【Jazzy Sport 10周年 インタビュー】 気仙多郎 a.k.a. WassupskiとMasaya Fantasista
Wednesday, November 13th 2013

Jazzy Sportを支えるトップ、気仙多郎 a.k.a. WassupskiとMasaya Fantasistaの2人に話を聞く。
---『Jazzy Sport Music Shop』設立10周年おめでとうございます。長きに渡り継続してこられた秘訣はなんだと思いますか?
masaya:多郎さんがハゲないことかな。
気仙:確かに僕の毛髪量が尋常じゃなく、二十歳でハゲない宣言をしたことが大きい。最近は脂でベタベタしてきていますが、特にケアはしていませんね。
masaya:常に清潔にされていますからね。
---すみません、真面目に答えてもらっていいでしょうか。
気仙:堪え忍んでいるからです。……というのは冗談ですが、所属してもらっているアーティストの力も大きいと思うし、なによりレーベルを運営していく上でのmasayaのハンドリングとブランディングの巧みさに尽きると思います。
masaya:いやいやいや、やめてくださいよ。
---こういった機会もあまりないと思うので、互いに褒め合いながら考察することで、秘訣が自ずとわかるかもしれませんよ。
masaya:多郎さんはじめ、スタッフやサポートしてもらっているみなさんには、常に感謝と尊敬の気持ちは持ってます。それもそうだけど、真面目に答えると、スタートから良いチームを築けてきた、ということは大きい。それと、当初からのスローガンである「スポーツと音楽の融合」をしっかりと実現してきたことも継続できる強みになったんじゃないかな。「時代の潮流を意識しない」とは言い切らないけど、そういったマーケティングを優先することはないし、とにかく信念を曲げずに「良いものは良い」と自信を持って提案することがブランド力を高めるにはもっとも大事なことだと思い、続けてきたので。
気仙:その思いはアーティストのみならず、働いているスタッフ全員にも言えることだしね。
---そんなレーベルのブランド力を示すべく、2006年に第一弾がリリースされた『Pound For Pound』シリーズですが、そもそもどんなコンセプトからスタートした企画だったのでしょうか?
気仙:当初はレーベル・ショウケース的な意味合いでリリースした作品でした。メジャー・レーベルからのリリースだったけど、クリエイティブ・コントロールはすべて自社が担う。「俺たちがJazzy Sportだぜ!」という気持ちを打ち出したかったのではなく、ただ純粋にJazzy Sportとしてコンピレーションを出したいな、という気持ちもあって。
masaya:まさに無差別級異種格闘技戦ですよ。その思いがタイトルに直結しているし、ジャンルの垣根を取っ払い、音楽一本で勝負する舞台を作ったのが『Pound For Pound』です。
---第一弾のリリースから2年後の08年には第二弾がリリースされますが、当初から気仙さんとmasayaさんで明確な役割分担などは決められていたのでしょうか?
masaya:特にないかな。二作目のリリースに関しては、第一弾があったから第二弾があってもいいかな、という単純な考えではあったけど、今回の三作目に至っては、「○○は聴くけど、●●は聴かない」というリスナーに「こういった音楽はどうですか?」という提案する気持ちは以前の作品と比較して強いと思う。昔は聴くジャンルが固定されていたと思うけど、いまはリスナーの感覚も研ぎ澄まされてきていて、「ハウスは聴くけどヒップホップは聴かない」という人は極端に減った。そういった時代、スタイルだからこそ、『Pound For Pound』は多方面に提案できるコンピレーションだと思います。
---前作から5年ぶりの第三弾がリリースされるわけですが、構想はいつから?
masaya:1年くらい前ですかね。2013年にはリリースしたいよね、って漠然と話はしていて。
気仙:お店(Jazzy Sport Music Shop)の10周年のロゴができて、2013年はいろいろ動きたい、という気持ちから芽生えてきた自然な感覚でしたね。
masaya:その間に(三宅)洋平が選挙に立候補したり、純粋に面白い出来事もたくさんあったし、「ジャジスポ、たくましいでしょ?」と見せられる機会でもある年にしたかったしね。
---今作の収録曲に関して、GAGLEとAndresやcro-magnonとDJ JIN(RHYMESTER)、Physical Sound Sportと仙人掌など、ありそうでなかった組み合わせが印象的だったのですが、2人が制作の指揮を執った形ですか?
