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【特集】 ピーター・トッシュ

ROLLING STONES STORE

Tuesday, July 12th 2011


Peter Tosh



 市場的に見ても、ボブ・マーリーが折りにふれて全世界規模で盛り上がるのはよく判る。その分野で「神様」と呼ばれるような人なわけだからごく当たり前のことだ。こと日本においても、マス・コア入り乱れて花が咲くボブ談義の風景などは、やはり清々しくあり美しくもある。西欧諸国に負けず劣らないレゲエ翼賛国のまごころに触れたようなあたたかさにもありつけることができる。総じて、ボブ・マーリーは今でもしっかりと万人に愛されているのだ。

 というわけで、ここではそんなボブ・マーリーの特集を5週にわたって・・・と思った矢先に届いた、ちょっとばかりブ厚く無骨なプロダクツ、二品。 ピーター・トッシュ。忘れてはならない男、ピーター・トッシュである。「レゲエ=ボブ・マーリー」というごくごく一般的な図式を甘受しても決しておざなりにできない、ジャマイカのポピュラー・ミュージック史上最も危険な香りのする元祖ルード・ボーイ、ピーター・トッシュのアルバム。しかもあの『解禁せよ』『平等の権利』がレガシー・エディションでおいでなすったとくれば、ボブ・マーリー・シンパのみならず、レゲエ、特にルーツ・レゲエ・ファンを自負する方々すべての欲求を満たす内容となっているのは約束されたも同然。「いやん、その人知らなぁい」などは腰掛けOLのいつもの甘ったれた方便。言語道断。ルーツを愛する者なら、塩辛つまみにピーター・トッシュ。まっこり片手にピーター・トッシュ。こちとらそのぐらいのテンションだ。

 ボブ・マーリーが今も愛され、この先も愛され続けていくだろうことはよく判った。さて、ピーター・トッシュはどうだろう? チェ・ゲバラフェラ・クティと並ぶシステム打破の好戦的な人間、あるいはガンジャ解禁を島で最もデカい声で叫んだ人間というイメージが先行し、その範疇のみで語られ尽くされてしまうことも間々あるかと思うが、シンガーとしての地肩の強さや、作曲におけるメロディメイカーとしての才能は、実は「神様」ボブ・マーリーのそれを超えるものがあるのでは? と感じている方々もきっと多いことだろう。ルーツ・レゲエの筆下ろし相手として指名されることの多いボブ・マーリー&ザ・ウェイラーズの『ライヴ!』『キャッチ・ア・ファイアー』以上に、『解禁せよ』『平等の権利』には純粋な音楽としての「親しみやすさ」「判りやすさ」が、いかにも70年代レゲエのゴツゴツとした肌触りの中に介在する・・・贔屓目が多少あるとしてもそれは決して大袈裟すぎる意見でも、スーパースターへのやっかみでもないつもり。

 2007年、ピーター・トッシュ本人の「没後20年」時には現れなかった今回の『解禁せよ』『平等の権利』のレガシー・エディションが、戦友ボブ・マーリーの「没後30年」を迎えた今年リリースされるという、そんな偶然はたまた宿命にかしわ手を打ったのはなにもバニー・ウェイラーだけじゃないはずだ。今宵じっくりとピーター・トッシュを聴き返してみようと思う。




『解禁せよ』 『平等の権利』が
2枚組レガシー・エディションで登場

 
Legalize It〈Legacy Edition〉(国内盤)

Legalize It〈Legacy Edition〉(国内盤)

> 輸入盤は発売中
 
 Peter Tosh 「Legalize It」 〈 Legacy Edition 〉
 ソニーミュージック SICP3190 2011年7月27日発売 デジパック2枚組スペシャル・エディション

【DISC-1】 
1.Legalize It 2.Burial 3.What'cha Gonna Do 4.No Sympathy 5.Why Must I Cry 6.Igziabeher (Let Jah Be Praised) 7.Ketchy Shuby 8.Till Your Well Runs Dry 9.Brand New Second Hand (Previously Unreleased Bonus Tracks) 10.Legalize It (Demo) 11.No Sympathy (Demo) 12.Why Must I Cry (Demo) 13.Igziabeher (Let Jah Be Praised)(Demo) 14.Ketchy Shuby (Demo) 15.Till Your Well Runs Dry (Demo) 16.Brand New Second Hand (Demo)

【DISC-2】 
(Previously Unreleased Original LP Mix) 1.Legalize It 2.Burial 3.What'cha Gonna Do 4.No Love, No Sympathy 5.Why Must I Cry 6.Igziabeher (Let Jah Be Praised) 7.Ketchy Shuby 8.Till Your Well Runs Dry 9.Brand New Second Hand (Previously Unreleased Tracks) 10.Legalize It (Alternate Version) (Previously Unreleased Dub Versions) 11.Burial (Dub Version) (Previously Released on Very Limited Edition Dub Plates) 12.What'cha Gonna Do (Shajahshoka Dub Plate) 13.Igziabeher 〈Let Jah Be Praised〉 (Shajahshoka Dub Plate) 14.Second Hand (Shajahshoka Dub Plate) (Previously Unreleased Dub Versions) 15.Burial (Dub Version 2) 16.Legalize It (Dub Version)    









HMV ONLINE 購入者限定 「解禁せよ」PC用壁紙特典

  • HMV ONLINE/HMV MOBILEでピーター・トッシュ『Legalize It:解禁せよ』レガシー・エディション国内盤(SICP3190)をお買い上げのお客様に、「解禁せよ」PC用壁紙をプレゼントいたします。

    ・HMV ONLINE/HMV MOBILEでお買い上げのお客様 → メールにて御案内します
    ※HMV ONLINE・HMV MOBILEでご注文頂いた場合、商品出荷のタイミングによっては応募対象期間を過ぎる場合がございますことをご了承下さい。
    ※HMV本サイト及びHMVモバイルサイト以外からのご購入、非会員でのご購入は特典対象外となります。
    ※HMVストア(店舗)、HMV Yahoo!店、HMV 楽天市場ストアでのお買い上げは対象外となります。
    【購入対象期間】 2011年8月31日(水)まで





 1976年にリリースされたピーター・トッシュの初ソロ・アルバム『Legalize It(邦題:解禁せよ)』。大自然と戯れるジャケットのインパクトもさることながら、ボブ・マーリーを除くウェイラーズの面々やサンタ・デイヴィス(ds)、ロビー・シェイクスピア(b)らがバックに回って創出された音の重厚感は他の追随を許さないほど強烈なもの。自身のレーベル Intel Diplo HIMからの既発シングル5曲を軸にして構成された内容ではあるが、主役の闘争思想をあらためて窺い知れる重要曲がきっちり出揃っている点で抜かりはない。「No Sympathy」、「Why Must I Cry」、「Brand New Second Hand」といったウェイラーズ時代の再演曲においてもドぎついながら温もり十分のピーター節が轟き、バニー・ウェイラーとの共作「Till Your Well Runs Dry」には、ピーターのコンポーザーやメロディメイカーとしてのセンスがキラりと光る。蛇足ながら、本作の発表に先がけた1974年、当時レゲエに強く惹かれていたエリック・クラプトン『安息の地を求めて』のレコーディング・セッションのためにジャマイカに赴いて、ウェイラーズを抜けたばかりのピーターと共に「Burial」と「What'cha Gonna Do」を録音している。

