市村正親インタビュー NINAGAWA・マクベス/『スクルージ』〜クリスマス・キャロル〜

2015年08月19日 (水) 21:00

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40年以上にわたって日本演劇界の第一線に立ち、ミュージカルとストレートプレイの双方で多くの観客を魅了してきた市村正親。

今年も、毛色の異なる4本の舞台に出演。そのエネルギーは衰えるどころか、ますますみなぎっている。

そんな市村が、今年3本目の舞台として、この秋、17年ぶりに復活を遂げる「NINAGAWA・マクベス」で主演を務める。蜷川幸雄とはこれまでに、「ハムレット」「ペリクリーズ」「リチャード三世」で現場を共にしている市村。だが、今回のオファーはとりわけうれしかったと語る。

「次はマクベスをという気持ちはあったものの、僕にやれるわけがないとも思っていたんです。 だからお話をいただいたときは、『神様は分かっていらっしゃる!』と(笑)。

『NINAGAWA・マクベス』であることに、『マクベス』以上の喜びを感じます。だって伝説の舞台ですよ! 稽古場での蜷川さんは、いわば大きな花”。そんな蜷川さんの瞳を輝かせるように、 でも、あくまで気負わず、役に取り組んでいきたいです」

1980年に初演された同作は、時代を安土桃山に移し替え、仏壇を模したセットや桜を印象的に用いるなど、 蜷川が日本的な要素を盛り込んだ初めての作品だとも言われている。
そのアプローチは、海外公演でも高い評価を受けた。

「まず美しさ。そしてシェイクスピアの世界を、日本人である我々に近付け、人間の話として理解させよう とする蜷川さんの発想のすごさ。この舞台をシェイクスピアにも観せたいくらいです(笑)。

劇中で描かれる戦争、殺人、裏切り……。観客の方には、それらがいかにダメなことか、今の日本の危ない状況にも思いを馳せ ながら、ご覧いただけたらうれしいですね。人間は同じ過ちを繰り返す動物だということを肝に銘じて」

役づくりのポイントは、「意外性より、人間らしさ」なのだという。
「普通、マクベスというと悪”のイメージが強いけれど、蜷川版のマクベスはすべての感情を持っていて、 僕はそこから彼のいじらしさや切なさを感じるんです。『王になる』という魔女の予言を機に、自己矛盾や葛 藤を抱きながら、許されない行動を繰り返し、悲劇へと突き進んでいく。そんな人間らしいマクベスを演じられたら、蜷川さんもじっと見守っていてくれそうです」

ハードな舞台。それでも、「守り”に入るよりは 攻め”に向かいたい。なぜなら、お客さまは激しい人生を 観るために劇場にいらしているのだから」という言葉が胸に響く。

「NINAGAWA」の後には、すぐに「スクルージ」の再演が待っている。

「客席にはお子さまも多いんですよ。僕が演じるスクルージという、 ちょっと意地になって生きているおじいちゃん、つまり人生の大先輩が、クリスマス・イブのある出来事から 人生を見つめ直していく姿が描かれるんですが、それをじっと見つめてくれているような空気を感じます。ここは裏切りたくない。だから、人間の善悪すべてを表現しなければという気概で舞台に立っています」 「身体に無理なく、ギリギリのところで頑張るよ」と笑いつつ、名優は今日も全力で作品と向き合う。

●プロフィール
イチムラ マサチカ 劇団四季退団後もミュージカル、 ストレートプレイに多数出演する一方で、映像作品、ナレーションなどでも活躍。
最近の舞台に「それからのブンとフン」「ラブ・ネバー・ダイ」「ミス・サイゴン」 「モーツァルト!」「ラ・カージュ・オ・フォール」「ART」などがある。

インタビュー・文/大高由子
掲載・構成/月刊ローソンチケット編集部 8月15日号より転載

●作品
【NINAGAWA・マクベス】
演出:蜷川幸雄 作:W. シェイクスピア
出演:市村正親、田中裕子、橋本さとし、柳楽優弥、瑳川哲朗、吉田鋼太郎 他
9/7[月]〜10/3[土] 東京・Bunkamura シアターコクーン

【ミュージカル『スクルージ』〜クリスマス・キャロル〜】
原作:チャールズ・ディケンズ『クリスマス・キャロル』より 脚本・音楽・作詞:レスリー・ブリカッス
演出:井上尊晶
出演:市村正親、武田真治、笹本玲奈、田代万里生、香寿たつき、畠中 洋、安崎 求、今 陽子、今井清隆 他
12/4[金]〜15[火] 東京・赤坂ACTシアター

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