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Emil Gilels : Complete Recordings on Deutsche Grammophon (24CD)

User Review :4.0
(1)

Item Details

Genre
:
Catalogue Number
:
4794651
Number of Discs
:
24
Format
:
CD
Other
:
Limited,Import

Product Description


エミール・ギレリス/DG録音全集(24CD)

ドイツ・グラモフォンからリリースされたギレリスの音源をまとめたボックス・セット。1970年から85年にかけてドイツ・グラモフォンで制作した音源17枚分に、1935年から58年にかけて録音されたヒストリカル音源7枚分を加えた24枚組で、ギレリス19歳から亡くなる69歳までの半世紀に及ぶ演奏を聴くことができます。68ページのブックレットには、ギレリスのレアな写真のほか、ピアノ演奏研究家ジェレミー・シープマンによる書き下ろし欧文解説が掲載される予定です。

 1916年にウクライナに生まれたギレリスは、生地オデッサの音楽院で学んだのち、19歳でモスクワに移りネイガウスに師事、以後、モスクワを拠点に活動し、モスクワで亡くなったソ連のピアニスト。1946年にスターリン賞、1960年代にレーニン勲章を2度受賞するなど、ソ連政府からも尊重されたギレリスは、1947年から国際的な活動を展開し、冷戦下でもアメリカで演奏をおこなってもいました。
 そうした背景もあって、ギレリスは1950年代から西側でのレコーディングもおこない、RCA、EMI、SONYなどで数々のアルバムを制作。ドイツ・グラモフォンとの関係は1970年から始まり、ギレリスが心臓発作のため急死する1985年まで続きました。リヒテルによれば予防注射の接種ミスとも言われる不幸な事故で亡くなった時、ギレリスはまだ69歳で、演奏旅行に出かける直前だっといいますから、その活動はまだまだ精力的だったようです。

【ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ集】
鋼鉄のタッチとも呼ばれたギレリスは、若い頃からベートーヴェン弾きとして名を馳せ、ピアノ協奏曲全集2度のほか、数々のピアノ・ソナタの録音もおこなっています。
 ドイツ・グラモフォンでのピアノ・ソナタ・シリーズは全集企画だったもので、ギレリスの急死により完成されなかったとはいえ、32曲中27曲が録音されたのは幸いでした。ベートーヴェンの本場ドイツでのセッション録音ということもあってか、端正かつ堅牢な造形に、決然としたタッチと品位のある抒情美が交錯する見事な仕上がりで、世界的にも高い評価を受けていました。

【ブラームス:ピアノ協奏曲集】
オイゲン・ヨッフム指揮ベルリン・フィルとの共演。ブラームスのピアノ協奏曲は、オーケストラが重要な役割を果たす場面が連続する作品で、それだけに指揮者とオケには、まるで交響曲のような演奏のグレードが求められるため、これまで名盤といわれてきたものの多くが、有名オケと指揮者によるものだったのも頷けるところです。
 そうした名盤群の中でも最も立派とされてきたのが、このギレリスとヨッフム指揮ベルリン・フィルによる演奏で、パワフルなピアノと、オーケストラの壮大な演奏が、図抜けた存在感を示していたものでした。1972年にベルリンのイエス・キリスト教会で録音されたこれらの協奏曲は、この教会での録音ならではの野太い音質も功を奏し、きわめて重厚なサウンドがリスニング・ルームを埋め尽くしてくれます。
 組み合わせはブラームス晩年のピアノ曲で、こちらではギレリスがしっとりした演奏を聴かせています。

【収録情報】
Disc1
● ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第2番イ長調 Op.2-2、第3番ハ長調 Op.2-3、選帝候ソナタ WoO.47より第1&2番

 録音:1981〜1985年

Disc2
● ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第4番変ホ長調 Op.7、第8番ハ短調 Op.13『悲愴』、第10番ト長調 Op.14-2

 録音:1980〜1985年

Disc3
● ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第5番ハ短調 Op.10-1、第6番ヘ長調 Op.10-2、第7番ニ長調 Op.10-3

 録音:1973〜1985年

Disc4
● ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第11番変ロ長調 Op.22、第12番変イ長調 Op.26、エロイカ変奏曲 Op.35