Peter Tosh
 こちらのレガシー・ヴァージョン、ディスク1には、本篇9曲を最新リマスタリングにて、さらにはボーナス・トラックとして7曲のデモ・ヴァージョンを収録。ディスク2には、「オリジナル・ジャマイカ・ミックス」と題された全16曲が収められている。本篇9曲は、最終的なミックス・ダウンを施す直前の ”薄化粧姿” で登場。2001年に『Catch A Fire』デラックス・ヴァージョンで陽の目を見たあのオリジナル ”すっぴん” ミックスにも追随する生々しさだ。そして目玉はここから。「Legalize It」の別ヴァージョンを皮切りにレア音源が堰を切ったように次々と飛び出す。Intel Diploから7インチ・リリースされていた「Burial」のダブ 2ヴァージョンに、「Legalize It」のダブ、どちらも今回が初銀盤化。さらに、以前極々少数枚プレスされたという「What'cha Gonna Do」、「Igziabeher(Let Jah Be Praised)」、「Second Hand」のダブ・プレートも収録。なお、「Igziabeher」のダブ・プレートは、2008年にリリースされたDVD+CD『The Ultimate Peter Tosh』に収められたものと同一音源となる。







 
Equal Rights 〈Legacy Edition〉(国内盤)

Equal Rights〈Legacy Edition〉(国内盤)

> 輸入盤は発売中
 
 Peter Tosh 「Equal Rights」 〈 Legacy Edition 〉
 ソニーミュージック SICP3192 2011年7月27日発売 デジパック2枚組スペシャル・エディション

【DISC-1】 
1.Get Up, Stand Up 2.Downpressor Man 3.I Am That I Am 4.Stepping Razor 5.Equal Rights 6.African 7.Jah Guide 8.Apartheid (Previously Unreleased Original Session Outtakes) 9. 400 Years (Outtake) 10.Hammer (Extended Version / Outtake) 11. Jahman Inna Jamdung(Outtake) 12.Vampire (Outtake) 13.Babylon Queendom(Outtake) 14.You Can't Blame The Youth (Outtake) 15.Mark Of The Beast (Outtake)

【DISC-2】 
(Previously Unreleased Tracks) 1.Get Up, Stand Up(Alternate Version) (Previosuly Unrelesed Dub Versions) 2.Dub-Presser Man (Dub Version) (Previosuly Released on Very Limited Edition Dub Plates) 3.I Am That I Am (Shajahshoka Dub Plate) 4.Heavy Razor (Shajahshoka Dub Plate) (Previously Unreleased Tracks) 5.Equal Rights (Extended Version) (Previosuly Released on Very Limited Edition Dub Plates) 6.African (London Sound System Dub Plate) 7.Jah Guide (Dub Plate) (Previously Unreleased Tracks) 8.(Fight) Apartheid (Alternate Version) 9.Vampire (Demo) 10.Jahman Inna Jamdung (Demo) (Previosuly relesed on Very Limited Edition Dub Plates) 11.Hammer (Shajahshoka Dub Plate) (Previosuly Unrelesed Dub Versions) 12.Blame The Youth(Dub Version) 13.Babylon Queendom (Dub Version) 14.Vampires (Dub Version) (Previously Unreleased Tracks) 15.Get Up, Stand Up (Extended / Alternate Version)   







HMV ONLINE 購入者限定 「平等の権利」PC用壁紙特典

  • HMV ONLINE/HMV MOBILEでピーター・トッシュ『Equal Rights:平等の権利』レガシー・エディション国内盤(SICP3192)をお買い上げのお客様に、「平等の権利」PC用壁紙をプレゼントいたします。

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    ※HMVストア(店舗)、HMV Yahoo!店、HMV 楽天市場ストアでのお買い上げは対象外となります。
    【購入対象期間】 2011年8月31日(水)まで





 1977年に発表されたソロ第2作『Equal Rights(邦題:平等の権利)』。最強のリズム・セクションとしてその名を知らしめていたスライ&ロビーを中心に、元ウェイラーズ・バンドのアール・リンド(key)、アル・アンダーソン(g)、そしてスカリー(per)というメンツによって新たに結成された強力なバック・バンド「ワード・サウンド&パワー」の切れ味鋭い演奏が、ピーター・トッシュのヴォーカルをいっそう挑発的で好戦的なものへと仕立て上げる。その相乗効果の最も闘魂が膨れ上がった箇所が捉えられている。奇しくもボブ・マーリー『Exodus』の中で「One Love, One Heart」と歌っていた時期、良くも悪くも過激派支持論者を200%萌えあがらせるルーツ・レゲエ史上屈指の決起アンセム「Get Up, Stand Up」は、ジャマイカの喧嘩番長によってセルフ・リメイクされた。ゆえにウェイラーズのそれに較べ闘争心が5割増しに。映画「ロッカーズ」でも使われていた「Steppin' Razor」の攻撃的で自己防衛本能にも長けたリリックは、すべてのなまぬるさを一刀両断。「平等と正義のない平和などいらん!」とアジる表題曲から、南アフリカの人種隔離政策に言及したラストの「Apartheid」に至るまでの4曲は、サウンドの鋭さも含め、これこそがピーター・トッシュの世界そのもの。時代が生んだ「ルーツ・ロック・レゲエ」の何たるか。

Peter Tosh
 レガシー・エディションのディスク1には、最新リマスタリングを施された本篇8曲に加え、同時期のセッションからのアウトテイク7曲をボーナス・トラックとして収録。「Hammer」、「Vampire」、「You Can't Blame The Youth」(ウェイラーズ時代のセルフ・リメイク)、「Mark of The Beast」など、1974〜76年にかけてIntel Diploからシングル・リリースされていたおなじみのビッグ・ファウンデーションもしっかり収録。こちらも目玉はディスク2。前半は、別ヴァージョン、ダブ、ダブ・プレート、長尺ヴァージョンなど、「Get Up, Stand Up」から「(Fight) Apartheid」まで本篇8曲分のレア音源が出揃う。ダブ・プレートに関しては、『Legalize It』のボーナス同様に過去に極少数プレスで世に出回っていたもの。後半は、「Vampire」、「Jah Man Inna Jamdung」、「Hammer」、「Blame The Yout(You Can't Blame The Youth)」、「Babylon Queendom」などのデモ、ダブ、ダブ・プレートが並び、ラストは、「Get Up, Stand Up」の長尺版の別ヴァージョンで締めくくられている。デモ、ダブ、別テイクはすべて初出および初銀盤化となる。



 
燃える闘魂 燃えろ薬草 チャリスの夢
ピーター・トッシュの略歴


 ここでピーター・トッシュの略歴をかけ足で。60年代の初頭に、ジョー・ヒッグスの仲立ちによってボブ・マーリーバニー・ウェイラーと出会った当時17歳のピーター・トッシュ。本名、ウィンストン・ヒューバート・マッキントッシュ。幼少期をトレンチタウンの「ウェスト・ロード」というキングストン屈指のタフなゲットーで過ごしている。ジョー・ヒッグスのコーラス指導の下、3人は本格的に「ウェイラーズ」としての録音を開始。それがおそらく1963年あたりと言われているから、トッシュ 19歳、ボブ 18歳、バニー 16歳という当時のジャマイカ芸能を見渡してもあまり前例のない、かなりヤングな実力派コーラス・トリオが形成されたとみてもよいだろう。また、ヒッグスによって3人はラスタとしての思想やエチオピアの文化なども教授されていたようだ。

