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hayato kaori 『Lindas』インタビュー 【2】

Tuesday, October 6th 2009

interview

hayato kaori



--- 『Lindas』は歌詞がとても可愛いですね。「もしもし」「すきすき」「ころころ」ちょっと言葉遊びみたいな感じで。

そうなんですよ、ブラジルって“音楽で遊ぶ”人たちなんですよね。まさにその『あなたはネコ』と『すきすきすキス』は原詞でも言葉遊びをしていて、その面白さを残して作詞したかったんです。

--- では他の曲についても少し。
ビートルズの『Here, There and Everywhere』はポルトガル語ですね。歌詞はhayatoさんが書かれたんですか?

いいえ、この歌詞でヒタ・リーが歌っているのを聴いて。『Lindas』のコンセプトは“日本語でブラジル音楽をやる”で、この曲は“ビートルズの曲を英語とポルトガル語で歌う”。今回の趣旨にも合っているので選曲しました。歌詞は直訳ではないんですが、うまく書かれていますね。例えば「Jururu」「Pra ChuChu」という言葉の響き。メロディがかわいらしくて甘い恋の歌だから、そのへんを大事にして言葉遊びをしたんだと思うんですが、それでもビートルズの原詞と全く違うことは歌っていないんです。

--- 他にはフランソワーズ・アルディでおなじみの曲も入っていますね。『あなたはネコ』。
Hayatoさんってちょっとネコっぽいですよね。

そうですか?でもネコ飼ってますよ(笑)。飼ってるからかもしれないですね。この曲はそのネコがモチーフにはなっているんですが・・・
男性でも女性でもネコのように気まぐれで人を魅了する人っているじゃないですか。そこにかけて詞を書きました。

--- 途中でセリフが入っていますね。

そうそう。そのセリフは日本語とポルトガル語と、ものすごいミックスしてます。わざとはっきり聴こえないように音量を調節して入れてありますが、実はここでもたくさん面白い言葉遊びをしてるんですよ。

--- サンディーの『watashi』はなつかしい曲ですね。この曲はご存知だったんですか?

ディレクターが「こういう曲ありますけど」って持ってきて。聴いてすぐ「歌う!」って決めた曲です。

--- この曲はBR6(=ブラジルのアカペラ・グループ)によるアレンジで、今回は共演もされていますね。ハーモニーから、ふわふわとシアワセな雰囲気をとても感じます。

これもまた不思議な話なんですが・・・音楽は共通語だってよく言いますけど、BR6には会うまで日本語詞の意味を説明していなかったのに、もう会う前から彼らはその意味を理解してた。マルセロという一番若い男の子がアレンジを担当したのですが、彼はこの曲のふわふわした、夢の中にいるような感じにというのをちゃんと理解してアレンジしてくれていました。

--- おなじみの名曲もたくさん登場する『Lindas』ですが、これはカヴァー・アルバムという位置づけでよろしいんですか?

「カヴァー」という言葉は今回はちょっとあてはまらないんです。今なんでも「カヴァー」っていう表現を使いますけど・・・どの曲も、あくまで私は“私の曲”として歌わせてもらったので、そういう意味ではまったく新しい曲。特にその曲を知らない人でも、ブラジルに全く詳しくない人でも、すっとなじめるような仕上がりになってると思います。
シンガーの男友達にこのアルバムを聴かせたんですが、「これ全然ブラジルものやないやんけ!」「どこがブラジルなん?!」といいながらもすごく気に入ってくれて。ブラジルのリズムを全く知らない人にしてみたら、ただ「楽しい」「心地いい」「聴きやすい」なんですよね。ちょっと懐かしさのある歌謡曲のような、日本の文化にもしっかりなじむ感じというか。そういう反応が凄く嬉しかった。

--- 難しい音楽知識も先入観なく音を聴いてくれる人の感想って逆に凄くリアルだし、信憑性がありますよね。
そういえば、日本では「ボサノヴァといえば夏」っていうイメージがどうしてもあるんですが・・・でも個人的には、ボサノヴァやブラジル音楽は秋に聴くのが好きなんです。じっくり聴けるし、ちょっとせつない感じも似合う。それこそ『秋桜』なんて秋に聴くのに本当にぴったりですし。

確かに。ブラジルは常夏ですけどね。
その「ボサノヴァといえば夏」とか、日本だけの不思議な価値観、変えて行きませんか?!
ボサノヴァはいつ聴いても、いいモノはいいんだよ!って。

--- 冬に聴いても温かいですしね。

そうそう。あと「ボサノヴァといえばカフェのBGM」っていうイメージもね。もちろん夏にも合いますしコーヒーにも合いますけど・・・もっと広がってみようよ!と。そもそも日本でのブラジル音楽の立ち位置が、なぜかサンバとボサノヴァだけ(笑)。MPBも全然知られていないですし。

--- 今回の詞はどちらで書かれたんですか?日本で?

そうですね。おおまかな部分は日本で書きました。ブラジルにはレコーディングするためだけに行ったという感じで、なにせ時間がなくて。だからブラジルのことを想って、想像力を働かせて書いた歌もあります。『もしもし』とかがそうですね。

--- 『渚のリズム』もブラジルの海の詞ですね。

『渚のリズム』は“サーファーに恋焦がれる主人公”の歌で、実は19歳くらいの頃に書いた詞なんです。富山の海辺で育って、父が海が好きでサーフィンもやっていたので、ブラジルではなかったけれど海に対するイマジネーションは昔からありましたね。
富山の実家は海のすぐ近くだったんですけど、そこは海岸から連峰がみえるという不思議な地形で、自然の多いところで育ちました。ブラジルにいたのは2年間だけ、すごく小さい頃だったんですよ。 だから中身は全然日本人です(笑)

--- 日本語とポルトガル語、どちらが素直に感情表現できるんですか?

