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明暗 新潮文庫 改版

Soseki Natsume

Product Details

Genre
ISBN/Catalogue Number
ISBN 13 : 9784101010199
ISBN 10 : 4101010196
Format
Books
Publisher
Release Date
January/2010
Japan

Product Description

妻と平凡な生活を送る津田は、かつて将来を誓い合った人妻清子を追って、温泉場を訪れた――。近代小説を代表する漱石未完の絶筆。

<夏目漱石>(1867-1916)江戸牛込馬場下(現在の新宿区喜久井町)に生れる。帝国大学英文科卒。松山中学、五高等で英語を教え、英国に留学した。留学中は極度の神経症に悩まされたという。帰国後、一高、東大で教鞭をとる。1905(明治38)年、『吾輩は猫である』を発表し大評判となる。翌年には『坊っちゃん』『草枕』など次々と話題作を発表。1907年、東大を辞し、新聞社に入社して創作に専念。『三四郎』『それから』『行人』『こころ』等、日本文学史に輝く数々の傑作を著した。最後の大作『明暗』執筆中に胃潰瘍が悪化し永眠。享年50。

Content Description

勤め先の社長夫人の仲立ちで現在の妻お延と結婚し、平凡な毎日を送る津田には、お延と知り合う前に将来を誓い合った清子という女性がいた。ある日突然津田を捨て、自分の友人に嫁いでいった清子が、一人温泉場に滞在していることを知った津田は、秘かに彼女の元へと向かった…。濃密な人間ドラマの中にエゴイズムのゆくすえを描いて、日本近代小説の最高峰となった漱石未完の絶筆。

【著者紹介】
夏目漱石 : 1867‐1916。1867(慶応3)年、江戸牛込馬場下(現在の新宿区喜久井町)に生れる。帝国大学英文科卒。松山中学、五高等で英語を教え、英国に留学した。留学中は極度の神経症に悩まされたという。帰国後、一高、東大で教鞭をとる。1905(明治38)年、『吾輩は猫である』を発表し大評判となる。翌年には『坊っちゃん』『草枕』など次々と話題作を発表。’07年、東大を辞し、新聞社に入社して創作に専念。日本文学史に輝く数々の傑作を著した(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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Book Meter Reviews

こちらは読書メーターで書かれたレビューとなります。

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  • 優希

    漱石未完の絶筆ですが、文学として完成されていると思います。濃密な人間関係と心理描写がドロドロとしています。明暗という言葉通り、他者と自分の関係性で成り立っているドラマ性を感じました。自分の正直な感情が剥き出しになる中で、津田だけが心を閉ざしているところにこの物語の哀しみが象徴されているのではないでしょうか。ここぞとまでにさらけだされたエゴイズム。完成されていたらどのような作品に仕上がっていたのか興味深いところです。

  • ケイ

    「こころ」では、結婚する女性の心が全く取り沙汰されていないように思ったのだが、こちらでは女性が主張する。妻は、夫の友人ともやり合う。夫と言えば、「それから」の代助を彷彿させるような金銭に関しての考え方をしている。小林のせいかもしれない。ドストエフスキー視点が入る。視点が妻にいったり夫にいったりするので、2人の心持ちが分かってくるから、妻に肩入れしてしまう。漱石は、結婚できなかった想い人がいて、一緒になっていた場合に起こる破綻を常に描いていたのかと思ったりもした。未完。

  • のっち♬

    結婚半年のギクシャクした夫婦を中心にエゴが渦巻く人間劇。相互に密接に規制し合い、金力や自尊心の浮上で関係が益々粘つき、時間感覚が麻痺する緊密な心理小説。視点は知識層でも固定的でもない。平凡な家族内で他人的な相手からの軽蔑を恐れる余り至純至精と自責の間で痙攣しいざ発露すればつけ込まれる切迫感、小林に代表されるドストエフスキー的な饒舌な熱弁やポリフォニー、位地の急転など人間の実存や一寸先未来の不安定さを追究した濃密なリアリティは新境地を感じる。何処までいっても片付かない自由と人間の因果応報、未完自体が象徴的。

  • ゴンゾウ@新潮部

    漱石の未完の遺作を読了した。あまりのぶ厚さに読むことを躊躇していたが読み出したら小説の世界に引き込まれた。別れた女性を忘れられずに別な女と結婚してしまった津田。夫の過去に疑問を持つ賢い新妻延子。新婚の夫婦のわがままに振り回される親類達。彼らの駆け引きがまどろこしくて滑稽だ。やっとクライマックスに動き出したのに絶筆とは。とても残念だ。

  • ちくわ

    遂に漱石の遺作に辿り着く。昔の自分は漱石=吾猫と坊ちゃんであり、明るいコメディタッチな印象しか持っていなかったが…こころを読んで以降、人間の内面を深く抉る作品の方が多いんだなと感じる。wikiを読むと、心身ともに病に冒された事が作風の変化に影響しているのかな? たださ…なんでこんな一番大事なところで終わってんのさ! 私見だが、清子と復縁ラストだと『それから』の二番煎じなので…関にボコボコに殴られた由雄が意識不明になり、お延の懸命の介護で愛される喜びを知る!というラストは?…いや、こんなラストは駄作過ぎる!

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