Wailers
 とは言えあくまで主役のリード・ヴォーカルは、ボブ・マーリー。はじめの2年余りピーター・トッシュは低音のバック・コーラスに徹していた。人一倍自尊心が強かったというピーターにとって、人のバックで歌うという事自体かなりのストレスだったのではないだろうか。ジョー・ヒッグスレスリー・コングリー・ペリーバニー・リーらその後歴代のレコーディング・プロデューサーに「オレにも歌わせろや」と直談判していたそうだ。1965年末、初めてリード・ヴォーカルのお鉢が回ってくる。「Hoot Nanny Hoot」、「Shame And Scandal」、「Maga Dog」がその当時に吹き込まれたピーター最古の録音楽曲となるだろうか。この65年から66年にかけては、「Fire Fire」、「Funeral(Burial)」、「Steppin' Razor」、「Them Hafe Get A Beaten」といった後に再演もされる重要楽曲が録音されており、「Steppin' Razor」、「Them Hafe Get A Beaten」は、同時期に別テイクまでが制作されている。

Wailers
 ウェイラーズが、「ボブ・マーリー&ザ・ウェイラーズ」として本格的な世界進出を目論んだ1970年。彼らは、ジョニー・ナッシュらが立ち上げたJAD(ジャッド) レコーズと契約を交わし、リー・ペリーレスリー・コング、クライブ・チン、バニー・リーといったプロデューサーと録音を続けた。この時期にピーターは、「Go Tell It To The Mountain」、「Stop the Train」、「Second Hand」、「Can't You See」、「Soon Come」、「No Sympathy」、「400 Years」といった楽曲でリードを務めたが、あくまでグループにおいての本分は ”ボブの引き立て役” でしかなかったことにほとほと嫌気が差していたこともまた事実だった。そうしたこともあって課外活動にも精が出始める。ジョー・ギブスバニー・リーリー・ペリーの下で、歌入れだけでなく、チャントやセッション・ピアノの録音も行なっている。また、メロディカ奏者としてもその才能を発揮していたピーターは、ウェイラーズによるTuff Gong 初のリリース曲「Sun Is Shining」、のちにバニー・ウェイラーがソロで発表した「Amagideon」のリズムを使用した「Anti-Apartheid」、「Trenchtown Rock」のダブ・ヴァージョンなどで、素晴らしいフレーズを聴かせている。しかしそのメロディカ演奏者としてのキャリアも、反アパルトヘイト抗議運動に参加した際に警察から暴行を受け、手に怪我を負ったことで断念せざるを得なくなったという。ラスタ信仰に加え、アメリカの公民権運動から生まれたブラック・パワーへの関心が高まっていた当時のピーター。この頃から徐々に当局への過激で挑発的な発言が増え、またブラック・パンサー党を意識したかのようなファッションに身を包むようにもなる。71年には、自らのレーベル「Intel-Diplo HIM(インテリジェント・ディプロマット・フォー・ヒズ・マジェスティ)」を興した。

Wailers
 1972年、JAD レコーズはIsland レコーズへ、ボブ・マーリー&ザ・ウェイラーズの契約を委託。世界進出を果たしたデビュー・アルバム『Catch A Fire』には、「400 Years」と「Stop The Train」の再演テイクが収録された。ピーターが新曲を用意しなかった背景には、すでに「グループから心が離れていたから」とする声も多いが、コーラス以外にもギターやキーボードを弾いていることから察すれば、多少自分にスポットライトが当たらないジレンマはあるものの、やはり盟友ボブのカリスマ性みたいなものには賛同を示し、「コイツとならどこまでも飛べる」と感じながらゲットーから抜け出す夢と希望に満ちた音楽漬けの日々を送っていたのではないだろうか。翌73年、『Burnin'』に収録された「Get Up, Stand Up」では、ボブとリード・ヴォーカルを分け合い、ピーターが作曲を手掛けたものにおいて最大のヒットを記録した。このヒットによって、「ウェイラーズにピーター・トッシュあり」を世界中に印象付けたのも束の間、雨が多くうすら寒いイギリスを小さなバンに乗ってツアーする、所謂ドサ回りに疲れきっていたピーターは、同じくツアー生活に辟易し一足先にグループを脱退していたバニーに続いて、73年秋のアメリカ・ツアーを境にウェイラーズ脱退を考える。そして決定的な出来事が起こった。ガールフレンドを自身が運転する車の交通事故で亡くした。ピーターは一命をとりとめたものの重症を負い、そうした一連の悲しみを振り払おうとソロ・アルバムの制作をIsland レコーズ社長クリス・ブラックウェルに持ちかけた。答えは「ノー」。同じグループであるにもかかわらず、ボブばかりが厚遇されスポットライトを浴びている・・・不幸に見舞われた者特有の一時的なうがった見方だったのかもしれないが、74年、ピーターはウェイラーズを去った。

Peter Tosh & Bunny Wailer
 ここから始まるソロ活動こそがピーター・トッシュの本領。アメリカのCBS、イギリスのVirginと契約を交わしたピーターは、1976年に、ボブを除いたウェイラーズのメンバー、さらにはサンタ・デイヴィス(ds)やロビー・シェイクスピア(b)らがバックに参加した『Legalize It(解禁せよ)』で正式なソロ・デビューを果たす。大麻生い茂る地元の原生林に、独りポツンと若大将。同じスプリフをふかすにしても、ボブ・マーリーとは真逆の表情・・・両者が目指す世界の違いがはっきりと顕れた瞬間でもあった。翌77年にリリースした2作目『Equal Rights(平等の権利)』は、スライ&ロビー、アール・リンド、アル・アンダーソン、スカリーらを擁する「ワード・サウンド&パワー」という新リズム隊を結成し制作された。中でもボブとの共作であるウェイラーズ時代の再演曲「Get Up, Stand Up」には、ピーター色150%の闘志がみなぎっている。また、78年公開のラスタ・ムーヴィ「ロッカーズ」の劇中歌にもなった「Steppin' Razor」からラストの「Apartheid」までにいたる流れにも、 ”メッセンジャー” であったボブの向こうを張る ”アジテーター” ピーター・トッシュの高く突き上げられた握りこぶしがオーバーラップする。当然ジャマイカ当局も「歩くカミソリ」よろしく「危険なヤツ」という認識を強く持ちはじめ、ピーターは要注意人物として徹底マークされるようになる。78年、ジャマイカで開かれた「ワン・ラヴ・ピース・コンサート」でボブと同じステージに上がったピーターは、「平和などという言葉は、死者に向ける言葉だ」と吐き捨てた。

Peter Tosh & Keith Richards
 1978年、Rolling Stones レコードの外部契約第1号アーティストとして迎えられる。キース・リチャーズミック・ジャガーに気に入られ、彼らストーンズのワールド・ツアーを一緒に回ったことがきっかけとなった。そのRolling Stones レコードからは、ソロ第3作目『Bush Doctor』を皮切りに、『Mystic Man』『Wanted Dread & Alive』と都合3枚のアルバムがリリースされた。『Bush Doctor』には、ミックとのデュエット「Don't Look Back」、キースがギターで参加した「Stand Firm」などが収録され、前者はポップス・チャートに食い込むほどのヒットを記録した。このあたりからサウンド面の変化が顕著になってくる。ロック・フィールド(≠メインストリーム)へ足を踏み入れたことによる化学反応と言うべきか、ズッシリと重く硬派な、いかにも「ルーツ・ロック・レゲエ」といったサウンドは鳴りを潜め、ホーンやコーラスなどの装飾を施した、 ”聴きやすさ” が全体的に目立つようなものへとシフトされていく。リズム面においてもワンドロップだけにとどまらない多様なアレンジが加えられ、それまでのレゲエ・ファンから三行半を突きつけられる一方で、ロック、ポップス・ファンからは喝采を浴びることがしばし多くなった。