masaya:いや、基本的に制作の管理を担っているだけで、すべてアーティストに委ねてます。でも、そこには確実に“ジャジスポらしさ”が込められていると思う。非常に手応えは感じてますよ。
---その“ジャジスポらしさ”というのは、具体的にどんなことを指し示していると思いますか?
masaya:矛盾してしまうかもしれないけど、そもそもの“ジャジスポらしさ”はリスナーの判断に任せている部分もあります。でも、この10年でジャンルの垣根を取り払うことはできたと自負できる部分もあるし、それは精神的なものではなく、アティチュードとしても。Jazzy Sportが与えられる影響力というのは、超売れっ子のアーティストが与えるそれとはまったく異なるものかもしれないけど、こういった面々でもがんばっているというラウド・マイノリティ――つまり、Jazzy Sportの所属するアーティストのリリース作品やDJ活動、それに影響を受けて「音楽を聴く」だけじゃなく、そこから「実践に移す」勇気を与えられてきたんじゃないかな、って思います。
---どんな企業もそうですが、それはJazzy Sportのトップに立つお二人がしっかりとした理念を尊重されてきたからではないでしょうか。
masaya:上がしっかりしてないから、下がしっかり働いてきたからかもしれないよ。「またあいつら、山行ってるよ……」って思ってるかもしれないしね。
気仙:「あいつら、ホント冬場は仕事しねえよな」って思ってそうだもんね。
masaya:でも、それもブランディングのひとつですから。山側からも認めてもらい、音楽を手にするきっかけを作るという大事な作業。そもそもジャジスポ自体、レーベルやマネジメント、ショップをやりたくて始めたわけではないんですよ。“Jazzy Sport”というブランドを立ち上げ、トップを目指す。トップ・ブランドと言えば、表参道なんかに並ぶような世界的な一流ブランドがそうであるように、5年や10年の歴史で築き上げられたものではない。たとえ好き嫌いがあっても、100年続くブランドは、確固たる信頼を得ているからこそ長い歴史を持てているわけじゃないですか。そういうものを目指したいんです。数十年後、「Jazzy Sportって立ち上げのときはレコード屋だったらしいよ〜」なんて話が出るくらいにね。そういった意味では、Jazzy Sport自体が12年目に突入して、1990年代生まれの若い世代の人たちがサポートしてくれているのも、本当にうれしいことです。
---リスナーの判断に任せている、と言いながらも、これまでの発言の中に“ジャジスポらしさ”が滲み出ているような気がします。
masaya:そのマインドが強くなった背景は、お店が渋谷から五本木に越したことが大きいと思います。これまでバラバラの場所で仕事をしていたスタッフが、ひとつの場所に集まって仕事をするようになったことが、よりJazzy Sportのチームワークにつながりましたからね。
--- 12年という長い歴史において、ジャジスポの変化ではなく、個人的な変化というのもありましたか?
気仙:震災の影響は大きかったですよ。それはジャジスポの運営にも影響したし、自分の精神に対しても。「これから大丈夫かな」って不安があって、「一生は一度きり。後悔しないやり方を」という気持ちがより強くなりましたから。
masaya:震災もそうだし、NYのテロやイギリスのテロを見たときは、なぜ世の中は平和を目指さないんだろう? と常々疑問に思いました。そんななかで、音楽とスポーツは改めて素晴らしいなと思えたし、Jazzy Sportとして世の中に貢献したい気持ち、何かを残したい気持ちは、より強固なものに変化していった。とはいえ貨幣経済の世の中で、利益は生み出していかなくちゃいけないからバランスは必要だけど、そこには絶対に曲げてはいけない信念を持っていないと強固になったものさえ揺らいでしまう。なので、時代を経るごとに、どんどん変化は確信に変わっていった形ですね。
---そういう意味では、これからのジャジスポの動きも気になるところですね。
masaya:いま、香港に支社を作る準備をしています。元々「世界をひとつに」をコ ンセプトにスタートした会社なので、世界とのつながりは大事にしていきたい。日本で3万枚売るのは難しいけど、30ヵ国で1,000枚なら実現できるんじゃないか、という考えは10年前から変わらないので。ジャジスポは、アジアを代表する役割を果たし、日本で長く続けていく上で好結果を生み出していきたい。それがスタッフやサポートしてくれるみんなにとっての力、勇気につながっていくと思うので。それが“チーム一丸”なんですよ。“丸”という球体は完全体で、地球もボールも球体という完全体、「地球というフィールドでボールを使用したスポーツを提案する」ことが、ジャジスポの核だと思っていますから。
---気仙さんはいかがですか?
