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「ベルリン・フィル・ラウンジ」第45号:佐渡裕、ベルリン・フィル・デビューを語る(前半)

Friday, July 8th 2011

ドイツ銀行 ベルリン・フィル
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 ベルリン・フィル関係ニュース

ヴァルトビューネ・コンサートが雨により急遽中止。振り替え日は、8月23日
 7月2日に予定されていたヴァルトビューネ・コンサートが、キャンセルされました。原因は、雨による悪天候です。このコンサートは、毎年シーズン終了時に行なわれますが、キャンセルされるのは30年の歴史で初めてとなります。コンサートは、8月23日に振り替え。イタリアものを中心としたプログラムは、変更なしで演奏されます。
 当日、観客は17時より会場のヴァルトビューネに入場していましたが、演奏開始の20時15分が迫っても雨は止む様子がなく、マネージメントは舞台上から中止を発表しました。ベルリン・フィル、インテンダントのマルティン・ホフマンは、「雨は上からだけでなく、横から舞台に降りかかってきた。弦楽器最前列だけでなく、舞台の半分までが濡れる恐れがあり、楽器の損傷が心配された」と聴衆に説明しています。指揮者のリッカルド・シャイーは、「新しい日程を組むのが唯一の打開策」と聴衆に理解を求めました。
 ベルリン市民にとっては、ヴァルトビューネ・コンサートは夏の風物詩と言えるもので、ピクニック・コンサートとしても人気を博しています。2万人の聴衆は、中止の発表にむしろ安堵した様子。新しい日程が発表されると、拍手さえ起こりました。『ベルリナー・モルゲンポスト』紙によると、ある男性は「残念だが、理解できる決断。開催できないことは承知していた」と冷静に反応しています。
 日本からチケットご購入の方で、返却をご希望の方は、8月15日までにベルリン・フィルのチケットオフィスまでご返送ください(詳細はこちらから)。

 デジタル・コンサートホール(DCH)アーカイブ最新映像

エトヴェシュの自作初演は「チェロ・コンチェルト・グロッソ」
(6月18日)

【演奏曲目】
ストラヴィンスキー:4つのロシア農民の歌
エトヴェシュ:チェロ・コンチェルト・グロッソ(初演・財団法人ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団委嘱作品)
ムソルグスキー:歌劇《ボリス・ゴドゥノフ》より戴冠式の場面とボリスの死

チェロ:ミクローシュ・ペレーニ
バス:フェルッチョ・フルラネット
ベルリン国立歌劇場合唱団(合唱指揮:エーバーハルト・フリードリヒ)
指揮:ペーテル・エトヴェシュ


 ベルリン・フィルに頻?に客演する作曲家兼指揮者と言えばブーレーズの名前が挙がりますが、ペーテル・エトヴェシュも例年のように客演を繰り返すヨーロッパの代表的な作曲家です。今回は、彼自身の「チェロ・コンチェルト・グロッソ」を初演しています。
 エトヴェシュは独創的な作風で知られ、チェーホフ『三人姉妹』の主人公たちにカウンター・テノールを当てて作曲。あるいはスペースシャトルの爆発事故を題材としてヴァイオリン協奏曲《セブン》を書くなど、現代音楽のメインストリームとはひと味違ったアプローチが話題を呼んでいます。今回の作品では、故郷ハンガリーの名チェリスト、ミクローシュ・ペレーニを独奏に迎えています。
 コンサートの後半では、ムソルグスキーの《ボリス・ゴドゥノフ》の戴冠式の場面とボリスの死が演奏されました。印象主義から現代の作曲家まで後代に大きな影響を与えた彼の作品が、エトヴェシュ、そしてストラヴィンスキーに組み合わされているところがプログラムの妙。イタリアの大バス、フェルッチョ・フルラネットが独唱を受け持った点もハイライトです。

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エマニュエル・アイムがラモーとヘンデルを指揮
(6月23日)

ヘンデル:コンチェルト・グロッソ ト長調 Op. 6-1, HWV 319
水上の音楽 第3番ト長調 HWV 350
水上の音楽 組曲第1番ヘ長調 HWV 348
ラモー:舞台作品からの器楽組曲

