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至高の十大指揮者 角川ソフィア文庫

Yusuke Nakagawa

User Review :3.5
(2)

Product Details

Genre
ISBN/Catalogue Number
ISBN 13 : 9784044004750
ISBN 10 : 4044004757
Format
Books
Publisher
Release Date
January/2020
Japan

Content Description

本書は「同じ曲でも指揮者によってどう違うのか」といった演奏比較を目的とした本ではない。もちろん、演奏を聴いていただきたいので、それぞれのCDを何点か紹介していくが、名盤ガイドではない。ネット時代のいまは、検索すればたいがいの演奏家の曲がすぐに見つかり、タダで聴くことができる。それがいいのか悪いのかは別として、かつてのような、「この曲はこの人の演奏」「この指揮者ならこの曲」という名曲名盤選びは必要なくなった。

 したがって、演奏比較、その特色の解説といった観点ではなく、その指揮者がどのようにキャリアを積み上げ、何を成し遂げたかという人生の物語を提示する。

 指揮者ごとの列伝なので、それぞれの章は独立しており、興味のある人物から読んでいただいてかまわないが、それぞれの物語にほかの指揮者が脇役として登場することも多いので、第一章から順に読んでいただいたほうが、通史としてわかりやすいかもしれない。

(本書「はじめに」より引用)

<目次>
第1章 「自由の闘士」アルトゥーロ・トスカニーニ
第2章 「故国喪失者」ブルーノ・ワルター
第3章 「第三帝国の指揮者」ヴィルヘルム・フルトヴェングラー
第4章 「パリのドイツ人、ボストンのフランス人」シャルル・ミュンシュ
第5章 「孤高の人」エフゲニー・ムラヴィンスキー
第6章 「帝王」ヘルベルト・フォン・カラヤン
第7章 「スーパースター」レナード・バーンスタイン
第8章 「無欲にして全てを得た人」クラウディオ・アバド
第9章 「冒険者」小澤征爾
第10章 「革新者」サイモン・ラトル

【著者紹介】
中川右介 : 作家、編集者。1960年東京都生まれ。早稲田大学第二文学部卒業。出版社勤務の後、アルファベータを設立し、代表取締役編集長として雑誌「クラシックジャーナル」ほか、音楽家や文学者の評伝や写真集の編集・出版を手掛ける(2014年まで)。その一方で作家としても活躍。クラシック音楽への造詣の深さはもとより、歌舞伎、映画、歌謡曲、マンガなどにも精通。膨大な資料から埋もれていた史実を掘り起こし、歴史に新しい光を当てる執筆スタイルで人気を博している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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何が描きたいのかよく分からなかった。毒に...

投稿日:2021/04/20 (火)

何が描きたいのかよく分からなかった。毒にも薬にもならない。 こう言った指揮者の解説本は昭和の評論家達の偏見やキャラクター付けを引き継いだような質の悪いものが多いので避けていたのだが、久しぶりに買ってみた。 著者自身も昔の評論家本と同じようにならないため音楽的な話題は避けられており、あくまで歴史的な観点から指揮者の人生を追っている。その点、激動の時代に音楽の中心を担ったトスカニーニやワルター、フルトヴェングラー 、ミンシュ、ムラヴィンスキー らの記述は既に語り尽くされたものであるとはいえ、私のようにあまり指揮者の人生に興味がなかったものにとっては面白かった。彼らの録音を聴いても勉強にはなっても、あまり楽しめたことがなかったので改めてドキュメントとして聴き直してみようとも思った。 しかし、カラヤン以降の演奏家は音楽的な視点を抜いてしまうと全く無味乾燥な記述になってしまうのにこの著者は気づかなかったのだろうか。余程書くことがないのか演奏会の演目の羅列や客演記録に終始しており、アバド 、ラトルは特にひどく、指揮者同士の影響や、エピソードなども何もない。ウィキペディアレベルの内容の水増し。 カラヤン 、バーンスタインについては激動の時代の巨匠らと重なる部分もあるし、小澤については日本人としてそれなりに書くこともあったのだろうが、アバド 、ラトルについてはちょっとこのレベルの内容で章を割くのはあり得ない。この著者がアバド、ラトルにロクに興味がないのが良くわかる。著者によるとアバド については10大指揮者に選んだのはベルリンフィルの首席に選ばれたから私も選んだ、、ラトルについてはビートルズ以外大した音楽家、演奏家のいないイギリスが生んだ平和な時代の指揮者だそうです。(クラシックファンには言うまでもなくイギリスは特に室内楽のレベルからオーケストラ演奏が最も盛んな国の一つであり、19世紀末以降指揮者と音楽家が最も緊密に結びついて働いていたクラシック先進国です。) そして、著者が行なったのはアバドがベルリンに選ばれた理由を探るでもなく、平和な時代のラトルがどのような音楽観を持つにいたったのかを探るでもない、ただひたすら演奏記録と経歴の羅列。小澤についても日本国内での出来事は調べてあるが、ウィーン時代の評判はどうだったのか、彼の挑戦は結局のところ成功したかなど全くリサーチがされていない。 結局この著者は昔の評論家が書いたものをまた書きたかったのでしょう。あとがきにも、10大指揮者を自分で選んでみたが何を書こうか分からなかった。とりあえず書いてみたらこうなった。、と適当に書かれた本だと言うことを自分でも白状しています。10大指揮者を単なる大オーケストラのポスト、権力で決めるというような権威主義ではなく、音楽史観で選べばもっとこのような低レベルな著者でも書けることがあったはず。好みは別としてトスカニーニ以降最も影響を与えた指揮者であるアーノンクールを省いているのも謎。結局、なんのドラマも歴史の流れも追えていません。読み終わったとき著者は音楽の観点からの説明を避けたのではなく、そもそも音楽にはドキュメントとして以外の興味無いのではと感じてしまいます。 しかし、まあ暇つぶしにはなるでしょう。

