門あさ美 名盤８タイトル 最新デジタルリマスター紙ジャケット再発【Light Mellow × Cocky Pop／金澤寿和 監修】― 新規ベストコレクション『Light Mellow 門あさ美』も同時発売

門あさ美 オリジナル作品シリーズ【Light Mellow × Cocky Pop／金澤寿和 監修】

シティポップが世界的ブームを迎えている昨今。そのタイミングで、ヤマハ主催のポピュラーソングコンテスト (通称ポプコン) を足掛かりにデビューしたシンガーソングライターたちの中から、シティポップの都会派アーティストをクローズアップする、金澤寿和・監修のシリーズ【Light Mellow × Cocky Pop】がスタート。

その第１弾として、80年代に人気を博した謎多き女性シンガーソングライター 門あさ美のアルバム８タイトルを最新デジタルリマスター／紙ジャケット仕様で復刻。また金澤氏選曲・監修によるベスト『Light Mellow 門あさ美』もリリースされます。

11月16日 (水) 発売の第１期には『FASCINATION』『SACHET』『セミヌード』『HOT LIPS』、12月21日 (水) 発売の第２期には、『PRIVATE MALE』『麗 urara』『BELLADONNA』『SIMULATION』『Light Mellow 門あさ美』が登場。

FASCINATION (1979年)

1979年12月に発売されたファーストアルバム。９月に先行発売されたデビューシングル「ファッシネイション」、アルバムと同時発売された２枚目のシングル「Morning Kiss」収録。全10曲中、インストゥルメンタル曲を除くすべてが彼女自身の作品 (共作含む) で、いきなり実力を全開にしている。これは、彼女はデビュー当初からTVに出ない、コンサートも開かない、代わりに創作に専念してレコードをシッカリと作っていく、という方針を打ち出していたから。

本作のアルバムジャケットにもイラストを用い、音楽優先のイメージ戦略を貫いている。ところが、デビューシングルにあしらわれた彼女の艶っぽいフォトが一部で話題を呼び、“謎の美人シンガー” として注目されていくことに。このアルバムのキャッチコピーに掲げられた「ファッション・ミュージック」とは、“いつでも自分のそばに置いておきたい” と思ってもらえる音楽作りを目指すという意味を込めたもので、以後、学生や若いサラリーマンなどを対象にした、大人のアイドル的スタンスを築いていくことになった。

アレンジは、多くの筒美京平作品や映像作品で知られ、八神純子や石井明美なども手掛けていた戸塚修を中心に、ボサノヴァやAOR系の編曲に手腕を発揮するギタリストの鈴木茂が３曲、そして「Good Luck」では松任谷正隆がオーケストラを優雅に鳴らしたゴージャスな編曲を施している。

１作目にして、現在も門あさ美の代表作として扱われることが多いアルバム。ボーナストラックの「Night」は、２ndシングル「Morning Kiss」のカップリングで、オリジナルアルバム未収だったもの。

SACHET (1980年)

1980年10月発売のセカンドアルバム。“Sachet”　とはフランス語で匂い袋のことで、そのタイトルにたがわず、美しく妖艶で悩ましい、それでいて気品があって高貴なスタンスは崩さないという稀な名盤となった。

作詞・作曲は門あさ美自身で、「セ・シボン」は彼女と小林和子が作曲、岡本一生が作曲。「下りのない坂道」は、門の作詞、岡本の作曲。アレンジは前作の戸塚修、鈴木茂、松任谷正隆に加え、松田聖子で有名な大村雅朗が４曲を手掛けている。

ボーナストラック「Honey」は、話題のシングル「Lonely Lonely」のカップリング。メディア露出の少なさは相変わらずだが、謎が謎を呼んだのか、いきなりアルバムチャートのトップ20にランクインした。「やさしい声で殺して」は、2016年のレコードストアデイでアナログ盤が限定発売された。

セミヌード (1981年)

1981年７月リリースの３作目で、前作『サシェイ』に引き続き、アルバムチャートでトップ20入り。『セミ・ヌード』というタイトルにはドキリとさせられるが、その真意は内面的なもので、今までの心の殻を破ってありのまま、生の自分を表現してみようというポジティヴな意味がある。

作曲は全曲彼女で、アレンジは松任谷正隆、井上鑑、瀬尾一三の３人が分担。上昇機運にあったためだろう、シングルカットは「Season」「お好きにせめて」と、航空会社のCMソングに使われた「月下美人」の３曲。そのうちアルバム未収だった「Season」「月下美人」それぞれのＢ面曲「Hold My Heart」と「プロミス」を本盤ボーナストラックにセレクトした。

ジャケットにその美麗なルックスを晒したのも、このアルバムが初めてのことである。

HOT LIPS (1982年)

1982年７月に発売された４作目にして、初めてアルバムチャートのトップ10入りを果たした大ヒット作。ライヴやTV出演がない上に、このアルバムはストーリー仕立てになっていたためシングルカットがなく、とことんアーティスティックに制作された。

