4 Piano Pieces, Hard Cuts, The Housewife's Lament : Van Raat(P)Marinissen / Lunapark

ジェフスキー：４つの小品、ハード・カッツ、主婦の嘆き

最近、人気急上昇中の「不屈の民」変奏曲で知られる作曲家フレデリック・ジェフスキーのまたもや刺激的なピアノ曲集の登場です。『４つの小品』も、第１曲目では、難解で不気味なトレモロ音形の中に、時折親しみ易い「不屈の民」のテーマのようなメロディが埋め込まれています。もちろん気をつけていないとすぐにどこかに紛れてしまうほどの儚いものですが。第２曲目は両手のユニゾンで始まるリズム重視の曲。彼の友人であったスティーヴ・レイシー（セロニアス・モンクの弟子であった人）の影響を受けているといます。第３曲目はゆったりとしたアンデスの舞曲に由来するというメロディは、どことなくショスタコーヴィチの作品を想起させます。曲の終わり、破壊的な和音連打による盛り上がりの後には完全な沈黙が訪れます。第４曲目も不可解な曲で、幾つもの層となった音が平和な耳を襲ってきます。
　匿名の女性作曲家の日記から題材を得たという『主婦の嘆き』はベートーヴェンの強い影響があるというものです。この曲も最初のわかり易すぎるメロディにだまされてはいけません。そしてアンサンブルをともなう『ハード・カッツ』は抽象的な音の化合物。巧妙に仕組まれた音の乱舞が楽しくも狂おしい作品です。第３曲『Like bees（ハチのように）』などは、寝ている時に耳元で鳴らされたら気が変になるかも。（NAXOS）

【収録情報】
ジェフスキー：
1.　4つの小品 (1977)
2.　ハード・カッツ (2011) 〜ラルフ・ファン・ラートとルナパルクのために
3.　主婦の嘆き (1980)

　ラルフ・ファン・ラート（ピアノ）
　ルナパルク（アンサンブル）（2）
　アーノルド・マリニッセン（指揮：2）

　録音時期：2011年8月10-11日（1,3）、2013年2月29日（2）
　録音場所：アムステルダム、スウェーリンクザール（1,3）　ユトレヒト、ヴレデンブルク・リウエベルフ教会（2）
　録音方式：ステレオ（デジタル／セッション）