Midsummer Night : Kate Royal, Gardner / English National Opera

女性の愛、喜び、悲しみをリアルに歌う２０世紀の傑作アリア集
美貌のソプラノ、ケイト・ロイヤルが思いを込める意欲的な選曲によるソロ第２作

ロイヤル自身がブリテン『ねじの回転』の女性教師役を手掛けてインスピレーションを受け、その後様々な人間そのものリアルに描く作品を探して結実させた本アルバム。いずれの作品も１９００年以降の作品ばかりで世紀の変わり目に遭遇した作曲家の作曲への姿勢も様々に窺える選曲。コルンゴルト、レハール、ドヴォルザークなど知られた作品とケイト自身が探し出したオルウィンやウォルトンの作品が収録されました。
　英国の作曲家オルウィンの唯一のメジャー・オペラ『ミス・ジュリー』はストリンドベリの作品をベースとして１９７０年代中盤に作曲、１９７７年にＢＢＣラジオで初演、ステージでのプロダクションは１９９１年のコペンハーゲンのみ。映画音楽の大家、バーナード・ハーマンはオーソン・ウェルズ（市民ケーン）、アルフレッド・ヒッチコック（サイコ）、マーティン・スコセッシ（タクシー・ドライバー）などとコラボレート、『嵐が丘』はエミリ・ブロンテの小説をベースにルシル・フレッチャー（彼の最初の夫人）の脚本で１９４２年、１９５１年に作曲、上演は彼の死の７年後１９８２年でした。１９２６年生まれのアメリカの作曲家、カーライル・フロイドは約５０年にわたってオペラ作品を生み出していますが、その最高傑作が『スザンナ』で１９５５年フロリダ大学で初演、その後１９９９年のメトロポリタン・オペラなどアメリカで幾度が上演されています。
　ロンドン出身のロイヤルは２００４年、キャスリーン・フェリア賞を得てその名を知られました。パミーナ（魔笛）、伯爵夫人（フィガロの結婚）、女家庭教師（ねじの回転）、ヘレナ（真夏の夜の夢）、ミカエラ（カルメン）などを持役としヨーロッパ、北米を中心に活躍を続けています。
　ジュエル・ケース、４４ページ・ブックレット（含歌詞／訳：英、独、仏）。（ＥＭＩ）

【収録情報】
・オルウィン：真夏の夜〜歌劇『ミス・ジュリー』
・ストラヴィンスキー：ナイチンゲールのアリア〜歌劇『ナイチンゲール』
　アンドルー・ステイプル（テナー）
・ウォルトン：At the haunted end of the day〜歌劇『トロイラスとクレシダ』
・フロイド：The trees on the mountains〜歌劇『スザンナ』
・ドヴォルザーク：月に寄せる歌〜歌劇『ルサルカ』
・ブリテン：刺繍のアリア〜歌劇『ピーター・グライムズ』
　トーマス・アレン（バリトン）
・レハール：ヴィリアの歌〜喜歌劇『メリー・ウィドウ』*
・バーバー：言わないで〜歌劇『ヴァネッサ』
・ブリテン：タイニーの歌〜喜歌劇『ポール・バニヤン』*
・メサジェ：フィロメル〜喜歌劇『ムッシュ・ボーケール』*
・ブリテン：タワーのシーン〜歌劇『ねじの回転』
・ハーマン：I have dreamt〜歌劇『嵐が丘』
・コルンゴルト：マリエッタの歌〜歌劇『死の都』
　ケイト・ロイヤル（ソプラノ）
　*クラウチ・エンド・フェスティヴァル合唱団（デイヴィッド・テンプル合唱指揮）
　イングリッシュ・ナショナル・オペラ管弦楽団
　エドワード・ガードナー（指揮）