日本語ですね。ポルトガル語よりも全然ボキャブラリが多いです。

--- お母様がミナスのご出身だそうですが、ミナスに行かれたことは?

そのブラジルにいた2年間はミナスジェライス州で生活しました。ミナスは海がなくて、山なんですよ。だから私のブラジルに対するイメージといえば「山」。それだけにリオに対しての憧れも強かったので、今回「リオってコレなんだ!」っていう強烈な感動があって。だから作詞をしている時も、実際にリオに住んでいる人たちよりも「気づき」が多いと思うんです。青い空、青い海、住んでたらそれが当たり前。むしろラッキーだったと思いますね、この歳までリオを知らなかったことは。
ほら、しあわせな人ほどしあわせに気づかなかったりするじゃないですか。逆に不幸だった人がしあわせになると「しあわせってコレなんだ!」っていう感動も大きい。それと同じ。

ミナスといえば・・・今、ミナスの音楽とファド(=ポルトガルの伝統歌謡)を勉強したくて。ファドはもちろん知ってはいたけど、自分の中でちゃんと解釈できていない未知なものなので、今後やってみたい。あとミナスの土着のリズムなんかも取り入れてみたいです。
夢は広がりますね。

--- ところでhayatoさんの『Lindas』と、マルコス・ヴァーリ&セルソ・フォンセカの新作『Pagina Central』。2つの作品に同じ曲が収録されているようですね。

『ワン・ナイト・サンバ』ですね。これは「宮田さん、コレ歌いたいんだけど」「まだ出てないから無理じゃない?」「え〜っ!でもやりたい!」って(笑)。で、本人に聞いてみたらOKが出たので歌いました。 “マルコスとセルソのアルバムが出る”そして“マルコスとセルソと一緒に音楽を作る”それも同じタイミングで・・・っていうところにもまた必然を感じました。

--- マルコスやセルソの曲を多く収録しているのは、やはり一緒にお仕事されたからなのですか?

えーっと・・・セルソの場合はまず『Slow Motion Bossa Nova』という曲をやりたい、どうせやるならセルソ本人と、という感じでお願いしました。
マルコスに関してはその逆で、「マルコスと一緒にやりたい」。ずっとマルコスのファンで、彼は私にとってのアイドルなんです。一緒にやれたら最高だと思っていて。それでまずマルコスに一緒にやりたいとお願いして、それからどの曲をやるか決めていった感じです。

--- ずっとファンだった人とやれるなんて凄いことですね。

そうなんです!夢ってかなうんだなぁって。たぶん夢って、思ったモン勝ちなんですよ。

--- hayatoさんご自身にきっと夢を叶える力があるんですね。

それ、遺伝みたいですよ。母が言ってました「私念力がすっごい強くて、すごい強く願うと何でも叶っていくのよ!だから『Lindas』もきっとうまくいくわよ」って。今、念力を送り中なんだと思います、富山から念力を(笑)

CDMarcos Valle & Celso Fonseca / Pagina Central
【hayato kaoriさん 最近のフェイヴァリット・アルバム】
『Lindas』にも参加しているお二人、マルコス・ヴァーリとセルソ・フォンセカによる共演作(2009)。ロマンティックなメロディ・センス、淡いサウダーヂ感・・・テーマはずばり「ボサノヴァ」。ゲストにアジムス、ジャキス・モレレンバウンら精鋭が名を連ねます。本作のM-2「Vim dizer que sim」は、『Lindas』収録の「One Night Samba」と同一曲。聴き比べてみても面白いかもしれません。
ちなみにhayato kaoriさんは、音源としてはすでに持っていて愛聴しているものの、CDの実物を見るのはこの取材当日が初めてとのこと。「ジャケットいいですね!60年代チックなデザイン。買お買おー♪」と相当な盛り上がりぶりでした。やはり実際にパッケージを手に取るというのは感動的なことのようです。

profile

hayato kaori 隼人加織:
日本人の父とブラジル人の母を持つハーフ。
2001年16歳の時にインディレーベルYEEPより“Orha(オルハ)”の名前でデビュー。得意のファルセット・ヴォイスを活かした独自の歌唱や自らが手掛けた等身大の詞による独自の世界観で注目を集めた。テレビCMやラジオDJとしても活躍する等、多彩ぶり発揮。
2008年、自らのアイデンティティであるブラジル/日本両方の血を融合し、あらゆるジャンルを消化した新たな音楽を目指し、本名の隼人加織としてアルバム『Pluma』でメジャーデビュー。
2009年10月、完全リオデジャネイロ録音による2nd『Lindas』をリリース。

誕生日:6月22日
星座:かに座
身長:151cm
血液型:B型
好きな音楽:アントニオ・カルロス・ジョビン、ベベウ・ジルベルト、レニーニ、Kaleido、Chara、BONNIE PINK、AIR、椎名林檎、SUPERCAR、ルーファス・ウェインライト、The Cardigans、等
(ビタミン剤:Bon Jovi)
好きな映画:岩井俊二作品
好きな作家:安部公房

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