その1「ミュージカル」のススメ

2015年08月14日 (金) 19:45

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カゲヤマン(って誰だ?)がエンタメ初心者と自認する皆さんに向けてお贈りする、ゆるっゆるなコラム連載。 さあ、今日からあなたも【エンタメラバー】♪



「エンタメ」について考えてみた


「エンタメ」というと身近に感じると思いますが、「観劇」というと、敷居の高さのようなものを感じる方、少なくないですよね。

確かに、家のTVやDVDでドラマや映画を観るのと比べたら、ちょっと大変かもしれないです。事前にチケットを買わないといけないし、当日は会場に行かなければいけない。下手したら休みを取らないといけないかもしれないし、しかも舞台を観ている間は外界をシャットアウト。ソファーでだらりんと見ながらお菓子をポリポリ…なんてできるわけもない。そうした要素だけを考えると、実に面倒くさいことこの上ないかもしれません。

とはいえ、この敷居の高さのようなものは、「ライブ(コンサート)参戦」や「クラシック鑑賞」、「スポーツ観戦」や「イベント参加」など、エンタメ全てに通じることかもしれません。いえば、“未知の世界”への第一歩とでも言いましょうか。それをすること自体がとてつもなく大きなこと、ちょっと怖いことのように感じてしまいますよね。

気にはなるけど、踏み出せないままチケットを買うこともなく、気づけば興行は終わっている…なんてこと、ないですか?(私はそうです)

そんな不甲斐ない自分を肯定し、新たな世界を覗いてみたいという好奇心を押さえ込むための禁欲的な考え(「それを知らなくてもなんら生活に支障はない」「エンタメは贅沢品」)で自分を言い聞かせてみたり…なんてこと、ないですか?(私はそうです)

エンタメに重きを置いていなかったとしても、それは全くもって個人の自由。否定する気は毛頭ございません。

ですが!

この「なんら生活に支障はない」もの、角度を変えて見てみると「人生への影響」は半端ない。

エンタメによって心が豊かになったり、日々の生活に彩りが生まれちゃったりすることは否めない事実で、それが与える好影響は引いては身体にも影響し、生活にハリが生まれたり、気づけばイキイキワクワクと過ごせてしまうことも。思いがけず(もしくは忘れかけていた…)ドキドキやキュンキュンが生まれたり、人との意外なつながりや会話が生まれたり、気持ちが明るくなったり、笑顔が増えたり…と、副産物は計り知れません。

まあ、もちろん、前述しました通り、「エンタメがなくても俺は(私は)幸せだーーー!」と叫べてしまう方は、それでよいのです。それを心から、一点の曇りもなく思う方は、それで素敵なことだと思うので。ただ・・・せっかくそこにあるものなんだから、ちょっと覗いてみたり、掴まない手はないんじゃないかなーと。

間違いなく人生がプラスアルファで楽しくなりますから!
ということで、今回、早速ながら「観劇」ってこんなにフランクに楽しめちゃうんだよーという意味も込めて、観劇レポートをお送りします。

観劇のススメ
ミュージカル「エリザベート」に行ってみた


やってきたのは日比谷は帝国劇場。
この由緒正しい会場でおよそ3ヶ月に渡って上演されているミュージカル「エリザベート」のローソンチケット貸切公演(8/12)に行ってみた。



この「エリザベート」という演目は、1992年にオーストリア生まれのミュージカル。日本では1996年から宝塚歌劇団にて、そして2000年からは東宝で上演がスタート、現在までの上演回数は優に1000回を超えているほどの人気公演。特に今回は東宝版上演開始から15年目という節目の年ということで、出演陣だけでなく、舞台美術、衣裳も一新、新生『エリザベート』のお披露目となっていました。

でも、そんなことを何も知らなくても、全然楽しめちゃうのが本物のエンタメのスゴいところ。

歌舞伎なんかもそうですが、ミュージカルももちろん生演奏、マイクはあれど生歌の迫力たるやとにかくスゴい。舞台セットもハンパなくゴージャスで、それだけですっかりその世界観にハマれます。

