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指揮者カザルス/プラド・ライヴ1953

Thursday, November 25th 2004

パブロ・カザルスが主催していたプラド音楽祭でのライヴ(1953年)がリリースされます。グリュミオー、ホルショフスキーをソリストに迎えた、モーツァルトとベートーヴェンの協奏曲を収録しています。

チェリストとしてあまりにも高名なカザルスですが、指揮者としてのデビューはかなり早く、32歳の1908年にコンセール・ラムルー管弦楽団の演奏会に指揮者兼ソリストとして登場、ベートーヴェンの交響曲第5番、ブラームスの交響曲第3番ほかを指揮しています。

カザルスの故国スペインとの国境に近い町プラドは、ファシスト政権に抗議して故国を去ったカザルスが亡命生活を送っていた場所。カザルスはこの南仏の小さな町で、教えを請いにあちこちから集まるチェリストたちにレッスンをおこなっていたのですが、その1人、バーナード・グリーンハウスからカザルスの不遇を伝え聞いたのが、ヴァイリニストのアレクサンダー・シュナイダーでした。シュナイダーはプラドでカザルスを音楽監督とするバッハ・フェスティバルを提案し、1950年にバッハ没後200年祭を開催します。これがプラド音楽祭のはじまりとなりました。

このとき併設された音楽祭管弦楽団のコン・マスはもちろんシュナイダー。チェロのトップは、まだソリストとして活動を始めたばかりだったポール・トルトゥリエ、フルートはニューヨーク・フィル首席奏者のジョン・ワマー、オーボエにはフィラデルフィア管首席のマルセル・タビュトーといったそうそうたる名手が集まり、チェロを指揮棒に持ち替えたカザルスの指導下で熱演を繰り広げたといいます。

しかし1952年頃から財政難もあって、音楽祭に運営資金を提供していた米コロンビア・レコードの意向がソリストの人選や曲目に強く反映されるようになり、演奏者との軋轢がしだいに高まっていったとされています。

そんなことから、徐々に規模縮小を余儀なくされていったというプラド音楽祭ですが、1953年の段階では、当盤のグリュミオー、ホルショフスキーの他にもハスキルなど大物ソリストが参加しており、その衰えぬ盛況ぶりを感じさせます。


・モーツァルト:ヴァイオリン協奏曲第3番 ト長調 K.216
・シューベルト:『ロザムンデ』から間奏曲第2番
・ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第1番 ハ長調 op.15

 アルテュール・グリュミオー(vn)
 ミエチスラフ・ホルショフスキー(p)
 
 プラド音楽祭管弦楽団
 指揮:パブロ・カザルス

収録:1953年、プラド音楽祭におけるライヴ


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