[USED:Cond.AB] Italian Overtures: Chung Myung-whun / St.cecilia O

『チョン・ミュンフンの芸術』全10タイトル
９：イタリア・オペラ序曲集

超濃厚！　チョン・ミュンフン＆サンタ・チェチーリア・イタリア序曲集
2001年10月録音。イタリア・オペラの祖とも言えるモンテヴェルディから、ロッシーニ、ヴェルディ、マスカーニなどの序曲（シンフォニア）をほぼ年代順に並べ、その歴史を俯瞰する好企画です。
　「オルフェオ」のトッカータでは通奏低音も交え、冒頭から華やかな音楽を聴かせますが、本領発揮はやはり「ウィリアム・テル』以降。旋律はどこまでも濃厚に歌いきり、とにかく派手にオケを鳴らした演奏は、それぞれ歌劇の「序奏」なんてものではなく、１曲１曲が歌劇「全曲」のような力の入れようとでも言いたくなる強烈さを備えています。
　その強さ・濃さは『運命の力』でクライマックスを迎えます。通常の序曲集とはけた違いのヴォリューム感が魅力的なアルバムと言えるでしょう。

【収録情報】
・モンテヴェルディ：歌劇『オルフェオ』〜トッカータ
・ペルゴレージ：歌劇『オリンピアーデ』序曲
・チマローザ：歌劇『宮廷楽師長』序曲
・ケルビーニ：歌劇『デモフォンテ』序曲
・ロッシーニ：歌劇『ウィリアム・テル』序曲
・ロッシーニ：歌劇『アルジェのイタリア女』序曲
・ドニゼッティ：歌劇『ドン・パスクァーレ』序曲
・ベッリーニ：歌劇『カプレーティとモンテッキ』序曲
・ヴェルディ：歌劇『運命の力』序曲
・ヴェルディ：歌劇『椿姫』第1幕への前奏曲
・ポンキエッリ：歌劇『ジョコンダ』前奏曲
・マスカーニ：歌劇『友人フリッツ』小前奏曲
　ローマ聖チェチーリア国立音楽院管弦楽団
　指揮：チョン・ミュンフン

　録音時期：2001年10月
　録音場所：ローマ
　録音方式：デジタル（セッション）

【チョン・ミュンフン』
1953年韓国生まれ。幼い頃よりピアノを習い始め、７歳でソウル・フィルハーモニー管弦楽団との共演でソロ・デビューを果たす。アメリカへ渡ってからは、ニューヨークのマンス音楽院に入学し、ピアノをナディア・ライセンバーク、指揮をカール・ブラムバーガーに師事。1974年ピアニストとしてチャイコフスキー国際コンクールで第２位入賞。1978年にジュリアード音楽院を卒業後、ロサンジェルス・フィルハーモニー管弦楽団においてカルロ＝マリア・ジュリーニのアシスタントを務め、後に副指揮者となる。1983年には家族と共にヨーロッパへと移り、1984年から1990年までザールブリュッケン放送交響楽団の音楽監督および首席指揮者に就任した。今までにベルリン・フィルハーモニー管弦楽団、ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団、アムステルダム・ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団、ロンドン交響楽団、パリ管弦楽団、ボストン交響楽団、シカゴ交響楽団等メジャーオーケストラを指揮している。
　チョン・ミュンフンがオペラ指揮者として世界的な名声を博したのは、1986年のメトロポリタン歌劇場における『シモン・ボッカネグラ』による圧倒的なデビューによってである。1989年にはトスカニーニ賞を受賞。1989年から1994年まではパリのバスティーユ・オペラ座の音楽監督を務めた。1990年からは、ドイツ・グラモフォンと専属契約を結びメシアンのトゥランガリーラ交響曲をはじめ、数々のレコーディングを行っている。その録音は、ベルリオーズの幻想交響曲でのレコード・アカデミー大賞を始め、多くの賞を受賞。
　1992年には国連の麻薬撲滅運動の大使に選ばれ、また1995年にはユネスコから「マン・ オブ・ザ・イヤー」に選ばれ、さらに韓国、フランスの両政府からは勲章を受ける。現在は、イタリアのサンタ・チェチーリア国立アカデミー管弦楽団の首席指揮者として活動している。（ユニバーサル　ミュージック）