも幸せの概念を一般に考える金銭的なリッチではなく、笑顔がもたらす裕福を推し進めている。俺の地元にも強い人たちがいたことを曲にしてみたくなった。(茂木洋晃)
10. Dandy Lion
花とて変わらない。タンポポの丸い綿毛のように一粒が空に溶けたら総崩れになってなってしまうほどのか弱いスクラムをまるで人間のコミュニティのように感じた。そして壊れてしまっても風に乗って落ちついた運命の場所で、次なる花に繋げていくことの儚さを表現することを試みた。黄色い肌と目まぐるしく経過しすぎた時間。場面や状況が変わってもそれでも強引にたてがみを立てて逞しく咲いて見せようとするサマにも力をもらった。(茂木洋晃)
11. Parallel Number
必然のようにこのタイミングで会った友達のプロサッカー選手に曲を贈りたい一心で着手。知ったつもりで解ってなかったことが少しずつ紐づいていく面白さ。多くの具体例を用いて進めるうちに自分へのメッセージにも似てきたので双方のリアルを擦り合わせた。似て非なるスポーツと音楽でも、利害を超えて同じ時代を生きた大切な仲間と感覚を擦り合わせることがとても自然で新鮮だった。宿命を踏まえた運命は必ず引き合うものだとも感じた。(茂木洋晃)
12. 巡-meguru-
四季がテーマのインストです。順番など悩みましたが、夏→秋→冬→春の順で季節の移り変わりを表現しています。楽器隊各々が季節に寄り添ったプレイやソロでイメージに近いかたちになりました。基本的に自由にプレイしましたがギターソロは10パターンくらい考えては壊しあのかたちになりました。最後のブレイク後は、長い冬からの雪解けと生命が動き出す春を表現しています。(原田季征)
G-FREAK FACTORY『HAZE』
GENRE:REGGAE ROCK, PUNK ROCK
自身の変化と変貌する
世の価値観を反映した革命の一枚
G-FREAK FACTORY、4年ぶりのアルバム。前作リリース後、コロナの流行でツアーは延期され、自身主催の“山人音楽祭”も中止。結成25周年を迎えた2022年にはメンバーの脱退と、様々なことがあった4年。世の価値観も大きく変貌するなか、移り変わる生活背景や心境を真正直な音楽と言葉で記した今作。25周年に発表した「Dandy Lion」、2023年にLeo(Dr)を迎えてリリースした「RED EYE BLUES」を含む、全12曲収録。パンク、レゲエ、フォークとあらゆるジャンルを消化した圧倒的スケール感を放つサウンドと、日々思うことや溢れる感情と痛烈なメッセージを込めたリリック。諦めず悲観せず、確信的に歌う茂木洋晃(Vo)の歌声は強く美しい。あなたの心に革命を。
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