ライヴ・エイド
Saturday, October 15th 1994
ライヴ・エイド − このDVDのチャリティの仕組み1984年のバンド・エイド・トラスト発足と、1985年のライヴ・エイド開催以降、このトラストはシングル曲“ドゥ・ゼイ・ノウ・イッツ・クリスマス?”の印税や、ライヴ・エイドの入場券やグッズ販売の売上げ、そして寄付により、エチオピアのための莫大な援助金を集めました。
この20年の間、ライヴ・エイドを録音または撮影した海賊版も多く出回ってきました。これは人々の興味が薄れていない事を意味するものの、残念ながら、こうした違法販売が続くと本当に支援を必要とするアフリカの人々へは慈善の寄付が届かなくなります。
こうした理由からサー・ボブ・ゲルドフとバンド・エイド・トラストは、この歴史的イヴェントの公式DVDを発売する事に決めたのです。
これを受け取るバンド・エイド・トラストは、エチオピアとその周辺地域の貧困と飢餓を救うために設立された基金です。
バンド・エイド・トラストは、これまでにもエチオピアとその周辺で複数のプロジェクトの資金援助をしてきました。それらは水資源開発、食品衛生の改善など、人々の日常の基本を支えるものでした。支援するプロジェクトはトラストの管財人全員による審査で選びました。 トラストが資金援助したプロジェクトの大半は、オックスファムやユニセフ、ウォーター・エイドなど安定した組織によって実行され、援助を受ける各プロジェクトには、その進行状況の報告が義務付けられています。
トラストの管財人は全く報酬を受け取っていません。
1985年1月から本DVDが発売される2004年11月までの間に、バンド・エイド・トラストとライヴ・エイド財団は1億4400万ドル以上をアフリカを飢餓から救うために支援してきました。支援先のプロジェクトはブルキナファソ、チャド、エリトリア、エチオピア、マリ、ニジェール、スーダンで活動しています。本DVDの売上げは、バンド・エイド・トラストのアフリカでの活動のために使われます。
翻訳:落合寿和
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ボブ・ゲルドフ 2004年7月28日
20年前、こうした席に僕が着く事は考えようもありませんでした。このイヴェントの記録を作る事も想像できませんでした。僕自身、記録を残す事を望んでいませんでした。ライヴ・エイドは記憶の中にあってこそ最も力強いものだと考えていましたし、事実、その通りで、僕の予想を遥かに越えたパワフルなイヴェントでした。アルバムもビデオもフィルムもない、1回限りのライヴ・コンサートであるはずだったのです。関係者の弁護士全員に話をしていたらライヴ・エイドは実現不可能だったでしょう。ジョージ・ハリソンの「弁護士を排除するように」というアドヴァイスは、まさに正しかったと思います。
そして今、僕達は再びここにいますが、小売店関係の方々に集まってもらえてよかったです。その理由を説明しましょう。20年前を実際に知る人もいるようですが、若い人もいますので、当時の先輩達が何をしたかを説明させて下さい。バンド・エイドは深刻な必要性に迫られて始まった活動で、それは幸いな事に誰にも止められない規模の社会現象になりました。当初、僕は何十万ポンドか集められたら、それをオックスファムに寄付しようと考えていた程度でした。それでも小売店のアワ・プライス、HMV、ウールワース、ヴァージンなどに、僕は電話をしました。どの店か忘れましたが、そのうちの1軒を「他の全てのチェーンが、儲けを放棄した」と説得したのです。もちろんそれはウソで、その店も薄々、僕のウソに気づいていた気もします。それでも2番目、3番目、4番目の小売店に「他のチェーンはマージンを取らずに売る事に同意してくれた」と僕は話しました。
でも、これだけではありませんでした。20年前の事を思い出すのは大変ですが、皆さんには、ぜひ当時の状況を分かってもらいたいと思います。どんな事が起こり始めたのか、それを理解し、実感してもらえたらと思います。バンドの人間が何かを支援する時、最善を尽くすには、ギターを弾く事が一番です。BBCのマイケル・バーク(※名前未確認)のリポートを見た時、僕は5ポンドを寄付する事もできましたが、それでは不充分だと感じました。そして、自分にできる事をしようと思いました。僕の場合それは、あのクリスマス・ソングを書く事でした。この考えは自然に広がりを見せ、僕は言いました「曲の完成度は関係ない。これはそういう問題じゃない。小売店の人は利益は考えず、とにかくレコードを売る。ジャーナリストは曲について書く。ミュージシャンは曲を演奏する。とにかく各個人の能力を、この活動のために使ってくれ」と。驚きですが、バカらしいくらい単純なこのアイデアは、誰も想像もできなかった規模で成功しました。