Peter Tosh
 EMIへ移籍した1983年のアルバム『Mama Africa』には、アフリカ回帰思想をストレートに歌った表題曲のほか、チャック・ベリーの有名曲を取り上げた「Johnny B. Goode」、ウェイラーズ時代の再演「Stop That Train」、「Maga Dog」など、レゲエ、ロック双方のファンが相席のもとそのバラエティ豊かなメニューに舌鼓を打つような作品となった。精力的なライヴ活動を続けていたピーターだが、1987年9月11日、その最期は突如訪れる。ラリッた3人の物盗りによって自宅を襲撃され、ピーターを含む3人が射殺された。不条理な公権力への抵抗、システムの打破、ゲットーの嘆きを声高に叫んできた街のヒーローが、一説には顔見知りとも言われている同胞からの金品目当ての暴力によってあっけなくこの世を去ったことは、第三世界に根強く蔓延る腐敗した政治〜貧困問題をあらためて認識させられたと言わざるを得ないだろう。その死の真相を中心にピーターの半生を追ったドキュメンタリー・フィルム『Stepping Razor: Red X』をご覧いただければ、ピーター・トッシュという男、さらには当時のジャマイカの国政・社会状況への深い理解を得られるだろう。同じ年に急遽リリースされた遺作『No Nuclear War』は、最初のグラミー賞「レゲエ部門」受賞作品となった。あの世にいるピーターがそのことに喜んだとは到底思えないが、再び取り上げた「Apartheid」や「Vampire」の仕上がり、さらに昔から大好きだったビートルズのカヴァー(「Come Together」)を初めて正式に収録できた点などについては、概ね納得していることだろう。   



参考資料
ピーター・トッシュのドキュメンタリー映画

Stepping Razor Red X
 
 Stepping Razor Red X
 アップリンク ULD256 発売中 103分 ステレオ
 ピーター・トッシュの死の謎を、いくつかのライブ・シーンを交えて描くドキュメンタリー映画。1987年の死から3年、彼が生前録音していた“自叙伝"のテープが発見される。監督のニコラス・キャンベルは、このテープと、トッシュの音楽をヒントに関係者(トッシュの父母と思われる人物、ギタリストのアール・チナ・スミス、レゲエ詩人のムタバルーカなど)の証言を集める。トッシュを援助しキング牧師やマルコム]についての番組を専門に流す放送局を作ろうとしていた人物も、トッシュと同じ時期に殺されているという事実も明るみになる。一連の事件は政治的陰謀による“暗殺"だったのか? 少年時代、“悪魔"によって失明の危機に遭い、以後ことあるごとに悪魔に脅かされていたというトッシュの精神世界にも触れ、彼の人間像と音楽に託した想いが浮き彫りにされていく。





〈 読者投稿欄 〉 横浜ウェイラーズの陽性反応小噺
「解禁した」 レガシー・エディション


 「解禁せよ」と云われたので素直に「解禁した」、高2のおわり。連れ合いの両親が温泉旅行で留守にしているスキを見て、自分たちは「神に近付くんだ」と云わんばかりのしたり顔でコタツを囲む。「純度が、純度が」とさっきから煩いダブり決定のイシヒロが「お手本を見せる」と、やけにハシャぐ。「そんなものは 〈シド&ナンシー〉 観て大体判ってんだよ。リアルに留年なんかしてんじゃねーぞ、マヌケ」と心の中で激しくつぶやきつつ、ジョイントの一部始終をおとなしく拝見。思えば、たしかに手際だけはよかったような気がする。それを勉強に活かせよ。

 イシヒロは、ストーンズRCサクセションが大好きな絵に描いたようなギター・ロック少年。持ち前のC調ノリと図々しさに加え、偏差値もなかなかに低い、ようするにやっかいなヤツ。話しかけられただけでつい舌打ちが出てしまうことも度々あったが、こと音楽の話になるとこれが結構な名伯楽ぶりを発揮。音楽好きのクラスメイトたちはみな、その審美眼に絶大な信頼を置いていた。そもそも「友&愛」でバイトをしていただけあって情報量がハンパなく、一般的に「王道」と呼ばれる洋邦ロックのいろは盤など、色々な音楽を教えてもらったと記憶している。手持ちのCDラックがイシヒロに借りたCDでいっぱいになったことも何度かある。今思えば実にありがたいこと。とても感謝している。

 ひと通りロック、ブルース、ソウルなどを聴き漁ったボクらの次なるスコープは、レゲエ、あるいはヒップホップに照準を定めていた。その頃 「ゲットー」という言葉をやたら気に入っていたイシヒロは、ことあるごとに「ゲットーの叫び」を連呼し、家族やバイト仲間から大ひんしゅくを買っていた。「オマエの親父、銀行の頭取だろ。ブルジョアの上から目線ほど愉快なものはねーだろうな、死ね」という言葉をぎりぎりで飲み込み、舌足らずの講釈に耳を傾ける。とにかくその「ゲットー」とやらから生まれたストリート・ミュージックを町内きっての音楽ナビゲーターのアンテナが捕えたということで、いっきに国際色豊かな高2の音楽生活を迎えることとなる。

 「ボブ・マーリーは定番すぎるぞ。むしろオレはこいつにハメられたクチ」と、レンタル落ちで傷だらけのピーター・トッシュ『解禁せよ』をカバンの中から取り出したイシヒロ。「オマエみてえなへっぽこ学童ハメる物好きいねぇよ、頼むからすぐ死ね」という声なき声を悟られずに、促されるままCDウォークマンにそれを放り込んでみる。途端イシヒロへの殺意がスーッと消える。こういう経験を何度かしていたが、この日は格別だったような気がする。「解禁って何を?」という疑問符すら浮かぶ間もなく目に飛び込んできたジャケのインパクトもあったのだろう、あっという間にその月の私的ヘヴィ・ローテーション盤に食い込んだ。「ゲットー」がどうのこうのと言われても正直ピンと来なかったが、へそに響く野太くキレのある声、ズーズー弁のようなイカツい訛り、チャカチャカしてスコスコした祭り囃子、すべてに面食らってしまったのだ。これが、ボブ・マーリーより早く経験したレゲエの筆下ろしだった。ふと見ればイシヒロは、夏休み中に開けたと思しきラスタ・カラーのピアスを両耳からぶらさげ、ガムをくちゃくちゃニヤついている。かわいいヤツめ。

 ということでまずはカタチから入るのがヤングの流儀。その究極の応用編が高2のおわりに訪れたのだった。イシヒロのブスな姉貴が働いている磯子のバーの店長がレゲエ・マニアらしく、そのツテであまり苦労することなく乾燥したアレは手に入った。ハーブの神様はイシヒロのようなクソガキにも差別なく優しかったのだ。その優しさをおすそ分けしてもらえるということで、ボクの当時の連れ合いの豪邸をさくっと提供。「アタシも一回ぐらいやってみたい、テヘ」だなんて、話のわかるコで何より。あなたに会えてよかった。 


