TOP > Music CD・DVD > News > Jazz > Modern Jazz > 実りの秋。和ジャズ/和ボッサ続々

実りの秋。和ジャズ/和ボッサ続々

Tuesday, September 14th 2010


古澤良治郎 「ラッコ」
「Racco」の裏ジャケから


和ジャズ「海棲哺乳類」ジャケの最高峰、初CD化


 ウォーなどでの活躍で知られるハーモニカ奏者リー・オスカー三上寛らとの共演でジャズ・リスナー以外からも高い支持を受ける名ドラマー、古澤良治郎の1977年セカンド・リーダー・アルバム『Racco』が、おなじみThink!レーベルの「昭和ジャズ復刻」シリーズより遂に初CD化となります。

古澤良治郎×三上寛
 60年代末から70年代初頭にかけては、本田竹彦トリオ、渡辺貞夫カルテット、板橋文夫トリオ、山下洋輔トリオなどで活動していた古澤良治郎は、その奔放豪快な演奏と型にはまることのない多彩な音楽性で高い人気を博していました。トロンボーン奏者向井滋春、テナー・サックス奏者高橋知己といった当時の新進気鋭を集めた1975年のファースト・リーダー・アルバム『You Wanna Rain?』においても、意識の高さが窺えるスピリチュアルでスリリングな演奏を展開。実はこの初リーダー作以前に三上寛とアルバム『Bang!』(乞・再CD化)を制作しており、1974年当時においてすでにジャズの枠を飛び越えた鬼才ドラマーとしてその名を知らしめていました。さらに加えるならば、この垣根なき活動は、上述のリー・オスカーから、浅川マキ吉田美奈子上々颱風忌野清志郎に至るまでの多岐にわたる共演歴、さらには、「百鬼人形芝居どんどろ」、「劇団1980」といった異種ジャンルとのコラボレーションにまで発展。現在は「ひとり芝居」にチャレンジするなど、既成の概念に捉われることのない柔軟な発想とユニークな思考で音楽を中心とする創作活動に取り組んでいる、真のマルチ・アーティストといえるでしょう。ちなみに、ご子息は映画監督/脚本家の古澤健

 そんな古澤が、折りしも俯瞰した日本ジャズ史の系譜において所謂 ”プレ・フュージョン”期にあたる1977年に発表したリーダー作が、この『Racco』なのです。前リーダー作、もしくは三上寛とのデュオ活動で、すでに”くびき”という”くびき”から逃れた演奏、サウンドを標榜し構築していただけに、まさにその(当時における)集大成ともいえるアルバムとなったのは言うまでもないでしょう。だってジャケットがラッコですよ、お兄さん。タイトル・フォントもいい塩梅でゆるやか。

 すでに『和ジャズ・ディスク・ガイド』掲載などにより、昨今の和ジャズ・シーン界隈ではよく知られている1枚でもありますが、その内容を実際に耳にした方というのは中々いなかったのではないでしょうか?


古澤良治郎 「ラッコ」
「Racco」のインナー写真から



 全7曲がオリジナル。冒頭いきなりメロウなエレピが零れ落ちながらスピリチュアルな慕情をいざなう「クムクム」でピンときたら、しめたもの。続いては、高橋知己が真っ黒な咆哮で攻め立てる、まるでStrataやBlack Jazz 諸作品を聴いているかのようなド迫力ディープ・モーダル「モキ」。 「モキ」って何だ!? 一転、表題曲「ラッコ」は、リラクシンなカリプソ・テイスト全開。これは是非ジャケを眺めながら聴いていただきたいものです。フリー度の高いアドリブがかけめぐる「ラ・ズグターバ」、若人の血も滾るハイパー・ファンキー・ジャズ「ウルフ・フィッシュ」で2度のアクメを得た後は、美メロ・バラード「ジューン・レイン」にそぼ濡れ、オーラスのジャズ・ロック風「バーニング・クラウド」で荒野の風にびゅうびゅう吹かれてください。 ”エレピ買い”されている諸兄にもオススメです。

 比肩なき名ドラマー、古澤良治郎、ひいては70年代の日本のジャズ・シーンを語る上で欠かすことができない最重要作品。紙ジャケット仕様にていよいよ復刻です! また、坂元輝『海を見ていたジョニー』をはじめとする和ジャズ名盤の宝庫、ジャズ喫茶「ジョニー」(現・盛岡「開運橋のジョニー」)がオーガナイズする「ジョニーズ・ディスク」のリイシュー・シリーズ第3弾として、古澤良治郎と三上寛による1979年伝説のパフォーマンス『職業』も初CD化となります。 



