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『MMM Radio Psychedelic』Vol.19

ROCK NEXT STANDARD SSW in JAPAN

Friday, June 10th 2011


『MMM Radio Psychedelic』×「3.10MMM」× HMV

音楽雑誌「MARQUEE」で好評連載中のクラムボン・mitoさんと MARQUEE編集長・MMMatsumotoさんによる「3.10MMM」が、 WebDice上でネットラジオとしてスタート!
その名も『MMM Radio Psychedelic』。今回は第19弾です。
2人による音楽談義がギュッと詰め込まれた、他では聴けない超レアな番組。 HMV ONLINEでは「3.10MMM」と『MMM Radio Psychedelic』で紹介したアイテムを合わせてご紹介!
必見必読です!




mito mito from clammbon
クラムボンのベーシスト。いくつかのソロプロジェクトや多方面のアーティストのプロデュース活動も活発に行うオールラウンド・プレーヤー。
MMMatsumoto MMMatsumoto  from「MARQUEE」
ポップカルチャーとマニアックな視点で独自な音楽を紹介する音楽雑誌「MARQUEE」の編集長。



ど〜〜〜んず!!ミトです!お待たせいたしました、『MMM Radio Psychedelic』 vol.19の配信開始です!!
今回は『ほっこりする音』がテーマ。震災後、ひとしきり音楽と真摯に向かおうをする二人のとってもとってもパーソナルな音源を、今回は上げていこうじゃないか!なんて、いままでのひねくれ具合から180度くるり方向を転回したかのような(苦笑、
いやいや、これが今まさに問う音楽に対するアティテュードの確認。ホントに大切な音楽をぼくらは手に携えて、 先へ先へといくのですっっ。さあ、いってみましょうか!!





【MMMRadio Psychedelic 2011 Vol.19】
音楽雑誌「MARQUEE」とMMMRadio Psychedelicで紹介したPlay Listをご紹介

1st set   The Langley Schools Music Project / Innocence & Despair


一聴すると、年端のいかない子供達のお遊戯の一旦にしか聴こえないかもしれない…が、ここにあるピュアネス、そして音楽が本来もっている説得力のパワーをまじまじと感じる。まさに音楽のマジック。カナダのとある小学校で、ロック好きの教師が生徒に数々のロックの名曲を演奏させ、そのテープを2001年に音源化したのが今作。キメ打ちのクラッシュシンバルさえおぼつかないBeach Boysの「Good Vibrations」、人生の望郷をまるでおじいちゃんから聞いた創作おとぎ話くらいの目線で歌い上げるEaglesの「Desperado」等微笑ましくもあるシーンが思い浮かばれるが、Neil Diamondの「Sweet Caroline」のような絶対的ポジティヴィティみたいなメッセージを子供達に唄われると、時に信じられないくらいの神々しさとカタルシスを生み、頬を落ちる涙を抑えきれなくなる。

解説 by mito

mito 「今かけたのは「Band on the run」(Paul Mccartney & Wingsのカヴァー)なんですけど、ホントにBand on the runしてますよね(笑)」
MMMatsumoto 「(笑)。聴いてて思ったんだけどさ、子供って素直で、耳に聴こえてるところをこう、強調するんだね。細かいところはどうでもいいっていう」
mito 「何て言ったらいいのか判らないですけど…つたなさ?こういうの聴くと、音楽って“出来上がってるモノ”じゃないんだな、というか。子供全員に歌われちゃうと勝てない何かがありますよね」
MMMatsumoto 「あるある」
mito 「ホッとするのと同時に、1人でぼけーっと聴いてたりしてヘタに景色がハマったりすると、ちょっと泣けてくるんですよねコレ」

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2nd set   Anne Murray / Croonin'


カナダ生まれのカントリーシンガー、活動は40年以上に及ぶ。アメリカでは78年にグラミー最優秀ポップ女性歌手賞を受賞するほどの超有名人、が日本では僕の年代までで知っている人は少ない。この音源は1993年に発表されたカヴァー集で、当時の彼女のポテンシャルを遺憾なく発揮した低いトーンのヴォーカルに、現代風にリアレンジされた楽曲が人気となり、ビルボードチャートでも高い評価を受けた。かつてはカーペンターズとも親交があった彼女、フェイザーのかかったエレピが心地よい「Secret Love」などを聴くと、もしカレン・カーペンターがこの世に生きて歳を重ねてたらこんな声だったのでは、などといらぬ想像をしてしまうほど人懐っこく、魅力的だ。全体的にアーヴァンな雰囲気が漂うが、梅雨時期の雨音を聴きながらこのアルバムを聴くと、言葉では言い尽くせないほどの安らぎと感動を帯びて、はあ〜っとなる。