Peter Tosh 1977


 この頃に前後してボブ・マーリーのアルバムもひと通り聴いてみたのだが、第一印象のかっこよさや地肩の強さは圧倒的にピーター・トッシュに軍配が上がっていた。もちろんウェイラーズは、『Burnin'』まで両者(およびバニー・ウェイラー)が在籍していたグループであるわけだから厳密な意味での甲乙は付けがたいのだが、神々しいと軒並み崇められるボブとは対照的な、リアリティ溢れる893感がこのヒトの見てくれにはあった。態度のデカさというかふてぶてしさというか、出川哲郎言うところの”キレたナイフ”を思わせるこの危ない海千山千加減が偏差値の低いボクちゃんたちにはたまらなくかっこよく、メインで鳴らす辛子色のレスポール・ジュニアも、ジョニー・サンダースを敬愛していた輩たちのハートをグッと掴んで引き寄せた。また、偶然か否か、この時期レゲエ界隈に限らずかなり多くのミュージシャンが「トッシュ、マブい」と音楽雑誌のインタビュー記事で語っていたような気がする。キース・リチャーズエリック・クラプトンといった本人と交流のあった老舗ドコロはもちろんのこと、当時イケイケだったイジー・ストラドリンガンズ・アンド・ローゼズ)、クリス・ロビンソンブラック・クロウズ)らもそう口を揃えていた。記憶が確かならば、ジョー山中どんと真島昌利あたりも。さらには、借りたCDのライナーノーツかなんかをめくってみると、「スペシャルズのシンボル・キャラクター、ウォルト・ジャブスコは、ウェイラーズ時代のトッシュがモデル」だなんて書いてあったりするものだからダメ押しだ。ますますピーター・トッシュに熱を上げていった、そんな冬のソナタが昨日のことの様に想い起こされる。


Bob Marley & The Wailers 1973


 「トリオに対する嗜好性」というものが人それぞれにあるとする。例えば、太陽戦隊サンバルカンであったり、たのきんトリオであったり・・・「赤」「青」「黄」と色によって識別されキャラ付けされたものへの無意識な嗜好性および能動的選択。これは人格形成を築く上でもカギとなる幼少期の体験や経験に基づいているそうなのだが、「シャーク」、「マッチ」に肩入れしてきたボクには、どうやら必然的にトリオの中から「青」をチョイスする習慣が身に付いているようだ。ざっくりと言うならば、いつでも輪の中心でスポット・ライトを浴び、座持ちのよさも光るリーダーが「赤」、ちょっとばかりクールで翳のある永遠の副将タイプが「青」、華が皆無に等しい分、ユーモア、優しさ、大食漢のようなセールス・ポイントをゴリ押しする三番手が「黄」となるだろうか(これはあくまで「三人でひとくさり」のトリオ・パッケージに対してのあてはめで、「三羽ガラス」「三銃士」「三大スター」といった第三者目線によって恣意的に集められたものは別とする)。たしかにほかにも「ヤッくん」「ヒガシ」「ラサール石井」「初代フツオ」(これは微妙か?)と、該当トリオの中から、強いてではあるが嗜好的選択をするであろうなという人物には、なるほど共通して青味がかったイメージがあるような気がする。つまり、ボクにとってウェイラーズからピーター・トッシュというカードを好んで引くということは、半ば因果関係のように何年も前から約束されていた出来事だったのかもしれない。

 閑話休題。連れ合い邸の男女混成17歳トリオは、依然アレをめぐって生産性ゼロの問答を繰り返している。その中でも連れ合いとイシヒロの波長だけは、ひとつの夢に向かって共にかけ出しそうなほどの密接な距離を保ち、クリンチを続ける。

「ねー、イシくん、ベビロンって何? ベビーローション?」
「てか、バビロンな」
「ひとの名前かな?」
「会社なんだろうな。オムロンみたいな」

 ・・・無知は罪だが、無垢とはなんて微笑ましいものなのだろうか。「ジャー」も「アイリー」も彼らのなかでは続々と上場企業として登録されていった。とは言え、偏差値40を切りそうなふたりの天使が今まさに神にタッチしようとしているのだから、世の中捨てたもんじゃない。

 先陣をきってイシヒロがジョイントに火を点ける。さすがに覚えたてなだけあって、ひょっとこの顔のまま硬直している。「いいか、よく見てろよ、ボーヤたち」といった趣のイラつくウインクを飛ばした次の瞬間、顔周辺に渦を巻いていたケムリが一気に吸い込まれていった。しばしの沈黙後、肺に溜められていたそれは顔中の穴という穴からゆっくりと吐き出される。このイチ往復が達成された時点で予想どおりのドヤ顔&ドヤ節いっぱつ。「あぁハイハイ、上物ってやっぱ違うよね」。普段ならここで「死ね死ね団のテーマ」でも心の中で捧げてやるのだが、初めて見たイシヒロのとろ〜んとした目と向き合ったとき、何もかもがどうでもいい感じがした。この時点でまだシラフだったが、何もかもがゆっくりとホワイトアウトしていく感覚を憶えた。矢継ぎ早にモクモクとやるイシヒロは、緊張が解けたのか、ドリフの「いい湯だな」を鼻歌に乗せはじめる。いつの間にか「解禁」を終えていた連れ合いが、「歯磨けよぉん」とカトちゃんのトースティングでそれに応え、ケタケタと笑う。ふたりの天使の話し声は徐々にデカくなっていく。会話の噛み合わせにもズレが。しかも、おもしろくも何ともないところで大爆笑。ツーンとした香りがさらにムードを高めた。置いて行かれてなるものかと覚悟を決める。    

 後頭部に鈍いシビれを感じた瞬間、ボクは「解禁」を終えた。「シラフでいてもキマッたフリぐらいしてやろう」と考えていたが甘かった。意識が意識として成立していない。医療の現場では麻酔として多用されるのだから、当然抵抗することすら悪あがきでしかない。このとき、「さすがイシヒロのブスな姉ちゃんが引いてきたモノだけあるな」という感心の念を張り巡らせたことをよく憶えている。そのことしか考えていなかったというか、そこに執着するループというトリップに入ったのだろう。後日聞けば、その思考を端折りすぎたのか、「イシヒロの姉ちゃんはブスだなぁ」をデカイ声で連呼していたらしい。それは事実だからしょうがないとして、もしやそのブスが2乗にも3乗にもなって、言わばダブ・ミックスを施されたモンスター級のブスにヴァージョン・アップされたということを同義的に伝えたかったのでは? と考えると・・・ボクは、音楽としての「ダブ」を聴く前に、脳内感覚としての「ダブ」を、ブスを媒体にしながら体験したことになるのではないだろうか?

