(Chedville)four Seasons(Les Saisons Amusantes): Palladian Ensemble, Etc

英国名門オーディオのレーベル“ＬＩＮＮ”の注目盤
《四季》の翻案編曲《愉快な四季》

フランスのミュゼット(小型バグパイプ)製作・演奏・作曲・教育一家として、有名だったシェドヴィル家は、同じく楽器製作と作曲を生業とした名門オトテール家の親戚でもあった名物家系。
　後期バロック時代に活躍したニコラ・シェドヴィルは、作曲のほかに、ヴィヴァルディをはじめ、数多くの人気作品をハーディ・ガーディ（ドローン弦を持つ機械化ヴァイオリン）やミュゼットのために編曲し出版して名を成しました。
　当時フランスでヴィヴァルディの《四季》が大流行していたのは有名な話で、〈春〉を伴奏にしたモテットなどと言うものも作曲されたりしていましたが、さすがこの道のプロ、シェドゥヴィルのここでの編曲は実にみごとなものです。
　演奏は、決してルーティンなアプローチをしないことで知られる英国のグループ、“パラディアン・アンサンブル”に、名手リチャード・エガー（蘭ＧＬＯＢＥのギボンズ・アルバムが傑作でした）のチェンバロが加わった精鋭部隊によるもの。刺激に満ちた強烈なスタイルが特徴ですが、この種の作品は、こうでなくては面白くありません。
　そうした刺激サウンドをパーフェクトにとらえた、ＬＩＮＮレーベルならではの音質の良さも大きな魅力と言えるでしょう。９種類の古楽器の響きが個性的なＣＤです。１９９７年５月ロンドンに於けるデジタル・レコーディング