辺境ビーツの最前線を見た。

Thursday, March 19th 2009

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―――「今年これ以上に素晴らしい作品が出てくるとは思えない。」
ジャイルス・ピーターソンをしてそう言わしめた究極の1枚がコレ。

Sly & RobbieとAmp Fiddlerによる第1弾、続くHorace AndyとAshley Beedleの第2弾。この2作でリスナーを魅了し「シリーズ買い必至」の企画となりつつある、Strut Recordsの"Inspiration information"シリーズ。

注目の第3弾は、エチオピアのMulatu Astatkeとエクスペリメンタル・ファンク・バンドThe Heliocentricsとの鬼才どうしの激濃にして奇跡的なコラボレーション。

まず、今回の1組めの主人公。
スゥインギンなアドリブを多用した60年代ジャズを、伝統的なエチオピアのメロディーと融合させた唯一無二のエチオピアン・ジャズ、エチオピアン・グルーヴの創始者Mulatu Astatke。エチオピアが誇るマルチ楽器奏者でもある。
1972年の『Mulatu Of Ethiopia』や『Ethiopiques』シリーズ、そしてJim Jarmusch『Broken Flowers』サントラといった彼のアナログ盤は、現在市場で高値取引されていることでもおなじみ。

そして、偉大なる名匠を待ち受けるのは･･･
世界屈指のファンク愛好家としても名高いドラマーMalcom Catto率いるThe Heliocentrics。
サン・ラ、ジェームズ･ブラウン、David Axelrodとジャンルレスな影響のもと自由な思想を持つ集合体。ファンク、サイケ、フリージャズ、ヒップホップ、エレクトロニカ、ブレイクビーツの全てを呑み込んだ強烈な『Out There』(2007)でリスナー の度肝を抜いたことは記憶に新しい。

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さて、The Heliocentricsが多大なる影響を受けたMulatu Astatkeと夢のコラボ、という形で満を持しての今回のリリース。
単なるデータのやりとりではなく、実際に二者がスタジオに5日間こもり、レコーディング〜セッション終了から3ヶ月以内にリリース･･･という"Inspiration Information"シリーズのコンセプトに従って制作されたとのこと。


幻想的なピアノのイントロ、民族的なコーラスで幕開け、ファットなブレイクビーツに流麗な鍵盤の調べが加わるジャズ/ブレイクビーツ。
ホーンと土着なリズムに身体が揺れる
深く浸透するブレイクビートと管楽器のアグレッシヴなセッション
古のアフリカの大地と情景が浮かぶ妖艶なホーンが印象的
ゆっくりとしたナイルの川の流れのように数千年も変わることなく流れるメロディー
エチオピアン・ダンサー！
砂漠を駱駝が歩く姿が目前に広がるようなトラック
変則的なブレイクビーツ上でMulatuが縦横無尽に響かせる
野太いドラムにアジアなテイストも感じさせるジャズ・ピアノが心地よく転がる
静まりかえった闇夜の宮殿に現れるパンサーの亡霊
躍動感溢れるエチオピアン・フォークxブレイクビーツ
静寂から一転、燃えたぎる炎のようにアツいド・ファンクが炸裂
回想のメロディー
まさに鬼才コラボ、Sun Raもビックリなフリー・ジャズ

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