前作「さよならはまだよ」を購入してとても満足したので、前回に引き続き特別企画の第２弾として発売された『ジョニーとマリーの物語』『こんな時代のせいにして』を購入しました。前作を上回る感動と期待を裏切らない水木翔子さんの素晴らしい自信作だと思います。 前作のバラード曲とはガラリと打って変わって昔懐かしいオールディーズ調のアップテンポなメロディーラインが心地よく、思わず身体を揺らしながら聴いてしまう。 水木作品に特徴的な古風な恋愛観と進取の気性とが溶け合って、ちょっぴりせつない気持ちにさせられます。 口に出して言えない��想い″ だからこそ、気高くて、哀しくて、意地らしい… かつての若者たちの気持ちを代表するヒット曲「ジョニィへの伝言」と「五番街のマリーへ」へのアンサーソングでありながらも、水木翔子さんの素晴らしいオリジナル性によって、ふたたび現代に蘇った��青春のオマージュ″ … 甘酸っぱくてほろ苦い想いを噛み締めながら、自分自身がジョニーとマリーになっな気持ちで聴いてほしい作品です。

水木翔子さんのようにしっかりとした基礎の上に立った発声法と歌唱力を保持している本格的な実力派歌手が、昨今の日本の歌謡界には極めて少なくなりました。 《さよならはまだよ》という作品を最初に聴いたとき、ガツンと衝撃を受けました。ニューミュージック、ポップス、バラード、ムード歌謡、フォーク、そして演歌に至るまで、あらゆるジャンルのエキスを絶妙なバランスで抽出し、作品の中に溶け込ませているからです。 普遍的な��愛とロマン″ にもとづいた「海」の与える力をテーマとしながらも、素晴らしい楽曲をシンプルな味わいでさらりと歌い上げてしまう表現力に脱帽です。 水木さんの温かく柔らかな笑顔に爽やかな風を感じます。満を持して繊細かつ大胆な試みを行った彼女の集大成の作品と言えるのではないかと思います。 いつまでも聴いていたい。そんな気持ちにさせられる、今年一番の代表作であることは疑う余地もありません。