ワシリー・ペトレンコ&ロイヤル・フィルのシリーズ始動!
第1弾はラフマニノフの『鐘』、エルガーの『ファルスタッフ』
1913年に生まれたふたつの傑作を文学的文脈から再提示
ワシリー・ペトレンコ率いるロイヤル・フィルの描写力が炸裂!
ワシリー・ペトレンコと、2026年に創立80周年を迎えるロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団が「harmoniamundi」とのコラボレーションを開始します。第1弾として選ばれたのは意外性に満ちたプログラム。1913年に生まれた、あまり演奏されることのない2つの傑作が収録されています。「Icons Rediscovered(再発見されたアイコン)」と題されたシリーズのプログラムで、ロシアとイギリスの「アイコン」ともいえる作曲家ラフマニノフ、そしてエルガーの作品を収録しています。
帝政ロシアから亡命し、世界的なピアニストとなった長身で憂鬱なラフマニノフと、社交的に不安を抱えるウスターシャーのヴァイオリン教師エルガー。エルガーはラフマニノフよりも一世代上で、地方の商人の息子として自力で成功を収めた一方、ラフマニノフは裕福なロシア貴族の出身でした。一見すると2人は対照的なようですが、どちらも20世紀初頭の15年間に創作とキャリアの頂点を迎え、第一次世界大戦後の世界では大きな喪失を感じていましたが、2人ともそれぞれの国の音楽的精神を体現する存在となりました。不安や感情が高まるとき、ロシアの人々は本能的にラフマニノフに耳を傾け、イギリスの人々はエルガーの旋律を「第二の国歌」として語ります。
ラフマニノフにとって正教会の鐘の音はロシアの声であり魂でした。ラフマニノフが自作の中で最も価値を置いていたのは『鐘』だったともいわれています。その感情の旅路はロシアの季節の移ろいのように避けがたく、力強く、そしてラフマニノフならではの旋律の才能によって語られています。
エルガーは読書家であり、同じミッドランズ出身のウィリアム・シェイクスピアを生涯敬愛していました(ストラトフォード・アポン・エイヴォンに住んでいたこともあります)。そして、シェイクスピアの登場人物の中でイギリスらしさ(その矛盾も含めて)を最も体現しているのは食いしん坊の騎士ファルスタッフでしょう。自慢屋で夢想家、兵士で道化、止められない生命力の塊。しかしエルガーはシェイクスピアと同様にその裏側〜憂鬱や不安、すべての良きものもやがては終わるという強い意識〜も見ていました。エルガーは生涯田舎を愛した人であり、ファルスタッフも最期には「緑の野原のことをつぶやいていた」のです。エルガーの『ファルスタッフ』も、まったく異なる形で同じことをしています。
両作曲家は、それぞれの国の本質を探ることで自らの心の奥底を私たちに見せてくれます。そして人間であることの意味を私たちと分かち合ってくれるのです。(輸入元情報)
【収録情報】
1. ラフマニノフ:合唱交響曲 Op.35『鐘』〜エドガー・アラン・ポーの詩をコンスタンチン・バリモントが自由翻訳したテキストによる
2. エルガー:交響的習作 ハ短調 Op.68『ファルスタッフ』
ミリアム・メサク(ソプラノ:1)
パヴェル・ペトロフ(テノール:1)
アンドリイ・キマチ(バリトン:)
フィルハーモニア合唱団(1)
ギャービン・カール(合唱指揮:1)
ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団
ワシリー・ペトレンコ(指揮)
録音時期:2024年4月11日、6月24日(ライヴ)
録音場所:ロンドン、ロイヤル・フェスティヴァル・ホール
録音方式:ステレオ(デジタル)
ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団は、1946年、ビーチャムによって創設されました。クラシックだけでなく映画音楽などでも広く知られ、日本でも親しまれている楽団です。年に200回の演奏会をする傍ら、ポップスの音楽家とのコラボレーション、ゲーム、映画音楽の分野でも比類なき水準の演奏で世界を驚かせています。(輸入元情報)
ワシリー・ペトレンコ(1976年ロシア生)はサンクト・ペテルブルク音楽院で学び、ラフマニノフやショスタコーヴィチ作品で高い評価を得ています。ロイヤル・リヴァプール・フィル首席指揮者として15年にわたり活躍し、オスロ・フィルや欧州連合ユース管弦楽団などでも指揮。BBCプロムスや欧米の主要オーケストラに登場しています。2021年にロイヤル・フィルの音楽監督に就任し、彼の指揮のもとヨーロッパ、アジア、アメリカへの国際ツアーを成功させるなど、芸術的・国際的な地位を大きく高めました。2024年にはペトレンコの契約が2030年まで延長され、RPOとの関係がさらに強化されることが発表されました。彼は「創造性と卓越性の両立」を掲げ、新しい聴衆の開拓にも力を入れています。(輸入元情報)