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『山形スクリーム』 公開記念! 竹中直人監督 インタビュー

Tuesday, December 22nd 2009

竹中直人 Takenaka Naoto

竹中直人監督6作目となる最新作『山形スクリーム』は、コメディに多大な愛を込めて演じられて来た俳優・竹中直人氏がご自身が大好きなホラー映画の要素を含めて、監督した”怪力作”。連日蒸し暑く、ETC効果&夏休みゆえ?高速は大渋滞、花火大会に出向くのも、あまりの人混みに何を見に行ったのかわからず・・・「何か、疲れた」というあなた!涼しい映画館の中でこの作品を観れば、落ち武者と女子高生が戦うシーンで打ち上げ花火は見れますし、EXILEのAKIRA氏の庄内弁や井口昇氏の滑舌の悪さ、由紀さおり氏の「やめてけれ〜ゲバゲバ!」も聞けますし・・・マイコ氏のキレっぷりや「東京イエローページ」や「恋のバカンス」で使用されていたネタが見れたり、ビシバシステムの面々(ふせえり氏は出演されておりませんが)他、錚々たるメンツが揃いも揃ってぶっ壊れている様など、隅々まで観てもまだ、堪能出来ぬほどの、凝りに凝った演出が細部に渡り施されておりますので、観終わった後は、一種の清涼感とともに、エナジーが滋養供給されること・・・必至?!また、予告編の”予告編”には、竹中氏のとっておきの演出も控えておりますので、ぜひそのあたりも劇場で!そして、観覧後は叫びましょーう、「ものすげえおもしれえー」って。そして一緒に、ハーブでトリップ!また、竹中さんの”動画コメント”も頂いちゃったので、インタビューとあわせて是非! INTERVIEW and TEXT: 長澤玲美

監督っていうのはただ肩書きだけであって、映画を作るっていう意識は役者としてでも同じなんですよね。

--- さっそくなのですが・・・本日はどうぞよろしくお願い致します。

よろしくお願いします。

--- 6作目の監督作となる『山形スクリーム』、最高にたのしく拝見させて頂きました。

あ、よかった、よかった(笑)。

--- 以前から「本気でバカバカしい映画を作りたい!」という思いがあったそうですが、完成された作品をご自身で拝見されて、改めてどうお感じですか?

完成するとね、自分でもわかんなくなっちゃうんですよ。あとは人の評価しかないじゃないですか?自分で観るともう、不安しかないですね。作って出来上がる瞬間までが自分のもので、出来上がっちゃうと、「これ、大丈夫なのかな」っていう感じなんですよね。最初の観客が自分にとってはスタッフとキャストなので、例えば、この映画を観た成海璃子ちゃんが「愛のある映画だった」っていうことを言ってくれた時には、「ああ、じゃあ、大丈夫なのかもしれない」っていうのは思いましたけどね。そういうところで自分で認識出来るっていうか。あとは本当に、自分で出来上がったのを観るのは、(作品が)いいんだか悪いんだかわかんないですよ。作ってる時は、「俺がよおー」っていう感じで撮ってますけど(笑)。

--- (笑)。それは毎回、どんな作品を撮られていてもそうですか?

やっぱり、そうなっちゃうんじゃないかなあ、「俺がよおー」ってな感じで(笑)。でももちろん、いろんな人に気は遣いますから、「俺がよおー」ってばっかり言ってるわけではないですけど。

--- 今まで監督をされた作品は、コメディとは真逆のタイプのものばかりだったと思うんですが、ここまで引っ張ったのには何か、溜めてきたものがあったんですか?

自然の流れっていうか、僕はあんまり自分の人生計算したことないので。ノリ一発でしか生きて来なかったから、たまたまこういう形になっただけだと思うんですけど、この作品の宣伝をしてる時に「ああ、そう言えばそうだったな」ってふと思い出したのは、僕が33歳の時、20年前ですけど、松竹の元プロデューサーの奥山和由さんが制作した『226』という、五社英雄監督の映画に出て、その時に奥山さんと食事する機会があって、映画の話しばかりしてたんですね。そうすると奥山さんが「じゃあ、1億出してやるか」って仰って、その時に瞬間的に思ったのは、僕、ホラーが大好きだったから、「ホラーコメディ作りたいな」って思ったんですよね。それはこじつけてるわけじゃなくて、間違いなく思ったことで。だから、「撮るべくして撮った」、「やっとここに来た」っていう感じでしたね。

だからその当時、自分でホラーコメディの(台)本とか書き進めてたんだけど、でたらめになり過ぎちゃって、「ちょっとこれはなあ・・・」っていうような感じになったから、「学生時代から大好きだった、つげ(義春)さんの世界、「無能の人」をやりたいです」っていう流れになったのが1作目なんですよね。

--- 落ち武者と女子高生というアイデアはふとした瞬間に生まれたんですか?

