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【オリ特】 クラーク=ボラン復刻&特集

Friday, September 6th 2013


クラーク=ボラン・ビッグバンドを聴く
やはり「銀河系最強楽団」の異名はダテじゃない!

 ヨーロピアン・ジャズ復刻ブームが峠を越えて久しい昨今。思えば、クラブジャズ/DJシーンとの甘い蜜月もあり、つい5、6年前まで、イギリス、イタリア、フランス、ドイツ、北欧、東欧各国の60年代ハードバップ黄金期の貴重作品、その復刻盤が日ごと市場に溢れんばかりに投入されていた、と記憶する。

 “出尽くした””掘り尽くされた”感があったとはちっとも思わないが、そこに少々の食傷ムードを感じていたリスナーたちはきっと多かったはず。だからして、ここ数年続いたヨーロピアン・ジャズ復刻の控えめなリリース量というのは、ある意味、再び食指を伸ばす整腸のための良いブレイクとなったような気がする。

 そろそろ、またヨーロッパ・ジャズの復刻状況が気になり始めてきた・・・そんな矢先にアナウンスされた、イタリア・ミラノにあるルチアーノ・カントーネ主宰SCHEMA(スケーマ)のサブ・レーベル、rearward(リアワード)からの思わず唸る2タイトル同時リリース。何とも良いタイミングじゃなかろうか。

 ご存知rearwardは、60年代欧州最高峰のビッグバンド、ケニー・クラーク=フランシー・ボラン楽団の復刻や秘蔵音源をリリースするために立ち上げられたリイシュー専門レーベルで、2005〜2011年辺りにかけて続々とそのリリース〜ディスカヴァリーを行ない、マニアのみならず多くのジャズ・ファンの溜飲を下げてきた。そんなクラーク=ボラン復刻に命を懸ける名門からこのたび、クラーク=ボラン・セクステット名義の『Swing im Bahnhof』、そしてフランシー・ボランのトリオ録音『Playing With The Trio』の2タイトルが復刻されることとなった。しかも両作品ともこれが初となる完全オリジナル仕様での復刻なのだ。

 前者に収められている10曲は、その昔『Calypso Blues』や『Companionship』(サヒブ・シハブ)にセパレートにて収録されていたこともあったが、どの道この2枚今や入手が難しいこともあり、「そろそろオリジナル仕様で・・・」という声も実際少しづつ上がりはじめていたはずだ。後者にしても、『Jazz Joint Vol.1 -Going Classic』などにパラパラと収録されていたような気がするが、いずれにせよオリジナル復刻で登場するというのは、ジャケのすばらしさも含めれば、ファンにとっては嬉しいかぎり。

 最近、クラーク=ボラン・ビッグバンドはおろか、60年代のヨーロッパ・ジャズから距離を置いていた諸氏にこそ、是非この2タイトルを手にしてほしい。「やっぱカッコイイよなぁ」と、惚けながらも再びみたびハートに火がつくことは受け合い。もちろん初めてクラーク=ボラン・ビッグバンドを耳にするという方にも、この楽団(もしくはトリオ)の比類なきダイナミズムを感じてもらうには打ってつけの作品となる。

 やはり「銀河系最強楽団」の異名はダテじゃない。関連作もいろいろご用意したので、盛夏にクラーク=ボラン・ビッグバンド、いかがだろうか?



rearward から久々にしてこだわりの復刻2タイトル
お家芸のクラーク=ボラン作品 初のオリジナル仕様で!!


Swing Im Bahnhof
Clarke=Boland Sextet 「Swing Im Bahnhof」 (1967)

ケニー・クラーク=フランシー・ボラン・ビッグバンドからのピックアップ・メンバーで構成されたセクステットが、彼らの後援者でもあったパントマイムの天才マルセル・マルソー主催のパーティで演奏した10曲。
音源自体は以前 rearward盤『Calypso Blues』に9曲、残りの1曲はサヒブ・シハブ名義の『Sahib Shihab And All Those Cats』に収録されていましたが、今回初めてドイツCBSのオリジナル盤そのままの内容・タイトルでCDリリース。それらの作品は長い間廃盤につき入手困難になっていましたので、こうした復刻は大変貴重。往年のジャズ・ファンはもちろんのこと、アフロ・キューバンなテイストをまとった演奏の数々はクラブジャズ・ファンからも大いに注目を集めるというもの。また、M-2やM-7、9にはベース奏者ジミー・ウーディの味なヴォーカルをフィーチャー。フルートを吹くサシブ・シハブも秀逸です。


