Saturday, September 18th 2010
Profile / ANCIENT MYTH
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第一の書 『メタラーを象徴するもの』
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たまたま輸入盤を見付けた、とおっしゃる方からクリア・ケースのヴァージョンを頂いたのですが、レーベルはどちらも同じUNIVERSAL REPUBLIC。廃盤になったのはレーベル移籍だとかなんだとか…ミステリアス、であります。 どうでもいい話ですが、デジパック版の印刷の方がシアン(青系の色味)が出ていて、よりクールで冷たい印象。シアンって印刷に思ったように出辛い色なので、デジパック版の方がデザイナーさんの意図とするところなのかしら? ちなみに、こちらのデザイナーさん、AMORPHISやKATATONIA、OPETH、OVERKILLらのアートワークも手がけておられます。ギャラリー(http://www.seempieces.com)にはいろんな作品がありますよ! さらに余談ですが、ブックレットは歌詞が一切掲載されておらず、印刷は6面分(ブックレット分4ページ、CDトレイ分2ページ)のみというシンプルさ。これって私の感覚だとちょっとびっくりなんですが、日本とは違って歌詞がネットから拾えることが多い海外ならではなのでしょうか?(これがあちらの著作権保護法的にどうなのかは、わからないのですけども…) さて、そんな音楽とは別の話でだいぶ引っ張ってしまいましたが(笑)、肝心の楽曲の方はというと…もう1曲目をかけた瞬間から「あれ?これEvanescence?」と、ある種の禁句を思い浮かべてしまうほどのBen節炸裂です。元アイドルというVoのCarlyの声質も、中〜高音域あたりはAmyを彷彿とさせる部分があり、それがBenのメロディーに載るので余計に前バンドの影を臭わせてしまうわけですね。 歌詞やタイトル、曲からは痛いほどの孤独、癒されない悲しみが伝わってきます。落ち込んでいる時…とことん落ち込んで、泣いて、発狂したい時にはもの凄くお勧めです。英語がわからなかったとしても、メッセージが目に浮かぶような楽曲揃いですよ。「ゼロ」には何を掛けても「ゼロ」にしかならないけれど、Carlyが歌う「I」がマイナスの存在だとしたらきっと「You」もマイナスの存在で、否定×否定=肯定なのかな、とか勝手に推測(因みに、私は数学大嫌いです/笑)しちゃいました。 ヨーロッパ産のゴシック・メタルに多いオペラティックな歌唱ではなく、表情豊かでロック!な歌唱、デジタルの無機質さ、Voを際立たせたバランスなど、個人的にはもっとGが重苦しくてもよかったかなーとは思いつつも、やはりアメリカ的ゴシック・メタルを確立した人たちが創ったんだなーと思えるアルバムです。ご本人達はゴシックでもメタルでもないと思っているかもしれませんけどね。 |
7枚目のフル・アルバム『The Black Halo』から(7枚目は6枚目の『Epica』のコンセプトを引き継いだアルバムだったけど)、アートワークを含めたバンドの世界観がぐぐっとダークな方向へ傾きだし、プログレッシヴな要素も深くなった彼ら。7枚目、8枚目、9枚目とその世界観は一層深化していったので、もう彼らをただのシンフォニックなメロパワだと思っている方は少なくなったでしょうか? 失礼ながら、『The Fourth Legacy』までは所謂ありがちなメロパワ系のジャケットでしたが(と、言いながら、私がKAMELOTにハマったキッカケは『The Fourth Legacy』です/笑)、今作のジャケットはダーク、オカルト、ゴシック好きな方には身悶えしちゃいますよね。つい最近、私はOMEGA LITHIUMというインダストリアル・ゴシックな女性Voに激ハマりしたのですが、そのアートワークと非常に似ているなーと思ったら、同じデザイナーさんだったよ!(笑) 気になった方は「seth siro anton」で画像検索してください(彼の公式サイトは、訪れてみましたが工事中でしたので…)。ちなみに、グロ注意…です! でも、ゴシック、ブラックなメタルが好きな方は、いくつか知っている作品を見付けられると思います。 前作『Ghost Opera』も暗黒な香りがしましたが(今作とは違うデザイナーさんです)、今作のダークさには到底敵わない! 透明感はかなり薄れ、頽廃度満点です(惜しむらくは、メンバー・ショットが「わざとなのだろうけど」他のグラフィックスに比べて解像度が荒いように見えてしまうこと)。 それにしても、前作にも今作にも、東洋人と思しき・またはオリエンタルさを感じさせる女性が描かれているのですが、これって日本のファンへのアピールとして受け取って良いですか (・ω・)? アートワークのダークさ増加度に比べると、楽曲のダークさ増加度はそれほどでもないのですが、毎度毎度彼らが新しく取り入れてくる「何か」にはドキドキさせられます…今回は「デジタル度」、かな? この「デジタル度」はサウンド・エフェクト類をはじめ、アナログの存在であるバンド・メンバーに「異世界感を与える」もの全てを指します。