アゴスティによる「火の鳥」など名編曲で楽しむピアノ曲としてのバレエ音楽
プロフィエフ、チャイコフスキー、ストラヴィンスキー、ほか
エカテリーナ・リトヴィンツェヴァ(ピアノ)
幼い頃からバレエが大好きだったというリトヴィンツェヴァのバレエ曲アルバム。収録作品は、ロシア・バレエの人気作である「ロメオとジュリエット」、「くるみ割り人形」、「火の鳥」の3曲をメインに、フランス・バレエからドリーブ、ラモー、リュリの小品3曲を組み合わせたプログラム。
装丁はデジパック仕様で、差し込みブックレット(英語・12ページ)には、演奏のリトヴィンツェヴァによる各曲の解説などが掲載。EU製で、ディスクはメジャー・レーベルでもおなじみの独オプティマル・メディアが製造。
「火の鳥」は注目度の高い編曲
「火の鳥」から3曲を選んで編曲したのはブゾーニ(1866-1924)の弟子のグイド・アゴスティ(1901-1989)で、1928年、27歳の時に編曲して亡き恩師ブゾーニに捧げています。アゴスティは名手でしたが極度のあがり症のため演奏会出演が困難になって教育の道に進みマリア・ティーポらを育てています。アゴスティの編曲は作品の魅力をわかりやすく伝えるもので、迫力と美しさを兼ね備えています。
「ロメオ」、「くるみ割り」は定番編曲
「ロメオ」はピアノの名手でもあった作曲者プロコフィエフが自分で演奏するために10曲抜粋して編曲したもので、ピアノ曲としての魅力を追及した内容となっています。
「くるみ割り人形」は 指揮者でピアノの名手のプレトニョフによる編曲で、ピアノ曲として新たに再構築することで、表現力豊かに仕上げられています。
どちらもすでに多くの録音が存在しますが、バレエの各配役や場面とモティーフの関係まで熟知したリトヴィンツェヴァの演奏は非常に聴きごたえがあります。
フランス・バレエで軽やかに気分転換
ロシア・バレエの後に置かれたフランス・バレエの小品はどれも軽やかで心地よい曲。エルンスト・フォン・ドホナーニが自由に編曲したコッペリアのワルツ、ラモーのオペラ「優雅なインドの国々」の中の第4幕に登場するネイティヴ・アメリカンの踊りに由来する「未開人」、そして最後は作曲者がリュリともマレとも言われるガヴォットで締めくくります。ガヴォットはプロコフィエフ「キージェ中尉」のロマンスにどこか通じるところもある曲です。
Brilliant Classics ・
Piano Classics ・
Berlin Classics ・
Neue Meister
演奏者情報
エカテリーナ・リトヴィンツェヴァ (ピアノ)
1986年、カムチャツカに近い港湾都市マガダンに誕生。1990年、4歳の時にピアノの勉強を開始。1994年、マガダンの北東約1500kmでほぼ北極圏に位置し、オーロラがさらに美しいチュクチ自治管区の都市アナディリに転居。ロシア最北東端都市の厳しくも豊かな自然の中にある同地の音楽学校で勉強したのち、2001年、15歳のときに一家はモスクワに転居。2002年、モスクワ国立ショパン音楽学校に入学し、イリーナ・ガブリエロヴァに師事。卒業後、2006年にマイモニデス・クラシック・ピアノ・アカデミーに入学し、ヴィクトール・デレヴィアンコ、アレクサンダー・ムンドヤンツ、エカテリーナ・デルジャヴィーナらに師事。卒業後、2011年にドイツに移住し、ケルン音楽舞踊大学で学び、2013年に修士号を取得して卒業後、ヴュルツブルク音楽大学でも学んでいます。
以後、ベルリンのコンツェルトハウス、シュトゥットガルトのリーダーハレ、ボンのベートーヴェンハレ、ニュルンベルクにあるマイスタージンガーハレ、ハノーファーのNDRフンクハウス、ハンブルクのムジークハレといったドイツの有名な会場などで演奏。
CDはこれまで、Piano Classics、Brilliant Classics、Profilなどから発売。
トラックリスト (収録作品と演奏者)
CD 74'15
セルゲイ・プロコフィエフ (1891-1953)
「ロメオとジュリエット」 Op.75 より10曲 30'30
1. 民衆の踊り 4'12
2. 街の目覚め 1'16
3. 客人たちの到着 2'53
4. 少女ジュリエット 3'13
5. 仮面劇 2'13
6. モンタギュー家とキャピュレット家 3'31
7. 修道士ロレンス 2'02
8. マキューシオ 2'02