ですね。「女子高生を主人公に何かおもしろいことをやっていこう・・・怖いものを作りたい」っていうところからプロデューサーと話しが始まって、で、やっぱり、「山の中に迷い込んで落ち武者に襲われるっていうのが基本がいいですよね」なんていう流れになっていったんですよね。

--- 登場するキャラクターがすごく強烈で、個性的でおもしろかったのですが・・・。

ありがとうございます。かたじけない(笑)。

--- 先生らしくない先生、村長らしくない村長、健康志向っぽくない健康志向の人など、既存のあるイメージと逆のものが多いですよね?監督らしくない監督ということを意識されては?(笑)。

監督してる時は意識してなかったかなあ。でも、自分も映画に出てるから、その衣装を着たまま演出してたりする時もあるんで・・・ゾンビのメイクしたまま、「本番!」って言ってたりしたこともありましたけど、狙いっていうとちょっとオーバーかな・・・自分で「たのしいな」って思ったことでは、マイコ(勝海子役)みたいな、「あんなきれいな人がまさか、こういうことをやるわけないだろう」っていうような、自分の中でのそういうズラシ方は思ってましたね。「マイコがきっと、こういうことやったら絶対おもしろい」、「EXILEのAKIRAがアホの三太郎(与藻須賀三太郎役)をやったら・・・」とか。みんなだいたい、一般的に固まってるイメージがありますよね?それが「180度変わってる」っていうのが自分の中で「そうしたい」っていうのがあったから。でも、AKIRAもそういうバカみたいなことをテンション高く演じてくれたので、それがおちゃらけてやってるんじゃなくて、結構本気でやってくれてるんで、そうじゃないと嫌味になってしまうし・・・非常にコメディセンスがありましたね、2人とも。

あとは、生瀬(勝久)くんかな。蝦蟇且茂治郎(がまかつしげじろう)っていう村長はもう、生瀬くんしかいないって思って・・・で、鼻付けたり、ハゲにしたり(笑)。(あの大きな鼻は、「鉄腕アトム」のお茶の水博士や「火の鳥」の猿田彦らを生み出した手塚治虫氏へのオマージュだそうです)。「ハデな着物を用意して下さい」って、頼んだりもしましたね。

基本的には、ズラしてやりたかったなあ。とにかく、(成海)璃子ちゃん(岡垣内美香代役)が中心に決まっていたので、彼女には、「家庭の問題を1つ作っておきたい」っていうのがあったんですよね。脚本家と話してて、「母親を失くしたっていう設定から始めましょう」っていうところから始まって、お父さん(岡垣内今朝明役で岩松了)の再婚相手で普通の人が出て来たら、「絶対嫌だな」って思って・・・何か生々しくなっちゃうんで(笑)。だから、そこはすぐ、「クリスタル・ケイだ!」って思って(笑)。ブラジル人っていう設定で、クリスタル・ケイ(ケイシー・千尋・セバスチャン役)しか考えられなかったんで、「断られたらどうしよう」って思ってたんですけど、OKだったんでうれしかったですね。彼女もこの映画観てくれて、「この映画に参加出来て、本当にうれしかった。Carrot soup!」って言ってくれたんで(笑)、それはね、本当にうれしかったんですよね。

--- 竹中さんにとってのお笑いの哲学というのは、そういうズレだったりするんですか?

そうですね。狙ってるわけじゃないんだけど、何となく直感的にぱっと思った人ですね。あとは、こういう作品に関しては、“即興演出”ってすごく大事だと思うから、現場で思い付いたことを突然、みんなに伝えてやってもらったりもしましたね。だから、マイコの「チンスコウ!」なんていうあの叫びも、「うぉー」って叫ぶだけじゃつまんないなって思って、「チンスコウ!」・・・「これだ!」って思って、「チンスコウ!って、こういう感じで」って言ったら、「それ、おもしろいですね」って喜んでやってくれて。マイコは声が独特で、あの声が何とも言えないんで。

(成海)璃子ちゃんが中心になって、最終的に少女が成長するような印象のものになればいいなっていうものがあったので、璃子ちゃんが核としてしっかり存在してくれたから。璃子ちゃんまでふざけちゃうとね、この映画が崩れてしまうので。まあでも、かなり叫んでもらったりはしましたけどね(笑)。

--- 先ほど、「衣装を付けながら監督もされていた」というお話しをされていましたが、俳優として出演されて、監督として演出もされて、気持ちの切り替えというのはどのようにされているんですか?視点が変わることで、混乱されたりはしませんか?