尺八、琴、ボッサ → ブロンソン



村岡実
 こちらはThink!の「VAMOS! 和ボッサ」からの新タイトル。和太鼓ブレイク「陰と陽」を収録したオリエンタル・ジャズ・ファンクの金字塔『バンブー』や、石川晶グループとの共演となった実況録音盤『恐山』で黒船コレクターのド肝を抜きまくった尺八奏者・村岡実が、同じく純邦楽の分野を世界に広めた草分け的存在でもある箏(そう)/琴奏者・沢井忠夫との懇ろによって作り上げた和式ボッサ集です。

 フルートのような村岡の尺八に、ハープのような沢井の琴。「まるでハービー・マンドロシー・アシュビーが共演したかのような絶妙なバランス・・・」とは、Think! ディレクターのつぶやきですが、まさにそのとおり。しかもここに伊集加代子のドリーミン・スキャットがダバダバと絡みつくのですから、”アプレ・ミディ”的オサレお茶しばき指数はうなぎのぼり。妖精と戯れるチャンスだっていつか訪れるかもしれません。

 極めつけはジャケットに描かれた不可解な・・・なぜに、ブロンソンか? オリジナル盤の録音年にあたる1970年(発売は1971年)、日本は空前のチャールズ・ブロンソン・ブーム。その年、大林宣彦監督演出の化粧品「マンダム」のテレビCMに出演し、その男臭いムードで一世を風靡。「う〜ん、マンダム」というセリフは日本中で大流行し、同じくジェリー・ウォレスが歌うCMソング「男の世界」もスマッシュ・ヒットを記録。この爆発的ヒットにより、メーカーの「丹頂」が社名を「マンダム」に変えたのは有名なお話・・・だから、ブロンソンを持ってきているんです! それ以上の理由は見当たりません。尺八、琴、ボサノヴァときたら、最後のワン・ピースはブロンソンと、昔から相場が決まっているのです。

 外装、内容、そのギャップ、すべての愛すべき奇天烈具合をかぎりなく忠実に再現し、発売当時の解説まで付けて世に送り出してくれるのですから「和ボッサ」シリーズは本当に懐が深い。藤竜也『Carnaval -饗宴』に続く確信犯的偉業といえるでしょうね。こちらも紙ジャケット仕様での登場です。




【特集】 前田憲男の世界

「敦子」でもなければ「健太」でもない。今いちばん脂が乗っている”前田”と言えば「憲男」に決まっている。『ロック・コミュニケーション〜八木節』が待望の初CD化!

 詳細を見る


塙耕記さんに訊く 「和ジャズ」の魅力

世界初となる陽の国・昭和ジャズのディスクガイド『和ジャズ・ディスクガイド』の発刊を記念した小特集。監修者の一人、塙耕記さんへのインタビューや定番CDガイドを掲載中。

 詳細を見る
* Point ratios listed below are the case
for Bronze / Gold / Platinum Stage.  

「モキ」!

Racco

CD

Racco

Furusawa Ryojiro

Price (tax incl.): ¥2,640

Release Date:20/October/2010

  • Deleted

%%header%%Close

%%message%%

和製ハービー・マン × ドロシー・アシュビー

Shakuhachi & Koto Otoko No Sekai

CD

Shakuhachi & Koto Otoko No Sekai

村岡実 / 沢井忠夫

Price (tax incl.): ¥2,750
Member Price
(tax incl.): ¥2,530

Multi Buy Price
(tax incl.): ¥2,337

Release Date:20/October/2010

%%header%%Close

%%message%%

1979年6月9日陸前高田市民会館にて

Shokugyou

CD

Shokugyou

古澤良治郎 / 三上寛

Price (tax incl.): ¥2,750
Member Price
(tax incl.): ¥2,530

Multi Buy Price
(tax incl.): ¥2,337

Release Date:20/October/2010
usually instock in 2-3days

  • Point x 1
    Add to wish list

%%header%%Close

%%message%%

その他の主な関連作品

Buy 2 J-POP & K-POP Titles Get Up to 30% Off Items with this icon is eligble for Buy 2 J-POP & K-POP Titles Get Up to 30% Off

読もう