指揮:エマニュエル・アイム


 フランスの古楽系指揮者エマニュエル・アイムがラモーとヘンデルのプログラムを演奏しています。アイムは2008年3月にベルリン・フィルにデビューしており、今回が2回目の客演。女性指揮者として国際的に活躍する彼女の演奏に高い関心が集まりました。 今回のプログラムは、ヘンデルの代表的器楽曲「水上の音楽」と「コンチェルト・グロッソ」と、ラモーの舞台作品からの抜粋です。近年は、オペラ等に登場する器楽曲を「シンフォニー」として上演することが多くなっています。これはバロック時代のパスティッチョの伝統に従ったものですが、オペラとシンフォニーの融合として、面白い試みと言えるでしょう。ベルリン・フィルの古楽スタイル演奏にも、注目が集まります。

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 佐渡裕、ベルリン・フィル・デビューを語る(前半)

佐渡「ベルリン・フィルは、子供の時から40年経った今でも世界一でした」。聞き手はパユ
(2011年5月22日)

 今号から2号にわたって、5月にベルリン・フィル・デビューを飾った佐渡裕のインタビューをご紹介します。6月29日には当日のライヴCDが緊急発売され、話題となっていますが、初日の後に行なわれたこのインタビューでは、佐渡がリハーサルと本番の差、聴衆のエネルギー等について語っています。当日の演奏は、ベルリンの新聞からもたいへん好意的に受け止められていますが、聞き手のパユの言葉にも、佐渡へのシンパシーが滲み出ているようです。

エマニュエル・パユ 「今、我々は指揮台の位置で話しています。ベルリン・フィルにデビューを果たした今の心境は、どんな感じですか」

佐渡裕 「私が小学校を卒業した時、生徒が皆で文集を作りました。そこに自分が将来何になりたいか、と書くコーナーがありましたが、私は“ベルリン・フィルの指揮者になりたい”と書きました。今年50歳になりましたが、40年経った今、夢が叶ったことになります。当時なぜそう書いたかというと、私にとってベルリン・フィルは、世界一のオーケストラだったからなんです。でも今でもベルリン・フィルは世界一のオケです。自分は本当にラッキーだと思います」

パユ 「あなたはとてもエネルギーに満ちた指揮をされて、またドイツ語もたいへんお上手にお話しになる」

佐渡 「そうかなぁ(苦笑)」

パユ 「いえいえ。あなたのようにしっかりとドイツ語をしゃべる客演指揮者はそんなに多くないですよ。このようにオケとのコンタクトもオープンでしたが、最初のコンサートが終わった後の印象はいかがですか」

佐渡 「リハーサルとコンサートとでは、ちょっと違いました。まずリハーサルでは、最初やはり“すごいオーケストラだなぁ”と感動しました。サウンドが別ものなんです。まるで子供の頃のように、一ファンに戻った心境でした。でも少し進むと、音程やパッセージを直すという場面も出てきました。“ベルリン・フィルでも最初から完璧ではないんだ…”とちょっと安心するというか、共感するというか(笑)。あとひとつ言えるのは、反応が非常に早いということですね。ちょっとこう変えて欲しい、と頼むと、本当にサッと変わります。飲み込みが早いんですね。それは本当にすごいと思いました。
 また本番では、ちょっと変化がありました。リハーサルでやらなかったようなことが、その瞬間に生まれてくるのです。オケのメンバーは、お互いの音を非常によく聴いています。だからそうしたコミュニケーションが可能なのですね。
 コンサートでは、聴衆が素晴らしいことも実感しました。ステージに上がってくると、お客さんの表情が分かるんです。彼らは期待に胸を膨らませていて、顔が輝いています。私はデビュー・コンサートでちょっとナーバスだったのですが、それを見ていたら、“ああ、僕はここで音楽だけのことを考えればいいんだ。邪念を持ってはいけない”という気持ちになりました。この聴衆の力も、ベルリン・フィルが世界一のオーケストラである理由ではないかと思いました」

パユ 「ベルリン・フィルは日本と強いつながりを持っています。カラヤンが最初の映像収録を行なったのは日本ですし、オーケストラは数え切れないほど客演してきました。安永徹が長い間コンサートマスターでしたし、今は樫本大進が同じポストを務めています。小澤征爾、大賀典雄といった人々は、ベルリン・フィルやカラヤンの歴史を語る上で、非常に重要な存在でしょう。今回、東日本大地震で多数の犠牲者が出て、ベルリン・フィルはたいへん心を痛めました。我々はヨーロッパのオーケストラのなかでも、真っ先に日本からの知らせに反応し、コンサートを犠牲者たちに捧げたオーケストラだと思います」