9. ユリの花を持った娘たちの踊り 2'08
10. 別れの前のロメオとジュリエット 7'00
レオ・ドリーブ (1836-1891)
バレエ「コッペリア」より(ピアノ編曲:エルンスト・フォン・ドホナーニ)
11. ワルツ(ワルツと嫉妬) 6'45
ピョートル・チャイコフスキー (1840-1893)
「くるみ割り人形」組曲 Op.71a(ピアノ編曲:ミハイル・プレトニョフ) 18'02
12. 行進曲 2'01
13. 金平糖の精の踊り 1'59
14. タランテラ 1'18
15. 間奏曲 4'14
16. ロシアの踊り(トレパーク) 1'20
17. 中国の踊り 1'26
18. アンダンテ・マエストーゾ 5'44
ジャン=フィリップ・ラモー (1683-1764)
新クラヴサン組曲
19. 未開人 1'53
イーゴリ・ストラヴィンスキー (1882-1971)
「火の鳥」組曲(ピアノ編曲:グイド・アゴスティ) 12'35
20. 凶暴な踊り 5'34
21. 子守唄 3'24
22. フィナーレ 3'37
ジャン=バティスト・リュリ (1665-1743)
ロンド形式のガヴォット
23. (マレ:ヴィオール曲集第1巻 組曲 ニ短調 第24曲 ロンドー) 4'14
エカテリーナ・リトヴィンツェヴァ(ピアノ)
録音:2025年8月
場所:オランダ、フェーネンダール、スタジオ・ファン・スフッペン
Track list
ICONIC BALLET MUSIC FOR PIANO
Sergei Prokofiev 1891-1953
10 Pieces from Romeo and Juliet, Op.75
1. Folk Dance 4'12
2. Scene
(The Street Awakens) 1'16
3. Minuet
(Arrival of the Guests) 2'53
4. Juliet as a Young Girl 3'13
5. Masquers 2'13
6. Montagues and Capulets 3'31
7. Friar Laurence 2'02
8. Mercutio 2'02
9. Dance of the Girls with Lilies 2'08
10. Romeo and Juliet before Parting 7'00
Léo Delibes 1836-1891
11. Valse Lente from the opera Coppélia
(arr. for Piano by E. Dohnanyi) 6'45
Pyotr Tchaikovsky 1840-1893
The Nutcracker Suite Op.71a
(arr. for Piano by Mikhail Pletnev)
12. March: Tempo di marcia viva 2'01
13. Dance of the Sugar Plum Fairy: Andante ma non troppo 1'59
14. Tarantella 1'18
15. Intermezzo: Andante 4'14
16. Trepak (Russian dance): Molto vivace 1'20
17. Tea (Chinese dance): Allegro moderato 1'26
18. Andante maestoso 5'44
Jean-Philippe Rameau 1683-1764
19. Les Sauvages 1'53
Igor Stravinsky 1882-1971
The Firebird Suite
(arr. for Piano by Guido Agosti)
20. Danse infernale 5'34
21. Berceuse 3'24
22. Finale 3'37
Jean-Baptiste Lully 1665-1743
23. Gavotte and Rondeau from the Oper "The Flames of Paris" 4'14
Ekaterina Litvintseva piano
Recording: August 2025, Studio van Schuppen, Veenendaal, The Netherlands