【連載】 いぬん堂 vol.9

Tuesday, February 7th 2012

【連載企画】いぬん堂 presents 『WELCOME TO THE KENNEL!』

そのスジでは知らぬ人はいない!多くの80's PUNK&NEW WAVEのCD復刻や監修を行う、自主レコード「いぬん堂」主宰、赤牛戸氏による名盤紹介連載9回目!!!!!毎回テーマを持って赤牛戸氏の思う名盤を紹介してくれます!!!!今回紹介頂くのは『30周年の名盤!編』!それでは早速スタート!!!!
2012年とくってに明けてます。今年もよろしく!とか言うのはどの口だ?旧暦で生きてるのか?って感じですが、締切もとっくに過ぎてますんで、このまま続行します。とにかく月日のたつのが早いです。1日はもちろんあっという間に暮れますが、1年とか5年とかもあっという間な感じです。もはや、1日は24時間ではないし、1年も365日ではないかもしれないという体感速度です。締切が早くやってくるハズです。ちょっとご飯を食べて、眠ったりするとサササササーッと過ぎていきますから。初老の声を聞いたかと思うと、ROJINも目前という感じです。この10年で何をした?と考えても、何もなかったわけじゃないけど、取り立ててこれといったものもなく。目に見えて積み重ねた事と言えば、脂肪と白髪の数だけではいかんですな。塵も積もれば山になるはずですが、微量すぎると山になる前にこっちの寿命が来ちまいますし。今回は、そんなしみったれた話ではなく、もっと目に見えて積み重ねた30年を経た名盤を紹介しますよ。

※本文中敬称略

[30周年の名盤!編]



今年レコード・デビュー30周年なんですね。30周年記念で3枚組CD『GUERNICA』が発売されるそうですが、この作品は収録されないとのことなので、紹介しておきます。上野耕路(音楽)、戸川純(歌)、太田螢一(詩、美術)の三人によるユニットのデビュー盤。プロデュースは細野晴臣。歌は一部スタジオで録り直されていますが、ほとんどは上野宅で録音されたデモ・テープを元にしたもの。当時定価が¥2000だったのはそのためです。宅録特有の音質とシンセの音色の融合が昭和レトロなテクノ・ポップを生んだと言えます。後の作品で聴けるオーケストラ・サウンドと比べると極めて異質ですが、その世界感はすでに完成しており、戸川純という媒介を通したことがさらにそれを押し広げています。


前回トリビュート盤を紹介しましたが、こちらがその源です。82年作品。プロデュースは遠藤ミチロウ。「じんちゅうかん」と読みます。人とケモノの中間と言いますか、人と霊との中間といいますか、そんな何処かの中間から聴こえてくる音楽です。スタイルは、エレキ・ギター一本に歌ですが、やかましく生々しいです。そして断絶しています。深く閉じた世界です。録音された無人のホールが宮沢正一の脳内宇宙そのものと化した記録です。改造ギターの奏でる重く歪んだ音がホールの残響と渾然一体とする中、分離の良過ぎる歌がべったりと張り付いてきます。理解してもらおうとも思っていなかったと思いますが、実際理解するのに時間がかかります。30年後の世界で理解されるかもしれません。ですので広くはお薦めしませんが、未だにここから抜け出せない人もいます。


今年、メジャー・デビュー30周年です。メジャーがついているあたりがかなり強引ですが。当時、『FOR NEVER』という2枚組LPで発表されましたが、LPなので2枚組とは言え、さすがに2時間を越えるこのライヴは完全収録できず、今まで何度かCD化もされていますが、それにも収録されなかった曲も含めて全曲マルチ・テープからニュー・ミックスした解散ライヴの完全版です。このライヴは見ていますが、最後まで聴いて思い出しました。そうだ、抜け殻のようになって終わっていったんだな、と。解散ゆえの馬鹿騒ぎとはほど遠い、静まりかえったラストが象徴的です。そこまでに至る死力を尽くした2時間弱の演奏は、ときにドタラバタラともがきながらも開放へと向かうパワーが漲っています。全てをさらけ出した、死臭(ポエム)漂うドキュメント作品です。


同名バンドがありますが、こちらはレコード・デビュー30周年を迎えるバンドの編集盤です。1stアルバムとコンピレーション盤などに参加した音源で構成。松本里美と宮川いづみを中心とした女性バンドで、エリック・サティの曲をバンド編成で再現するなど、ニュー・ウェイヴの流れの中でも非常に特異なバンドです。音の隙間にアヴァンギャルドさがにじみ出ています。プロデュースは蔦木栄一(突然段ボール)、フレッド・フリス、板倉文(チャクラ)と様々。10年に1枚という創作ペースだったので、今年あたり新作が出てもおかしくないのですが、今は個々の活動中心で、サボテンとしての活動はお休みみたいですね。とか思うといきなり動き出すかもしれないし。どうなんでしょう?


こちらも同名バンドがありますが、やはりレコード・デビュー30周年を迎えるバンドの編集盤です。3枚のアルバムからのセレクトや最新のライヴ音源などで構成。ドドンパやレゲエを基調としながらパンクのテイストも感じさせる最高に楽しいバンドです。メンバーの出入りは激しく、平沢進もギターでツアーに参加したこともあります。その平沢進や戸川純もフェイバリット・バンドにあげており、愛すべきバンドなのですが、こうやって音源がまとめられたのは今回が初のことです。VoでリーダーのShim-con-kangはすでに還暦を越えてますが、白手袋片手に相変わらず下町J-TOWNの愛だの恋だのを歌い続けているのが素晴らしいです。現在は、PEVOやShampooのメンバーも加わり、新生コンクリーツとして活動中で、年輪を感じさせる歌を聴かせてくれます。


絵でも著名ですが、今年レコード・デビュー30周年です。ということは、30年でアルバム3枚ですね。しかも、3rdアルバムがでたのが88年ですから、24年前じゃないですか。4thアルバムはいつ出ることやら…。こちらは、デビュー盤。サウンド・プロデュースは、EP-4などでおなじみのBANANAです。とにかく、その声と独特な世界観に魅了されます。ニュー・ウェイヴの系譜で語られる事が多いですが、その時代の先鋭的な音を取り込んだ結果であって、実は今回ボーナスで収録された弾き語りの方が原マスミの本質に近いかと。ギターうまいんすよねー。ベースでだって弾き語るし。そこにいろんな肉づけがされたのがこのアルバムと考えるとまた違った聴こえ方ができるかも。なにしろ、もっとロックな人なのですよ。それは、ライヴを見れば解ります。


よっしゃ、今回は1982年に執着したぞ。来年まで連載が続けば、1983年にも執着する。この執着は病気だと思っておくんなせぇ。80年代バイアスがかかりまくってるんですわ。こじらせると完治するか怪しいので、お気をつけください。

いぬん堂(いぬんどう)

いぬん堂自主レコード「いぬん堂」主宰。80's PUNK&NEW WAVEのCD復刻&監修多数。戸川純担当。パンク・バンド「ビル」のヴォーカル。

ビル・ライヴ予定
2/11 東高円寺二万電圧
3/17 新宿URGA(いぬ屋敷)

HP : http://www.inundow.com/
Twitter : https://twitter.com/#!/inundow

Rock & AlternativeLatest Items / Tickets Information