注目俳優!第1弾 “成河” 密着取材B

2015年09月10日 (木) 00:00

|

HMV&BOOKS online - 演劇 , HMV&BOOKS online - 演劇・ステージ


稽古場レポートを始め、作品への想い・演じることへの想いを熱く、そして楽しく語ってくれる成河さんのインタビューをお届けします。
 連続テレビ小説「マッサン」では主人公亀山政春が入社する鴨居商店の広報・紺野役として、そして5月9日より全国東宝系で公開中の『脳内ポイズンベリー』では真木ようこ子演じる主人公・櫻井いちこを支える担当編集者・越智宏彦役で出演。話題作への出演が続く成河さんは舞台の世界ではその存在を知らない人はいないという、今最も注目を集めている若手実力派俳優。

 この春上演されたウィリアム・シェイクスピア作品『十二夜』ではフェステ(道化)を熱演。演技はもちろん、自らアコースティックギターを奏で歌う場面ではまさに観客を魅了し高い評価を得る。続く6月3日からはKAAT 神奈川芸術劇場にて主演舞台『アドルフに告ぐ』が幕を開け、後8月15日からはミュージカル『100万回生きたねこ』の主演が決定。

第3回 新しい体験、新しい出会い、そんな“未知との遭遇”が苦しいけどやっぱり楽しい(笑)。


――前回お話を伺った時は舞台『アドルフに告ぐ』の上演が始まり、ミュージカル『100万回生きたねこ』が発表された時でした。渾身の『アドルフ〜』から休む間もなく次の作品が始まりましたが、二つの作品が並行して動いていた時期もあったのでは?

成河 制作発表とかビジュアルの撮影だったり事前準備に参加するのはもちろんですが、作品と真っ向から向き合うのは1つしかできないタイプなので、頭の中はその時立っている舞台のことで精いっぱいです(笑)。

――前回のお話のなかで、素晴らしい演出家の方との出会いに大きく影響されてきているということを伺いました。舞台『アドルフに告ぐ』の演出・栗山民也さんとの時間はいかがでしたか?

成河 それはもう勉強になることしかないです。膨大な数の作品を演出なさって、数えきれないほどの名演技をご覧になっている栗山さんですから、頭の中にある作品のイメージを具現化するにあたって、何をチョイスするのが一番ベストなのか明確に見えているんでしょうね。同じ結論を選んだとしても選択肢の幅の広い大海原からそこにたどり着くのと、数少ない候補から選んだのでは全然意味が違うと思うんです。栗山さんの場合は数限りない選択肢の中からシンプルにベストを選んでいるんだと思いました。

――成河さんのなかで新しい発見はありましたか?

成河 『アドルフ〜』について言うなら、“決して昔話でもなく、他人事ではない物語”ということを観客の皆さんがどこまで真剣に受け取ってもらえるか、自分たちはそうであって欲しいと願っていましたが、実際はどうなのか幕が開くまで本当に不安でした。でも回を重ねるごとに客席から感じる反応がとにかく凄くて。前回お話ししたような“静寂”とは違う、今まで感じたことのない“静寂”を経験したんです。客席側から“すがりつくように”見られている、そういう視線を毎日ひしひしと感じていました。それは初めての経験でしたね。だからこそしっかり演じたいと思いましたし、久しぶりに“体当たり”という言葉に相応しい全力を出し切った作品になりました。それにもう一つ、自分で最近気付いたことがあって。

――新発見続々ですね(笑)。

成河 あらためて思ったのは、台詞の多い方が芝居はやりやすいということです(笑)。『アドルフ〜』で膨大な台詞と体当たりの芝居をして、いざ『100万回生きたねこ』ではその台詞を封印して「身体で同じことを表現してください」と言われた時、急に頭の中が冷静になって“あれ?僕は今何をしているんだろう??”って血の気が引いていくのを感じました(笑)。

――ミュージカルでもありますが、動きで感情を全て表現するという独特のコンテポラリーダンスが軸になり、そこに歌と台詞が融合して物語の世界観を作り上げる舞台になっています。

成河 自分では身体を使って表現することは得意だと思っていました。台詞を効果的に伝えるために身体を使って2次的に表現することが必要でしたが、“身体を動かす”と“身体で表現する”とは全く意味合いが違う。台詞が封印されてしまったら身体表現とはこんなに未知のものだったのか!と痛感しました。

――もちろん探究心旺盛な成河さんとしては、そんな未知との遭遇を放っておくはずないですよね(笑)。

成河 『100万回生きたねこ』のオーディションではスタッフの方々がとても時間をかけてくださって、過去の作品のこと、得意不得意はもちろん、僕のことをとにかく理解しようとしてくれました。お話が決まって、まずは一番メインとなるダンスが普通のダンスとは違ってコンテポラリーダンスですから、基礎から全然違うので時間をかけて体に染み込ませていこうということになりました。半年くらい前からレッスンが始まってコツコツやってきましたが、まあとにかく難しい(笑)。感性だったり感情表現を動きに直結させなければならないので本当に自分を解放して、感情を解放しないと身体から出てこないんです。演出家のインバル・ピント&アブシャロム・ポラックが僕たちをどう導いてくれたのかは、劇場でご確認頂けたと思います。金沢、大阪はこれからなので、ぜひ、観ていただけたらと。

――いつも上演前と上演後とお話を伺わせて頂いているので心の変遷が垣間見れてとても貴重なのですが、まさに本番中の今、成河さんが何を思い何を感じているのかとても興味深いです。

成河 さて、今ごろ何を思っているかな〜(笑)。

(ローチケ演劇宣言!)


 < 第二回へ 


に関連するニュース

HMV&BOOKS online最新ニュース

最新ニュース一覧を見る