激ロック×HMV&BOOKS online vol.99

GENRE：LOUDROCK, MIXTURE
待ちに待ったハロウィンの夜を彩るファニー且つホラーな新作『Trick or Treat』リリース
たとえ“ヒプノシスマイク”やKnight A - 騎士A -といった、非バンドのアーティストに楽曲提供をしようとも、Leetspeak monstersの楽曲は、一瞬聴いただけでわかるくらいに強烈なインパクトを持っている。当然、彼ら本体の作品ともなればその個性がより大きく色濃く花開くことは言うまでもない。非人間であるモンスター揃いのバンドとしては、半ば365日がハロウィン的なところがあるとはいえ、ここにきてド直球でハロウィンを描いた表題曲では、メンバーの織りなすラップ的なセリフも重要な聴きどころのひとつ。カップリング曲たちも非常に充実しており、今後のライヴ・パフォーマンスが気になる1枚にも仕上がっている印象だ。“待ちに待った夜”を彩るのにまたとない輝きを放つ楽曲たちが実に愛おしい。
杉江 由紀 【ライター推薦】

GENRE：SYMPHONIC ROCK
来年30周年を迎えるALI PROJECTが贈る『緋ノ月』で新たな異次元世界へ
ふつくしい……非現実的な幻想異世界が、ここには濃密な音と気高い歌声にて描かれているのだ。TVアニメ“月とライカと吸血姫”OP主題歌である表題曲と、それとはまた別の方向からヴァンパネラをモチーフにして生み出されたという「ノスフェラトゥ」。たった2曲でありながら、ここで感じられるのは壮大な物語たちとなる。片倉三起也による精緻にして大胆な旋律と音像。宝野アリカが紡ぎ出す魔力さえ篭った詞と甘き歌声。瞬間イントロ・クイズを行ったとしても、誰もがALI PROJECTだとわかるほどに徹底ブランディングされた音楽はいつ聴いても圧巻であり、全編にちりばめられた美学と美意識が匂いたつ様は蠱惑的でもある。来年にはいよいよデビュー30周年を迎えるアリプロは、もはや我が国の無形文化財だ。
杉江 由紀 【ライター推薦】

GENRE：ELECTRONICORE, LOUDROCK
抜群の存在感放つ新メンバー 有馬えみりを迎えたPassCode
4人の渾身の叫びが詰まった最強ラウド鳴らす、新体制第1弾作品
メンバーに有馬えみりを迎えた新体制の第一声となる「Freely」は、重厚なギター・リフとパワフルなシャウトで切り開くラウドでスピード感のあるナンバー。PassCodeサウンドの武器のひとつであるシャウト・パートをバトンタッチされた有馬が、その存在感を放つ曲になっている。以前在籍していたグループで培ったシャウト、グロウルを存分に発揮しており自己紹介曲としてのインパクトは抜群で、爆音と美メロ、カラフルなヴォーカルを継ぎながら自由自在にリスナーを翻弄する。「FLAVOR OF BLUE」もよりラウドにロックに、また攻撃的でダンサブルにと展開していく爆発力が凄まじい。重戦車的に驀進するサウンドと、そのヘヴィさの中でより美しく輝く歌声に4人の心意気を感じる。
吉羽 さおり 【ライター推薦】

GENRE：LОUDROCK, POP ROCK
歌い手／クリエイター luz、多彩なアーティスト＆プロデューサー参加曲表現し
ネット・シーンとロック、バンド・シーンの架け橋に
2010年に動画サイトに初投稿し、ファン・ベースを築きながら横アリでイベントを開催するなど、活動規模を大きくしているluz。今作は堀江晶太（PENGUIN RESEARCH）をプロデューサーに迎え、山中拓也（THE ORAL CIGARETTES）や明希（シド）といったバンドのソングライターから、音楽プロデューサー ケンカイヨシ、そしてすりぃやかいりきベアといったボカロPなどが楽曲提供した。また初めて作詞曲を手掛けた「Rose」、「棘 FAITH Ver.」も収録し、新たな挑戦や表現の枠を広げていく意欲的なアルバムになっている。ヘヴィなサウンドからゴージャスな歌謡ロック、ダーク・ファンタジー的な濃い音世界と、そこに情緒的で繊細な物語を綴っていくヴォーカルが冴える。
吉羽 さおり 【ライター推薦】

