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THE OFFSPRINGのあの日、あの時 2

Wednesday, May 30th 2012


Epitaph Records移籍、そして成功前夜!
文●有島博志(GrindHouse)

 『THE OFFSPRING』('89年)をもってアルバム・デビューしたTHE OFFSPRINGは、しばらく経った'91年に4曲入りEP『BAGHDAD』をNemesis Recordsより発売した。『I' LL BE WAITING/BLACKBALL』に続く2枚目の7インチレコードだ。すでに絶版で、CD化もされてないことから現在は入手困難だけど、右にあるのがそのジャケだ。プロデュースは、『THE OFFSPRING』同様トム・ウィルソン(DEAD KENNEDYSTHE VANDALSほか)が担当した。A面1曲目の「Get It Right」は後に発売される2ndアルバム『IGNITION』('92年)で再録される楽曲で、「Hey Joe」はかのジミ・ヘンドリックスで知られるUSロックのスタンダード・ロック・チューンのカヴァー。B面1曲目「Baghdad」は『THE OFFSPRING』収録曲「Tehran」のタイトル違いの同一ヴァージョンで、2004年にFat Wreck Chordsより発売された、当時のアメリカ合衆国大統領ジョージ・ブッシュに対するアンチ・パンク・ロック・コンピ『ROCK AGAINST BUSH VOL.1』にも提供された。そして「The Blurb」は彼らにしては珍しい1分半の、ややトライバルな感じのするインストゥルメンタルだ。「Hey Joe」はデクスター・ホーランド(vo,g)の主宰レーベル、Nitro Records発売のコンピ『GO AHEAD PUNK…MAKE MY DAY』('96年)に収録されたけど、「The Blurb」はいまだにいかなる形でも再発表されていない、未発表音源だ。このEPは発売から1週間で3,000枚以上も売れるなど、バンドの人気度、地名度をより高めることに成功した。それはあくまでもカリフォルニア南部に限られた、とてもローカルなものだったものの、それがきっかけとなり、またトムの後押しもあり、BAD RELIGIONのブレット・ガーヴィッツ(g,vo)経営のEpitaph Recordsとの契約をものにした。

ボクとTHE OFFSPRING

文●猪狩秀平(G,Vo) from HEY-SMITH
THE OFFSPRINGってみんな好きじゃないですか?(笑) そんなイメージがあります。オレが聴き始めたきっかけは、みんなが聴いてたから。中学の頃、そういうきっかけで聴き始めたけど、高校の頃にはコピー・バンドをやるほど好きになってました。まずやられたのはデクスターのヴォーカル。一緒に歌えるわけないくらいのハイ・トーンで、“これを絶対に歌えるようになろう!”って思ったことを覚えています。ギターも当時聴いていたパンク・ロック・バンドのなかでは難しいものが多くて、全然弾けなかったです。今も弾けませんけど(笑)。当時、パンク・ロック・バンドと言えばすべてが単純明快なイメージやったんですけど、なんか神々しくて少し手の届かない感じにハマりました。中学でハマって今でも大好きなバンドはそうそういないですね

 '92年10月16日、2ndアルバム『IGNITION』は発売された。当時は日本盤発売はなく、ようやく実現したのは2年3ヵ月遅れての'95年1月のことだった。前回も書いたけど、当時Epitaphの作品群の発売権が日本のどこのレコード会社にもなかったことが長く遅れた理由で、実は彼らの正式日本盤デビューは今作じゃなく、3rdアルバム『SMASH』('94年)で、だった。今作が日本盤化の運びとなったのは、95年1月に東京、大阪、神戸、名古屋、仙台の5都市巡演の初来日公演が決定してからだ。ほかのEpitaph所属アーティストも同じで、BAD RELIGIONは7枚目『RECIPE FOR HATE』('93年)で'95年1月に、RANCIDも2枚目『LET' S GO』('94年)で'95年1月にそれぞれ正式日本デビューした。そして、それ以降順次その前の作品(群)が日本盤化されていった。