Peter Tosh & Glimmer Twins
 イシヒロが持ってきたという「水族館のイメージ・ビデオ」がテレビ画面いっぱいに映し出された。イワシの群れか何かがアメーバのように広がったり縮んだり、翻ったりする様がこの上なく刺激的。サーファーとアレの密接な関係も解せた。夜半に3人は、← のような1枚を写ルンですに収めた。「ビコン」というシャッター音の頼りなさに何度も爆笑しながら、グリマー・ツインズとピーター・トッシュにも負けないぐらいのよき想い出をフィルムに刻んだ。その後、イシヒロは1つ下の同級生たちと学業を共にしたが、3年の一学期が終わったときに学校を去った。それ以降ぷっつりと連絡が途絶えていたのだが、何年後かにイシヒロのブス姉に訊いた話によると、このふたりの天使はすぐさま意気投合し、密通。見事子宝に恵まれたものの、団塊の世代はそれを「子どものくせに破廉恥」とバッサリ切り捨てた。勘当された天使たちは、各々学校を辞め、棲む家と働き口を求めるために笹塚方面へ進路を取ったという。この支配からの卒業、もとい強制退場。夜の校舎の窓ガラスを壊してまわるオシャレな時間すら与えられなかった。相談してくれれば、3万ぐらいはカンパしてやったのに、水くさいヤツだ・・・なんて憐れみはまったくなし。むしろあんないいコと家庭を築けるのだから、ニクらしいほどの幸せ者にしか見えなかった。

 ジャマイカの奇矯な日常と較べてしまえば、日本の高校生の他愛ない与太話、安全圏にいることを知った上での反逆行為などは、耳を貸す価値もないほどに平穏で退屈でお粗末なものにすぎない。個々のレベルで「解禁」したからといって特段どうしたということもなく、その後も革命や階級闘争などとはちっとも縁のないぽやぽやした毎日を送っていたことは言うまでもない。ちなみに、ここ日本はおろか、ジャマイカにおいてもアレの所持はもちろん違法。目薬など簡易な医療で使われることもしばしばだが、取り扱い免許がなければ即刻おナワ。マナーの点でも、子どもの前で吸い出すと「向こうでやれ!」と怒り出すジャマイカンも多いのだそう。タバコと同じでTPOをわきまえなければ白い眼で見られるのはどこの国にも共通して言えること。シンガポール、マレーシアでは所持だけで終身刑や死刑となるそうなので、まぁ各自きちんと自己責任が取れる範囲で・・・
 

後継者/関係者抄録


 ピーター・トッシュを父に、バニー・ウェイラーの姉シャーリー・リヴィングストンを母に持つサラブレッド・ラスタ・シンガー、アンドリュー・トッシュ。幼い頃から音楽とふれ合うには申し分ない環境で育ち、物心つく時分には父ピーターから歌の手ほどきを受けていたという。1985年、17歳でDeeJayのチャーリー・チャップリンをフィーチャーした「Vanity Love」でデビュー。87年に父は凶弾に倒れたが、この事件をきっかけにアンドリューは父の遺志を継ぐことを決意。その葬儀で「Jah Guide」、「Equal Rights」を歌い、本格的に音楽活動を開始し、同年アルバム『Original Man』をリリースした。

 父親そっくりの歌声に加え、かつてピーターのバックを務めていたミュージシャンをバンドに起用するなど、「現代にもしピーター・トッシュが生きていたら?」というすべての疑問を解消するほど、亡き父の遺志に忠実な活動を続けるアンドリュー。89年の2ndアルバム『Make Place For The Youth』は、グラミー賞「ベスト・レゲエ・アルバム」にもノミネートされた。2004年のアルバム『Andrew Sings Tosh: He Never Died』は、タイトルどおり全編ピーターのカヴァーで構成され、「Legalize It」、「Burial」、「You Can't Blame The Youth」などの代表曲が収められている。2010年にもふたたびピーターのトリビュート・アルバム『Legacy: An Acoustic Tribute to Peter Tosh』をアコースティック・セットで制作。また、ピーターの没後20年目を迎えた2007年には、ルチアーノのアルバム『Jah Is My Navigator』のレコーディング&ツアーに参加し、父の名曲「I'm The Tuffest(I'm The Toughest)」をデュオで歌い上げている。


Andrew Sings Tosh
Andrew Tosh
「Andrew Sings Tosh」


Jah Is My Navigator
Luciano
「Jah Is My Navigator」


 南アフリカ共和国のレゲエ・シンガー、ラッキー・デューベは、元々はンパカンガ・バンド、ラヴ・ブラザーズといったアフリカン・ポップスのグループで歌っていた。ソロとしての活動が本格化した当初も自国のポップスを歌っていたが、ボブ・マーリーピーター・トッシュジミー・クリフらジャマイカのレゲエ・アーティストのコンサートが南アフリカでは軒並み満員になることもあり、「アフリカではレゲエがウケる」ということを強く感じたデューべは、当時まだアパルトヘイト政策下にあった同国で社会的・政治的なメッセージを歌にするレゲエ・シンガーになることを決意した。

 その声質や好戦的な歌詞の内容から「南アフリカのピーター・トッシュ」としばしば呼ばれていたデューベ。レゲエ転向の初作となった1984年のミニ・アルバム『Rastas Never Die』は、反アパルトヘイトを高らかに歌い上げたリリックが、そうした運動に敏感だった南アフリカ当局を刺激し、発売禁止処分を受けた。しかし、翌年ふたたびレゲエに取り組んだ『Think About The Children』は、プラチナム・ヒットとなり、デューベは南アフリカで最も有名なレゲエ・ミュージシャンとしての地位を確立した。以後も、『Prisoner』(89年)、『Captured Live』(90年)、『House Of Exile』(91年)と次々にアルバムをヒットさせ、91年にはジャマイカの「レゲエ・サンスプラッシュ」にアフリカ人として初めての出演を果たした。93年のアルバム『Victims』は世界中で100万枚以上のセールスを記録し、ピーター・ガブリエルスティングらもデューベとの共演を熱望した。2007年、ヨハネスブルグ・ロゼッテンビル地区で強盗に襲われ殺害された。


Victims
Lucky Dube
「Victims」


 1993年のキャリア開始時から一貫してルーツ&カルチャーに根差した題材を取り上げてきているDeeJay、アンソニー・B。ローマ法王を強烈に批判した「Fire Pon Rome」の国内放送禁止により、過激なメッセージを投げかけるラスタ・アーティストとしての印象を決定付けた。幼少の頃からのアイドルだったというピーター・トッシュ。2001年の『That's Life』では「Equal Rights」をカヴァー。ライヴでも「Johnny B. Goode」、「Coming In Hot」などをレパートリーとして取り上げていることから、「ピーター・トッシュ後継者の最右翼」とよく目されているが、むしろ自分の活動の中にピーターやボブ・マーリーらの影がつきまとうことにはかなり辟易していると本人は語っている。


That's Life
Anthony B
「That's Life」


 90年代にスティーリィー&クリーヴィのプロデュースによってデビューした実力派ラスタ・シンガー、ブッシュマン。2011年Penthouseよりリリースされた『Bushman Sings The Bush Doctor』は、その名のとおりのピーター・トッシュ・カヴァー集で、スライ&ロビーら当時のバンドを率いた面々が大挙参加。かなり原曲に忠実なアレンジが施され、ブッシュマンの野太くディープな歌唱も含め、ピーターへの深い傾倒や真っすぐなリスペクトが感じられる。「Mama Afica」にブジュ・バントン、「Don't Look Back」にトーラス・ライリーを迎えたゲスト・アクセントにも無理がない。