それはないんですよね。基本的に何も考えてないっていう・・・ノリ一発なので。でもそれはよく聞かれるんですけど、監督っていうのはただ肩書きだけであって、映画を作るっていう意識は役者としてでも同じなんですよね。それに、こういう役ですしね(笑)。みんなのリズムを作ってるような役ですから。でも最初は「僕、出たくない」って言ったんです、今回は。だけどみんなが「それはないだろう」っていうことで(笑)。「じゃあ、思い切って2役(山崎田内左衛門&今ラブイズオーバー薔薇男役)やっちゃいますか」って。何人かは「混乱するんじゃないか」って言ってたんですけど、「大丈夫、大丈夫」って言ってやっちゃいましたね。

--- 本当の最初は、監督だけに専念されるつもりで?

「専念する」ってちょっと照れるんですけど、とにかくテンションの高い映画にしたかったので、登場人物も非常に多いし、そこに自分が出て来ると疲れちゃうんですよね(笑)。ああ・・・思い出してみるとやっぱり、めんどくさかったなあ、自分が出たのは(笑)。朝から撮影なのに、みんなより早く現場に入って、特殊メイクして行かなきゃいけないから、「もーう、めんどくせえなあ」って(笑)。連日朝までみたいな撮影が続いてて・・・でもそれはまたそれでたのしいことだから。大変だったことって全部、いい思い出になっちゃうんで大丈夫だったんですけど。

映される側と映す側っていうポジションが変わるだけで、モニターとか現場に付けるの嫌いなので、やっぱり、カメラの向こうで見ていたいから。全員がモニターに被り付いちゃうのって、何となく僕、そういうのがダメなんですよ。アナログ志向ってこだわってるわけじゃないんですけど、今回CGがあったから、ちっちゃいモニター付けて、CGチームと位置関係とかバランス取らなきゃいけないから見たりはしてましたけど、基本的にはモニターが苦手なので、生で役者の芝居を見ていたいし。だから、自分の芝居をチェックする時は、「今ので大丈夫だよね?」って周りに聞くんですよ(笑)。「大丈夫だと思う人?」って手挙げてもらって(笑)。「じゃあ、オッケイ、オッケイ」とかって。「じゃあ、次行きましょう!」って自分で自分の芝居にこだわりだして・・・最悪ですけどね(笑)。

--- EXILEのAKIRAさんの演技が吹っ切れてて最高でした。ちょっと、竹中さんの演技を継承してるんじゃないかなって思ったんですけど(笑)、指導をされたんですか?

指導っていうか、AKIRAが喜んでくれるっていうか、本当にいい奴っていうか(笑)。この映画終わってから、すごい仲良くなっちゃって会いたくなるんですよ。だからよく、時間がある時は2人で会って、お酒飲んだりしてますね。でも全然、EXILEっていう感じじゃないんですよね(笑)。

AKIRAは「最近、役者やってる」って聞いてて、写真とか見てて、「うーん、こいつが僕がイメージしてるアホの三太郎やったら最高だろうな」って思ってて、(璃子ちゃん演じる)美香代が(AKIRA演じる)三太郎の部屋に来て、“そうめんぷしぷし”を食べて・・・っていう話しがやりたかったですけど、その時にAKIRAが駒を持って、「自分の会話の節々に、「駒・・・駒・・・」っていうのを入れてくれるかな?」って言って、で、最後に駒回して、「だめだあー、緊張しちまって・・・」っていう(笑)。

あれはその場で付けたやつだったんですけど、タイミングがいいんですよねえ。話しながら、「駒・・・」って言うのが。すごい何て言うんだろう・・・「AKIRAって繊細だな」って思いましたね。おもしろかったなあ、あれは最高でしたね。繊細じゃないと、ああいう微妙なところに差し込むことって出来なかったと思いますね。なーんつって(笑)・・・わかんないけど。

--- 映画の舞台が山形で、“御釈ヶ部村”っていう名前ももちろんそうなんですけど、出てくるキャラクターの名前が独特で奇抜です(笑)。いろいろなこだわりがあると思うんですが、どういうイメージが膨らんで出て来たりするんですか?

