チェコの大プリマドンナ、
ポドヴァロヴァーのリブシェ復活!
スメタナの国民的祝祭オペラ『リブシェ』の歴史的録音!
1995年に初めて世に出て話題となった、スメタナの『リブシェ』の1949年の放送録音が再発売。リブシェとは伝説のチェコ建国の女王。チェコ国民からは格別な思いで敬愛されています。しばしば芸術の題材に取り上げられているリブシェの物語を、スメタナはオペラ化することにし、やはり国民的英雄を題材にした『ダリボール』の初演(1868年)の直後に着手、1872年には完成していたものの、初演は大幅に遅れ、1881年6月11日の国民劇場のこけら落としで初演されました。その僅か2ヵ月後に国民劇場は焼失。1883年11月18日の再建再開場の際に上演されたのも『リブシェ』でした。
そんなわけでこのオペラはチェコの人々には格別の作品です。「SUPRAPHON」からは、1965年のクロムプホルツ指揮の録音(SU3982)、1983年のコシュラー指揮の録音(現在廃盤)、1995年のオリヴェル・ドホナーニ指揮の録音(SU3200)と、実に3種も発売されました。
今回再発売されるのは、1949年春の放送録音。まだ第二次世界大戦終結から間もない時期ですが、これがモノラルながらテープ録音で、この年代からするとかなり良好な録音。残念ながらオリジナル・マスターが行方不明だったため、2012年に11種類のコピーを用意し最良の部分を編集し、さらに最新の補修作業を行ったとのことです。
タイトルロールのマリエ・ポドヴァロヴァー[1909-1992]は20世紀半ばのチェコの偉大なソプラノ。1930年代後半から長く活躍したポドヴァロヴァーですが、最も得意としたリブシェの録音はこれが唯一なので極めて貴重。39歳のこの歌唱は勢いのある素晴らしいもの。シチャーフラフには、1940、1950年代に活躍したチェコの偉大なテノール、ベノ・ブラフト。プシェミスルのテオドル・シュルバジュもチェコで活躍したバリトンで、これはその初期の録音。指揮のアロイス・クリーマ[1905-1980]はプラハ放送交響楽団の首席指揮者を長く務めた人です。(キングインターナショナル)
【収録情報】
・スメタナ:歌劇『リブシェ』全曲
マリエ・ポドヴァロヴァー(S リブシェ)
ベノ・ブラフト(T シチャーフラフ)
テオドル・シュルバジュ(Br プシェミスル)
カレル・カラシュ(Bs フルドシュ)
ヤロスラフ・ヴェヴェルカ(Bs ルトボル)
ボジェク・ルヤン(Br ラドヴァン)
ルドミラ・チェルヴィンコヴァー(S クラサヴァ)
マルタ・クラーソヴァー(A ラドミラ)
ミルシェ・ドヴォジャコヴァー(S 農婦)
ミロスラヴァ・フィドレロヴァー(S 農婦)
ヴェーラ・クリロヴァー(A 農婦)
ヤロスラフ・グレイフ(T 農夫)
プラハ・チェコスロヴァキア放送合唱団
プラハ放送交響楽団
アロイス・クリーマ(指揮)
録音時期:1949年4月
録音場所:プラハ
録音方式:モノラル(セッション)
【スメタナ:『リブシェ』 簡単なあらすじ】
第1幕
ルトボルの娘クラサヴァが沈んだ様子でいるがその理由は話さない。一方、ルトボルの二人の甥、フルドシュとシチャーフラフの兄弟の遺産相続争いの裁判で、女王リブシェは等分せよとの判決を出す。しかし長男がすべて相続すべしと主張する兄フルドシュは納得せず、男は女に支配されぬと女王を侮辱して去る。憂憤したリブシェは、ならば自分で選んだ夫を支配者とすると、かねてより愛していたプシェミスルとの結婚を宣言する。
第2幕
実は兄弟の諍いの原因はクラサヴァにあった。彼女はフルドシュを愛しており、彼も彼女に惹かれていたのだが、フルドシュがなかなか告白してくれないことに気を害したクラサヴァは、いざ彼が気持ちを打ち明けた時に、弟シチャーフラフを愛していると偽ってしまった。それが原因で兄弟仲が悪化しているのだった。ルトボルに呼び出されたフルドシュは事情を説明され、クラサヴァと和解する。一方、リブシェの夫に選ばれたプシェミスルは田舎で農民暮らしをしていたが、豪勢な出迎えを受け、リブシェの元へと向かっていく。
第3幕
リブシェはフルドシュとシチャーフラフの兄弟が和解したことを喜び、婚礼を待っている。一方、歓待されるプシェミスルを見てフルドシュはヘソを曲げるが、ルトボルの嗜めとクサラヴァの嘆願に気持ちを収める。プシェミスルはリブシェを侮辱したフルドシュに申し開きを求める。フルドシュは非を認め謝罪、彼は許される。リブシェは6つの予言を語り、人々がチェコの栄光を讃えて幕となる。(キングインターナショナル)