Book Meter Reviews

こちらは読書メーターで書かれたレビューとなります。

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• 佐島楓

  読了日：2019/04/12

  冒頭からしばらくはたゆたう視点に翻弄されたが、流れは急速に収斂され、ひとつの大きな物語となってゆく。日本の「家」制度を超えた、死とは、時間とは、そして人生そのものとは何かという大きな主題を自然に考えさせられる読後感を得られた。登場人物に年少者が多いため、若い世代におすすめできる作品。

• はっせー

  読了日：2024/05/17

  死について考えたい人におすすめの本になっている！滝口さんの作品を久しぶりに読みたいと思い手にしてみた。今までにない構想の本のため終始面白かった！舞台はある男の通夜。その通夜に集まる子や孫やひ孫といった親族たち。その親族たちを神の視点で描いた本。こういった親族たちが集まった場所では決まりきった会話が繰り広げられる。何歳になったのか。結婚したのか。あの人はだれの息子さんだっけ？などなど。同じような会話だがどこか毎回違う。そんな即興性もある雰囲気を的確に捉えられている作品であった！

• hit4papa

  読了日：2025/02/06

  大往生を遂げた男の通夜に集まった親族たちを描いた作品。子ども5人、孫10人にひ孫、縁者など、亡くなった者ではなく、故人を見送る人々＝死んでいない者たちにスポットが当たっています。引きこもりをしている者、身を持ち崩した者、国際結婚をし平穏な日々をおくる者など、人生色々です。故人は、今を生きることに精一杯な人々の集いの場を提供したに過ぎません。通夜というイベントを通して、それぞれの家族の記憶が鮮明になり、枝分かれした家族の物語がつながって大きな絵を描かれる、そんな印象を持った作品です。【芥川賞】

• いっち

  読了日：2021/05/22

  死んでいなくなった男の通夜に、親戚が集まる。親戚の分け方に、まともな奴、まともでない奴があるという。まともな奴は通夜に来て、酒を飲んでは近況を報告する。まともでない奴は、通夜に来ない。本作は、まともでない奴が魅力的。例えば、故人（祖父）の家のプレハブに住む青年（孫）。生前、祖父と食事をとっていたが、通夜には行かず、プレハブにいる。青年は一人静かに弔う。解説の津村記久子さんは、青年の弔い方を「水槽の水を浄化するために置かれている石のような静かな価値」と言う。そんな青年を、一体誰がまともでない奴と言えるのか。

• ましゃ

  読了日：2019/04/10

  本書の『死んでいない者』とは、通夜に参加する故人以外の者達。人は死を思う時、自分の生を振り返る。親戚でも顔は知っているけど名前が分からなかったり、顔は思い出せないけどなんとなく名前だけは覚えている、そういった深い関係に無い親戚の通夜独特の不思議な一体感が本書には描かれている。大往生を遂げた男の通夜のため、子、孫、ひ孫ととにかく登場人物が多い。世代によって通夜の見方や感じ方は違うが、親戚一同が死んでいる者を思う特別な一日であり、死んでいない者同士がお互いを思い合う日でもあるのだ、と私は本書から感じました。

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