Bushman Sings The Bush Doctor
Bushman
「Sings The Bush Doctor」


 ローリング・ストーンズキース・リチャーズの「レゲエ好き」「ジャマイカ音楽への造詣の深さ」はもはや有名な話。「Cherry Oh Baby」、「The Harder They Come」、「Too Rude」のカヴァー、ピーター・トッシュボブ・マーリートゥーツ・ヒバートジミー・クリフマックス・ロメオブラック・ウフルらとのハングアウトなど、世界一のロック・バンド稼業の傍らで育まれたレゲエとの蜜月は、1972年に『山羊の頭のスープ』のレコーディングに際してキングストンのダイナミック・スタジオを訪れたときに、その歴史のはじまりを見る。ジャマイカ北部の海岸に位置するオチョ・リオスには邸宅まで構えてしまった。そんなキースが、ロブ・フラボニと共同プロデュースを行ない世に出たグループが、ジャスティン・ハインズ&ザ・ドミノズのリーダーであるジャスティン・ハインズを中心として結成されたナイヤビンギ集団、ウィングレス・エンジェルス。1995年、キース宅の裏庭で録音された1stアルバムが『The Wingless Angels Were Born』となる。キースは、アコースティック・ギター、ベース、キーボード、ヴォーカル/コーラスで全曲に参加。ジャケット内のイラストまでをも手掛けている。それもそのはず、自身が設立したMindless Records のリリース第1弾作品だったのだから力が入るのも無理はない。本作は長らく廃盤だったものの、2010年に13年ぶりとなった2ndアルバム『Wingless Angels U』(95年録音時の未発表楽曲をベースとしている)とのカップリング盤『Wingless Angels Volumes I & U』としてリリースされている。

 Rolling Stones レーベルの第1弾としてリリースされたピーター・トッシュ『Bush Doctor』は、エグゼクティヴ・プロデュースをグリマー・ツインズ、共同プロデュースをピーター本人とスライ&ロビーが手掛けている。また、シングル・カットされた「Don't Look Back」にミック・ジャガー、「Bush Doctor」、「Stand Firm」にキースが参加。キースのギターはバッキングに徹しているためさほど目立ってはいないが、この時点ですでに本場のJAミュージシャンたちにも引けをとらないシュアな裏拍カッティングを聴かせてくれる。2006年には、ストーンズ本隊のツアーで「Get Up Stand Up」をカヴァーしていたことも忘れられない。


Wingless Angels Volumes I & II
Wingless Angels
「Volumes I & U」


 最後に、広範囲にわたるピーター・トッシュの影響力をはかる意味で、レゲエ・アクト以外によるピーターのカヴァー楽曲をいくつかご紹介。

 デヴィッド・リンドレーがアルバム『El Rayo-X』の中でカヴァーした「Don't Look Back」は、元々がテンプテーションズによるモータウン・クラシックなだけに割とスルーされがちかもしれないが、明らかにピーター・トッシュ&ミック・ジャガーのヴァージョンを下敷きにしたと思しきレゲエ・アレンジ。またこの曲は、ユッスー・ンドゥール『Joko』(2000年)でも、レゲエ・ヴァージョンのカヴァーが聴くことができる。


El Rayo-X
David Lindley
「El Rayo-X」


 米西海岸のミクスチャー・バンド、サブライムの1994年のアルバム『Robbin' The Hood』では「Steppin' Razor」がカヴァーされている。パンク、レゲエ、スカ、ヒップホップなどを取り込んだこうしたL.A. ミクスチャー勢からのリスペクト率は総じて高く、例えばサイプレス・ヒルの『Black Sunday』などでも、一部楽曲でピーター・トッシュ「Legalize It」へのシンパシーを強く感じさせる。


Robbin' The Hood
Sublime
「Robbin' The Hood」


 同じく米西海岸では、グレイトフル・デッドのようなジャム系バンドからもレゲエは音楽性・精神性ともに愛され続けている。デッドのフロント・マン、ジェリー・ガルシアのソロ・プロジェクトでは、ピーターの「Stop That Train」やジミー・クリフの「The Harder They Come」などがライヴ・レパートリーとして頻繁に取り上げられていた。また、ジャズを主戦場とするジャム・バンド、メデスキ、マーティン&ウッドジョン・スコフィールドと制作した『Out Louder』でも「Legalize It」が、アドリブ&インタープレイをたっぷりフィーチャーしたジャズ・ファンクにアレンジされている。


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Jerry Garcia Band
「Jerry Garcia Band」
(廃盤)


Out Louder
Medeski Martin & Wood / John Scofield
「Out Louder」


 「Stop That Train」では、ミーターズのラスト・アルバム『New Directions』に収録されたカヴァーもユニークだった。当時ディスコ的な要素を色濃く打ち出していた彼らが、初期Josie時代の原点に立ち返ったかのようなアーシーなニューオリンズ・ファンクを展開。「Stop That Train」はそんな粘っこさとメロウなフィーリングが絶妙な割合で配合されたアレンジとなっている。CDは現在廃盤だが、180g重量盤アナログLPでリイシューされている。  


New Directions
Meters
「New Directions」
(LP)


 1992年、米TV番組「Saturday Night Live」でボブ・マーリーの「War」を歌い終えた後に、「本当の敵と闘うのよ!」とカメラの前で当時のローマ法王ヨハネ・パウロ2世の写真を破り捨てたシネイド・オコナー。ボブやピーターの精神性を受け継ぐ彼女は、2000年に『Faith and Courage』というレゲエ色の濃いアルバムを、2005年にはスライ&ロビーのプロデュースで70年代のレゲエ・カヴァー集『Throw Down Your Arms』を発表。ボブの「War」のほか、ピーターの「Vampire」、「Downpressor Man」なども収録されている。


Throw Down Your Arms
Sinead O'Connor
「Throw Down Your Arms」








ピーター・トッシュのアルバムと主な関連作品


  • Legalize It

    『Legalize It』

    ウェイラーズ脱退後初めて世に問うた1976年発表のソロ・デビュー作。ジャマイカ・ゲットーのハードな日常を赤裸々に描写し、こみ上げる怒りをそのまま吐き出すかのような歌唱にひりひりさせられるが、サウンドそのものにはかなりの心地よさがある...

  • Equal Rights

    『Equal Rights』

    70年代ルーツ・レゲエの最高峰。「最低限の人権」を歌ったソロ2作目は、ウェイラーズで培われたピーターの「直接的」な側面がより露わになり、スライ&ロビーの強靱なリズムが否応なくこのアルバムを名盤に押し上げている...

  • Bush Doctor

    『Bush Doctor』

    ローリング・ストーンズ・レーベルからのソロ第3作目となるアルバム。ミック・ジャガーとのデュエットでヒットした「Don't Look Back」を収録。「Bush Doctor」、「Stand Firm」の2曲でキース・リチャーズが参加...

  • Mystic Man

    『Mystic Man』

    ホーン・アレンジにマイキー・チャンとクライヴ・ハントを起用し、多彩なアレンジが全面に出たストーンズ・レーベルからの2作目。シングル・カットされた「Buk-In-Hamm Palace」などはもはやレゲエの枠を大きくはみ出した独特のノリを生み出している...

  • Wanted Dread And Alive

    『Wanted Dread And Alive』

    ストーンズ・レーベルからの最終作で、”お尋ね者” ジャケットが強烈な印象を残す1枚。神々しさもにじむ「Rastafari is」や壮大なバラード「Fools Die」を収録。グウェン・ガスリーとのデュエット「Nothing But Love」など、”脱レゲエ臭” は本作でも顕著...