Sahib Shihab (fl) / Francy Boland (p) / Fats Sadi (bongos,marymba,vib) /
Jimmy Woode (b,vo) / Joe Harris (per) / Kenny Clarke (ds)





Playing With The Trio
Francy Boland 「Playing With The Trio」 (1967)

稀少なフランシー・ボランのトリオ・フォーマットの録音が復刻!!
同じトリオによるSABA/MPS 盤『Out Of The Background』の翌日に録音されたもの。オリジナル・レーベルはVogueで、今回はrearward からのリリースですが、これがオリジナルのままの形でCD化されるのは初めてのことです。クラーク=ボラン・ビッグバンドのレパートリーを多く取り上げているところがポイントで、ボランのピアノ・スタイルと作曲センスとの分かちがたい結合ぶりに興味をひかれます。強靭なグルーヴ感が、いかにもこのメンバーの演奏!と唸らされるオープニングのワルツをはじめ、スウィンギーな演奏も秀逸。メンバーの個性が際立つ60 年代後半のテンション感にも満ちたトリオ演奏です。(2曲目0分46秒近辺に音の歪みがありますが、レーベルの見解はオリジナルに起因するとのことです)


Francy Boland (p) / Jimmy Woode (b) / Kenny Clarke (ds)







先着で「クラーク=ボラン・ビッグバンド ポストカード」3枚セットをプレゼント!

HMV ONLINE/MOBILEでは、9/20発売のクラーク=ボラン・セクステット『Swing Im Bahnhof』(RW147)同『Swing Im Bahnhof』LP+CD(RWLP147)フランシー・ボラン『Playing With The Trio』(RW148)同『Playing With The Trio』LP+CD(RWLP148)のいずれか1点をお買い上げの方に、先着で「クラーク=ボラン・ビッグバンド ポストカード」3枚セットをプレゼントいたします。

* サイズ:W100mm×H148mm
* デザインは若干の変更が生じる場合がございます。ご了承ください。
* 数に限りがございます。お早目のお求めをおすすめ致します。
* HMV店舗でのお買い上げは対象外となります。


さらにっ!

期間中 rearward対象商品をお買い上げの方にも抽選でポストカード・セットをプレゼント!

HMV ONLINE/MOBILEで、rearward対象商品を期間中お買い上げのお客様の中から抽選で30名様に、「クラーク=ボラン・ビッグバンド ポストカード」3枚セットをプレゼントいたします。対象商品は以下に掲載の10タイトルとなります。

 購入対象期間: 2013年9月20日(金) 〜 10月20日(日)
 応募期間: 2013年9月20日(金) 〜 10月31日(木)


*HMV ONLINE/MOBILEでお買い上げのお客様につきましては、対象商品の出荷時に、メールにて応募フォームのURLをお知らせいたします。
そちらからご応募ください。
期間外におけるご購入は応募フォーム・メールが配信されません。ご注意ください。
* HMV 店舗でのご購入は対象外となります。
* 当選の発表は賞品の発送をもってかえさせて頂きます。


