クルト・ヴァイル:Berlin - Paris - New York〜夜の闇に光を追って
奈良ゆみ、寺嶋陸也
ベルリンから、パリ、ニューヨークへの亡命の渦中で作曲活動を続けたクルト・ヴァイル。その波瀾の生涯を映すようにして紡がれた歌はどれも、魂の溜息のように聴く者の心に語りかけ、優しい処に連れて行ってくれます。
鋭い演劇的センスと語りに定評ある奈良ゆみがヴァイルの亡命の軌跡を追う形に編んだ本盤は、変容する多彩な姿と変わらず流れる深みとを共に照らし出し、ヴァイル歌曲の真髄に迫ります。(ALM RECORDS)
【収録情報】
Disc1
ヴァイル:
● 水に溺れた娘のバラード 『ベルリン・レクィエム』より (B.Brecht 1928)
● 赤いローザ 『ベルリン・レクィエム』より (B.Brecht 1928)
● モリタート 『三文オペラ』より (B.Brecht 1928)
● 光溢れるベルリン (K.Weill 1928)
● スラバヤ・ジョニー 『ハッピー・エンド』より (B.Brecht 1929)
● 別れの手紙 (E.Kastner 1933)
● 雨が降っている (J.Cocteau 1933)
● パナマ軍の行進 『マリー・ギャラント』より (J.Deval 1934) (ピアノ・ソロ)
● 大鬼リュスチュクリュ 『マリー・ギャラント』より (J.Deval 1934)
● ボルドーの娘たち 『マリー・ギャラント』より (J.Deval 1934)
● アキテーヌの王様 『マリー・ギャラント』より (J.Deval 1934)
● ダンスホールの風景 『マリー・ギャラント』より (J.Deval 1934) (ピアノ・ソロ)
● 船を待つ私 『マリー・ギャラント』より (J.Deval 1934)
● 天国への列車 『マリー・ギャラント』より (J.Deval 1934)
Disc2
● セーヌ哀歌 (M.Magre 1934)
● もう愛していない (M.Magre 1934)
● ユーカリ〜タンゴ・ハバネラ〜 (R.Fernay 1935)
● セプテンバー・ソング 『ニッカボッカ・ホリデイ』より (M.Anderson 1938)
● ナナの歌 (B.Brecht 1939)
● 私の船 『闇の女』より (I.Gershwin 1940)
● 夜勤シフトの相棒に 『ランチ・タイム・フォリーズ』より (O.Hammerstein II 1942)
● スピーク・ロウ 『ヴィーナスの接吻』より (O.Nash 1943)
● 世の中にうとい私 『ヴィーナスの接吻』より (O.Nash 1943)
● 愚かな心 『ヴィーナスの接吻』より (O.Nash 1943)
● 兵士の妻は何をもらったか? (B.Brecht 1943)
● 星空に消えて 『ロスト・イン・ザ・スターズ』より (M.Anderson 1949)
奈良ゆみ(ソプラノ)
寺嶋陸也(ピアノ)
録音時期:2014年6月19,20日、7月3,4日
録音場所:神奈川県、相模湖交流センター
録音方式:ステレオ(デジタル/セッション)
解説:田辺秀樹、奈良ゆみ
歌詞対訳付き
初回限定仕様 2CD+DVD
『奈良ゆみ レコーディング&リハーサル・ショット』(映像:宮岡秀行)映像:31分収録
【奈良ゆみ(ソプラノ) Yumi Nara, soprano】
幼い頃より、グレゴリオ聖歌、詩吟、タンゴに親しむ。声楽を志し岩本喜仁氏に教えを乞う。相愛大学声楽科在学中にフランス音楽に魅かれ、卒業後、フランス政府給費留学生としてパリ国立高等音楽院に入学、メシアンに注目される。以後、パリを拠点としてヨーロッパ各地で盛んな演奏活動を展開。色彩感にあふれた声と創造的な表現力は、とりわけ現代音楽の分野で注目を集め、多くの現代作曲家が彼女に曲を捧げている。また、舞台における独特な存在感と演技力が評価され、ピーター・ブルック演出の『骨』や『マハーバーラタ』にも出演している。パリ・バスティーユ・オペラ座で演奏されたメシアンの『ハラウィ−愛と死の歌』をはじめとして、シェーンベルク『月に憑かれたピエロ』、モーリス・オハナのモノオペラ『三つの御花(オハナ)の物語』、中世から現代作品までア・カペラで綴ったスペクタクル『ソロ・ヴォイス』公演などが高い評価を受ける。またフランス政府文化省の派遣により、サティとフランス六人組やラヴェル『シェエラザード』など、フランス歌曲を東欧・ロシアで紹介するリサイタルを数多く行っている。さらに、西鶴の『好色一代女』のテキストを使ったジャン=クロード・エロワの作品『リベラシオン』や、松平頼則のモノオペラ『源氏物語』の歌い手として、日本の音楽・文化が西洋の現代音楽と結びつく可能性を明示した。
日本では、ドビュッシー『ペレアスとメリザンド』(ジャン・フルネ指揮、東京都交響楽団)、プーランク『人間の声』(ワッセルマン演出、寺嶋陸也ピアノ)などを歌う。2001年からは毎年2回大阪モーツァルト・サロンで『フランス歌曲全貌シリーズ』を中心にクリエイティヴなテーマのコンサートが催されている。CD録音も数多く、ヨーロッパでリリースされた『ドビュッシー歌曲集』(ピアノ:クロード・ラヴォワ) は、仏音楽誌(ル・モンド・ド・ラ・ミュジック)で最高推薦盤に選ばれ絶賛を受ける。(ALM RECORDS)
【寺嶋陸也(ピアノ) Rikuya Terashima, piano】
1964年生まれ。東京藝術大学音楽学部作曲科卒、同大学院修了。オペラシアターこんにゃく座での演奏や、1997年東京都現代美術館でのポンピドー・コレクション展開催記念サティ連続コンサート「伝統の変装」、2003年パリ日本文化会館における作品個展「東洋・西洋の音楽の交流」などは高く評価され、2006年にはタングルウッド音楽祭に招かれボストン交響楽団のメンバーと自作を含む室内楽を演奏した。作曲、ピアノ演奏のほか、東京室内歌劇場やびわ湖ホールのオペラ公演の指揮など、活動は多方面にわたる。オペラ『ガリレイの生涯』『末摘花』、カンタータ『伊邪那岐・伊邪那美』、合唱ファンタジア『オホホ島奇譚』、ヴォードヴィル『タバコの害について』、『尺八・二十絃箏と管弦楽のための協奏曲』、合唱のための『詩篇第49番』『沖縄のスケッチ』、オーボエ・三味線と打楽器のための『異郷の景色』、古代復元楽器のための『大陸・半島・島』、朗読と筝、室内管弦楽のための『貝の火』など作品多数。海外でも度々演奏されている。
「大陸・半島・島/寺嶋陸也作品集」(ALCD-9026)、「二月から十一月への愛のうた(栗山文昭の芸術2/寺嶋陸也作品集)」(VICS-61092)「寺嶋陸也plays林光」(NARD-5034)など、多くのCDがある。(ALM RECORDS)