20世紀に入り受容が進んだ孤高の詩人の先鋭的詩業と
その語法に魅せられた作曲家たち
人生半ばにして統合失調症を患い、後半生を精神薄明のうちに過ごした詩人フリードリヒ・ヘルダリーン[1770-1843]。19世紀には取り上げられる機会の少なかった彼の詩に、パウル・ヒンデミット[1895-1963]、ヘルマン・ロイター[1900-85]、ベンジャミン・ブリテン[1913-76]、ジェルジュ・リゲティ[1923-2006]から現代を生きるヴォルフガング・リーム[1952-]、デートレフ・ミュラー=ジーメンス[1957-]まで20世紀以降の多くの作曲家が触発され曲を付しています。優れたドイツ語のディクションと作品の的確な解釈に定評のあるデュオが、リート黄金期には早すぎた思想と感性を描きます。(販売元情報)
【収録情報】
● ロイター:フリードリヒ・ヘルダリーンの詩による3つの歌曲 Op.67 (1946/47)
沈む太陽 (1:51)
夜 (5:42)
人生行路 (2:26)
● フォルトナー:ヘルダリーンの言葉による4つの歌曲 (1933)より
沈みゆくがよい、美しき太陽よ (2:49)
● プフィッツナー:4つの歌曲 Op.29 (1921)より
許しを求めて (3:13)
● ブリテン:6つのヘルダリーン断章 Op.61 (1958)
世の喝采 (1:29)
故郷 (2:18)
ソクラテスとアルキビアデス (2:08)
少年 (2:17)
人生の半ば (2:10)
人生の流れ (2:36)
● リゲティ:夏 (1989) (3:01)
● リーム:歌曲集 Op.1 (1968-70)より
人生の半ば (2:12)
● リーム:ヘルダリーン詩による3つの歌曲 (2004)
許しを求めて (3:24)
人生の半ば (5:06)
ツィンマーに (2:21)
● ウルマン:ヘルダリーン歌曲 (1943/44)より
夕べの幻想 (5:33)
● ヒンデミット:フリードリヒ・ヘルダリーンの詩による6つの歌曲 (1933/35)より
断章 (1:40)
夕べの幻想 (4:06)
● ミュラー=ジーメンス:フリードリヒ・ヘルダリーンの詩による2つの歌曲 (1999-2000)より
遠望 (6:50)
長島剛子(ソプラノ)
梅本 実(ピアノ)
録音時期:2018年1月29日、2月7日
録音場所:Saitama Arts Theater
録音方式:ステレオ(DSD/セッション)
【長島剛子(ソプラノ) Takeko Nagashima, sopran】
札幌に生まれる。北星学園女子高等学校音楽科を経て、国立音楽大学声楽科卒業。同大学院修士課程独歌曲専攻修了。ドイツ・デットモルト北西音楽大学卒業。その後ケルン音楽大学マスタークラスにてリート解釈法の研鑽を積む。1998年に「長島剛子・梅本 実 リートデュオ」を結成し、声楽とピアノによる緊密なコラボレーションにより、19世紀末から20世紀のドイツ歌曲の演奏と紹介を軸に継続的な活動を続けている。2001年にスタートした「世紀末から20世紀へ」のリサイタルシリーズはこれまでに15回を数え、その間、知られざる作曲家を含め、のべ37人の近現代作曲家の作品を取り上げたが、19世紀末以降のドイツ歌曲を網羅するレパートリーの広さは他の追随を許さない。またシリーズごとにテーマを設定し、様々な切り口でドイツ歌曲をプログラミングする独自の企画とその演奏水準の高さで毎回多くの反響を得ている。
1998年「新ウィーン楽派」、2001年「世紀末から20 世紀へ」のリサイタルにより札幌市民芸術祭大賞。また2003年1月には前年の「長島剛子・梅本 実リートデュオ・リサイタル−世紀末から20 世紀へPart U(シェーンベルク:「架空庭園の書」による15 の歌曲他)」により平成14年度文化庁芸術祭優秀賞を受賞している。これまで2枚のCD「架空庭園の書〜新ウィーン楽派の歌曲を集めて〜」(ALM RECORDS)、「光の中のベルリン〜第三帝国で禁じられた歌曲」(299 MUSIC)をリリース。青木恵美子、伊藤京子、尾畑真知子、H.クレッチマー、白井光子、H.ヘルの各氏に師事。現在、国立音楽大学准教授。(販売元情報)