対象商品はこちらの10タイトル

01) Clarke-Boland Big Band 「Golden Eight Encore!」
02) Clarke-Boland Big Band 「More」
03) Clarke-Boland Big Band 「At Her Majesty's Pleasure」
04) Clarke-Boland Big Band 「Complete Live Recordings At Ronnie Scott's」
05) Clarke-Boland Big Band 「Off Limits」
06) Clarke-Boland Sextet 「Music For The Small Hours」
07) Sahib Shihab 「Summer Dawn」
08) Sahib Shihab 「Seeds」
09) Kenny Clarke / Carmen McRae 「November Girl」
10) Carl Drevo / Clarke-Boland Big Band 「Swing, Waltz, Swing」
* いずれもCDのみが対象となります。
01) Clarke-Boland Big Band 「Golden Eight Encore!」
01)
02) Clarke-Boland Big Band 「More」
02)
03) Clarke-Boland Big Band 「At Her Majesty's Pleasure」
03)
04) Clarke-Boland Big Band 「Complete Live Recordings At Ronnie Scott's」
04)
05) Clarke-Boland Big Band 「Off Limits」
05)
06) Clarke-Boland Sextet 「Music For The Small Hours」
06)
07) Sahib Shihab 「Summer Dawn」
07)
08) Sahib Shihab 「Seeds」
08)
09) Kenny Clarke / Carmen McRae 「November Girl」
09)
10) Carl Drevo / Clarke-Boland Big Band 「Swing, Waltz, Swing」
10)





クラーク=ボラン・ビッグバンドの略歴と関連主要ディスク



 ここではクラーク=ボラン・ビッグバンドの略歴および軌跡を簡単ながらご紹介。彼らは大編成のビッグバンド・スタイルはもとより、スモール・コンボにおける録音においても、ケニー・クラーク(ds)、フランシー・ボラン(p,arr)を軸としたリズム・セクションのアンサンブルの押し引きを巧みに用い、ダイナミックなジャズ・ダンサーから、モーダルなワルツ、リリカルなバラードまでを自在に繰り出してきた。そして、なにより各国から集められた一流ソリストたちの強烈なアドリブ・ソロを擁しているという点で、もはや既存のビッグバンド・サウンドとは決定的に次元の異なるポテンシャルを感じさせ、世界各地で大きな人気を博していた。

 この欧州最強ビッグバンドのリズムの核を担ったのは、米ピッツバーグ出身のドラマー、ケニー・クラーク。1961年の初録音の時点ですでに47歳。1940年代からディジー・ガレスピー楽団をはじめ様々なビッグ・コンボのセッションで活躍し、バップの黎明を築き上げた。さらには、オフ・ビート奏法を発明するなど「モダンジャズの開祖」として著名な存在だったクラークは、ミルト・ジャクソンと結成したMJQ(モダン・ジャズ・カルテット)を1955年に脱退し、同年、名門Savoyレーベルに名リーダー・アルバム『Bohemia After Dark』キャノンボール・アダレイの初吹き込み作品としても名高く、同じく当時新進気鋭の若手だったドナルド・バードジャッキー・マクリーンらも参加し覇気とガッツに満ちたプレイを繰り広げている)を吹き込んだ翌56年、活動拠点を米国からフランスに移し、ヨーロッパ全土を中心に、キャリアの頂点を極め脂の乗りまくった演奏を聴かせていた。

 一方のフランシー・ボランは、ベルギー出身のピアニストで、1961年の時点で32歳。ちょうどこれからキャリアの中堅期にさしかかろうとしていた時期だ。1940年代末には同郷ベルギーや隣国フランスで活動するフルート奏者ボビー・ジャスパーや、ルネ・トーマらによるジャズ・セット、ボブ・ショッツに加入。その頃からピアノだけでなく作・編曲においても抜きん出た才能を発揮していた。その後、チェット・ベイカーのヨーロッパ・ツアーに参加したことをきっかけに、1957年から2年間渡米。この間にカウント・ベイシーベニー・グッドマンウェルナー・ミュラーら名門楽団への楽曲提供やアレンジを行っており、帰国後もこうしたビッグバンドへの積極的な参加を続けていたのだ。

 クラーク、ボラン、この両者を引き合わせたのが、西ドイツはケルン出身のジジ・カンピという人物。肩書きとしては資産家なのだが、熱狂的なジャズ・マニアぶりが高じて自身でジャズをレコーディング、プロモートする会社を経営していた。しかしながら、利益の大半をジャズにつぎ込んでいた”自転車操業”の資金繰りによって慢性的な経営難に陥っていたという。莫大な赤字を抱え一旦はその運営を断念し、1959年にはケルンの中心街でカフェを経営していたが、その頃ちょうどウェルナー・ミュラー楽団や西ドイツの名門クルト・エーデルハーゲン楽団で作・編曲を行っていたボランのその才に惚れ込みはじめていたカンピは、自らのカフェに、旧友であったクラークとボランによる双頭コンボの演奏を招いたのだ。これがすべてのはじまりだった。このときの演奏に心を強く突き動かされたカンピは、「クラークとボランを中心にしたコンボでの録音」というアイデアをいよいよ頭に描き始めた。

