アニャンゴ インタビュー 【2】
Monday, September 26th 2011
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- --- では最新アルバム 『Teï molo』 の制作に至る経緯をお聞かせいただけますか。
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昨年春に2ndアルバム 『Horizon』 をリリースしました。夏には念願だったフジロック・フェスティバルにも出演できたのですが、このあたりでもう一回仕切り直しというか自分のやっている音楽そのものを見つめ直したいと思いました。それで改めて自分自身と対話して、自分の器を壊して広げてるために、ワールドミュージックの最先端ともいえるロンドンとパリに向かいました。フジロックの5日後です。特にパリでは運命的な出会いがたくさんありました。サリー・ニョロさんにも出会い、今後の要となるような重要人物にも出会うことができ、そこから新しいプロジェクトがスタートしました。
- --- 『Teï molo』 の参加メンバーも豪華ですが、全てサリーさんの人選ですよね。
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そうです。大ファンだったドラマーのパコ・セリーさん。お会いできたことが自分でも信じられませんでした。今回はブラジル、カメルーン、フランス、イギリス、アイボリーコースト、日本など全部で15か国ほどのミュージシャンが参加してくれています。日本人は本当に私一人だけで完全にアウェー状態だったんですが、自分の器を壊して広げるのにはこんな絶好の機会はないので・・・ 私の中でも伝説のレコーディングという感じです。
- --- 楽曲も大半がサリーさんの作曲によるものですね。
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今回は9曲がサリーで、2曲がアニャンゴの作曲です。その他に去年の夏、サリーと出会ったその日にセッションして録音した 「Lang lang」 も収められています。
- --- サリーさんは曲をレコーディング直前まで聴かせてくれなかったそうですが、実際はどのくらい前に聴かせてもらえるんでしょうか。
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マイクの前に立って歌入れする、そのつい7分くらい前です (笑) 。7分前に初めて、1回だけ聴かせてくれて、次にサリーがその曲のテーマやあらすじを聞かせてくれます。 「この曲は 『とどまることなく前に進みなさい。』 という歌よ」 とだけ言われていきなりレコーディングが始まる (笑) 。そして、これを一回でキメないといけない。どんなに多くても3テイクまで。世界のトップミュージシャンが集まってくれていますから 「一発でキメるのが当然」 というのは今回身に染みて感じましたし、それがサリーのやりかたでもありました。
- --- 以前OKIさんが、ワールドミュージックのトップミュージシャンと一緒に仕事をすると、音楽のクオリティだけではなくて心構えやマナーも勉強になるとおっしゃっていました。まさにその通りですね。
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はい。 「これができないならここに立つ資格はない」 という厳しさを感じました。サリーのやりかたはとても独特だったので最初は戸惑うことも多かったですが、彼女と一緒にやりたいと願って決断したのは自分なので、とにかく全身全霊で音だけに集中してレコーディングしました。200%集中していたので緊張する暇もないという感じでしたね。

- --- 今回はアニャンゴさんの歌唱法ががらりと変わったように思います。
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それはあると思います。サリィのアドバイスでは 「アニャンゴの声は独特のサウンドを持っている。私は大好きよ。だけどそれには力を入れちゃだめ。リラックスして力を抜いた時の声が、アニャンゴにとって一番素晴らしいサウンドが引き出せるのよ」 と。ちょっとでも声を張ったりするとサリーがすぐ 「ノン、ノン」 と言ってくるんです。だから今回は徹底して力を抜いた状態でレコーディングしました。ドラムやベースといったビートの部分はタイトでグルーヴィに仕上がっているので、そこに重たい歌をのせてしまったらtoo muchになってしまう。だからアニャンゴの歌はその上をかろやかに飛んで行きなさい、と言われました。
- --- ピグミーの森の中でもレコーディングされたそうですね。
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はい。 「私の音楽を理解するためには、カメルーンの森の音楽を聴きにいかなくちゃ」 とサリーに誘われて。もちろん私も体感したいと思っていました。ヤウンデから7時間車を乗り継いで、そこからまたカヌーを一時間くらい漕いでやっとピグミーの森の玄関に到達します。人生でもめったに見ることはないだろうってくらい巨大な深い森で・・・枝や葉っぱが巨大で、日本サイズではなくて、夢を見ているような、地球じゃない別のところに来ちゃったような不思議な感覚でした。
- --- 小人になった気分。
