Augustus Pabloをご存知ないという方に、少し説明を。本名をHorace SwabyというThin Man。1954年6月21日生まれ(1953年説あり)。それまでは学習用の楽器であると考えられていたメロディカを本格的に音楽に取り入れた、おそらくは最初の人物であります。キングストンの人気ディスコDJでもあり、アクエリアス・レコーズのオーナーでもあった、Herman Chin-Loy(ハーマン・チン・ロイ)に、様々な演奏者に神秘性を持たせる時にいつも使っていた不特定多数な芸名「Augustus Pablo」を頂戴し、72年のシングル・ヒット「Java」、74年、Randy's Studio録音『This Is Augustus Pablo』といった素晴らしい名演を残します。中でも、「Far East Sound」と形容される、ジャマイカの狂熱とアジアの郷愁とを融合させた78年の最高芸術『East of the River Nile』では、その後彼の代名詞ともなるメロディカとレゲエ・サウンドとの相性の良さを広く知らしめました。音楽プロデューサーとしても辣腕ぶりを揮い、「ロッカーズ・インターナショナル」の他にも、「ホット・スタッフ」、「メッセージ」といったレーベルを立ち上げ、知名度の高いインスト曲をリリースし続けました。Pabloは、肺の虚脱が原因となり、キングストンのユニバーシティ・ホスピタルで99年5月18日午後、この世を去りました。晩年は、数度にわたる重症筋無力症に苦しんでいたそうです。
前述の『King Tubbys Meets Rockers Uptown』に加え、メロディカが心地良くも刺激的に脳内を貫通する『King David's Melody』。そして、天才ラスタ・シンガー、Jacob MillerがInner Cirleへ参加する前の1974年に吹き込んだ『Who Say Jah No Dread』、10歳そこそこでAugustus Pabloに見出されて、83年に21歳の若さで暴漢の銃弾に倒れ、不慮の死を遂げたHugh Mundellが、77年に満を持して発表した名作の誉れ高い1stアルバム『Africa Must Be Free By 1983』(当時16歳)。このあたりが、ロッカーズ作品群の中でも一般的な代表作と言えるでしょう。
閑話休題。今回日本のP-Vineよりリリースされる『Mystic World Of Augustus Pablo: The Rockers Story』は、このロッカーズ・プロダクションのクラシック&レア音源を、4CDベスト+DVDというこれ以上ないヴォリュームでボックス化したもので、先にリリースされていたUS盤に続く待望の国内盤なのです。
傑作『East Of The River Nile』と並ぶクラシック中のクラシック。かのエイドリアン・シャーウッドをして「20世紀後期において最も重要かつ影響力のあるミュージシャンのひとり」とまで言わしめた天才クリエイター、オーガスタス・パブロ。本作は、キング・タビーとの親交を深めながらジャマイカ音楽史上に残る多くの瞠目すべき作品を続々とプロデュースしていた彼の絶頂期である、70年代中頃から82年にかけてのインスト・シングルをコレクションした1983年リリースの作品集。
4 Augustus Pablo 『Rockers Meets King Tubbys In A Fire House』
パブロ率いる最強アーティスト軍団=ロッカーズが、キング・タビー&プリンス・ジャミーの師弟エンジニア・コンビと共に作り上げた、『King Tubby Meets Rockers Uptown』の続編アルバムにボーナス・トラックをプラスしたもの。名曲「Selassie T Dub」は、『East Of The River Nile』収録の「Chant To King Sellasie」のダブで、この曲にのみメロディカが入っている。
天才シンガー、Jacob MillerがInner Cirle加入前に発表した作品。プロデュースは勿論オーガスタス・パブロ、ミックスはキング・タビー。録音は1975年前後。これを聴かずしてルーツ・ロックは語れない。「Keep On Knocking」、「Baby I Love You So」、「Who Say Jah No Dread」など大ヒット曲満載。
「International Rockers」の歌唱で一躍全国区となった、パブロの愛弟子にして、ロッカーズ・プロダクションきっての美声シンガー、デルロイ・ウィリアムスの84年作。「Fox's Hole」は、『Rockes Meets King Tubbys In A Fire House』収録の「Son Of Jah Dub」に歌を乗せたもの。