【インタビュー】「ツインズ」古田新太

2015年10月15日 (木) 18:00

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インタビュー・文/まつざきみわこ
Photo/慎 芝賢
掲載・構成/月刊ローソンチケット編集部 10月15日号より転載

長塚×古田の強烈タッグが“事件”を巻き起こす!


古田新太と長塚圭史が新作芝居で10年ぶりにタッグを組む。2005年に上演されたパルコプロデュース「LAST SHOW」では、残酷かつファンタジックな世界観を描き出し、賛否両論で話題をさらった二人が、今回も観客の心をえぐる“感じ悪い芝居”を目指すという。今回、久しぶりに顔を合わせるきっかけとなったのは、古田のひと言だった。

古田:最近、おいらが出る作品の演出家は、新感線のいのうえひでのりを挟みつつの、蜷川(幸雄)さん、野田(秀樹)さん、ケラ(ケラリーノ・サンドロヴィッチ)さん、松尾(スズキ)さん、宮藤官九郎、河原雅彦のルーティンって感じで、決まった顔ぶれになってきている感じがして。だから、久しぶりに圭史とやりたいなと思って、“感じ悪い家族もの書けや”って注文したんです。実は痛快なお芝居って好きじゃなくて(笑)。圭史は最近、ヨーロッパの面白い戯曲をうまくやっているけれど、俺は10年前くらいの“クラッシャー”としての圭史の作品が好きだった。だから今回も、そういう賛否両論を巻き起こすような強烈なものにしてほしいと思っています。

物語の舞台は近未来。古田演じるハルキは、汚染され混沌とする世界で、娘のイラ(多部未華子)を守ろうと必死にもがく。が、海の傍で暮らす人々や兄・リュウゾウ(吉田鋼太郎)と関わるうちに、やがて人間の持つ残虐さや危うさが浮き彫りに……。

古田:家族の持つ空々しさみたいなものが見え隠れするといいと思っています。おいらと鋼太郎さんが演じる兄弟、多部ちゃんと俺との父娘、そしてりょうさん、中山祐一朗が演じる同居人――いろいろな人間関係で浮き彫りになる“密だけど空々しい”感じが出ると面白いなと思って。多部ちゃんは、非常にクレバーでクールな女優さん。鋼太郎さんは、よく芝居を観に行ったり、一緒に飲んだりはしているけど、共演は20年前のラジオドラマ以来かも。圭史がおいらと鋼太郎さんのツーショットを見たいんだって。朝ドラに出ている強面のおっさん2人が、兄弟役を演じますのでお楽しみに(笑)。

稽古の現場では、「面白くないところにはどんどん口を出す」という古田。さまざまな主張をぶつけ合いながらと一緒に作っていくのだという。

古田:10年前の『LAST SHOW』でも、共演の風間(杜夫)さんと“ここはいらないだろ”とか、がちゃがちゃ言いながら作っていったんです。芝居が2時間越えた時点で、おいらたちは帰るぞとかね。短い芝居推進委員会としては、2時間以内は死守させます(笑)。お客さんもそのほうがいいでしょ? 濃厚でさえあれば。おいらが“感じ悪い話にして”と言っても、できあがる作品は演出家それぞれ。圭史は物語を作ろうとするし、ケラはもっと極悪なものになるだろうし、宮藤はちゃぶ台を引っ繰り返した感じになるでしょ? だから今回は、圭史にしかできないオリジナル作品を書いてもらいたかった。ヨーロッパの作品もいいけど、今回はできれば日本ならではの“感じ悪さ”が欲しいですね。人間そのものの機微は共通していても、土地によって宗教観や道徳観が違うから。

前作では、そんな“濃厚さ”ゆえに賛否両論が巻き起こり、大きな話題となったが、今回も観客の心に爪あとを残す傑作になりそうな予感。

古田:お芝居はライブだから、ザッピングして見られるようなものではない。だとすれば、あらゆる感情がそこに乗っているほうがいいんじゃないかって。お客さんが途中退場したくなるくらい心を動かしたいなというのはある。客席にポツポツ穴は開くのに、連日立ち見が増えていくような、威力のあるものがやりたいですね。“すげえよかった”って言う人と“やめろよこんなの”と言う人、意見が真っ二つに割れるような作品がいい。“事件”にしたいですね。

プロフィール

フルタ アラタ
’65年、兵庫県出身。劇団☆新感線の看板役者として活躍する一方、多くの舞台作品に出演。NHK連続テレビ小説「あまちゃん」などテレビドラマや映画のほか、バラエティ番組でも活躍中


公演情報


PARCO PRODUCE『ツインズ』

作・演出:長塚圭史
出演:古田新太、多部未華子、りょう、
   石橋けい、葉山奨之、中山祐一朗、吉田鋼太郎

12/6[日]〜30[水] 東京・パルコ劇場
'16/1/6[水]〜11[月・祝] 大阪・森ノ宮ピロティホール
'16/1/16[土]・17[日] 北九州芸術劇場 大ホール
'16/1/23[土] 長岡市立劇場 大ホール
'16/1/30[土] まつもと市民芸術館 主ホール



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ローソン・ミニストップ・HMVにて配布

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