ぽいぽす さん | 神奈川県 | 不明

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内容は面白いです。自分でも10大指揮者を選...

投稿日:2021/04/11 (日)

内容は面白いです。自分でも10大指揮者を選んでみるのだが、ここに挙げられる10人にはならない。特に20世紀後半から名が知られ始めた方々の評価にはもう少し時間がかかるのではないでしょうか?

せごびあ さん | 愛知県 | 不明

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Book Meter Reviews

こちらは読書メーターで書かれたレビューとなります。

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  • ムーミン2号

    10人の指揮者について、それぞれの両親のことや、生い立ちから音楽に、指揮に目覚める頃、そして世界に指揮者として認められる瞬間から、その後の華々しい活躍、そして死を迎えるまでがわりと淡々と記述されている(もちろん、ご存命の方は死亡時の記述はない)。特に第一次および第二次世界大戦の間に活躍したトスカニーニ・ワルター・フルトヴェングラーそしてカラヤンの間で絡み合うような糸、ミュンシュのフランスとドイツの狭間での揺れなどは戦争を抜きには語れないものだ。芸術以外の様々な要素が指揮者の人生に大小の影響を及ぼしている。

  • コチ吉

    簡潔にして要を得た文章。音楽的な内容には敢えて踏み込まず、淡々と音楽家としての人生を綴る。もう望めない事だが、ワルターのモーツァルトオペラのステレオ録音、フルトヴェングラーのパルジファル全曲、ムラヴィンスキーのマーラー9番、カラヤンのショスタコーヴィチ15番などは聴いてみたかった。

  • スプリント

    名は知っている指揮者ですが、その生涯は詳しく知りませんでした。若くして大成し、老年になるまで一線で活躍し続けた指揮者の人生を垣間見ることができました。

  • ないとう

    トスカニーニからサイモンラトルまで。20世紀に活躍した十大指揮者の物語を淡々と語る本。特に前半の何人かは現代史との関連も興味深く、面白かった。昔の音楽家の政治的な存在感は今とは全く別物のように感じられる。 にわかクラシックファンなので曲目等はよくわからないものも多かったけどこれから一人一人をもう少し掘り下げて読んだり聞いたりしてみたい。オーケストラの演奏会に行きたくなる一冊でした。

  • えりべる

    面白かったー!!! オーケストラの指揮者たちが、こんなにも濃密に欧米の歴史と関わっていたとは知らなかった。トスカニーニ、ワルター、フルトヴェングラーの3人の物語は、さながら一編の映画を観ているかのよう。あまりにもドラマチックすぎる。それほど、第三帝国の落とした影は大きい。ムラヴィンスキーと共産党のつながりも興味深かった。 指揮者たちとともに自分も世界中を巡った気分になった。20世紀以降の作曲家にはあまり触れる機会がなかったので、ラトルとバーミンガムの録音でも聴いてみよう。

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