おそらく好き嫌いがハッキリ分かれるタイプの音で、言葉の本来の意味でのオルタナティブな音楽。いわゆるブリストル一派で、確かにマッシブアタックあたりと同じような雰囲気が濃厚。

’97年2nd。’60年代の仏映画のｼｰﾝを切り取ったかの様にｸｰﾙでｽﾀｲﾘｯｼｭ。ﾍﾟｽのｺｹﾃｨｯｼｭなｽﾀｲﾙもその通り、とにかく映像的です。16ﾋﾞｰﾄじゃないけど本来これもﾀﾞﾝｽ･ﾐｭｰｼﾞｯｸの原点。ほんと白黒時代の仏･ｱﾝｸﾞﾗ･ｻｲｹ･ｸﾗﾌﾞの扉を開け一歩踏み入れた感じです。少々耳に付く尖がった音も意図した演出でしょうから、これはこれでｸｰﾙで好きです。

ヨーロッパの芸術映画のサウンドトラックのよう。夜独り部屋に籠もって聴いても効くが、これ聴きながら街を歩くと、自分だけ街の喧騒から乖離され、違った社会が開ける。色んな季節、時間、場所で、効用を試してみたい。

15年前は断然massive派だったのに、今聞き直してみると、こっちかな。沁みすぎる。

10年たったのにほとんど変わってなかったので愕然とした。周囲の音楽シーンからの影響をほとんど受けずに、あの二枚のアルバムで確立してしまったポーティスヘッド性というものをここまで守り続けたのは並大抵ではない気がした。個人的な感想を勝手に演繹して、まるで聞いた者が皆そう感じているかのごとく書いているレビューには辟易するが、それでも彼らは姿勢を変えないのだろう。

'08年発表｡ﾌﾞﾘｽﾄﾙ特有のﾍｳﾞｨな空気感を放つｴﾚｸﾄﾛﾆｯｸ･ｻｳﾝﾄﾞと儚い美しさに満ちたﾍﾞｽのｺﾝﾋﾞﾈｰｼｮﾝは､さらに研ぎ澄まされた凄みを発揮している｡ｻﾝﾌﾟﾘﾝｸﾞを排し生楽器へ｡ｸﾗｳﾄ･ﾛｯｸも注入された､彼らにしか生み出せない氷のようなﾍｳﾞｨ･ﾛｯｸ｡ﾒﾗﾝｺﾘｱが怒りと結託した時､美しく強靭なｶｳﾝﾀｰになることを証明した｡

文句なしで2008年NO.1!! 映画の音にも興味がないと、やってることの凄さは伝わらないのかなー。レビューの評価低くて残念。。ここまで落ちた時の音像を封じ込めた作品は今まで聴いたことない。芸術品ですね。

曲の出来とかピカ一なんだけど、どうしてもあの不必要に高音質なマスタリングが・・・。もっとザラザラした感じに仕上げて欲しかった・・・。キンキンと耳が痛い。勿体無いﾅｧ。そう考えると、３ｒｄはその反省点が十分生かされてる出来栄え！！11年経つと、この作品の見方も変わるゎ。

発売されて結構経ちました。やっと、前作の期待とかそういうのを忘れて冷静に聴けるようになりました。確かに、最初は「悪くはないけど、そこまで絶賛する程では？」とか思っていましたが、それは自分の中に前作に対する愛情とか比較が強すぎて、どうしても続編のようなものを欲していたのかな、と思います。でも、今は「この作品は確かに良い」と思えます。前2作がそれぞれ別の良さがあるように、これも別の良さ（ベクトル）を十分に持っていると思います。

Silenceの最後のブチ切れ、ひたすらダサいDeep Water 、The Rip での汚いアルペジオ。戻ってきてくれただけでうれしいけど不満は沢山。色々やってるけど空回り、統一感を損なっているだけに思える。相変わらず絶望的に暗いところは良い、が、同時に美しくないポーティスは見てらんない。あぁ。。。