激ロック×HMV&BOOKS online vol.147

GENRE：SYMPHONIC METAL
“Underground”な醍醐味を堪能できるニュー・アルバム到着！
ひたひたと迫り来るように日常を浸食する不穏な空気と、アンダーグラウンドな世界で派手に渦巻く狂気。どちらにまみれて過ごしたいかと言えば、圧倒的に後者なのである。もはや茹でガエルに等しき人々は、きっとそう遠くないうちに頭からまるごと食われてしまう。戦うべきは見るからにアレな外敵等ではなく、むしろ我々のすぐ近くにこそいるという現実の恐ろしさたるや……。宝野アリカ（Vo）様は、リード・チューン「日本男子、獅子奮迅」の中で明確に、“ここは乱世”と歌われているではないか。自覚を前提に狂気を楽しむ者よりも、日常の中で麻痺させられてしまった者のほうがよほど重症。願わくばそんな脳内お花畑勢にも“誉れあらんことを！”。
杉江 由紀【ライター推薦】

GENRE：LOUDROCK
“千夜一夜物語”をフィーチャーした
賑やかではちゃめちゃだけど、実はかなり奥深いべびきんらしい一枚
毎作様々なコンセプトを掲げた“アトラクション”（＝楽曲）を制作しているBabyKingdomだが、20thマキシ・シングルでは“千夜一夜物語”をチョイス。アラビア音階が醸し出す怪しげな空気とダンサブルなビートが、聴き手をエキゾチックな世界へと誘っていく「ALPHA来夜」と、荒ぶるベースとドラムで幕を開け、そのままハードに突き進むのかと思いきや、超絶ポップな展開に切り替える「ヒラケゴマ」を両A面として収録した。そして“B type”には、ライヴの熱をさらに高めていく画が浮かぶパワフルな「クリティカルナンバー」をダメ押しと言わんばかりに収録。賑やかではちゃめちゃだけど、紐解いていくと実はかなり奥深いべびきんらしい一枚になっている。
山口 哲生【ライター推薦】

GENRE：LOUDROCK, MIXTURE
小粋なエレクトリック・スウィングが聴く者を酔わせる表題曲収めた
Leetspeak monstersがハロウィンの季節にドロップするニュー・シングル
紫煙の漂う古めかしいバー。そこはどうやら幽世と現世の境界線にある場所で、夜ごとに不可思議な出来事が起こるのだという。墓場の街、グレイヴタウン出身のモンスター4人組によるLeetspeak monstersが、ハロウィンの季節にドロップする本作は、小粋なエレクトリック・スウィングが聴く者を酔わせる表題曲から幕開けする。一転しての現代的疾走感が心地よいロック・チューン「Reborn」、A-HAの名曲を彷彿とさせる80年代テイストがキラめく「N30n r∞m r3c4ll」（※初回盤収録）やフロントマン D13の十八番であるラップが“骨しばり”で展開されていく「Singing skeleton」（※通常盤収録）も大傑作。
杉江 由紀【ライター推薦】

GENRE：LOUDROCK, HEAVY ROCK
時を経て進化した珠玉の名曲たちと
最新曲が聴ける20周年記念作品第2弾！
危なっかしい程の先鋭性に満ちたオリジナル曲たちも最高なのだが、揺るがぬ貫録を湛えた新録曲たちは至高の仕上がりかと。“lynch. 20th ANNIVERSARY PROJECT”の佳境で発表される本作『THE AVOIDED SUN / SHADOWS』は『GREEDY DEAD SOULS / UNDERNEATH THE SKIN』に次ぐ、全4枚構成のリテイク・アルバム第2弾。特に生まれ変わりぶりが顕著なのは、2007年にリリースされた『THE AVOIDED SUN』収録曲たちで、葉月の声色からして当時とは響きが異なる。“I’M THE BRINGER OF LIGHT”の歌詞が力強い、新曲「BRINGER」を聴ける点もありがたい。
杉江 由紀【ライター推薦】