佐渡 「最初のリハーサルの冒頭、私はオケのメンバーに感謝の言葉を述べました。ベルリン・フィルの皆さんが送ってくださったヴィデオ・メッセージ、そしてラトルさんとバレンボイムさん指揮によるチャリティ・コンサートは、日本人である我々に本当に勇気と力を与えてくれたからです。音楽家は、被災地に着物や電気、ガスを送ることはできません。でも心、気持ちは送ることができるんですね。私はインターネットでラトルさんとヘーシュさんの励ましの言葉、それも日本語での言葉を見て、非常に感動したのです」(後半に続く)

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 クラウディオ・アバド特集

1991年から2002年までの「アバド時代」の映像が一挙17本公開!

 1989年にヘルベルト・フォン・カラヤンが死去した後、その年の暮れにクラウディオ・アバドがベルリン・フィルの首席指揮者に就任しました。それ以降、2002年の退任まで、アバドは約13年間にわたり、ベルリン・フィルに栄光の時代をもたらしました。デジタル・コンサートホールでは、「アバド時代」へのオマージュとして、1991年から2002年までの演奏会の映像を、まとめて17本紹介いたします。
 7月1日から8月24日まで、毎週新しい映像が2本ずつアップ。これらは、今後恒常的にデジタル・コンサートホールで視聴可能となります。通常のDCH チケットで何度でも自由にご覧になれ、追加料金は必要ありません。
 内容的には、90年代のヨーロッパ・コンサートやジルベスター・コンサート、日本を含む客演先での演奏会、さらに極めて高い評価を得た後期のベートーヴェン交響曲全集(収録:ローマ)等が含まれています。アバド・ファンならずとも、垂涎もののコンテンツ。ぜひご覧ください。

アバド特集の映像を観る

ヨーロッパ・コンサート1991(プラハ)
【演奏曲目】
モーツァルト:交響曲第29・35番
コンサート・アリア〈どうしてあなたを忘れることができよう〉K.505
《ドン・ジョヴァンニ》序曲とアリア〈ああ、言わないで〉
ソプラノ:チェリル・ステューダー
ピアノ:ブルーノ・カニーノ
指揮:クラウディオ・アバド
1991年5月1日収録
■アーカイヴ映像アップ済み。

ヨーロッパ・コンサート1994(マイニンゲン)
【演奏曲目】
ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第5番
ブラームス:交響曲第2番
ピアノ:ダニエル・バレンボイム
指揮:クラウディオ・アバド
1994年5月1日収録
■アーカイヴ映像アップ済み。

ベルリン・フィル来日公演1994
【演奏曲目】
ムソルグスキー《はげ山の一夜》
ストラヴィンスキー:《火の鳥》組曲(1919年版)
チャイコフスキー:交響曲第5番
指揮:クラウディオ・アバド
1994年10月14日収録
■アーカイヴ映像アップ済み。

ヨーロッパ・コンサート1996(サンクトペテルブルク)
【演奏曲目】
プロコフィエフ:《ロメオとジュリエット》より抜粋
ラフマニノフ:《アレカ》よりアリア
ベートーヴェン:ロマンス第1・2番、交響曲第7番
バス・バリトン:アナトリ・コチェルガ
ヴァイオリン:コリヤ・ブラッハー
指揮:クラウディオ・アバド
1996年5月1日収録
■アーカイヴ映像アップ済み。

7月15日(金)アップ分
アバド・ドキュメンタリー『音楽に続く静寂』

ジルベスター・コンサート1996
【演奏曲目】
ブラームス:ハンガリー舞曲第1・5・7・10・17・21番、合唱曲集
ラヴェル:ツィガーヌ、ラ・ヴァルス
ヴァイオリン:マクシム・ヴェンゲーロフ
指揮:クラウディオ・アバド
1996年12月31日収録

7月22日(金)アップ分
ベルリン・フィル ウィーン公演1997
【演奏曲目】
ブラームス:ドイツ・レクイエム
ソプラノ:バーバラ・ボニー
バリトン:ブリン・ターフェル
指揮:クラウディオ・アバド
1997年4月3日収録

ジルベスター・コンサート1997
【演奏曲目】
ビゼー:《カルメン》抜粋
ラフマニノフ:パガニーニの主題による狂詩曲
サラサーテ:カルメン幻想曲
独唱:アンネ・ソフィー・フォン・オッター、ロベルト・アラーニャ、ブリン・ターフェル他
ピアノ:ミハイル・プレトニョフ
ヴァイオリン:ギル・シャハム
指揮:クラウディオ・アバド
1997年12月31日収録

