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FPM ロング・インタビュー!

Wednesday, February 7th 2007

☆『FPMB: Fantastic Plastic Machine Best』発売記念インタビュー!



 

Interview with Fantastic Plastic Machine




まずは今回のベスト盤リリースに至った経緯を教えてください。

Fantastic Plastic Machine(以下:FPM): 97年に小西康陽さんのレーベルからデビューして2枚のアルバムをリリース後、現在のレーベルに移籍しました。今回のベスト盤には、移籍後リリースしたオリジナル盤3枚やリニューアル盤(リミックス盤)からの選曲をメインに、未発表バージョンの曲も収録しています。

なかでも、以前ルイ・ヴィトンと村上隆さんのコラボによるアニメーション「Superflat MONOGRAM」の音楽を手がけた時の楽曲(「Different Colors」)の進化型収録が初めて許諾され、晴れて正式に新曲として収録することができました。




今回のベスト盤は全30曲が「GOLD SIDE」「BLACK SIDE」の2枚に分かれて収録されていますが、それぞれのカラーの違いはなんでしょうか。

FPM: 読んで想像していただく通りなんですけども、「GOLD SIDE」はポジティブで昼間っぽい雰囲気の楽曲を、「BLACK SIDE」はその反対で、ネガティブなリリックだったり、夜っぽい、ダンスフロアっぽいイメージの曲という感じになっています。




Fantastic Plastic Machine 
『FPMB: Fantastic Plastic Machine Best』

Disc 1 - Gold Side
01.Why Not? feat. Ryohei Yamamoto
02.City Lights feat. Seth Timbs (Fluid Ounces)
03.Never Ever (Extra Vocal Mix) feat. Maki Takamiya
04.Paparuwa
05.One Minute of Love
06.Different Colors
07.Fanfare feat. TAHITI 80
08.You
09.Don't You Know? feat. CLAZZIQUAI PROJECT
10.Whistle Song
11.Tell Me (Bossa Version)
12.I'm Still A Simple Man (Performed by Hirth Martinez)
13.God Save the Mona Lisa (Performed by Roberto Menescal & Carlos Lyra)
14.すべてをゆらして(On A Chair) feat. Kahimi Karie
15.Why Not? (Tomita Lab. Remix)
16.Strings in Heaven

Disc 2 - Black Side
01.Beautiful Days feat. Yoshie Nakano (EGO-WRAPPIN’) & Heaven L. Clayborne
02.Reaching for the Stars feat. INCOGNITO
03.Tell Me feat. Benjamin Diamond
04.Spectacular feat. VERBAL (m-flo)
05.Dance Dance Dance Dance feat. SU (RIP SLYME)
06.Paragon
07.A World without Love feat. BONNIE PINK
08.Days And Days feat. Coralie Clement
09.Todos Os Desejos 〜欲望のすべて〜 feat. Clara Moreno
10.Love Is Psychedelic (Full Spoken Mix) Remixed by Bob Sinclar
11.Euphoria (Mondo Grosso Re-mix Radio Edit)
12.Reaching for the Stars (Masters At Work Remix Radio Edit)
13.Never Ever (Performed by PE'Z)
14.Submission





ジャケットのデザインはKuntzel+DeygasとGroovisionsですね。

FPM: ジャケットのデザインは2001年以降基本的にGroovisionsにお願いしているのですが、ベスト盤のジャケットはキャッチーなものにしたいね、と話していたときに浮かんだイメージが“ネコ”でした。ネコってみんなが好きだし、セクシーなイメージもあるじゃないですか。

そこで、動物のキャラクターが上手いKuntzel+Deygasに早速連絡を取って作ってもらったんですよ。さらに今回のこだわりは、ジャケットの特殊パッケージを初回限定だけでなく永久仕様にしたこと。僕はアルバムをリリースされた時だけでなく、ずっと長く手にとってもらいたいと思ってるんですね。そのためにマテリアルとしてのバリューがあるものにしたかった。今までずっとやってみたいと思っていたのですが、今回は“ベスト盤”という特別なチャンスだったのでようやく実現できました。


