ズヴェーデン&香港フィル/マーラー第10番〜アダージョ、プルガトリオ(メンゲルベルク版)、他
2022年10月07日 (金) 18:00 - HMV&BOOKS online - Classical
マーラー演奏の伝統を継承するズヴェーデンのマーラー10番
「1924年、マーラーの交響曲第10番の第1、第3楽章(クシェネク版)をシャルクが初演した直後、メンゲルベルクもまた、作曲家ドッパーとともに独自のバージョンを作り、両楽章を演奏していた。当盤はその楽譜による世界初録音だ。随所に加えられた改編は大胆で、特に第3楽章は、クック版を聞き慣れた人なら衝撃を受けるだろう。この曲の演奏史においても、メンゲルベルクのマーラー観を知るうえでも興味が尽きない録音だ。」
〜増田良介〜
2019年12月13日と14日、ヤープ・ヴァン・ズヴェーデンの指揮する香港フィルは「”9番”の呪縛を越えて」と題するコンサートを行いました。前半がマーラーの交響曲第10番よりアダージョ(第1楽章)とプルガトリオ(通常は第3楽章、メンゲルベルク版では第2楽章と表記)、後半がショスタコーヴィチの交響曲第10番という重量級のプログラムで、特に注目を集めたのがウィレム・メンゲルベルク[1871-1951]の校訂版を使ったマーラー。
マーラーが未完成で遺した第10番について、アルマ・マーラーはベルクとクレネク(クシェネク)のサポートを受け、アダージョとプルガトリオはほぼ演奏可能な状態と判断、クレネクに補筆を依頼しました。アルマはメンゲルベルクに初演を託したかったようですが、実際は1924年10月12日にフランツ・シャルク指揮ウィーン・フィルにより初演されます。同年11月27日にはメンゲルベルク指揮コンセルトヘボウ管弦楽団がオランダ初演を行いましたが、この際にメンゲルベルクはマーラーの遺した資料に加えてシャルクが初演に使ったスコアを提供され、アルマから独自の改訂を行う同意を得ました。メンゲルベルクは、コンセルトヘボウ管の副指揮者で作曲家だったコルネリウス・ドッパー[1870-1939]をアシスタントとしてスコアをブラッシュアップ。そのスコアはハーグのメンゲルベルク・アーカイヴに、パート譜はコンセルトヘボウ管のライブラリーに保存されています。
大手楽譜出版のショット社はメンゲルベルク財団及び音楽学者マリヌス・デーヘンカンプとの共同作業で、この「メンゲルベルク版」を校訂して出版。その初演を託されたのがアムステルダム生まれで、コンセルトヘボウ管のコンサートマスターを務めたズヴェーデンでした。彼は香港での初演の翌2020年1月8日に、メンゲルベルク自身がこの曲を指揮したコンセルトヘボウ管とともにアムステルダムで演奏しました。
注目度という点ではマーラーが勝ってしまいますが、地元紙が「正確無比な演奏が非情さと恐怖さえ呼び覚ます」と評したショスタコーヴィチの第10番の演奏も素晴らしい出来栄えで、このコンビのベスト・ディスクのひとつとなることでしょう。ちなみにショスタコーヴィチは1942年にマーラーの10番の補筆を依頼されましたが断っています。(輸入元情報)
【収録情報】
1. マーラー:交響曲第10番嬰ヘ長調(1910)〜メンゲルベルク&ドッパーによる演奏会用版
I. Adagio (24:44)
II. Purgatorio (4:19)
2. ショスタコーヴィチ:交響曲第10番ホ短調 Op.93(1953)
I. Moderato (22:14)
II. Allegro (4:32)
III. Allegretto (12:01)
IV. Andante - Allegro (13:35)
香港フィルハーモニー管弦楽団
ヤープ・ヴァン・ズヴェーデン(指揮)
録音時期:2019年12月13,14日
録音場所:Hong Kong Cultural Centre
録音方式:ステレオ(デジタル/ライヴ)
世界初録音(1)
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