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★祝!第31回講談社エッセイ賞受賞&「わたプロ」文庫化ダブル記念 ジェーン・スー インタビュー!(2)

Tuesday, September 29th 2015

ジェーンスー インタビューその2


旧来の結婚観には、親世代の影響もあると思うんですが、「結婚」問題同様、親との向き合い方に悩む時期ですよね。


そうですね。読書会の東京会場の時だったかな? 遠方に地元がある女性で、とにかく親から早く結婚しろしろって言われると。自分は仕事をしたくて東京に出てきて働いているのに、地元には自分のやりたい仕事がない。帰ればたぶん誰かが世話をしてくれて結婚もできるだろうとは思う。だけど、東京ではさほど困ってもいなくて結婚しないでも生きていけるし、どうしていいかわからない、親の意向に添えなくて悩んでいると。


前はあんなに仕事を応援してくれてたのに、あれ?って。


この本を読んでいらっしゃる方はすごくまじめな方が多いみたいで、おそらく一生懸命勉強とか受験を頑張って、親の期待に応えて来たんだと思います。それがある日突然親がくるっと振り向いて「結婚は?」ってまったく真逆な質問をされて、それに応えられなくて心苦しいという思いが強いみたいで。


その心苦しさは分かる気がします。親のいう「普通」とか「正論」の圧力というか。


さきほどお話した読書会の続きですが、質問をしてくれた女性に「じゃあ結婚するとしたらどんな相手がいいですか?」と聞いたら、「私が働くことを許してくれる人がいいです」って答えが返ってきて、「ああ、まだ地方では女が働くことは許可制なんだ」って思いました。ここに書いてあること自体の悩み事っていうのは地方でも共有できることは読書会でもわかったんですが、やはり都市部は―特に東京はかなり特殊だと思います。


まだ前時代的なジェンダー意識が残っているのでしょうか。


「あそこの家は嫁さんが働かないと食っていけない」っていう男の甲斐性を問われるから、既婚女性が外で働くことは許可制なんですよね。女房子供ぐらい食わせてナンボという男性のプレッシャーです。もしくは、男性が家事をやる発想がなく「家のことをしっかりやったら働きに出てもいいよ」っていうおかしな話になってしまう。 今は両方が手に手を取り合って頑張って行かないといけないですから、旧来型の「こうあるべき」という論に惑わされないようにしないと。その点、今の若い人たちはうまくやってるんじゃないでしょうか。自分たちのスタイルでお互い協力しながら、拡大していく生活ではなく、小さく生活していくというふうに柔軟にやってる人もいますし。



ジェーン・スーさんも親御さんからそのようなことを言われた経験はありますか?


私の場合は、親からそこまでのプレッシャーはなかったんで、だからこんな大人になっちゃったんで(笑)




いやいやいや、おもしろいオトナ女子、ジェーン・スーで大人気じゃないですか。心強いと思います。「女の幸せは結婚」という考えから自由になった、独身お楽しみジャンキーってこんなに楽しいんだ、って。


よくないですねー! 日本が終わる!本人は楽しいけど(笑)
あのー、これほんっとに毎回言ってるんですが、結婚「しない」とは言ってないですから。これはずーっと言い続けて行こうかなと思ってます。勝手に「(結婚)しない党」の党首にされそうなところがあるんで(笑)みんなが目を離した隙にパッとしてやる!って。


「未婚のプロ」から「既婚のアマ」へと進化、楽しみにしています。(笑)
文庫化にあたり、解説を酒井順子さんが書いていらっしゃいますね。10年前のエッセイ大賞の「負け犬」の酒井さんの解説、ぐっと響きました。

いやー感動ですよね。酒井さんの『負け犬の遠吠え』は、結婚も出産もしていない負け犬女が何を言ってもしょせん負け犬よ、なんて自重をこめて面白おかしく語ったベストセラーで、10年後にもっとふてぶてしいのが出てきて、その解説を書いて下さるなんて、ほんとにありがたいです。とにかく感無量!の一言です。


これから『わたプロ』の本を手に取る読者の方に、一番伝えたいことは何ですか?


この本は、私と私の友達の個人的な話ではあるんですけども、旧来型の結婚適齢期の考え方と、現代社会が合わなくなってきていて、経済的にも得をするシステムではなくなってきています。でも一方で旧来式の結婚に無条件に憧れている部分も残っていて、自分の中でつじつまが合わなくなってきてる。じゃあこうしろ、こうなれ、って言うことではなく、今あなたが苦しんてきているのはこういう状態なんですよ?っていうのが提示できればいいな、と思っています。。



多くのファンが次の作品を楽しみにされていると思います。次回作のご予定などはありますか?