 翌1960年、ドン・バイアスのフランス録音盤『Don Byas』に、クラークとボラン、ベルギー出身のボンゴ兼ヴィブラフォン奏者ファッツ・サディが参加。そして、ドイツにおけるフランシー・ボラン・アンサンブル名義となるボランのリーダー作には、クラークに加え、ユーゴスラビア出身のトランペット奏者デュスコ・ゴイコヴィッチ、イギリス出身のアルト・サックス奏者デレク・ハンブル、オーストリアのテナー奏者カール・ドゥレヴォが参加。ここにクラーク=ボラン・ビッグ・バンドの母体となり得る十分な布石が敷かれた。1961年2月、先述の5人をそのまま含むデュスコの初リーダー作となるインターナショナル・ジャズ・オクテット名義の録音(10インチ)を経て、同年5月18、19日、カンピの青写真は具現化された。クラークとボランに加えて、エリントン楽団を脱退しスウェーデンに拠点を移していたベース奏者ジミー・ウーディに声をかけ、さらにはエーデルハーゲン楽団からフロント・ホーン・セクションを選りすぐったオクテット編成による録音。それが『Golden Eight』であり、米国ではジャズの総本山Blue Noteからリリースされた。プロデューサーがアルフレッド・ライオンではなく、ジジ・カンピというおそらく当時の米国ジャズ・シーンにおいてほとんど名の知られていない人物が務めていたことが、本作がBlue Note作品史上最も ”異色” な1枚と呼ばれている所以のひとつなのかもしれない。

 正式に(名義上において)ビッグバンドとしての活動がスタートしたのは、ケルンにあるジャズ・クラブ「ストーリー・クラブ」のこけらおとしで予定されていたショウが頓挫してしまった1961年末のことだ。米国からシンガーを招いてそのショウは行われる予定だったが、クラブ側の不手際などで企画が中止となり、クラークとボーランをはじめ、ヨーロッパ中から集められたそうそうたるミュージシャンたちが時間を持て余していたところ、カンピが急遽このメンバーで録音することを思い立った。そこで吹き込まれたものが『Jazz Is Universal』というアルバムとなった。翌62年に米Atlanticからリリースされた本作は、ジャケットにも描かれた7ヵ国の国旗が示すように国際色豊かな参加陣営がとにかく目を引く。米国からは、ズート・シムズ(ts)、サヒブ・シハブ(bs,fl)、ベニー・ベイリー(tp)、ジミー・ウーディ(b)、スウェーデンからは、オキ・ペルソン(tb)、ナット・ペック(tb)、イギリスからは、デレク・ハンブル(as)、ジミー・デューカー(tp)、オーストリアからは、カール・ドゥレヴォ(ts)ら総勢13名の強者が参加。この型がクラーク=ボラン・ビッグバンドの原型となったのだ。1963年1月には、ここにファッツ・サディ、ティンパニ奏者のジョー・ハリス、さらにロニー・スコット(ts)らを加えた総勢21名の大編成でAtlantic2作目となる『Clarke-Boland Big Band(Handle With Care)』を録音している。


Golden Eight
「Golden Eight」(1961)

クラーク=ボラン・ビッグバンド誕生の瞬間を告げる傑作。ブルーノート4000番台の中でも一際異彩を放つ本作は、アルフレッド・ライオンではなくジジ・カンピがプロデュースを務め、さらにメンバーが、ケニー・クラーク、ジミー・ウーディ以外は全員欧州ジャズメンで固められた大所帯オクテットという点からもそれが顕著。クラブ・シーンで人気の「La Campimania」、「Dorian」などスパイスの効いたハードバップの名曲揃い。




Golden Eight Encore!
「Golden Eight Encore!」 (1961)