ご存じのように、このレコードは10万ポンドではなく800万ポンドの収益を上げました。だから僕はアフリカに行く事になったのです。曲の収益は最後の1ペンスまで、アフリカで援助を必要としている人に渡すと僕が保証したからです。僕達は実際にアフリカへ行きました。そして、それがライヴ・エイドを開いた本当の理由です。僕はポート・スーダンで立往生してしまったのです。僕達は現在、ダルフールで何が起きているか知っています。あの時、僕がいたダルフールは悲惨な状態でした。当時、ポート・スーダンにはトラック業者のカルテルがあり、スーダン西部やダルフールへの食糧輸送に莫大な料金を要求していたのです。この状況を僕は理解も納得もできず、不安になりました。言っておきますが、これはノッティング・ヒルのスタジオで“ドゥ・ゼイ・ノウ・イッツ・クリスマス?”を録音した4週間後の事です。とにかくカルテルがあるのなら、ライヴァルを作る以外に対抗手段はありません。そんな時、老朽化した車両群が300万ポンドで売られている事を知りました。イギリスのエンジニア達は、使えるように修理できると言ったので、僕達はコンサートを開く事にしたのです。砂漠で朽ち果てていた古いトラックを使えるようにするために。ライヴ・エイドは130台のトラックのために行なわれたのです。トラックを買うのに300万ポンド必要だったのに、ポート・スーダンに着いた時点で、僕にはすでにバンド・エイドで集めたお金を使い切っていたのです。
それで僕は帰国し、寄付金を守るためのバンド・エイド基金を仲間達と立ち上げながら、言いました。「正気とは思えないだろうけど聞いてくれ。USAフォー・アフリカが生まれ、カナダでもブライアン・アダムス、ジョニ・ミッチェル、ニール・ヤングがノーザン・ライツを実現させた。フランスではシャンソン・サン・フロンティエー、ドイツではMenschen Fur Menschen (※日本語表記不明)が生まれた。」世界中でバンド・エイドのお粗末な曲が作られていたのです。「僕達には300万ポンドが必要だ。穀物を届けるには、まずカルテルを壊さなければならない。全てのバンド・エイドを集めて、それぞれの駄作と呼ばれる曲を皆で歌ったらどうだろう?」そんなふうに始まったんです。ライヴ・エイドのおかげで、僕達は必要な300万ポンドを集められました。カルテルは破滅し、穀物は再び届くようになりました。
平凡で現実的な理由でした。でも、当時の先輩達が「飢えている人達を救う活動に、自分は個人的に参加する。このクリスマスに、個人的に取り組む」と言わなければ実現しませんでした。そして今度は2004年のクリスマスがやってきます。そこで、それぞれの小売店の人達には、再び言って欲しいのです。「ヴァージンもHMVもウルワースも関係ない。ジョーでもイアンでもジョンでも、誰でもいいけど、それも関係ない。このDVDは一番前に置く。ザ・フー、エリック・クラプトン、フィル・コリンズ、他のDVDを買う奴に言ってやる。『これも買った方がいいよ』と。
僕は真剣です。感傷的に聞こえるでしょうが、実際に効果があります。この瞬間があなたの人生にとって、いかに重要か僕には表現できません。でも後で振り返った時に言えるでしょう。「俺はレコードを売った。DVDも売った。1つは恐ろしく大量に売れた。これが特別だったのは、俺がこれを売った事で生き延びた人がいる事だ。
あなたの仕事は何ですか?小売業界以外の、あなたの関心事は何ですか?自分が望む方向へ世界を少し押すのに、あなたは現実的に何ができますか?僕は保証します。本当に保証します。これを売れば、誰かが生き延びられます。単純な話ですが、効果はあります。1日長く生き延びるだけかも知れません。2分長く生き延びるだけかも知れません。でも、自分が死ぬ日に寿命を2分延ばしてもらえるなら、あとは何もないのですから、その2分を望むでしょう。
アフリカの人々は今も死に続けています。今でも新聞の一面に載っています。20年経ったのに、アフリカは今も衰退している唯一の大陸なのです。なぜでしょう?これはジャーナリスト、小売業者、レコード会社、関係者全員が協力して始めた事です。政治的な議題に全く上がっていなかった問題を、英語ではなくロックンロールという世界の共通語を使って、僕達が取り上げたのです。ゆとりある世界の中で、助けを求めながら死んでいく人々がいるというバカげた知的矛盾、道徳的破綻が存在する事は、世の中に訴える事ができました。