本作の収録曲にまつわる未公開のエピソードをいくつかお聞かせいただけませんか。

FPM: 未公開ですか。いろんなところで話をしてしまっているので、もしどこかで話してしまっていたらゴメンナサイ(笑)。


FPM: たとえば「Beautiful Days」ですが、メジャー・デビュー前のEGO-WRAPPIN'の中納良恵さんにヴォーカルをお願いしたのですが、彼女のヴォーカル・バージョンとは別にNYでも男性ヴォーカリストのバージョンを録っていて、それぞれを別々に作ろうと思っていたんですよ。それがミックス作業中にふと2曲を一緒に鳴らしてみたら、まるで2人が顔を突き合わせて歌っているかのように聞こえたんですね。だったらデュエット曲にしてみよう、ということであのようになったんですが、実際は東京とNYで別々に録られたものなんです。なのに、まるで“ヒロシ&キーボー”のようなデュエット曲に聞こえますけどね(笑)。

・「Beautiful Days」収録 『Beautiful』(2001年)



FPM: それから「City Lights」ですが、田中邦和さんとスカパラの沖祐市さんのユニット、sembelloのデビュー前のライブ音源をたまたま製作中に聴かせてもらったんです。そこにとても心に残るフレーズがあったんですね。でも彼らはまだデビュー前で正式にレコーディングされていない楽曲だったので、2人に何とかお願いしてサンプリングさせてもらったんですね。発表前の曲をサンプリングしたという、いわば子供が親より先に産まれた感じでしたね。

・「City Lights」収録 『Zoo』(2003年)




FPM: それから「You」という曲は、ちょうどQUEENのベスト盤をずっと聴いていた時期があって、その時に“QUEENっぽい曲を作ろう”と思って作った曲だったんです。ブライアン・メイのギターを研究したり、コーラス・ワークもフレディ・マーキュリーっぽい雰囲気にしてみたり。そしたら日本人のファンがブライアン・メイのサイトにその事を書き込んでくれて、実際にブライアンもこの曲を聴いてくれたらしく、「Good luck!」って本人のお墨付きをもらっちゃったんですよ。これで気を良くしてしまって、ファットボーイ・スリムにリミックスを頼まれた時も、彼の「ジャーニー」という曲を同じ手法でやりました。これは最近出た彼のベスト盤に収録されています。

・「Journey(Fpm Red Special Mix)」収録 Fatboy Slim 『Greatest Hits』(2006年)(※注:国内盤のみ収録)
・「You」 は上記の 『Zoo』に収録。




FPMとしてのキャリアは10年超となりますが、今回の収録曲を見て時代ごとのサウンドの変化をご自身で感じますか?

FPM: サウンドの変化は当然あるんですが、今回の30曲を並べて聴いてみて、思っていたほど曲の古臭さはないなあ、と。時代的なタイムラグを全く感じなかったんですね、自分としては。例えば、サザンや山下達郎さんの曲を聴いて“古い”と感じるかどうかにも似ていて、時代に添い寝することを余儀なくされる「ダンス・ミュージック」と呼ばれるものを作ってはいるんですが、同時に普遍的なポップスというか時代に左右されない音楽を作りたいな、という風にも思っていて。

今回収録した楽曲については、僕の目標がクリアされたのではないかなと、今回この作品を作って初めて実感できました。リリース当時に「Beautiful Days」や「Why Not?」を聞いたことのない人達が、今、このベスト盤でこれらを聞いた時にオールドファッションだとは感じないだろうと思っています。


この間に作曲法の変化などはありましたか?

FPM: 当初は、サンプリングすることで新たな音楽が生まれることの喜びというような初期衝動をベースに音楽を作っていました。でも、そういう衝動だけでは楽曲をフィニッシュできないし、自分や世の中が求めるもののハードルも高くなってきた。今は、現場でのトライ&エラーや、苦悩、行き詰まりを経験した上で楽曲が出来上がっているんだな、という風に感じています。

例えば「Why Not?」は、現代音楽を作るかのような面倒な工程を踏んでるんですが、それがあってこその曲だと。作品を作ることの満足感を“工程の面倒くささ”であるとか“いろんなアイデアの変遷”であるという風に考えた時に、マゾヒスティックな喜びみたいなものを感じることもありますね(笑)。





⇒後編へ続く...


協力: KiKi inc. / avex
Photo by Tetsuro Sato



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