Blue Note盤『The Golden Eight』のおよそ2週間前、1961年5月2日のレコーディング・セッションを収録した激レアな11曲。言わずもがなの超王道スタンダード・ナンバーを前半に4曲配置。アルバム前半部分は、60年代前半という時代を映し出したハード・バップ・イディオムの連続。一転、後半は曲もオリジナルで固め、大きく様変わりする展開に。いわゆるジャズ・サウンドから独自のサウンドへ突き進んでいくバンドのリアリズムもたまらない。



Jazz Is Universal
「Jazz Is Universal」 (1961)

ズート・シムズ、サヒブ・シハブ、ベニー・ベイリー、オキ・ペルソン、ナット・ペック、ジミー・デューカー、カール・ドレヴォら各国花形ソリスト13人の夢の共演が実現した、クラーク=ボラン楽団の1961年録音作。ゴージャスな音の作り、ヨーロッパ・ビッグバンドならではの洒脱味、その全てが新しかった、銀河系最強楽団によるとびきりスウィンギーな第一歩だ。オープニングの激しいバップ・チューン「Box703, Washington, D.C.」で早々昇天!




Handle with Care -Clarke=Boland Big Band
「Handle With Care」(1963)

通称「Handle With Care」で知られるAtlantic2作目。前作を上回る総勢21名による一糸乱れぬアンサンブルに鳥肌。ファッツ・サディのボンゴが疾風のように切り込み、サヒブ・シハブのフルートが咽び泣く「Om Mani Padme Hum」は近年のフロア・クラシックとして名高い。アンサンブルもソロも決まりまくる高速バップ・チューン「Speedy Reeds」も最高。



Now Hear Our Meanin'
「Now Hear Our Meanin'」 (1963)

前出『Handle With Care』と同日のセッション(1963年1月25、26日)を収録したColumbia盤。サヒブ・シハブ、ベニー・ベイリーを中心としたホーン・アンサンブル、またサックス・セクションのソリにもいよいよ凄みが出てきた。のちにジョニー・グリフィン、ファッツ・サディとの録音でも採り上げられる「Night Lady」を収録。ボランのピアノに導かれるタイトル曲も人気。



Sax No End
「Sax No End」(1967)

クラーク=ボランによるSABA/MPS初吹き込み作品。シット・インにエディ”ロックジョウ”デイヴィス、ジョニー・グリフィンを迎え、ホーン・アンサンブルの厚みやスウィング感はさらに倍増。絶好調のふたりに焚き付けられ、ベニーベイリー、サヒブ・シハブといったベテランも燃え上がる。タイトル曲は、彼らを一躍有名にした代表曲にして今もフロアで人気のグルーヴィなジャズダンサー。


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 国際色豊かなオールスター陣容を抱えるビッグバンド。ややもすると個性と個性が拮抗し過ぎてよからぬ方向へと進んでいってしまうのでは、と懸念されるものなのだが、クラーク=ボラン・ビッグバンドにおいてそれはいらぬ心配だった。一流且つアクの強いソリストたちを揃えながらもあくまでビッグバンド・ジャズの醍醐味である「サックス・アンサンブルの重視」を唱える双頭者クラークとボランの徹底した姿勢は崩されることはなく、特に、作・編曲のほとんどを手掛けているフランシー・ボランの統率力が、何と言ってもこの欧州ナンバー・ワン・ビッグバンドが首尾よく機能し傑作を生み出し続けることができた要因だろう。また、当時各国で活躍していたスター・プレイヤーの集まりだけに、年に2ヶ月は演奏活動を実現させていたというカンピによるスケジュール調整など諸々のマネージメント能力の高さにも驚かされるというもの。