複数の音や声がかなり複雑に絡み合っているのに、絶妙なバランスというか…単純に音楽的な部分でもそうなんですが、「各楽曲のキャッチーさ」から「アルバム全体のドラマ性」に重点をシフトさせていっているこのバンドには、とても大事な部分なのでしょうね、きっと。 もはや恒例となったEPICAのVo:Simoneのゲスト参加に加え、今作も名だたるゲスト・ミュージシャンが参加しています。5曲目のGus Gソロは反則技やろー!とか、デス・ヴォイスのゲストとしてはSOILWORKのBjörn "Speed" Stridが参加していて、かつてのDIMMU BORGIRのShagrathも豪華でしたが…いやはやビッグ・バンドの交流とお金持ち度にはびっくり(赤裸々/笑)。Björnは「The Great Pandemonium」のPVにも出演していて、いや〜、このPV夜中に子供が見たら絶対トラウマになるよね〜っていうほど恐ろしい仕上がりです。これから観るよ、という方はちょっと覚悟してから観たほうがいいです。ノミの心臓な私(でもホラー好き…「ホラーだ」とわかって観ると大丈夫なのだ)はとりあえず飛び跳ねるハメになりましたぜ。 恐らくPVは後発でどんどん新作が出るので(前作がそうだったので期待してます)。リリース後も目が離せないKAMELOT。…で、いつ、日本に来てくれるのかなー (;ω;)? 首をながーくして待ってますよお…! |
まあ、そんなお話はさて置き。しばらくの間、ゴシック/ダーク/シンフォニック/女性Voというカテゴリーに傾倒していた自分にとって、久しぶりの「わかりやすい」アルバムでした (・ω・)! あ、コーラス・ワークってこういうことなんだね、と申しますか、アルバムを聴いているとどこでお客さんがノってくるのかが超・想像できます(笑)。これ、ライヴで一緒に歌わないでいられる人って居るんでしょうかー…!? 個人的には5曲目”Curse My Name”に痺れました! もともとアイリッシュ、ケルトといった「民族音楽×メタル」に弱いのですが、これまでに聴いてきたものの中でも群を抜いてかっこいいです。これは間違いなく大合唱ですよ。涙を流しながら! 一朝一夕の民族具合じゃないなー、と思ったら、彼らはトールキンの『シルマリル物語』を題材とした作品も出しているのですね。聴かなくては! 楽曲解説や歌詞もきちんと読んでみると、いかに彼らがファンタジーの世界を学び、愛し、それを奏でているかがわかります。メタルの醍醐味は聴いておいしい、知っておいしい、深ーい味わいの音楽であると改めて思いました。今まで避けてきてごめんなさい。 今や、ファンタジー・メタルの代表格となったRhapsody Of Fireは大げさすぎるなーとか、速すぎるなーとか、もっと「漢」度が欲しいと感じる方は 是非聴いてください。そしてスピーカーの前で、拳を握りしめ、その拳を天高く突き上げながら合唱するといいと思います。 でね、でね、ゲーム・ヲタクな私としては「自由度が非常に高いRPG」と評判の『Sacred2』の主題歌として、1曲目の”Sacred World”が使われていることにも感動しました。数々のファンタジー作品からインスパイアされたメタル・バンドや楽曲は数え切れないほど存在すると思うのですが、映画やゲーム、アニメなどの他のメディアとコラボレーションしたものは本当にひと握りだと思うのですよ。ファンタジーから生まれた音楽がファンタジーの世界を形成する要素の1つに「還れる」なんて、まさに「冥利に尽きる」というヤツではないでしょうか。 最後に、またアートワークの話に立ち戻って恐縮なんですけども、CGを駆使した豪華さに、「さすが大御所!」と唸らずにはいられませんでした。ブックレットの最後のページ、ミイラに見事になりきっているメンバーさん達も素敵です。これを見開きにしてほしかった(笑)。海外の方が作るアートワークの光の加減って、日本人が日本のモノだけ見てきたら絶対作れない独特の色合いですよね。キレがあるっていうか、エッジが効いているというかね。デザイナーさんの作風、見た事あるなと思ったらそれもそのはず、これまでのBLIND GUARDIANの作品はもちろん、数々の著名アーティストを手がけてきたお方でした。 彼のサイト(http://finalfrontier.thunderblast.net)には沢山の美麗なアートワークが! さて知ってるアルバムは何枚ありますか? |
Ancient Myth 1stフル・アルバム、遂に降臨!
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ANCIENT MYTH 関連 Links
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ANCIEN MYTH 他が所属するジャパニーズ・インディー・メタルの雄、Black-listed Records!
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