大して膨らんでないです(笑)。僕の高校時代の同級生の名前だったりするんですよ、(沢村一樹演じる)葛貫(つづらぬき)とか。岡垣内(おかがいと)っていうのもそうだし。「岡垣内(おかがいと)って、音的におもしろいから入れよう」とかそういう感じなんですよね。あとは、(紗綾演じる)敏酒圭(びんしゅけい)とか、だいたい圭って呼ばれてますけど、パンフレットとかになった時にたのしいかなって思って(笑)。敏酒っていうのも、高校時代の友達で。(桐谷美玲演じる)鏑木宙子(かぶらぎちゅうこ)の鏑木も、そうだし。高校時代の友達の名前、いっぱい付けましたね。瓜瓦(うりがわら)っていうのは、最初から井口(昇)をイメージして。今回の名前は、「瓜瓦眉執(うりがわらびしゅう)にしよう」って使ってましたね。(生瀬勝久演じる)蝦蟇且(がまかつ)っていうのは、僕が好きな名前で、それで舞台とかでよく使ってるんですけど(笑)、だいたい思い付きで付けちゃいましたね。

--- 井口昇さんのお話しをさせて頂きたいんですが、すごく滑舌が悪い方ですよね?(笑)。その井口さん演じる、瓜瓦(うりがわら)のナレーションから始まりますが・・・あれは狙って?

ですね。最初ね、オープニングは時代劇から始まるはずだったんですけど、「ちょっと重いな・・・」って思って、「バスとカットをシーンバックしちゃった方がいいや」ってことを思い付いて、編集の時に、いきなり井口(昇)に電話して、「ごめん・・・ちょっと突然で申し訳ないんだけど、井口、今からナレーション録れる時間ある?」って頼んだら、すぐ駆けつけてくれて。僕は何かね、変な言い方ですけど、あんまり芝居の上手い人とか基本的に苦手なんで・・・あの滑舌の悪さが僕にとっては魅力的で。「やっぱり、上手いねえ」とか「味があるねえ」っていう表現は、役者に対して嫌いなんですよ。何かね、やっぱりズレてるっていうのが基本的に好きなのかもしれないですね。井口の映り方っていうか、普段はすごいまじめな奴ですから。まあ、みんなそうだと思うんですけど(笑)。役者だとおもしろいんだもん、井口、大好きなんですよね。

--- 既に、何かのキャラクターっぽいですよね?

そうですよね。衣装さんと衣装の相談をしてて、「どういう衣装にしようか?」ってなった時に、村のセットとかはあんまり変えられないんで、「村の住人達はおもしろくしたいな」って思って、衣装さんは元からちょっと独特な人なんで、おもしろい衣装を用意してくれましたからね。三太郎も、3種類くらい衣装があったんですけど、もうあの服がね、衣装合わせやった時にAKIRAがそれで出てきて、(ものまねをしながら)「俺はアホの三太郎だあ〜」みたいな感じでやってもらったんですけど、もう完璧だったんですよ。「うー、完璧だ、もうこの衣装でいきましょう」って。

--- あんな村にあんな格好した人達がいるっていうのも、たくさんの違和感とユーモアを含めて、すごく豊かでした。

ありがとうございます。愛する人物ですよね、みんなね。神戸浩(山田役)なんか、スケジュールがなくてね、忙しくて。だから、火に突っ込んだんですよ、自分から(笑)。(ものまねをしながら)「あちーい、ものすげえあちーい」って。最初、スタンドの人が火に実際に突っ込んでくれるって言ったんだけど、本格的になり過ぎちゃうから、「カメラ前に飛んでくるだけでいいです」って。

--- 「ものすげえあちーい」と「ものすげえ痛てえ」がありますよね?(笑)。

はい、ありますね。「やめて、止めて、やめて、止めて」も「ぎょい(御意)、ぎょい(御意)」もあるし、いろいろ(笑)。

--- 言葉でも、思わず笑ってしまうところがたくさんありました。

変な言葉もいっぱい入れたかったんで。「ぎょい(御意)」も突然思い付いたんですよね。ゾンビになって、「うぉー」だけじゃつまんないなあ・・・って思ってて、で、思い付いて、「「ぎょい(御意)」って言って見て下さい」って言って、指揮しながらやってましたね。それが結構たのしかったですね。

--- DVDのメイキングの時には、その指揮の風景もぜひ、入れて頂けたらうれしいです(笑)。映画ファンにとって、『死霊のはらわた』や『シャイニング』、『ブレードランナー』など、本当に要所要所に笑わせてくれるところがたくさんあったんですけど、竹中さん自身、「絶対これだけは入れてやる!」って思っていたものっていうのはあるんですか?