 その後10余年に亘り、Columbiaから『Now Hear Our Meanin'』、ご当地Saba/MPSレーベルから『Sax No End』、『All Smiles』『More Smiles』、『All Blues』、『Latin Kaleidoscope』、『Fellini 712』ほか、Polydorから『Off Limits』など、メンバーの入れ替えを行いながらも常に質の高い作品を20枚以上発表し続けたクラーク=ボラン・ビッグバンド。60年代半ば以降は、ここから派生したスモール・コンボによる録音も増え、彼らの作品中最もレアなものとされるセクステット録音による『Music For The Small Hours』、同じくセクステット作『Swing Im Bahnhof』(サヒブ・シハブのVogue盤『Companionship』の2枚目にも収録)などが人気だ。さらには、渡欧後同楽団に5年間在籍することになる米国のハード・バッパー、ジョニー・グリフィン『Night Lady』『Lady Heavy Bottom's Waltz』カール・ドゥレヴォ『Clap Hands Here Comes Charlie』『Swing,Waltz,Swing』というクラーク=ボラン楽団との合体作もある)、サヒブ・シハブ『Seeds』においてもクラークとボランを含む ”スピン・オフ・コンボ”の饒舌な演奏を愉しむことができる。また、マーク・マーフィー『Midnight Mood』ギッテ・ヘニング『Meets The Francy Boland Kenny Clark Big Band』カーメン・マクレエ『November Girl』といったシンガーとの共演作においても、主役の歌声を生かしたグルーヴィなビッグバンド・サウンドを残している。

 1971年、スタン・ゲッツを迎えたVerve盤『Change Of Scenes』の発表を最後にクラークがバンドから脱退。その後、ボランを中心としたビッグバンドとして、引き続きMPSより『Blue Flame』、『Red Hot』、『White Heat』という3部作をリリースするも、その最終作が世に出た1976年以降、クラーク=ボラン・ビッグバンドのオリジナル作品が制作・発表されることはなく、事実上およそ15年に亘るその活動に終止符が打たれた。



Latin Kaleidoscope
「Latin Kaleidoscope」(1968)

発売当時の原盤LPのA面にはゲイリー・マクファーランド楽曲を、B面にはボラン楽曲を収録した極上のアフロ・キューバン・ビッグバンド絵巻。スウェーデンで活動していたサブー・マルチネス率いるパーカッション部隊の参加がサウンドに花を添える。「Un Graso De Areia」、「Uma Fita De Tres Cores」がダンスジャズ・クラシックとして著名。



All Smiles
「All Smiles」(1968)

欧州で活躍する俊英とロニー・スコット、トニー・コーなど地元の優れたミュージシャンを集めて一大ユニット集団となりつつあったクラーク=ボラン・ビッグバンド。前年の『Sax No End』に続きSABA/MPSに吹き込んだ歌ものポピュラー曲集。「Let's Face The Music And Dance」ではデイヴ・パイクのヴィブラフォンに酔いしれること必至。



Faces
「Faces」 (1968)

1968年のMPSから2枚目となるアルバム。ロニー・スコット、ジミー・デューカー、ジョニー・グリフィン、サヒブ・シハブ、ベニー・ベイリー、ジミー・ウーディなどの豪華なメンツも加わり、ド迫力あるビッグバンド・ジャズを展開。中東フレイヴァを含んだモーダル・チューン「Panchromatic」など、5つのパートからなる組曲で構成されている。




More
「More」 (1968)

ポピュラー・スタンダード集『All Smiles』の続編的作品。原盤タイトルは「Jazz In the Movies -More Jazz」で、その名のとおり欧州最強ビッグバンドが挑んだイタリア映画音楽集。「Seven Golden Men」、「Roma Nun Fa' La Stupida Stasera」といったアルマンド・トロヴァヨーリ作品のカヴァーは今も人気が高い。


More Smiles
「More Smiles」 (1969)

『All Smiles』、『More』の姉妹編となるスタンダード集。とは言ってもアンサンブル、ソロにおける活力や爆発力はやはり規格外。ハードに吹きまくるダスコ・ゴイコビッチの参加がアルバムを引き締めている。「My Favorite Things」ビッグバンド・カヴァーは圧巻。



All Blues
「All Blues」 (1969)

クラーク=ボラン・ビッグバンドによるブルース集。「Open Door」、「Dia-Blue」、「Total Blues」の三部作からなる表題組曲をはじめ、全編ダイナミックなビッグバンド・サウンドで迫るオリジナル・ブルースで貫かれている。録音は前出『More Smiles』セッションの前日となる。


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At Her Majesty's Pleasure
「At Her Majesty's Pleasure」 (1969)