 録音:1975〜1985年

Disc5
● ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第13番変ホ長調 Op.27-1、第14番嬰ハ短調 Op.27-2『月光』、第15番ニ長調 Op.28『田園』

 録音:1980〜1982年

Disc6
● ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第16番ト長調 Op.31-1、第17番ニ短調 Op.31-2『テンペスト』、第18番変ホ長調 Op.31-3

 録音:1975〜1981年

Disc7
● ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第19番ト短調 Op.49-1、第20番ト長調 Op.49-2、第21番ハ長調 Op.53『ワルトシュタイン』、第23番ヘ短調 Op.57『熱情』、第25盤ト長調 Op.79

 録音:1972〜1984年

Disc8
● ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第26番変ホ長調 Op.81a『告別』、第27番ホ短調 Op.90、第30番ホ長調 Op.109、第31番変イ長調 Op.110

 録音:1974〜1985年

Disc9
● ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第28番イ長調 Op.101、第29番変ロ長調 Op.106『ハンマークラヴィーア』

 録音:1972年、1982年

Disc10
● ブラームス:ピアノ四重奏曲第1番ト短調 Op.25

 アマデウス四重奏団員

● ブラームス:4つのバラード Op.10

 録音:1970年、1975年

Disc11
● ブラームス:ピアノ協奏曲第1番ニ短調 Op.15


 ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
 オイゲン・ヨッフム(指揮)
 録音:1972年

Disc12
● ブラームス:ピアノ協奏曲第2番変ロ長調 Op.83

 ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
 オイゲン・ヨッフム(指揮)

● ブラームス:7つの小品 Op.116

 録音:1972年、1975年

Disc13
● ショパン:ピアノ・ソナタ第3番ロ短調 Op.58、ポロネーズ第3番イ長調 Op.40-1『軍隊』、ポロネーズ第4番ハ短調 Op.40-2、ポロネーズ第6番変イ長調 Op.53『英雄』

 録音:1978年

Disc14
● グリーグ:アリエッタ Op.12-1、子守歌 Op.38-1、蝶々 Op.43-1、孤独なさすらい人 Op.43-2、音楽帳 Op.47-2、メロディ Op47-3、ノルウェーの踊り『ハリング』 Op.47-4、夜想曲 Op.54-4、スケルツォ Op.54-4、郷愁 Op.57-6 、小川 Op.62-4 、家路 Op.62-6、バラード風に Op.65-5、おばあさんのメヌエット Op.68-2、あなたのおそばに Op.68-3、ゆりかごの歌 Op.68-5、昔々 Op.71-1、パック Op.71-3、過去 Op.71-6、余韻 Op71-7

 録音:1974年

Disc15
● モーツァルト:ピアノ・ソナタ第3番変ロ長調 K.281、サリエリのアリア『わが愚かな賤民の考えは』による変奏曲 K.398、幻想曲ニ短調 K.397、ピアノ・ソナタ第8番イ短調 K.310

 録音:1970年

Disc16
● モーツァルト:ピアノ協奏曲第27番変ロ長調 K.595、2台のピアノのための協奏曲変ホ長調 K.365


 エレーナ・ギレリス(ピアノ:K.365)
 ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
 カール・ベーム(指揮)
 録音:1973年

Disc17
● シューベルト:ピアノ五重奏曲イ長調 D.667『ます』

 アマデウス四重奏団員
 録音:1975年

● シューベルト:幻想曲ヘ短調 D.940、ロンド イ長調 D.951、アンダンティーノ ロ短調 D.823-2、エコセーズ D.145
 エレーナ・ギレリス(ピアノ)
 録音:1978年

Disc18
● レイエ/ゴドフスキー編:チェンバロ組曲第1番〜ジーグ
● ラモー:鳥のさえずり
● シューマン/タウジヒ編:密輸入者
● シューマン:トッカータ Op.7
● メンデルスゾーン:デュエット Op.38-6
● シューマン:夢のもつれ Op.12-7
● プロコフィエフ:3つのオレンジへの恋〜行進曲
● ショパン:バラード第1番ト短調 Op.23
● リスト:パガニーニ大練習曲〜狩
● リスト:ペシュトの謝肉祭
● D.スカルラッティ:ソナタ K.159、27、125、380、113