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そうそう!そんな感じです。その巨大な森の静寂の中、カヌーを漕いでいると、青い鳥が2羽チュンチュン、と飛んできてボートの先端にとまったんです。サリーが 「この鳥はピグミーの使いの鳥で、私たちがここに着たという知らせを受け取りに来たのよ」 とそっと耳打ちしてくれました。すると鳥たちは森の向こうに飛び立っていき、その姿が遠くに消えた途端に太鼓の音や大きな人の声が聞こえてきたんです。サリーは 「ほらね、言ったとおりでしょ」 という顔で私のほうを見てきて、私は 「そんなことあるのかなぁ?」 と思ったのですが・・・ (笑) 。
ピグミーの人々は私たちをとても歓迎してくれました。ニャティティの演奏を始めるとみんなすぐにコーラスや手拍子をしながら曲に入ってきて、一緒に歌ってくれたんです。それがタイトルにもなっている 「Teï molo」 という曲です。
森にいたのはほんの数時間でしたが、帰りのボートの中でサリーにこう言われました。
「アニャンゴ、ピグミーのママにこう言われたわ。 “あなたはアニャンゴという素晴らしい娘を連れてきてくれた。今まで観光でこの森にやってきて写真を撮って帰るだけの人はたくさんいたけれど、私たちと音楽を分かち合いに来てくれたのはアニャンゴが初めてよ。ありがとう” と。私が誰かをシスターだと感じるのはザップ・ママ以来だわ。」
カメルーンの森を出てすぐに私は倒れて病院に運ばれてしまったんです。それほどこの日は感動していて、またとても興奮していたのだと思います。 - --- 本当に夢のような瞬間でしたね。その森の中で録音した音も今回のアルバムに入っていますか?
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ママたちの話し声やピグミーのお決まりのあいさつである 「アウア!」 という掛け声なども入ったりしています。ぜひ、耳を澄ませて森の音もお楽しみ下さい。
(次項へ続きます)
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Anyango (向山恵理子) 最近のリリース
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- もっと、遠くへ
向山恵理子 (Anyango) - 2011年07月発売
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Anyango (向山恵理子) これまでのリリース
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- Horizon
Anyango - 2010年05月30日発売
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- Nyatiti Diva
Anyango - 2009年09月20日発売
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- 夢をつかむ法則
アニャンゴのケニア伝統音楽修業記
向山恵理子 (Anyango) - 2009年07月発売

アニャンゴ (向山恵理子) Anyango
ニャティティの世界初の女性奏者。単身ケニア奥地の電気も水道もない村に住み込みニャティティの修業をし、ニャティティの習得と演奏を許された世界最初の女性となる。Anyango (アニャンゴ) とはルオー語で、「午前中に生まれた女の子」という意味。
・東京に生まれる。2005年、単身ケニア西部ルオー族の村に住み込み、 ルオーの伝統弦楽器であるニャティティの修業をする。ケニアの国立劇場ともいえる 「ボーマス・オブ・ケニア」 でケニア建国以来初の外国人によるライブパフォーマンスを行う。
・2007年、ケニア国内で一躍有名になり、数々のテレビ・新聞・ラジオに出演。ヴィクトリア湖の近くの町で開催された国連主催のSTOPエイズコンサートでは、5万人を前にライブをする。
・2008年5月のTICAD (第4回アフリカ開発会議) の式典で、アフリカ各国の大統領・首脳人の前で演奏。
・2009年7月、 「ニューズウィーク」 誌の 「世界が尊敬する日本人100人」 に選ばれる。8月、角川学芸出版より 「夢をつかむ法則 〜アニャンゴのケニア伝統音楽修業記 」 発刊。発刊初日にアマゾンノンフィクション部門1位。2009年度のアマゾン年間ランキング 「Best Books of 2009」 ノンフィクション部門で第10位。9月、ファーストアルバム 「Nyatiti Diva」 をリリース。
・2010年5月、セカンドアルバム 「HORIZON」 をリリース。バイオリニスト、葉加瀬太郎氏のレコーディングに招聘され、世界初のニャティティによるクラシック楽曲のレコーディングを果たす。8月、日本で一番大きな野外ロックフェスティバルであるFUJI ROCKに出演、ワールドミュージック部門のベストアーティストに選ばれる。
・2011年2月、サードアルバム制作のため、渡仏。プロデューサーに元Zap Mamaのサリー・ニョロを迎え、フランスおよびカメルーンで録音。7月29日、シングルCD 「声をきかせて」 をリリース。同日、2冊目の本となる 『もっと、遠くへ』 (学芸みらい社) 発刊。アマゾン売上ランキング1位を記録。9月25日、サードアルバム 「Teï molo (テイ・モロ) 」 リリース予定。
(アニャンゴ 公式サイトより抜粋)