まあ、全部なんですけど、「絶対、何があっても」っていうのは、現場で入れたんですけど、『ブレードランナー』の「2つで充分ですよ、かんべんしてくださいよ」ってセリフですね。(うどん屋の日本人おじさんが口にする有名なセリフの引用です)あれは、(竹中組には欠かせない!)照明の安河内(央之)さんがやって下さったんですよね、あの役を。既成の役者がやるより、絶対そっちの方がいいので。何回もNG出したんですけどね、なかなか上手く言えなくて。

あと、どうしてもやりたかったのは、『SF/ボディ・スナッチャー』のドナルド・サザーランドの(ものまねをしながら)「うぉー」ってやつですね。それはやりたかったです。温水(洋一)(温水洋一役)にやってもらいたかったし。

あとはそうだなあ・・・コンビニがどうしても出てきてしまうから、落ち武者が日常的になり過ぎちゃうんですよね。それが嫌で、『シャイニング』のテーマをはめてみたら、コンビニのシーンは軽いんだけど意外に重量感が出て、それでほっとして。沢村(一樹)さんのテーマっていうか、葛貫のテーマ・・・『バリー・リンドン』のサントラもすごく大好きだったんで、それを仮に沢村さんの登場シーンにはめてみたらぴったりだったんで、「これ、葛貫のテーマ」にしようって、ずいぶん前から決めてたんですよね、イメージとしては。でもあれ、クラシックのヘンデルの曲(「第4番 組曲ニ短調」)なんですけど、この前『剣岳(点の記)』観に行ったら、同じ曲使われてたから、「わあ、ショック!」って思って(笑)・・・ちょっとあせっちゃった。

--- (笑)。今のお話しにあった、葛貫忠経役の沢村一樹さんには、控えめなお芝居をして頂くように演出されたんですよね?

雰囲気的には沢村(一樹)さんはね、僕の勝手な解釈かもしれないですけど、ジェレミー・アイアンズのつもりで撮ってたんですよね。葛貫と光笛の関係があんまり軽くなり過ぎちゃうと、最後に出会った時に、800年の時を超えてやっと2人が出会うっていうのも自分の中で盛り上がりの部分だったんですよ。ミイラから実像になって、光笛が見えるっていうのをやりたかったので、あんまり沢村さんがふざけてしまうとそれが崩れてしまうので、沢村さんと光笛っていうのは、ファンタジー的な扱いでやりましたね。

殺戮シーンも、台本の中では結構、沢村さんも一緒になってやるっていうのがあったんですけど、辞めたんですよ、軽くなっちゃうんで。でも、人を斬るシーンはないと緊張感が出ないから、代わりに、(石橋)蓮司(伊藤丹波成田定役)さんにはだいぶ、血しぶきとか出してもらったりして。でも、沢村さんは優しさを持った人にしたいっていうのがあったから、ミミズも出しましたしね(笑)。「ミミズだけは苦手」っていうのだけ、かわいいかなって思って(笑)。それは2回出したんですよ、葛貫の人の良さを出してるっていうことをやりたかったので。

--- 現場で、即興だとかアドリブが加えられたというお話しですけど、みなさん、柔軟に受け入れられたんですか?

ですね。みんな「それはおもしろい」って常に言ってくれて、すぐつかんじゃうって感じでしたね。この映画、途中で歌も入れたりしてたんですけど、その歌もその場で作って伝えてましたから。みんなその場で聴きながら(笑)。六平(直政)(ムトゥ役)さんとかも「へえ?」とか言いながらも、「おいらを呼ぶのは誰だ〜♪」とかって言ってましたね(笑)。あれ、かわいいんだよなあ・・・。

--- そろそろお時間のようですので、最後の質問をさせて頂きますね。次は、どんなジャンルの映画を撮りたいと思われていますか?

これはねえ、『山形スクリーム2』でね・・・。

--- 『山形スクリーム2』を・・・(笑)。

宇宙人と女子高生が戦うっていう(笑)。

--- シリーズもので(笑)。

地球が静止する日』みたく・・・キアヌ・リーブスのやってた役を本木雅弘にやってもらって。今度はSFのパロディを、みんなが宇宙人になっちゃうっていう。みんな、バルタン星人になっちゃうみたいな(笑)。

--- たのしみにしております(笑)。 本日はありがとうございました。

ありがとうございました。

竹中直人監督から動画コメントも到着!

『山形スクリーム』 8月1日より公開中!全国順次!

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