僕は政治的圧力を創り出す事には成功しました。1985年以降、この問題は常に政治的地域格差に関する議題のトップになっています。イギリスの首相はライヴ・エイドを1日中見たそうです。ドイツの首相も1日中見ていました。現在のアメリカの大統領は3時間見て、前任者は1日中見ていました。彼らはライヴ・エイドに影響を受けた世代なのです。来年、イギリスはG8の議長国とEUの議長を務めます。不思議な巡り合わせですが、その年にライヴ・エイドは20周年を迎えます。イギリスは間違いなく世界でも最も政治的影響力のある国です。ブレアが議長を務めるG8で、アフリカ委員会はG8の議題を提示します。僕はアフリカ委員会の一員ですが、この組織は僕達がライヴ・エイドで20年前に始めた事の遠い親戚のようなものです。
僕は9月から12月はアフリカに滞在し、BBC向けの6回シリーズの番組を製作します。様々な祝賀行事が予定されていますが、これが最初です。ライヴ・エイドのDVD発売日に第1回を放送予定で、そこから全てが始まります。政学的地域格差を改善する事ができる権力者達の議題のトップにこの問題を乗せるために。ライヴ・エイドは変人達の集まりが、ギターを手にして演奏しただけの事です。でも、あれは巨大なコンサートでした。テレビでの再放送や、それ以外の形での再現も望んでいませんでした。可能性が現実になった日として、あの日の記憶が人々の心に残ればいいと、僕は思っていただけです。
あの日は、巨大なイヴェントという形で、個人が無力ではないと証明された日でした。ロックンロールの命題が達成された日だったのではないかとも思います。ボブ・ディランが言いたかった事、そしてビートルズが政治的に目指した事が実現した日だったのではないかと。僕達が語りかけた人達は同意し、政治家は耳を傾けました。社会に何らかの影響を与えたのでしょうか?はい、与えました。アフリカの役に立ったのでしょうか?ええ、役に立ちました。人々の問題意識を、より強めたでしょうか?ええ。苦しむ人々を全員救えたでしょうか?いいえ。でも、だからこそバンド・エイドと呼んだのです。治しようのない傷にバンドエイドは貼りません。
地球を救おうというなら、地球に働きかけなくてはいけない事に僕達は気づきました。僕達は、再び働きかけなくてはなりません。そこで皆さんの協力が必要なのです。この小さな遺物はCDでもDVDでもありません。あの20年前のバンド・エイドのレコードも、プラスチックのかけらでも、単なる曲でもなかったのです。「この問題は放置できない。世の中はよくなるはずだ」と呼びかけるクラブの入会証だったのです。ナイーブなのは分かっています。でも効果はありました。
これは変化を求める政治的圧力になります。そのパワーを、皆さんにはぜひ理解してもらいたいと思います。実際に効果がありますし、理解者もどんどん増えています。デヴィッド・ボウイ、ミック・ジャガー、ボブ・ディラン、U2、クィーン、エルトン・ジョン、マドンナのステージが手に入るというだけではありません。もっと、もっと、もっと色々なものが手に入るのです。メッセージを押しつける気はありません。それでも、このイヴェントを話として聞いた事しかない、全く新しい世代も理解を示しています。財務府長官は2ヵ月前の大蔵省の世論調査ついて触れましたが、ライヴ・エイドはこの20年で2番目に印象に残るイヴェントだという結果が出ました。HMVの最近の世論調査では、ロックロール史上最高の瞬間に選ばれました。史上最高のライヴ・イヴェントと、史上最高のテレビ・イヴェントに選ばれたのです。アメリカのスミソニアン協会はライヴ・エイドで使われた衛星を保存しています。テレビ技術における重要な瞬間だったと考えたのです。こうした評価は、まだまだいくらでもあります。ジャーナリストにとっては、アーティスト達が普段より遥かにパワフルなパフォーマンスをしただけかも知れません。観客の反応が普段より遥かにパワフルだっただけかも知れません。20年前の小売店の人達の意識は明確でした。何のためにあのレコードを売っていたのか、それをはっきり理解していたからこそ、あれだけ売れたのです。
彼らの仕事はレコードを売る事でした。彼らが売らなければ、一連の出来事は何も起きませんでした。ですから、もう一度強調します。そして僕の信念を受け入れて下さい。これを売って下さい。このDVDの売り上げが過去の結果と並ぶものになれば、これが史上最高のDVD売り上げを記録してクリスマス・シーズンの社会現象になれば、あなたは人の命を救った事になります。来年、政治家に結果を出すよう要求できるでしょう。そして2005年を、僕達の国の南の海岸から8マイルしか離れていない大陸で何十億もの人々が死ぬ事を許してきた犯罪的な無関心に、ついに取り組む年にできるのです。これには、そういう意味があります。コンサートのDVDではなく、生命線なのです。皆さんのこれから何ヵ月かの個人的な努力が、20年前に始まった事を結実させるために、ぜひ必要なのです。ありがとう。
翻訳:落合寿和
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