作詞・作曲は門あさ美自身で、デュエット曲「Every Night & Day」のみ、お相手の岡本一生との共作。サウンドプロデュースは、前年に阿川泰子『SUNGLOW』を大ヒットさせたラテンフュージョンの大御所ピアニスト 松岡直也で、バックの演奏も松岡率いるウィシングの面々 (村上ポンタ秀一：ds / 高橋ゲタ夫：b / 和田アキラ、土方隆行：g / 土岐英史：sax 他) が中心になっている。それでもラテンフレイヴァーは隠し味として使われている程度で、ベーシックはいつものアンニュイ路線。

PRIVATE MALE (1983年)

1983年４月に発売された通算５作目。彼女の作品で最も上位となるアルバムチャート９位を記録した。“プライベート・メール” とは愛人のこと。世はちょうどTVドラマ『金曜日の妻たちへ (通称：金妻)』が契機となった不倫ブーム真っ只中で、本作もオトナの女の危うい恋愛事情を歌った曲が多い。とはいえ、元々アンニュイ路線でやってきた彼女のこと、ドロドロした愛憎劇はなく、“男を惑わす謎の女” キャラで本領を発揮している。

アレンジは寺尾聰の爆発的ヒットでお馴染みの井上鑑。演奏陣も今剛／土方隆行 (g)、山木秀夫 (ds)、高水健司／岡沢茂 (b)、土岐英史／ジェイク・H・コンセプション (sax) など手練れが多く参加。クール＆シャープなAORサウンドを展開している。シングルカットは「感度は良好」。

麗 urara (1984年)

1983年９月の初のベスト盤『Ms.』を挟んで、1984年３月に発売されたオリジナルアルバム６作目。ベスト盤で従来のスタイルにひと区切りをつけ、ヨーロッパ調の優雅さや奥行きを創出している。

名手・惣領泰則のアレンジで当時の最先端テクノロジーを取り込み、深めのリヴァーブでニューウェイヴ寄りのエッジーな感覚をアピール。それでも彼女が書く楽曲の芳醇な味わいとヴォーカルの艶やかさは変わらずで、そのあたりの緩急が存分に楽しめる。

芳野藤丸 (g) や元スペクトラムの奥慶一 (key)、鳴海寛 (cho/東北新幹線)、ソロ作もある惣領智子(cho) などが新たに参加し、アルバムチャート14位をマーク。シングルカットは「美姫伝説」で、そのカップリングでアルバム未収の「恋人からの離陸」をここではボーナス収録している。

BELLADONNA (1985年)

1985年４月発表のオリジナルアルバム第７作。ヤマハ音楽振興会 (当時) 〜テイチク／UNIONレーベルのリレーションから発売された出た最後のオリジナル作に当たる。

前作からのテクノ〜ニューウェイヴスタイルを大胆に押し進め、ヨーロピアンな退廃的ムードが支配的。戸惑う声も多かったが、アルバムチャートでは見事トップ10入りした。

アレンジはムーンライダーズの白井良明、『新世紀エヴァンゲリオン』の音楽で知られる鷺巣詩郎、細野晴臣のYENレーベルに作品があるエレクトロニックポップバンド FILMS出身の岩崎工が分担。橿渕哲郎や鈴木博文らムーンライダーズ勢、野宮真貴が在籍したポータブルロックの中原信雄、鈴木智文も参加している。個性的なアルバムカヴァーは、カメラマンとしても活躍したシンガーの佐藤奈々子によるもの。

SIMULATION (1985年)

1985年12月にリリースされた８作目で、ヤマハ音楽振興会 (当時) 〜テイチク／UNIONレーベルからの最終作。キャリアを通じてライヴ活動を行なわなかった彼女らしく、拍手や歓声が入った擬似ライヴ風仕上がり。

選曲もこれまでの代表曲６曲 (＋オープニング) を、シンセと打ち込み中心のドラスティックなニューアレンジで再構築した。その音は、ニューロマンティックと呼ばれた当時のUKポップロックスタイルに近く、前作『ベラドンナ』より遥かにダンサブルでエネルギッシュ。その辺りが擬似ライヴならではの趣向と言えるだろう。同時に東芝EMI移籍後の高橋ユキヒロとのコラボに繋がる伏線と見ることもできる。

過去１度だけボックスセットでまるっとCD化されたが、単独で、しかも紙ジャケットでの復刻は初めて。エッセイが掲載された16ページストーリーブックもミニチュア版で再現している。

Light Mellow 門あさ美

“Light Mellow” の看板の下、ゼロ年代からシティポップの再評価を推進してきた音楽ライター　金澤寿和の選曲・監修による、Light Mellow　和モノのアーティストシリーズの第20弾。

これまでに尾崎亜美、大橋純子、松原みき、庄野真代、ブレッド＆バター、稲垣潤一、野口五郎、オリジナルラブらのコンピレーションをリリースし、シティポップの世界的ブーム到来以前から、各アーティストのパブリックイメージとは違った今様のセンス、斬り口で、それぞれの隠された都市型ポップスタイルを抽出してきた。

この『Light Mellow 門あさ美』も、当時のシングル曲や人気曲にはこだわらず、現在進行形のクラブ世代や海外からのシティポップ人気に合致するセレクトで構成している。

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