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戦後61年目の今年、日本のある小さな島に世界中の注目が集まっている。その島とは、東京・小笠原に位置する、硫黄島。面積わずか22平方キロメートルのこの小さな硫黄島は、第二次戦争中、もっとも過酷な戦地だったといわれている。灼熱地獄に苦しみ、兵器も食料も、そして一杯の水さえも口にできない悪条件の中、一日でも長く生き延びて「敗戦」を遅らせるために戦った兵士たち…。
そんな彼らの心を支えたのは“手紙”だった。文字どおり家族を守るために戦った男たちが、当の家族へあてて書いた手紙。そこには勇ましい言葉や恩着せがましい文字、悲壮な語句は一切無く、家族の暮らしを思いやる、当時の日本の軍人とは思えぬ優しく細やかな気配りで溢れており、見る者の心を揺り動かす。
んな兵士たちの手紙を硫黄島に届けた男がいる。木更津航空隊・少尉の根本正良(伊藤淳史)。弱冠23歳のパイロットだった根本は、硫黄島への緊急物資輸送を命ぜられ、「一式陸攻」(=輸送爆撃機)の機長として、硫黄島に手紙を届ける。学徒出身の根本が初めての硫黄島で見たものは、やせさらばえた兵士たちの悲惨な姿、そして、家族からの手紙をむさぼり読む喜びに満ちた表情だった。
帰り際、家族への手紙を渡された根本は、以後、命を賭して硫黄島と本土を往復し、血染めの手紙を届けようとする。
しかし、硫黄島はすでに本土からの支援もままならない“見捨てられた島”と化していた…
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