  • Mama Africa

    『Mama Africa』

    セルフ・プロデュースによるソロ第6作目。ジャマイカのみならず各国で大ヒットを記録し、その名をようやく世界的に認められることとなった1枚。タイトル曲のほか、チャック・ベリーのロックンロール古典「Johnny B. Goode」の解釈も聴きドコロ。 ...

  • Captured Live

    『Captured Live』

    『Mama Africa』発表に伴なうツアーより、1983年8月L.A. グリーク・シアターにおけるライヴを収録したアルバム。こちらはコンプリート収録となった2枚組。「Get Up, Stand Up」をはじめ代表曲を網羅...

  • No Nuclear War

    『No Nuclear War』

    米ソ冷戦時の緊迫した状況を描いた、1987年のラスト・アルバム。本作完成直前に凶弾に倒れ、本人不在のまま翌年1988年のグラミー賞で「ベスト・レゲエ・アルバム」を受賞した...

  • Live & Dangerous: Boston 1976

    『Live & Dangerous: Boston 1976』

    ソロとなって最初の全米ツアー、その最終日となる1976年11月26日のボストン公演のライヴ盤。アル・アンダーソン、ドナルド・キンゼイ、ふたりのリード・ギタリストがエッジの効いたサウンドでバンドを焚き付けるサマも聴きドコロ...

  • Talking Revolution

    『Talking Revolution』

    ディスク1には、1978年の「ワン・ラブ・ピース・コンサート」でのパフォーマンスを完全収録。ディスク2には代表曲の貴重なアコーステッィク・ヴァージョンを収録...

  • Ultimate Peter Tosh Experience

    『Ultimate Peter Tosh Experience』 [DVD]

    ニコラス・キャンベル監督・脚本のドキュメンタリー映画『Stepping Razor-Red X』、1978年「ワン・ラヴ・ピース・コンサート」と79年「レゲエ・サンスプラッシュ U」、81年「ノー・ヌークス・コンサート」、83年地元ジャマイカにおける最後のライヴなど貴重なアーカイヴ映像を編纂した2枚のDVDに、「Legalize It」のダブ・プレートなどレア音源収録のオーディオCDを付属した3枚組...

  • The Essential

    『The Essential』

    SMD おなじみのエッセンシャル・ベスト・シリーズ。代表アルバム『解禁せよ』、『平等の権利』からの選曲を中心に、深く突き刺さるメッセージ・ソングの数々を...

  • Black Dignity

    『Black Dignity』

    ピーター・トッシュがウェイラーズ在籍中にジャマイカの様々なレーベルに録音し発表したシングル曲をコンパイル。「Burial」、「Steppin' Razor」、「400 Years」、「No Sympathy」など後に再演される重要曲ばかり...

  • Greatest Hits At Studio One

    Bob Marley & The Wailers
    『Greatest Hits At Studio One』

    60年代半ば、まだ10代のヤング・ウェイラーズによるStudio One 音源集。超初期ヴァージョンの「One Love」など、スカ〜ロックステディ時代の荒削りなルード・ボーイたちの青春の記録。ピーター・トッシュがリード・ヴォーカルを務める「Maga Dog」も収録...

  • Stop That Train

    Bob Marley & The Wailers
    『Stop That Train』

    リー・ペリーの下で録音された数あるウェイラーズ音源の中から、後のIsland時代のインターナショナル・ヒットの青写真ともなった歴史的にも重要な人気トラックを選りすぐり。ピーター・トッシュによる「Stop That Train」、「Go Tell It on the Mountain」、「Soon Come」、「Can't You See」も収録...

  • Catch A Fire -Deluxe Edition

    Bob Marley & The Wailers
    『Catch A Fire -Deluxe Edition』

    「Concrete Jungle」、「Stir It Up」、ピーター・トッシュの「400 Years」などを収録したボブ・マーリー&ザ・ウェイラーズの世界進出第1弾。2001年にリリースされたデラックス・ヴァージョンには、オーバー・ダブを施す前の「オリジナル・ジャマイカ・ミックス」を収録につき、皆たまげた...

  • Burnin' -Deluxe Edition

    Bob Marley & The Wailers
    『Burnin' -Deluxe Edition』

    ピーター・トッシュ、バニー・ウェイラー在籍期最後となるボブ・マーリー&ザ・ウェイラーズのIsland第2弾。2001年にリリースされたデラックス・ヴァージョンには、1973年11月23日の英リーズ大学公演の模様を収録...

  • Talkin' Blues

    Bob Marley & The Wailers
    『Talkin' Blues』

    ボブ・マーリーの死後10年が経過した1991年のリリース。73年にカリフォルニアのレコード・プラントで行なわれたスタジオ・セッションを中心にまとめられたレア・トラック集で、初期”アイランド・ウェイラーズ”の躍動感をたっぷりと味わえる。ピーター・トッシュ「You Can't Blame the Youth」もドロくさくてナイス...

  • Blackheart Man

    Bunny Wailer
    『Blackheart Man』

    ウェイラーズ脱退後の1976年にリリースされたバニー・ウェイラーの初ソロ・アルバム。ボブ・マーリー、ピーター・トッシュをはじめ、ウェイラーズのメンバーの全面協力を得て完成された。ほとんどの曲でピーターのリズム・ギターがフィーチャーされている...

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    Bunny Wailer
    『Protest』

    バニー・ウェイラーのソロ2作目。ウェイラーズの代表曲「Get Up, Stand Up」をピーター・トッシュとまったく同時期にソロで取り上げているのはただの偶然ではないだろう。どのヴァージョンと比較してもアタマひとつ飛びぬけたキレのよさがあるのは、バニーの伸びやかなハイトーン・ヴォイスに依るところが大きいのだろう。ピーターはギターで数曲に参加...

  • Rockers:25th Anniversary

    『Rockers』 [DVD]

    セオドロス・バファルコス監督による1978年公開のラスタ・ムーヴィ。主人公のリロイ・ホースマウス・ウォレスをはじめ、バーニング・スピア、グレゴリー・アイザックス、ビッグ・ユース、ジェイコブ・ミラーなど多数の有名レゲエ・アーティストが実名のまま出演し、ジャマイカのラスタマンの日常を垣間見ることができる。また、グレゴリー、ジェイコブほか、ピーター・トッシュらによる実際のパフォーマンスも劇中にフィーチャーされている...

  • Rastafari

    Ras Michael & The Sons of Negus
    『Rastafari』

    ラス・マイケル率いるナイヤビンギ集団サンズ・オブ・ニガスの1975年作。乾いたパーカッションが呪術的に鳴り響くドロドロの空間。そのすき間を縫って蠢くピーター・トッシュ、アール ”チナ” スミスのワウ・ギターがとてつもなくファンキー...

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    Eric Gale
    『Negril』

    1972年、ジャズ・ギタリストのエリック・ゲイルがキングストンのHarry J スタジオで吹き込んだ幻のアルバム。JA勢は、ピーター・トッシュ(g)ほか、セドリック・ブルックス(sax,per)アストン “ファミリーマン” バレット(ds)らが参加。レゲエが溶け込んだ快いフュージョンとなっている...

  • Crossroads

    Eric Clapton
    『Crossroads』

    1988年にリリースされたエリック・クラプトンのデビュー25周年企画4枚組ボックス。貴重なアウトテイクのひとつとなる「What'cha Gonna Do」は、もちろんピーター・トッシュのカヴァー。1974年にジャマイカで録音されたもので、ピーター本人がコーラス、ギターで参加している...



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