GENRE：POP PUNK, PUNK ROCK
不変のDizzy Sunfist節を磨き上げ、ファニーさも交えて駆け抜ける
包容力を湛えた3年9ヶ月ぶりのニュー・アルバム
前アルバム『DREAMS NEVER END』から3年9ヶ月ぶりになる3rdアルバム『DIZZYLAND -To Infinity & Beyond-』。バンドとして変化の時を迎えていくが、アグレッシヴなサウンド、迸るパワーやポジティヴィティ、姿勢をグッド・メロディで遠くまで飛ばしていくディジー節は不変だ。そしてその武器を丹念に磨き、さらにファニーさも交えて全12曲を駆け抜けていく。コロナ禍で奪われた大事な居場所、ライヴハウスや自由な楽しみを取り戻そうとこぶしをふるい、挑戦し続け、迷いを抱えながらも進んでいく君の味方になり、時に力んだ肩をほぐして凸凹の人生を丸ごと愛してくれる。2020年代のメロディック・パンクとしての輝きと矜持が眩しいアルバムだ。
吉羽 さおり 【ライター推薦】

GENRE：ALTERNATIVE ROCK
コロナ禍に制作してきたアルバム3部作がついに完結
ブライトな高揚感に溢れたサウンドで心身共に開放させる15thアルバム到着
昨年のコロナ禍において、INORANがひとりで制作したアルバム3部作の完結編にあたる15thアルバム『ANY DAY NOW』が完成。前2作と比べて、エレクトロや打ち込みの割合は増え、ポピュラー／ダンス・ミュージック的な曲調が多くなっている。オープニング曲「See the Light」の歌詞と符合するように、ブライトな高揚感に溢れたサウンドメイキングが特徴的。日当たりのいい場所で心身共に開放されてしまう。そのように、温かくも穏やかで優しく包み込まれる音色が実に心地いい。刺激的な展開やトリッキーな音色よりも、肌触りのいい楽曲の質感は今のINORANのモードを表しているようだ。奇しくもそのベクトルは今の時代性ともリンクしているところがすごい。
荒金 良介 【ライター推薦】

GENRE：HARD ROCK, MATH METAL
超絶技巧3ピース・マス・メタル・バンド、ASTERISM
表現力やドラマ性高め、パワーアップした“バトル・ミュージック”鳴らす新作ドロップ
HAL-CA（Gt）擁する超絶技巧3ピース・マス・メタル・バンド、ASTERISM。昨年12月に配信リリースした3rd EP収録の全6曲に加え、新曲4曲を含む2ndアルバムが到着。前3rd EPではメタルはもちろん、ポスト・ロック的なアプローチも増え、情景描写に優れた表現や空間を意識した広がりのある演奏が印象的であった。今作で新たに追加された4曲はもともとバンドが掲げていた“バトル・ミュージック”的な色合いを取り戻した印象を受ける。テクニカルな演奏で攻めつつ、楽曲の景観に沿った表現力やドラマ性も高め、独自のマス・メタルを構築。スラッシーなリフが冴える「FULL THROTLLE」、6分近い「Museum of Death」は妖しげなフレーズと物語性に富む展開が実にユニーク。
荒金 良介 【ライター推薦】

GENRE：HEAVY METAL, HARD ROCK
LOVEBITESファン必携の感動作
丸1年分の爆発が詰まった、オリジナル・メンバーでのラスト公演をパッケージ
今作は、コロナ禍で予定されていたツアーの中止など、活動が制限された彼女たちの丸1年分の爆発が詰まった、久々の有観客ツアーをパッケージングしたもの。感染対策のため観客数の制限など様々な規制のあるなかではあったが、迫力満点のライヴ・パフォーマンスや、炎の吹き上がるド派手な演出など、ライヴの見せ方に制限はない。一般的なライヴ盤で必ずある“ウワァー！”という歓声や、熱狂するフロアの映像がないのは少し寂しい気もするが、それでもプラチナ・チケットとなったライヴを追体験できる、ファン必携の作品であることは間違いない。特に、今作は8月に惜しまれつつも脱退したmiho（Ba）を含む、オリジナル・メンバーでの最後の公演ということで、より感慨深いものとなった。
山本 真由 【ライター推薦】