う〜ん、残念だけど肝心のブルックナー特集の内容が薄すぎるよ。ページで言えば19ページから50ページまで。交響曲第3番以降については、各交響曲につきディスク紹介も含めて2〜3ページしか割り振らない。楽譜の異同をくどくど言う一方、曲全体への解説は少ない。ディスク紹介はほぼ300字前後の寸評でディスク数も多くて10枚ほど。定盤を挙げているケースも多く、特に参考とはならないなあ。シューリヒトやヨッフム、カラヤン、ベーム、チェリビダッケなど、ブルックナー指揮者のメジャーなディスクだけではなくて、未知の指揮者やオケのディスクがいろいろと出てきて、どれほどブルックナーをめぐるディスク状況が変化してきたか、そして豊かになってきたか、そういうあたりをもっと紹介・説明・強調していいんじゃないかな。がっかりしました。『レコード芸術』誌、もう40年ほどの読者ですけど、近頃はとにかくダメですね。本誌の持つ意義や長所がまるで活かされていないのですよ。1970年代初期には輸入盤特集をずいぶんとページを割いて行いまして、海外には日本で発売されていない魅力的なレコードがたくさんあることに驚き憧れ、自分なりにデータを整理してみたり、音楽の先生が出張で上京すると聞くと「このレコードを買ってきてください!」とお願いしたりと、ホントに音楽生活の充実の参考になりました。今や音楽情報、ディスク情報ではインターネットで圧倒的な(全部見切れない!)情報量があるわけで、もはやその点では『レコ芸』は勝負になりません。但し、『レコ芸』が優位に立てる点がただ一つあります。それは「実際にそのディスクを聴いた上での評価が掲載されている」ということであります。単なる目録に止まらない、お買い物ガイドとしての意味はまだ存在し、そこに意義を発揮できるはずなのであります。ところが!「海外盤REVIEW」のコーナーでは曲が珍しい場合には作品のことだけ書いて、演奏・録音に触れない文がいくつもあります。これじゃあ何の利点もない!また、「読者投書箱」も月によっては(レコードではなく)コンサートについての投稿が多い時もありますしね。要は編集の方針がまるでいかんとしか言いようがないんだなあ。だから『レコ芸』、買わないことが多くなっちゃいましたよ。『レコ芸』編集部さん、もっと自分たちのアドバンテージや存在意義を自覚して、充実した雑誌を作りましょうよ。新着のディスクと『レコ芸』を、いれたてのコーヒーとともに楽しむ、というのが私にとってはホントに安らげる最高の愉しいひと時なんだからね!