SABA/MPS原盤『All Blues』、『More Blues』吹き込み後の1969年9月5日ケルン録音。オリジナルLPは、1971年Black Lionよりリリース。以前、限定2CDボックス『Blowing The Cobwebs Out』(廃盤)に『Off Limits』と共に収録されたこともある。豪華なメンツがそれぞれに持ち味を炸裂させる名演ばかり。



Complete Live Recordings At Ronnie Scott's
「Complete Live Recordings At Ronnie Scott's」 (1969)

1969年2月、ロンドンの名門クラブ「ロニー・スコッツ」でのライヴ録音。この時期ノリにノッているクラーク=ボラン・ビッグバンドを真っ芯で捉えた一枚。特に、単独盤のタイトルともなった「Volcano」は圧巻。フロント・メンバーの2ヴァース・ソロ廻しは、タイトル通り火山の大噴火の如し。ハイノートも炸裂しまくり!


Off Limits
「Off Limits」(1970)

ビッグ・バンドの活動後期となる1970年にPolydorから発表された作品。同年のフランシー・ボラン単独の来日公演(@大阪万博)の盛況ぶりを示すかのように「Osaka Calling」、「Our Kind Of Sabi」といった日本ゆかりのナンバーが並ぶ。ボランのエレピや後半怒涛のアンサンブルに震える「Wintersong」が何といっても人気。




Music For The Small Hours
Clarke=Boland Sextet 「Music For The Small Hours」 (1967)

クラーク&ボランに、ジミー・ウーディ(b)、サヒブ・シハブ(fl,vo)、ファッツ・サディ(vib,bongo)、ジョー・ハリス(per)といった中核メンバー6名によるセクステット録音作。「Ebony Samba」、「Tin Tin Deo」、サヒブがヴォーカルをとる「Please Don't Leave」などしなやかで上質なラテン・スウィングを味わえる。


Out Of The Background
「Out Of The Background」(1967)

今回復刻される『Playing With The Trio』と同じ、ジミー・ウッド、ケニー・クラークとのトリオに、ファッツ・サディが5曲に加わった1967年MPS/SABA録音のアルバム。高速のワルツ・ジャズ「Rosa De Luxe」、パーカッシヴな展開に息を呑む「Dia-Bleu」などスピード感溢れるグルーヴィー楽曲がとにかく白眉。


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Blue Flame / Red Hot / White Heat
Francy Boland 「Blue Flame / Red Hot / White Heat」 (1969)

1971年のクラーク脱退後、引き続きジジ・カンピのプロデュースの下、サヒブ・シハブ、ダスコ・ゴイコヴィッチ、ケニー・ホィーラー、フランク・ロソリーノらと吹き込んだ1976年のビッグバンド3部作『Blue Flame』、『Red Hot』、『White Heat』。その2枚組コンプリート盤。


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クラーク=ボラン関連こちらも重要作です!


Summer Dawn
Sahib Shihab 「Summer Dawn」(1963)

異端のマルチ・リード奏者にしてクラーク=ボラン・ビッグ・バンドのサックス・アンサンブルの要、サヒブ・シハブによる1963年米Argo録音作。クラーク=ボラン楽団からの選抜メンバー6名による編成で、フロントには、オキ・ペルソン(tb)が登用されている。「Waltz For Seth」は、ジョー・ハリスの軽快なボンゴと2管ユニゾンのテーマを持つモーダル・ワルツ。



Seeds
Sahib Shihab 「Seeds」 (1969)

サヒブ・シハブのワンホーン・フロントに、クラーク&ボラン、ジミー・ウーディ、ファッツ・サディという楽団のリーダー格5名から成るクインテット録音を基本とした独Vogue盤。モーダル・ジャズ・クラシック「Peter's Waltz」、ジェラルド・フリジーナ ネタにもなったキラー・ラテン・ジャズ「Seeds」を収録。




Companionship
Sahib Shihab 「Companionship」 (1971)

同じくサヒブ・シハブが独Vogueに残した超稀少アルバム。「Om Mani Padme Hum」、「Bohemia After Dark」の名演を収録。また後半は、クラーク=ボラン・セクステット名義の『Swing In Bahnhof』を丸々収録。LTCがカヴァーした「Serenata」などクラシック多数収録。





Night Lady
Johnny Griffin 「Night Lady」(1964)