7月29日(金)アップ分
ヨーロッパ・コンサート1998(ストックホルム)
【演奏曲目】
ワーグナー:《さまよえるオランダ人》序曲
チャイコフスキー:《テンペスト》
ドビュッシー:3つの夜想曲
ヴェルディ:聖歌四篇
指揮:クラウディオ・アバド
1998年5月1日収録

ジルベスター・コンサート1998
【演奏曲目】
モーツァルト:《フィガロの結婚》、《ドン・ジョヴァンニ》、《魔笛》からのアリア、重唱
ビゼー:《アルルの女》組曲より〈ファランドール〉
ロッシーニ:《どろぼうかささぎ》序曲
ヴェルディ:《リゴレット》、《椿姫》、《仮面舞踏会》からアリア、重唱
ベルリオーズ:《ローマの謝肉祭》
チャイコフスキー:《エフゲニー・オネーギン》より〈手紙の場〉、ポロネーズ
独唱:ミレッラ・フレーニ、クリスティーネ・シェーファー、マルセロ・アルバレス、サイモン・キーンリーサイド他
指揮:クラウディオ・アバド
1998年12月31日収録

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 ドイツ発最新音楽ニュース

本コーナーでは、ドイツおよび欧米の音楽シーンから、最新の情報をお届けします。

グラインドボーン音楽祭の時期音楽監督は、ティチアーティ
 グラインドボーン音楽祭の現音楽監督はウラディミール・ユロフスキだが、その後継者に28歳のロビン・ティチアーティが就任することになった。契約は2014年より。ティチアーティは、サー・コリン・デイヴィスのアシスタントとしてスタートし、バンベルク響の第1客演指揮者を務めている。同時にスコットランド室内管弦楽団の首席指揮者の任にあり、来シーズンはメットにもデビューする(写真:©Chris Christodoulou)。

カメラータ・ザルツブルクの新首席指揮者は、ラングレ
 ルイ・ラングレがカメラータ・ザルツブルクの首席指揮者になることが決定した。契約は、2011/12年シーズン開始より5年間。ラングレは同オケを、ザルツブルクでの定期演奏会のほか、エクサン・プロヴァンス音楽祭やウィーン芸術週間等でも振っている。また彼は、モーストリー・モーツァルトの契約も2014年まで延長した。

ポール・マクリーシュが自主レーベルをスタート
 ジョン=エリオット・ガーディナーやトン・コープマンに続き、ポール・マクリーシュがガブリエリ・コンソートと自主レーベルをスタートすることになった。その名も「ウィングド・ライオン(翼の付いたライオン)」。ヴェネツィア共和国の紋章を思わせる名前からして、レパートリーを暗示しており、ルネッサンス、バロックの合唱曲がメインを形成する。さらに近代のオラトリオも取り上げ、キーンリーサイドを主役とする《エリア》、ベルリオーズの「死者のための大ミサ」、ハイドン《四季》、ブリテン《戦争レクイエム》等を予定している。

ライプツィヒ・オペラがバイロイト音楽祭と共同制作
 ライプツィヒ・オペラが、2013年のワーグナー生誕200年祭にあたり、《妖精》、《恋愛禁制》、《リエンツィ》の3作を制作し、ライプツィヒとバイロイトで上演するという。指揮に当たるのは、同劇場の総監督兼音楽総監督のウルフ・シルマー。これにより、バイロイト音楽祭でワーグナーの初期作品が初めて演奏されることになる。ただし、バイロイト祝祭劇場での上演となるかは、現在のところ不明。プロダクションの詳細は、10月に発表されるという。

ゲオルギューとアラーニャが復縁?
 昨年離婚決意が報じられたアンジェラ・ゲオルギューとロベルト・アラーニャが、一転して復縁ムードだという。フランスのジャーナリスト、アラン・デュオーによると6月にウィーン国立歌劇場の《ファウスト》に出演していたアラーニャに、ゲオルギューが同行。かつてないほどアツアツのところに、偶然デュオーが出くわしたという。「今後ふたりで舞台に立つことはあるか」と聞くと、アラーニャはとっさに「ノー」と答えたが、ゲオルギューは「可能性はなくはない」と即答を避けた。今後の展開が注目される。

次号の「ベルリン・フィル・ラウンジ」は、2011年8月12日(金)発行を予定しています。

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