Wednesday, October 28th 2009
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>>福士加代子選手が語る、走ることと音楽
「音楽のパワーが、脳に、身体に染み渡る時」
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「トラックの女王」と呼ばれ、数々の日本記録やアジア記録を塗り替えてきた福士加代子選手。陸上にそう詳しくない人でも、力強い走りと愛嬌ある笑顔には、きっと見覚えがあるはずだろう。中距離という過酷な種目にも関わらず、明るいキャラクターでもお馴染み。一体そのあふれ出るパワーはどこからくるのだろう。
福士選手はワコール女子陸上競技「スパークエンジェルス」に所属している。朝ご飯の前にはもう練習が始まり、昼間はワコールで業務に従事。夕方からは再び本格的な練習が待っている。そんな忙しい毎日を送る福士選手にとって、欠かせないのが音楽というパートナーだ。
「練習でジョギングしている時はたいてい音楽を聴いてます。あと練習に行く車の中、帰宅の時や出掛ける時、入浴中にも聴くのが好きですね。」
生活の中で音楽は常に自分の傍に存在するもの。時には音楽によってリリースされ、時には音楽によって自分自身を取り戻す。さまざまなシーンで心地よい刺激となっているのが福士選手にとっての音楽だ。お気に入りは、内田有紀、AI、コブクロ、ウルフルズ。
「勝負の前に聴きたくなるのはウルフルズの曲。ダイレクトにメッセージが伝わってくるのがいいし、元気になれる。AIは声も曲も全部好き。リズムよくいきたい時には聴いてます。」
世界の強豪と肩を並べ、国内のライバル達と闘い続ける福士選手にとって、レース前のモチベーションが結果を左右する。お気に入りの曲に耳を傾け、好きなフレーズを口ずさむひとときは、唯一緊張を和らげ、自分自身を乗せていく貴重な時間なのかもしれない。
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大好きな音楽。
しかし気分や体調によっては、どんなに好きな曲でも受け付けられない時もあるそうだ。それは、陸上という勝負の世界に生きる福士選手の過酷な状況を物語っている。トップアスリートとして活躍する輝かしい記録の裏側には、多くの苦悩や挫折もあったに違いない。五輪初出場で、悔し涙を流した2004年のアテネオリンピック。日本の第一人者として挑戦し、世界の高い壁に弾き返された2008年の北京オリンピック。それでも今思い出
と共に甦ってくるのは、アテネオリンピックのテーマソングだった、ゆずの「栄光の架け橋」だという。楽しかった思い出も、ちょっぴり苦い思い出も、そこに音楽があるからより鮮明に福士選手の心に刻まれているのだ。
「音楽は力をくれる。身体の奥の方からワァ〜っと込み上げてきて、勝手に身体が動いていく感じ。耳に届く言葉にメロディが加わり、脳に、身体に、染み渡っていくんです。」
鍛え抜かれた肉体に、さらに音楽のパワーが染み渡った福士選手というのは、もう無敵という気さえする。トラックの女王には、そんな秘薬があったのだ。躍動的な走りで他を圧倒し、はじけるような笑顔でゴールを切る福士選手。その瞬間、AIの熱唱にグルーヴするように、彼女はきっと最高にノリノリなのに違いない。
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