 録音:1935〜1955年

Disc19
● ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第3番ハ長調 Op.2-3
● メトネル:ピアノ・ソナタ第3番ト短調 Op.22

 録音:1952年

Disc20
● ハイドン:ピアノ三重奏曲ト短調 Hob.XV-19
● ベートーヴェン:ピアノ三重奏曲第9番変ホ長調 WoO.38
● ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第7番変ロ長調 Op.97『大公』


 ムスティスラフ・ロストロポーヴィチ(チェロ)
 レオニード・コーガン(ヴァイオリン)
 録音:1950年、1956年

Disc21
● ハイドン:ピアノ三重奏曲ニ長調 Hob.XV-16
● シューマン:ピアノ三重奏曲第1番ニ短調 Op.63
● フォーレ:ピアノ四重奏曲第1番ハ短調 Op.15


 ムスティスラフ・ロストロポーヴィチ(チェロ)
 レオニード・コーガン(ヴァイオリン)
 ルドルフ・バルシャイ(ヴィオラ)
 録音:1951年、1958年

Disc22
● ブラームス:ホルン三重奏曲変ホ長調 Op.40

 ヤコフ・シャピロ(ホルン)
 レオニード・コーガン(ヴァイオリン)
 録音:1951年

● アリャビエフ:ピアノ五重奏曲
 ベートーヴェン四重奏団
 録音:1949年

Disc23
● ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第5番変ホ長調 Op.73『皇帝』


 レニングラード・フィルハーモニー交響楽団
 クルト・ザンデルリング(指揮)
 録音:1957年

Disc24
● プロコフィエフ:ピアノ協奏曲第3番ハ長調 Op.26

 モスクワ放送交響楽団
 キリル・コンドラシン(指揮)
 録音:1955年

● カバレフスキー:ピアノ協奏曲第3番ニ長調 Op.50
 モスクワ放送交響楽団
 ドミトリー・カバレフスキー(指揮)
 録音:1954年

 エミール・ギレリス(ピアノ)

 録音方式:ステレオ(Disc1-17)、モノラル(Disc18-24)

Customer Reviews

Comprehensive Evaluation

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 誰が言い出したのか、ギレリスのピアノは...

投稿日:2016/06/15 (水)

 誰が言い出したのか、ギレリスのピアノは「鋼鉄」と比喩され、彼の演奏は常にそのイメージ、いや先入観をもって聴かれてしまったように思います。しかしながら、この「鋼鉄」は、あまりにも一面的な評価にすぎません。実際の音に耳を傾ければ、どれほどの透徹したリリシズムをもっていたかはすぐにわかります。このセットで特に驚いたのはショパン、とりわけ第3ソナタ、第3楽章の表現の深さ、そして第4楽章の冒頭の鮮烈さには驚きました(恥ずかしながら、彼がショパンを録音していたことは、このセットを開けるまで知りませんでした。お粗末)。しかしながら、なぜ☆4つか。協奏曲がいけません。モノラルの「皇帝」は見事です。しかしステレオの協奏曲はいけません。ブラームスはヨッフムの指揮が鈍重(スケールが大きい、とはまるで違います)で、せっかくのピアノの名演をぶちこわしにしています。よく比較対照されるゼルキン/セル盤には、ピアノではなくオーケストラの差で遠く及びません。第2番はライナーとの旧録音のほうが、オーケストラははるかに素晴らしい(ピアノだけなら新録音のほうがいいとも思えますが)。モーツアルトは、もっといけません。巷ではベームのモーツアルトは高評価で、神聖視する人さえいますが、何も考えていないのではないのかと思えるくらい凡庸の極み。27番だけとっても、同じウィーン・フィルによるカーゾン/セル盤のバックとは雲泥の差。したがってギレリスのピアノもいまひとつさえないという感があります。それでも、ブラームスの独奏曲(とりわけOp.116が素晴らしい!)、グリーグの抒情小曲集などの名演がそれを補って余りあります。ベートーヴェンのソナタ全集が完成できなかったのが何とも惜しいのは言うまでもありませんが、残された素晴らしい演奏に耳を傾けることにしましょう。

Papachan さん | 北海道 | 不明

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