家に見事なオーディオルームがあって、大きなスクリーン&見事な音響で見ることができたとしても、あの迫力にはかなうまい。なんたって、目の前(多少の距離はありますが…)で生で演技を披露してくれているわけですからね。そのスペシャル感だけでも「観劇」する価値があるわけです。

取り急ぎあらすじ。
<あらすじ>

19世紀末のウィーン。若き皇帝フランツ・ヨーゼフが我が妻にと選んだのは、自由な心と魂を持つシシィ(エリザベート)だった。
一目で惹かれ合い、固い絆で結ばれたかに見えた2人だったが、その愛はハプスブルク王朝の破滅への序章であった。

自由を愛するエリザベートにとって、宮延での暮らしは苦痛以外の何ものでもない。
姑の皇太后ゾフィーが取り仕切る宮延では、自身の子供を自ら養育することも叶わなかった。
ある日、自分の美貌が武器になることに気付いたエリザベートは、自らを完璧に磨きあげ、ハプスブルク帝国の皇后として栄華を極めていく。
エリザベートが念願としていた望みを叶えたのも束の間、彼女のまわりには、夫の不義、国民の誹謗中傷、愛する皇太子ルドルフの死と、常に不幸の影がつきまとう。
そして、それらの不幸とともに彼女の前に現れるのが黄泉の帝王“トート=死”。トートはエリザベートが少女の頃から彼女の愛を求め続け、彼女もいつしかその愛を意識するようになっていた。
しかし、その禁じられた愛を受け入れることは、自らの死を意味することであることも、エリザベートは知っていた。

滅亡への帳が下りる帝国と共に、エリザベートの“運命の日”は迫っていた…。

とこれだけを見ると、「昼メロ」を彷彿とさせるような、悲恋物語のように思いませんか。

そうなんです、実は敷居が高そうに見えるミュージカルの多くは、わかりやすく、しかも感情移入しやすい内容なんです。そこはエンタメですからね、やっぱり大衆を喜ばせてナンボなのです。

これだけでも安心して観られそうじゃないですか?(笑)

今回、この舞台を観るにあたり、事前に「殆どが歌で綴られていくから、内容を知っておいた方がわかりやすいかもしれない」と言われていたので結構ビビっていたのですが、なんのなんの!キャストの皆さんの滑舌のよさと歌のうまさのおかげで、歌詞がきっちりと聞き取れる。ストーリーを理解できないかも…という一抹の不安は一幕の初めで消えました。字幕を追うよりも逆に理解できたんじゃないかなーなんて思います。

栄華を極めたハプスブルク帝国を舞台にしていることもあり、衣装も小道具もとにかく豪華。最後のカーテンコールでもやっぱりその衣装に着替えていたけれども、エリザベートの挙式時に着ていたドレスの美しさといったらもう目が釘付け。女性として生まれたからには一度でいいからあんなドレスに袖を通してみたい!と思うハズ。「わが生涯に一片の悔いなし」状態になれること間違いなしだろうなあ…(モデルが違うため、仕上がり云々はこの際どうでもいい)。

ストーリー的なところで言うと、考えさせられることがたくさん。「自由」を求めて止まなかったエリザベートが向き合わざるを得なくなった「孤独」や、本当の意味の「強さ」について、他にも自分の強み(エリザベートの場合にはその美貌♪)を使って、いかにのし上がっていくのかなどなど。個人的にはエリザベートの男性の転がしっぷりが最高にタメになりました(笑)。

ミュージカルファンの方がこのレポートを見たら「は?なんて浅い…」とか「もっと伝えるとこあるでしょ!」と思うでしょうねー。非難の嵐必至(笑)。

でも、ちょっと身近になった気、しません??
そう思ってもらえただけでもいいかなーと思いつつ、今回はこの辺で。

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