チンタラと執筆中です(笑)。
今はこちらの『私たちがプロポーズをされないのには、101の理由があってだな』文庫本と『ジェーン・スー 相談は踊る』をぜひ読んで頂けたら嬉しいです。


ありがとうございました。



ちょっと長すぎ【取材後記】
未婚のプロ、ジェーン・スー パイセン(勝手に親しみこめてこう呼ばせて下さい)。看板ラジオ「相談は踊る」のヘビーリスナーの私。今やいくつもの雑誌の連載を抱え、TVでもキレッキレのオトナ女子トークを披露される姿を度々見るようになった、いまをときめく人気コラムニストでいらっしゃるパイセンに、ご多忙極まりないスケジュールを割いてお話を伺える機会があるとは夢にも思っていませんでした。
ただその嬉しさのあまり、取材もアガリ倒して、質問も散らかし放題の段取りの悪さ。今でも悔やまれるのは、のっけにとんだ愚問をしてしまったこと。

「タイトルの101は、『101回目のプロポーズ』とかけてるんですか?』

ぜんっぜん関係ありませんでした。
でも、パイセン、ジェーン・スーさんは、
「でもそう思って頂いてもいいですよ」
とやさしくフォローして下さり…。

ノンノンノン ノーーーン!!(泣)

本当はそんなことを聞きたいわけではなかった。
いや、むしろ私が『わたプロ』を読んで一番じ〜んと心に響いたのは、紛れもなくこの101項目だったのに!!!今思い返しても頭を掻き毟りたくなります。

101 病めるときも健やかなるときも、バカ笑いができる女友達に囲まれている 

パイセンはこう言い切ります。未婚のプロが未婚であり続ける最大の理由はこれだと。
 かつて私も地元を離れ、「未婚のアマ』していた30代前半、すごすごと地元に戻った時期がありました。自分が思い描いた都会生活の理想と現実のギャップに疲れ、悶々と不機嫌な日々を過ごし、絶妙なタイミングで母親から「もう帰って来い」との鶴の一声に従ったのでした。
地元の気心知れた女友達は私の帰省に大歓迎してくれました。中には、もう三十路超えならすぐに職も見つからないだろう、と自分の会社伝手を使って面接を取り付けてくれたり(見事に落ちましたが)。
あったかいその歓迎ぶりに「ここで根を下ろして第二の人生を歩むのも悪くない」と腹を括り始めた頃、唯一、予定が合わずに(たぶんデート)再会を果たせずにいた女友達が、後日私をドライブに誘ってくれました。

「ほんまに(地元)でええのん? 親なんか今はどうでもええ。」

この時、他の女友達とは真逆な言葉は響きました。もちろん、どっちの反応も有難かった。だけど、彼女の言葉に、すがるようにホッと涙ぐみそうな、救われた気持ちになったのを覚えています。親の正論にここぞとばかりに便乗して、親孝行なふりをしようとしていないか?現実逃避のエクスキューズじゃないのか?と。痛いところを突かれた瞬間でした。
―そして現在、地元で過ごした年月を追い越し、都会ライフも四半世紀を迎えました。

 「わたプロ」の最後に付け足された101つ目の理由。これはべつに単なるおまけでも、気まぐれやノリで加えたわけではないことを、涙が出るほど感慨深い思いで眺めます。そして、10年前の女友達の言葉を思い出します。思えばこの『わたプロ』も、そんな女友達同士で集まった他愛もないファミレス談義から生まれた本。「女子語り」から、多くの人たちに笑いと痛切な共感を得たベストセラーなのです。
1〜100の面白さは私の稚拙な感想など時間の無駄。文庫本ならお値段もお手頃、そして、負け犬レジェンド、酒井順子さんの秀逸な解説付きで、思う存分この本の読了感をご堪能下さい。
この場をお借りして101の愚問の申し開きを取材後記とかえさせて頂きます。

追伸:
私の背中を押してくれた彼女は神出鬼没の多忙女子。たまに集まってもいつも皆にスケジュールを調整させ、やっと決まった当日も、ぎっちぎちに予定を入れている(たぶんデート)、誰より遅く参加して誰よりも早く撤収します。でも、どんなに忙しくても参加率は仲間内でダントツ首位。多忙女子は、今日もガッツリ“シングル・イズ・ドラッグ”を謳歌するステキ女子です。

    

【取材でお世話になったカフェ】
●学下コーヒー● Tel:03-3814-9595(予約可)
東京都文京区小石川5-3-3 小石川MKビル 1F
※丸ノ内線茗荷谷駅から徒歩3分。茗荷谷駅から174m
【営業時間】
[月〜金]8:00〜19:00(LO18:30)
[土・日・祝]10:30〜19:00(LO18:30)日曜営業/不定休

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