米ジャズ・シーンを代表するハード・バッパー、ジョニー・グリフィンが1963年の渡欧後に、クラーク&ボラン、ジミー・ウーディら楽団のボス格3名をバックにオランダで吹き込んだワン・ホーン・カルテット作品。表題曲はクラーク=ボラン楽団のレパートリーとしても有名なワルツ・ナンバー。




Lady Heavy Bottom's Waltz
Johnny Griffin 「Lady Heavy Bottom's Waltz」 (1969)

ジョニー・グリフィンがクラーク=ボラン楽団をバックに吹き込んだ独Vogue盤。ダスコ・ゴイコヴィッチ作で、昨今マリオ・ビオンディもカヴァーした「A Handful Of Soul」、クラブ・トラックとしても有名な「The Turk's Bolero」、へヴィー・ワルツの表題曲など、黒光りする欧州ソウル&ブルースをしみ込ませた他作とは趣の異なる一枚。



Clap Hands Here Comes
Karl Drewo / Francy Boland 「Clap Hands Here Comes」 (1961)

ウィーン出身のベテラン・テナー・サックス奏者カール・ドゥレヴォのコロン録音作品。ボランがピアノを務めるほか、ジョー・ハリス(ds)、レイモンド・ドロズ(tb)ら、後に本格的に走り出すクラーク=ボラン楽団から数名が参加したスリリングなハード・バップ盤。





Midnight Mood
Mark Murphy 「Midnight Mood」(1967)

不世出のジャズ・ヴォーカリスト、マーク・マーフィーがクラーク=ボラン楽団をバックに1967年SABA/MPSに吹き込んだ作品。「Jump For Joy」、「Why And How」、「Sconsolato」、「Just Give Me Time」はとびきりのダンスジャズ・クラシック。



Meets The Francy Boland Kenny Clark Big Band
Gitte Haenning 「Meets The Francy Boland Kenny Clark Big Band」 (1969)

「ボーイフレンドがカウボーイだったら」で一世を風靡した国民的ポップス・シンガー、ギッテ・ヘニングのジャズ初挑戦アルバム。タイトルそのままにバックは、クラーク=ボラン楽団が務め、華やかさ満点のビッグ・バンド・スウィングで主役歌姫をバックアップ。



November Girl
Carmen McRae 「November Girl」 (1970)

カーメン・マクレエがクラーク=ボラン楽団をバックにBlack Lionに吹き込んだ作品。ぶっつけ本番同然だったというセッションにも関わらず両者のエネルギッシュなパフォーマンスは見事なケミストリーを生んだ。ボッサ・ビートに乗ったエモーショナルな歌唱に身をよじる定番ジャズ・ダンサー「Just Give Me Time」を収録。



Swing, Waltz, Swing
Carl Drevo / Clarke-Boland Big Band 「Swing, Waltz, Swing」 (1966)

カール・ドゥレヴォ名義だが、実質クラーク=ボラン楽団のアルバムといっても過言ではない作品で、その名のとおりワルツ・ナンバーを題材にダイナミックなビッグバンド・サウンドを聴かせる。フランシー・ボランに加えて、ユーゴスラヴィアのピアニスト、ボラ・ロコヴィッチがアレンジャーを務めている。



Mirrors
Benny Bailey 「Mirrors」(1971)

クラーク=ボラン楽団の花形トランペッターでもあったベニー・ベイリーが、クラーク脱退後の同楽団からボラン、サヒブ・シハブといったメンバーを呼び寄せ、独Freedomレーベルに吹き込んだ1971年作品。セクステットにストリングスを加えた編成で、現代音楽的な要素も垣間見られる内容となっている。




Ensadinado
Fats Sadi 「Ensadinado」 (1966)

クラーク=ボラン楽団においてもキレのあるマレット捌きと軽快なボンゴ・プレイを披露していたベルギー出身のパーカッション兼ヴィブラフォン奏者ファッツ・サディのSABA/MPSリーダー作品。脇を固めるのはクラーク&ボランにジミー・ウーディという完全スモール・コンボ。サディはヴァイブのみを演奏。「Night Lady」の再演はこれ以上なく艶のある仕上がりに。


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