解説 by mito

mito 「(子供の頃)家族の車の中でずーっとかかってたのがコレですね。それも結構長い年月かかってたんですよ。多分おふくろが好きだったと思うんですけど。で、ホントに最近、震災後辺りの時からこの「Cry Me a River」のAnne Murrayヴァージョンがすごい聴きたかったんですけど、買って聴いたらもう全て憶えてるわけですよ。聴いてて身に染みてる音楽っていうのはスゴイな、という。改めてなんですけど」
MMMatsumoto 「すごい力あると思いますよ。じゃあ子守唄みたいなモンだ」
mito 「そうそうそう、まさにそう。いろいろなモノが震災後の時から変わって…“感じ直す”っていうか」




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3rd set   Herbie Hancock / The Piano


僕にとってこの人の偉大は、とにかくJazzというテクスチャーを徹底的にクロスオーヴァーし、しかも完璧なポップミュージックに仕上げることの出来る、ソングライティングの素晴らしさにあると思う。Cool JazzのフォーマットにR&Bとラテン、そこにマージービートよろしく明快なリフを叩き込んだ彼の名曲中の名曲「Cantaloupe Island」、そしてJazzのカテゴラリーを完全に粉砕しHip HopとElectroを自身のエゴに取り入れ、誰よりも痛快なポップミュージックを鳴らす「ROCK IT」、Album[HEAD HUNTERS]に至っては、全ての黒人が有するサウンドとリズムを徹底的に寸断し、それを軽薄なまでに楽曲にねじ込みロックフィールドまでに通用する8BEATサウンドを作り出す。が、その彼が唯一ブレないのは「メロディ」の追求。「ぼくはメロディメーカー、Jazzは宝探し」という言葉にある純粋な音楽への愛は、いつでもぼくの心をつかんで放さない。

解説 by mito

mito 「ピアノってやっぱ癒し感はすごいありますよね」
MMMatsumoto 「うんありますね。あるある」
mito 「このピアノの感じって何なんだろうなー、って思いながらよく聴くんですけど。ピアノソロは自分がこういうバンドやってることもありますけど大好きだし」
MMMatsumoto 「ピアノ良いね。何なんだろうね?凛とした感じもあるから…」
mito 「ある種の清潔感というか。響き、かな」
MMMatsumoto 「その中でもHerbie Hancockのこのアルバムを選んでる理由はあるんですかね?」
mito 「そうですね、まさに凛としてるという意味と、すごくどこにでもハマるというか。メディテーション的な感じなのかな?」

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4th set   SANDIE SHAW / la cantante scalza


モッズのガールズ・アイコンと言えば、ステージで裸足のボブのこの人、サンディ・ショウ。UK 60's を代表するシンガーの一人。これは全曲イタリア語ヴァージョンです。当時のヒット・シンガーはフランス語、ドイツ語で録音することがお約束。彼女も各国語ヴァージョンがある中、オケ、アレンジの艶やかさや張りがイタリアらしく派手めで、本人も一番ハキハキしてハジケてるのが、このイタ・ヴァージョンです。この人の英語ヴァージョンのアンニュイな歌声に慣れている人も、これ聴いて再評価を。60年代中頃の録音が多く、本人の声もまだ発展途上。その歌声がまたイイ。USフィル・スペクター周辺やガールズ・ガレージ、もしくはフレンチ・ポップスとも通じる初々しさにグッとくるはず。大ヒット曲満載のスタンダードも再び新鮮に響くか、と。

解説 by MMMatsumoto

MMMatsumoto 「昔イタリアに行った時にイタリア盤で買ったんだよ。で、全部イタリア語ヴァージョンだったの。フランス語ヴァージョンとか元のイギリスのヴァージョンとか聴くんだけど、なんかイタリア語ヴァージョンの方が覇気があって良いんだよね」
mito 「そう!今思ったんですよ。なんか明るく聴こえるなーと思って。アンニュイなイメージじゃないですか、SANDIE SHAWっていったら」
MMMatsumoto 「そうなんだよ。これね、多分若い時なんだよね録音が」
mito 「松本さん的なSANDIE SHAWに対しての“ほっと感”はどこに?」
MMMatsumoto 「あのね、とにかくこのイタリア語のこの時期の声なんだけど、このガールズの声っていうのは白人独特なんだよね。日本人には絶対ない声質なんだけど、コレがポイント。あとは、スタンダードなだけあって、いつ聴いても温度が同じっていう安心感みたいなのはあるかな」
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5th set   Aphex Twin / Selected Ambient Works 85-92


問答無用、僕にとってのバイブル。初めてこの音源を聴いた時に、何かいい知れぬ開放と擦り切れそうな 切なさとが同時に襲ってきて立ちくらみを起こしたのを覚えている。まるでKLUSTERのように明滅する 音像、それでいてAmon Düülの様な面妖さ…高校2年にして初めてプログレというジャンルを認識し買い始めた僕にとって、これを「テクノ」と称されることに徹底的な違和感を感じたことは、今でも自分の音楽志向の 大きな位置を占める…しかし、これには本当に的確なコメントが付けられない(苦笑。好き過ぎて。。。