気仙:右に同じです。
masaya:こうやってね、多郎さんはクワイエット・ライフを送ろうとしてるけど、まだ早いんですよ。多郎さんのアティチュードはジャジスポのブランド力を高める上で大きな影響力を持っている。でも、この人はひけらかすこともしないし、常に低姿勢。まあ、確信犯なのかもしれないけど、もっと様々な場面に引きずり出していきたいと思い、最大級の敬意を表し、“せるべえどん”というニックネームを誕生させました。
気仙:どうも、気仙多郎改め、せるべえどんです。せるべえどんのどんはどん兵衛のどんです。という冗談はさておき、masayaには本当感謝しています。
masaya:いえいえ、こちらこそ。
---最後に、そんなお二人の素晴らしい結束力と、Jazzy Sportの面々が送る最新作『Pound For Pound Vol.3』を、せるべえどんに格言で表現してもらいましょう。
気仙:「二度あることは三度ある」ですね。
『POUND FOR POUND Vol.3』[2013年11月27日]
待望の新作Vol.3 には、Jazzy Sport 縁のアーティストをはじめ、本邦初登場となる驚きのコラボ、あっと驚くまさかのあの人・あのグループの参加など、全16 曲を収録予定(全て新曲) !!
先着特典ミックスCD : DJ CHOKU (From Jazzy Sport Morioka) 『Traning Hard. =JAZZYSPORT 10 YEARS=』(CD)

※特典は無くなり次第終了となります。ご購入前に必ず商品ページにて特典の有無をご確認下さい。
『POUND FOR POUND Vol.3』参加アーティスト
DJ Mitsu the Beats / BudaMunk & Nasty Ill Brother S.U.G.I / 櫻井 響(Kyo Sakurai) / Sick Team / Samon Kawamura / DJ JUCO / grooveman Spot / 77 Karat gold / Pepin / GAGLE / cro-magnon-Jin / mimismooth / Youngshim Feat. marter , sequick / Kuniyuki Takahashi / (仮)ALBATRUSand more...
Jazzy Sport
"女性に優しいハード・コア"をモットーに、様々な空間をスペシャルなものに変えてしまう素敵な集団・Jazzy Sport。世界水準のダンス・ミュージックを発信し、ジャイルス・ピーターソンを始め、世界のDJ/プロデューサーから愛されている。Jazzを根底に"間"が作る黒いグルーヴに敏感に反応し、hiphop,house,downtempo,Brokenbeats,Jazzなどを同じ文脈で解釈。GAGLE、DJ Mitsu the Beats、cro-magnon、grooveman Spot、(仮)ALBATRUS、BudaMunk、Sick Teamらを世界に送り出し、岩手・盛岡にクライミング・ジムとミュージック・ショップ、東京・五本木にもミュージック・ショップを構える。[関連リンク]


HMVの邦楽バイヤーによる、邦楽専門アカウントです。独自の視点でオススメ作品をご紹介!特集・連載企画などもバシバシUpしていきますよ。
Hip Hop & ReggaeLatest Items / Tickets Information
for Bronze / Gold / Platinum Stage.
FEATURED TITLE

POUND FOR POUND Vol.3
Price (tax incl.):
¥2,530
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(tax incl.):
¥2,328
Multi Buy Price
(tax incl.):
¥2,150
In Stock
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FEATURED TITLE
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Collection
Pound For Pound: 2
Price (tax incl.): ¥2,640
Member Price
(tax incl.): ¥2,429
Multi Buy Price
(tax incl.): ¥2,244Release Date:23/July/2008
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Pound For Pound
GAGLE
Price (tax incl.): ¥1,980
Member Price
(tax incl.): ¥1,822Release Date:18/October/2006
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