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ISBN 10 : 4772421467
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西洋文化が変革を迎えつつあった1960年代後半、異国の地カリフォルニアに降り立ったウィルフレッド・ビオンは、1967年4月、ロサンゼルス精神分析協会と研究所メンバーを前に、4つのセミナーとグループ・スーパーヴィジョンを開催する。クライン派の思惟をロサンゼルスにもたらした「黙示録の四騎士」――ハンナ・シーガル、ハーバート・ローゼンフェルド、ドナルド・メルツァー、ウィルフレッド・ビオン。ビオンが前衛として発表した思索には、今まさに生まれつつある後期思想の萌芽を私たちは見るだろう。
「第一回セミナー」(1967年4月12日)ではOと言語の問題、記憶と欲望、分析者の妄想分裂ポジションと抑うつポジションを語り、「第二回セミナー」(1967年4月14日)では、精神病に近い患者や精神病患者との仕事に関して、投影同一化、容器/内容、そして神秘論者と体制を概説する。続いて「第三回セミナー」(1967年4月17日)では、精神病患者の症例検討からジェラルド・アロンソンとの討議が展開され、最終回の「第四回セミナー」(1967年4月19日)では、境界精神病患者の症例検討を紹介しながら、ラルフ・グリーンソンとの解釈の性質を巡る議論を以って全日程を終結している。第一回セミナーの翌日(1967年4月13日)に開催された「精神分析的症例提示」の記録に加えて、ビオンの論文「記憶と欲望に関する覚書」が再録される。
ビオンは一連のセミナーとスーパーヴィジョンで、抽象的符号や数学的隠喩に言及しておらず、著作の難解な文体とのコントラストが際立っている。一貫したビオンの平易な語りは、ビオンの思索をより理解しやすくするだけでなく、純粋理論を面接室に持ち込むことの不可能性、あるいは、理論と臨床の絶妙な均衡を予示し、ビオンの後期思想への動線を見ることができる。
ビオンの臨床理論を理解する導きの糸を、ビオンの肉声で。
【著者紹介】
福本修 : 東京大学医学部医学科卒業。東大分院神経科、静岡大学保健管理センター。タヴィストック・クリニック(ロンドン)(1993〜2000年 精神分析的精神療法成人部門修了)を経て、恵泉女学園大学名誉教授。代官山心理・分析オフィス、きしろメンタルクリニックに勤務。日本精神分析協会正会員・訓練分析家、国際精神分析協会正会員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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