GENRE：SCREAMO, NOISECORE
愛と憎しみのノイズ・ハードコア6人組 moreru
過去最高にキャッチーでエクストリームな4thアルバム
愛と憎しみのノイズ・ハードコア6人組、moreruによる、過去最高にキャッチーで過去最高にエクストリームな4thアルバム。これまで楽曲全体を覆い尽くしていた暴力的な轟音の一部を差し出して、神聖なメロディと契りを交わした。激情ハードコアやブラックゲイズのみならず、エモ・ラップ、ギター・ロック、J-POP、昭和歌謡までをも飲み込んで、自意識は際限なく肥えていく。感傷をあざとさ全開の必殺リフで切り裂く「ROCKSTAR」をはじめ、メタル・リスナーに訴求できる楽曲も。全編に漂うノスタルジアが、どんな破壊も絶叫も過去を塗りつぶすことができないと示していて、僕はそれがたまらなく悲しいけれど、聖域が守られることに安心してもいる。
サイトウ マサヒロ【ライター推薦】

GENRE : LOUDROCK
正統派のヴィジュアル・ロックを突き進みながら
各プレイヤーのキャラクターとポテンシャルが主張したORSEASの1stシングル
待望の1stシングル『Crying with Regret』。ツボを押さえた正統派のヴィジュアル・ロックを突き進みながら、各パートに耳を傾けると、異なるキャリアやルーツを持つプレイヤーたちの、キャラクターとポテンシャルが確かに主張している。疾走感と開放感溢れる「哀傷雨」は、楽曲展開にドラマとエモーションを宿すLUM.の歌唱に胸を打たれた。ゴシックな雰囲気が漂う「愛葬ロマンス」は、ライヴに特化した裏打ちのリズムだけでなく、前身バンド GrimAqua時代の楽曲とリンクする世界観にも、ファンへの思いを欠かさない彼等の姿勢が滲む。ギター・アルペジオに慕情が薫る「“Goodbye,Ms.Lawrence”」まで、異なる色彩で染められた粒揃いの一作だ。
サイトウ マサヒロ【ライター推薦】

GENRE : HEAVY METAL
“Mr.ヘビーメタル”冠 徹弥率いるTHE冠の5年ぶりのフル・アルバム
極上のメタル・サウンドに乗せて喜怒哀楽をシャウトする全10曲
“Mr.ヘビーメタル”冠 徹弥率いるTHE冠が、5年ぶりに放つフル・アルバム。“My name is Heavy Metal”と宣言するタイトル曲に始まり、極上のメタル・サウンドに乗せて喜怒哀楽をシャウトする全10曲を収録した。曲名とは裏腹に軽快なサウンドが楽しい「HELL YEAH!!!」、ヘヴィにディープに壮大にとドラマチックな展開で聴かせる「地獄で逢いましょう」、リアルな歌詞が切なくもおかしい「おっさん」等、バラエティ豊かな楽曲はキャッチーなメロディと多分なユーモアに溢れ、ヘヴィメタ初心者にもオススメ。心の炎を燃やす「INTO THE FIRE」から疾走感ある「DREAM ISLAND」と続き、THE冠の世界にどっぷり浸ったリスナーに「YOUR NAME IS HEAVY METAL」と告げる、ラストの流れがたまらない！
フジジュン【ライター推薦】

GENRE : LOUDROCK
DIAURAの“狂気のサーカス小屋”へ聴く者を誘うような
「MADDY CIRCUS」表題に据えた26thシングル
今冬結成15周年を迎えるDIAURAが26枚目のシングルを発表。タイトルが示唆するように、ホーンも取り入れた華やかなサウンドに乗せ、“ここはいつだって背徳を／許容するだろう”、“ここは君の居場所なんだ／君の世界だ”と、彼等の“狂気のサーカス小屋”へ聴く者を誘うような言葉が綴られた表題曲に、サウンド／世界観共によりダークな要素を強めた「JUDAS」、これからやってくる冷え込む季節にぴったりな「朽白」（※通常盤収録）が収められた。本作を携え各地の街を訪れた後、[Maddy Circus to“NEXT GARDEN”]と名付けられた千秋楽を経て、一座の“独裁の庭”＝ライヴ空間はどのような進化を遂げていくのかも、その目で見届けるべし。
内堀 文佳【ライター推薦】