解説 by mito

mito 「この人の音楽ってたまに“哀愁”っていうか…、“失った感”というか。すごい気持ちいい音なのに“失ってしまった”みたいなイメージを感じてしまうんですよね。その人の歴史的背景なのか、そういうのがないと、やっぱこういう音は出ないのかなー、って思ったりしてて。あくまで僕のイメージですけど、“死”のイメージがすごくあるというか」
MMMatsumoto 「うんうん」
mito 「ドリルンをやった時の破壊衝動とかも死のイメージがすごくあって。なんていうのかな…ゴシックではないんですよ」
MMMatsumoto 「ストイックだから綺麗で、それは甘くないんだよ」
mito 「そうそうそう。厳しいんですよね、非常に。感傷的ではないんですよ。僕らもソコの線引きをすごく考えるチームなので面白いなーと思う」
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6th set   THE VELVET UNDERGROUND / Loaded


ヴェルヴェッツのスタジオ・ラスト作。考えてみると彼等は、ニコを前面に立てたウォーホール主導の1st(バナナ)、ジョン・ケイルが本気出して実験質な2nd、ルー・リードのシンガーソングライター気質が枯れた味を出した3rdと、意外と毎回、傾向変化の激しいバンドだったわけだけれども、このアルバムは「Sweet Jane」のようなポップさに代表されて、ほぼメロディライク。肩の力の抜け具合がひたすら心地好い「Rock'n Roll」など、まさにこの時期ならではのナンバーか、と。傑作「New Age」にしても。どこか間延びしたようなゆるさとポップさが他人事っぽく、バンドの解散も予感させる集中度の無さを、楽曲の良さがカバーしているような、微妙な作風なのが、でも高ポイント。この白けた感覚はヴェルヴェッツのイメージには合ってしまうから。今となっては愛すべき1枚だ。

解説 by MMMatsumoto

MMMatsumoto 「この曲がね、僕の中ではいつ聴いても標準なんだよ。いつ聴いても曲に思い入れが残らない」
mito 「軽いってこと?」
MMMatsumoto 「軽いの。そういう意味では自分にとってすごい耐久性のある曲なんだよね」
mito 「僕はクラフトワークとかそうかも」
MMMatsumoto 「基本的には良いと思ってるわけじゃない?でもなんか残らない感じっていうかさ。ほっとする、の拡大解釈なのかもしれないけど…」
mito 「“気にしない”?」
MMMatsumoto 「そう!気にならない…イーノが言ってたアンビエントみたいなモンなんだと思うんだよね。自分にとってのね」

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    MARQUEE Vol.85

    [ 2011年06月10日 発売 / 通常価格 ¥800(tax in) ]






今回はマーキー史上、最長ページ数でお送りします。今回は自信作! 両面表紙の表は、真価を問う1st フルアルバム『ex Negoto』のリリースを控える今年最注目のガールズロックバンド、ねごと。裏が2010年代の音楽におけるガーリーカルチャー最前線にして相対性理論でも有名なやくしまるえつこ。まず、ねごと。計34ページ、総力戦で。表紙を含め11時間に及ぶコンセプチュアル撮影を9Pで展開。アルバムとシングル全曲についての18000字全員インタビューに、4人各個人インタビュー、そしてねごとのバックグラウンドを探るためのインタビューが更に2本。そして数多くのコメント、音楽分析、マーキー恒例の直筆回答、更に対談が2本、1本はSOUR、そしてもう1本がなんと!奇跡的に実現!現代詩人・谷川俊太郎氏と。20歳にして破格の作曲力と演奏力を持つ彼女達の音楽全貌はもちろんのこと、キラキラとまぶしいメンバー・パーソナルな内面までを、徹底的に掘り下げました。音楽雑誌らしからぬ濃さか、と自負。一方、特集やくしまるえつこも、特殊撮影に加え、彼女の特異な音楽性の裏側を関係者インタビューと、やくしまる本人からのコメントとイラストも交え解析。その他、andymori:撮影&インタビュー10P、Thw Mirraz:撮影&インタビュー&対談等8P、ふくろうず:撮影&インタビュー6P、Superfly:撮影&インタビュー6P、南波志帆:ミニ写真集&インタビュー10P、クラムボン:オフレコ・インタビュー後編5P、巻頭特集:serial TV drama 6P、巻末特集:NIKIIE 5P、嘘つきバービーとjoyの新連載もスタート、などなど特集クラスがひしめき合うマーキー最新号 Vol.85は、6月10日発売です。

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