 『IGNITION』は再々度トム・ウィルソンとのタッグで、ウェストビーチ・レコーダーズなるスタジオで制作された。このスタジオは一時“Epitaph御用達”とまで言わしめたほどEpitaphの作品が数多く誕生した、言わば“メロコアの聖地”のひとつ。ロサンゼルスをブチ抜く目抜き通りとして有名なサンセット・ブールヴァード。その、ハリウッドにほど近いところにある中規模なライヴ会場として知られるハリウッド・パラディアムから数ブロックいき、奥まったところにある。これまでに何度か訪れたことがあるけど、ビックリするくらいに小さくて狭いスタジオだ。初めて訪れたとき、あまりの小ささ、狭さに「へー、こういうところで名パンク・ロック作が次々と産み落とされるんだ」と感心させられたことを覚えている(笑)。デクスターの張りと潤いのある独特な声色と、そのヴォーカル・ラインを追いかけて止まないように折り重なっていくシンガロング・コーラスがまるで“輪唱”のように響き、聴こえる“オフスプ節”が『THE OFFSPRING』のとき以上に濃厚になった作品だ。個人的には、お馴染みの疾走ナンバー「Session」「Forever And A Day」、いかにも彼らっぽい「Kick Him When He's Down」「Hypodermic」「Burn It Out」、新たな命を授かった「Get It Right」、ダークでメランコリックな「Dirty Magic」などがフェイバリット・チューンだ。発売タイミングがちょうどグランジ/オルタナティヴ・ロック旋風吹き荒れているただ中だったものの、NO DOUBTPENNYWISEVOODOO GLOW SKULLSらとの長期ツアーもものを言い、今作は好セールスをマークした。

 '93年初夏頃だったと記憶する。実はTHE OFFSPRINGではなく(苦笑)、BAD RELIGIONの『RECIPE FOR HATE』にハマったことがきっかけで、当時日本にレコード会社がなかったことから直接Epitaphにコンタクトし、オフィスを訪れ、ブレットに会見したことがある。上記サンセット・ブールヴァードを南東に向かったその端っこにあった、外見は典型的な民家がオフィスだったことに、まず驚いた。家んなかは半分がオフィスで数人のスタッフが働いていた。残りの半分がTシャツなどのマーチャンやCD、アナログ盤が所狭しと置かれた倉庫だった。髪を真っ赤に染めていたブレットが会見中に、こう言ったのを今も忘れない。

「オレたちBAD RELIGION、そしてTHE OFFSPRINGにRANCID…今スゴく調子がいいんだ。作品もどんどん売れるようになってきている。今巷じゃグランジがトレンドになっているけど、今後はパンク・ロックがさらに元気になるよ!」

 それは見事に的中する。GREEN DAYの『DOOKIE』(‘94年)と、THE OFFSPRINGの『SMASH』発売を引き金に、一気に“メロコア・ブーム”“パンク・ロック・リバイバル・ムーヴメント”が勃発。先のグランジ/オルタナティヴ・ロック旋風と相まって、欧米のロック・シーンはまさにとんでもないことになるのだった…。


THE OFFSPRING関連タイトル!

GREEN DAY / 『DOOKIE』('94年)
 通算3枚目。“パンク・ロック・リバイバル・ムーヴメント”“メロコア・ブーム”の隆盛、拡散に、THE OFFSPRINGの『SMASH』とともに大貢献した、GREEN DAYにとって、またロック界にとっての“歴史的名盤”。LOOKOUT!Records時代の初期2作品『1,039/SMOOTHED OUT SLAPPY HOURS』('90年)、『KERPLANK』('92年)で純粋培養された、あの“GREEN DAY節”がロブ・キャヴァロのプロデュースの下、一気に大輪の華を咲かせた。歌よし、メロディよし、楽曲よし、作風よしの“三拍子”ならぬ“四拍子揃い踏み”の内容で、とにかくすべてがわかりやすく、入りやすく、覚えやすい。これはパンク・ロック、そしてロックに対して、大衆層の間に根強くあった“ハードルの高さ”を一気に下げる、という“大金星的役割”を果たした。「Burnout」「Champ」「Longview」「Welcome To Paradise」「Basket Case」「When I Come Around」などとフックが強く、耳を刺激し、心に訴えかけるナイス・チューンの、まさにオンパレードだ。
文●有島博志(GrindHouse)

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■■■ 有島博志プロフィール ■■■

 80年代中盤よりフリーランスのロックジャーナリストとして活動。積極的な海外での取材や体験をもとにメタル、グランジ/オルタナティヴ・ロック、メロディック・パンク・ロックなどをいち早く日本に紹介した、いわゆるモダン/ラウドロック・シーンの立役者のひとり。
 2000年にGrindHouseを立ち上げ、ロック誌GrindHouse magazineを筆頭にラジオ、USEN、TVとさまざまなメディアを用い、今もっとも熱い音楽を発信し続けている。
※ ※ ※ ※ ※

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